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第168話 ワダカマリ
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午後12時
話し合いが終わり二人と別れた後、俺は部屋で今日の配信準備をしていた。
「サムネは適当なやつで良くて、開始時間は20:00っと。うわぁ、俺の配信アーカイブ、滅茶苦茶荒らされてるなぁ。・・・いや、前からか?」
気になって自分の過去のアーカイブを調べてみると、全ての配信が低評価6000を超え、コメント数は平均700。そのほとんどが、俺とその時に批判されていた人物のアンチコメントだらけだった。
ちなみに、初配信の動画は最近、再生数が150万に到達し、合計コメント数は5000近く残されていて、想像するまでも無く批判コメントばかり。真面なコメントを探す方が難しい状態だ。
こうして見ると、俺の配信を観たいとは思えないな。
「一応、視聴者が不快になりそうな過激なコメント等は消してるけど、効果は無さそうだし、どうしようもないよなぁ。まぁ、手遅れか。」
そのまま、今日の大手Vtuberさん達の配信を調べようと思った時、玄関のチャイムが鳴る。
「ん?城東さん達、何か忘れ物でもしたのか?」
急いで玄関まで向かい扉を開けるとそこには、こちらに腰を90度曲げたままの状態で立っている、緒恋さんの姿があった。
「本当にごめんなさい!!ごめんなさい!!ごめんなさい!!!!」
「えっと・・・え?どうして謝ってるんですか?」
そう聞いてみるも、頭を下げたまま謝り続けている。仕舞には――――
「私のせいで・・・、私のせいで奈落さんを炎上させてしまい・・本当に申し訳ありませんでした!!!本当に・・・本当にッ!ごめんなさい!!」
などと言いながら、その場で土下座をし始めてしまい、頭が痛くなって来た。
取り敢えず、緒恋さんの誤解を解こうか。俺の方法で。
「はぁぁ、緒恋さん!!あなた、俺を馬鹿にしてるんですか?」
「いやっ!そんなつもりじゃっ!!!」
俺から返って来た言葉が予想外だったのか、慌てて顔を上げる緒恋さん。その顔は、涙でぐしゃぐしゃになっていた。
やっぱり、真面目な人ほど損するよなぁ。
「それなら!今回の事件のせいで、お互いに被害を受けてしまっているのに、緒恋さんが謝る必要はないでしょうが!そもそも、あの男がスペースオペラに侵入しようと企て、実際に入り込んで来たことが原因でしょう?それなのに、緒恋さんが謝る意味が分かりません。」
「えっ⁉だって、侵入してきたのも私狙いだった訳なので、私が悪いんじゃ――」
「いや、そんな事を言ったら、スペースオペラに入る前から俺の配信を荒らしている視聴者の愚行に対して、俺が皆さんに謝らなければいけないことになりますよ?特に、デビュー当初は緒恋さんの配信を中心として荒らし回っていたらしいですし。まぁ、自分の所の視聴者が荒らしているのを放置するのも、責任ではあるんですけどね?」
「っ⁉それならっ!―――――――」
「今回の犯人は自分の元父親だから当てはまらないと?そんな小さな事を気にしてたら、キリがないでしょ。あぁ、もうっ、それじゃあ良いですね?俺だって、事件のことは気にして無いんですから。良いですね?」
「えっ?いや、、、、その、はいぃ。」
そう言い切ると俺は、何事も無かったからのように扉を閉め、元の部屋に戻る。
「・・・・流石に無理矢理過ぎたか?いや、案外上手くいったかもな。」
最適解。そう、これが俺に出来るベストだった筈だ。
緒恋さんが、世界のクズのせいで悩む必要など、何処にもないのだから。
話し合いが終わり二人と別れた後、俺は部屋で今日の配信準備をしていた。
「サムネは適当なやつで良くて、開始時間は20:00っと。うわぁ、俺の配信アーカイブ、滅茶苦茶荒らされてるなぁ。・・・いや、前からか?」
気になって自分の過去のアーカイブを調べてみると、全ての配信が低評価6000を超え、コメント数は平均700。そのほとんどが、俺とその時に批判されていた人物のアンチコメントだらけだった。
ちなみに、初配信の動画は最近、再生数が150万に到達し、合計コメント数は5000近く残されていて、想像するまでも無く批判コメントばかり。真面なコメントを探す方が難しい状態だ。
こうして見ると、俺の配信を観たいとは思えないな。
「一応、視聴者が不快になりそうな過激なコメント等は消してるけど、効果は無さそうだし、どうしようもないよなぁ。まぁ、手遅れか。」
そのまま、今日の大手Vtuberさん達の配信を調べようと思った時、玄関のチャイムが鳴る。
「ん?城東さん達、何か忘れ物でもしたのか?」
急いで玄関まで向かい扉を開けるとそこには、こちらに腰を90度曲げたままの状態で立っている、緒恋さんの姿があった。
「本当にごめんなさい!!ごめんなさい!!ごめんなさい!!!!」
「えっと・・・え?どうして謝ってるんですか?」
そう聞いてみるも、頭を下げたまま謝り続けている。仕舞には――――
「私のせいで・・・、私のせいで奈落さんを炎上させてしまい・・本当に申し訳ありませんでした!!!本当に・・・本当にッ!ごめんなさい!!」
などと言いながら、その場で土下座をし始めてしまい、頭が痛くなって来た。
取り敢えず、緒恋さんの誤解を解こうか。俺の方法で。
「はぁぁ、緒恋さん!!あなた、俺を馬鹿にしてるんですか?」
「いやっ!そんなつもりじゃっ!!!」
俺から返って来た言葉が予想外だったのか、慌てて顔を上げる緒恋さん。その顔は、涙でぐしゃぐしゃになっていた。
やっぱり、真面目な人ほど損するよなぁ。
「それなら!今回の事件のせいで、お互いに被害を受けてしまっているのに、緒恋さんが謝る必要はないでしょうが!そもそも、あの男がスペースオペラに侵入しようと企て、実際に入り込んで来たことが原因でしょう?それなのに、緒恋さんが謝る意味が分かりません。」
「えっ⁉だって、侵入してきたのも私狙いだった訳なので、私が悪いんじゃ――」
「いや、そんな事を言ったら、スペースオペラに入る前から俺の配信を荒らしている視聴者の愚行に対して、俺が皆さんに謝らなければいけないことになりますよ?特に、デビュー当初は緒恋さんの配信を中心として荒らし回っていたらしいですし。まぁ、自分の所の視聴者が荒らしているのを放置するのも、責任ではあるんですけどね?」
「っ⁉それならっ!―――――――」
「今回の犯人は自分の元父親だから当てはまらないと?そんな小さな事を気にしてたら、キリがないでしょ。あぁ、もうっ、それじゃあ良いですね?俺だって、事件のことは気にして無いんですから。良いですね?」
「えっ?いや、、、、その、はいぃ。」
そう言い切ると俺は、何事も無かったからのように扉を閉め、元の部屋に戻る。
「・・・・流石に無理矢理過ぎたか?いや、案外上手くいったかもな。」
最適解。そう、これが俺に出来るベストだった筈だ。
緒恋さんが、世界のクズのせいで悩む必要など、何処にもないのだから。
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