人生詰んだ気がしたので、VTuberになってみた。

未来アルカ

文字の大きさ
上 下
172 / 244

第168話 ワダカマリ

しおりを挟む
午後12時
 話し合いが終わり二人と別れた後、俺は部屋で今日の配信準備をしていた。

 「サムネは適当なやつで良くて、開始時間は20:00っと。うわぁ、俺の配信アーカイブ、滅茶苦茶荒らされてるなぁ。・・・いや、前からか?」

 気になって自分の過去のアーカイブを調べてみると、全ての配信が低評価6000を超え、コメント数は平均700。そのほとんどが、俺とその時に批判されていた人物のアンチコメントだらけだった。
 ちなみに、初配信の動画は最近、再生数が150万に到達し、合計コメント数は5000近く残されていて、想像するまでも無く批判コメントばかり。真面なコメントを探す方が難しい状態だ。
 こうして見ると、俺の配信を観たいとは思えないな。

 「一応、視聴者が不快になりそうな過激なコメント等は消してるけど、効果は無さそうだし、どうしようもないよなぁ。まぁ、手遅れか。」

 そのまま、今日の大手Vtuberさん達の配信を調べようと思った時、玄関のチャイムが鳴る。

 「ん?城東さん達、何か忘れ物でもしたのか?」

 急いで玄関まで向かい扉を開けるとそこには、こちらに腰を90度曲げたままの状態で立っている、緒恋さんの姿があった。

 「本当にごめんなさい!!ごめんなさい!!ごめんなさい!!!!」

 「えっと・・・え?どうして謝ってるんですか?」

 そう聞いてみるも、頭を下げたまま謝り続けている。仕舞には――――

 「私のせいで・・・、私のせいで奈落さんを炎上させてしまい・・本当に申し訳ありませんでした!!!本当に・・・本当にッ!ごめんなさい!!」

 などと言いながら、その場で土下座をし始めてしまい、頭が痛くなって来た。
 取り敢えず、緒恋さんのを解こうか。俺の方法で。

 「はぁぁ、緒恋さん!!あなた、俺を馬鹿にしてるんですか?」

 「いやっ!そんなつもりじゃっ!!!」

 俺から返って来た言葉が予想外だったのか、慌てて顔を上げる緒恋さん。その顔は、涙でぐしゃぐしゃになっていた。
 やっぱり、真面目な人ほど損するよなぁ。

 「それなら!今回の事件のせいで、お互いに被害を受けてしまっているのに、緒恋さんが謝る必要はないでしょうが!そもそも、あの男がスペースオペラに侵入しようと企て、実際に入り込んで来たことが原因でしょう?それなのに、緒恋さんが謝る意味が分かりません。」

 「えっ⁉だって、侵入してきたのも私狙いだった訳なので、私が悪いんじゃ――」

 「いや、そんな事を言ったら、スペースオペラに入る前から俺の配信を荒らしている視聴者の愚行に対して、俺が皆さんに謝らなければいけないことになりますよ?特に、デビュー当初は緒恋さんの配信を中心として荒らし回っていたらしいですし。まぁ、自分の所の視聴者が荒らしているのを放置するのも、責任ではあるんですけどね?」

 「っ⁉それならっ!―――――――」

 「今回の犯人は自分の元父親だから当てはまらないと?そんな小さな事を気にしてたら、キリがないでしょ。あぁ、もうっ、それじゃあ良いですね?俺だって、事件のことは気にして無いんですから。良いですね?」

 「えっ?いや、、、、その、はいぃ。」

 そう言い切ると俺は、何事も無かったからのように扉を閉め、元の部屋に戻る。

 「・・・・流石に無理矢理過ぎたか?いや、案外上手くいったかもな。」

 最適解。そう、これが俺に出来るベストだった筈だ。
 緒恋さんが、のせいで悩む必要など、何処にもないのだから。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

動物に好かれまくる体質の少年、ダンジョンを探索する 配信中にレッドドラゴンを手懐けたら大バズりしました!

海夏世もみじ
ファンタジー
 旧題:動物に好かれまくる体質の少年、ダンジョン配信中にレッドドラゴン手懐けたら大バズりしました  動物に好かれまくる体質を持つ主人公、藍堂咲太《あいどう・さくた》は、友人にダンジョンカメラというものをもらった。  そのカメラで暇つぶしにダンジョン配信をしようということでダンジョンに向かったのだが、イレギュラーのレッドドラゴンが現れてしまう。  しかし主人公に攻撃は一切せず、喉を鳴らして好意的な様子。その様子が全て配信されており、拡散され、大バズりしてしまった!  戦闘力ミジンコ主人公が魔物や幻獣を手懐けながらダンジョンを進む配信のスタート!

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

私とHしませんか?

あかせ2
大衆娯楽
夏休み目前の7月上旬のある日。坂巻 登(さかまき のぼる)がいつも通り登校してから机の中を確認すると、そこにHのお誘いのメモが入っていて…。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

処理中です...