168 / 244
第164話 強化
しおりを挟む男が警察官達に身柄を引き渡されるのを見送った後、俺達は一時解散とした。
ちなみに、緒恋さんは念の為に病院へと送られ、入院中だ。
「はぁぁぁ、マジで、最近ドタバタし過ぎじゃないか?他のVtuberの人達も、こんか感じなのか?」
ベッドで横になりながら、今になって鼓動を早める心臓を落ち着かせる。
俺達が部屋に突入して、緒恋さんが捕まっていた時は何故か、慌てることなく対応出来たと思う。三人共。
特に、あの場面で腹一さんが冷静な行動をしていたことに、少し疑問を感じたから聞いてみたけど、まさか、同じような経験があったとか、腹一さんも巻き込まれ体質なのかな?
「退院してすぐに起こる事象じゃ無いだろ普通、もうちょっと空気読んでくれ。」
適当に愚痴を言いながら目を閉じていると、スマホの通知音が鳴る。
高太郎さんから、スペースオペラ全体へのメールだ。
「えーと、何々、『スペースオペラ各所の警備人数を増やします!』?今でも結構な人数が居ると思うけど、ああ、社内警備も投入するのか。見回りってやつかな?」
メールには、今回も侵入者を許してしまったことに対する謝罪文と共に、警備員内での不正が無いか調査を進め、社内の見回りを設置するようだ。
まぁ、ただ警備員を増やしただけで、今回のような事件を防げるとは思わないが、高太郎さんも何か考えがあって、投入したのだろう。
だって、今回みたいに犯人が会社の壁を登って、部屋に侵入して来るとは、誰も思わなかっただろうし、中々、防ぎようが無いだろう。緒恋さんの居た部屋は6階だぞ?命綱無しで登るとか、馬鹿だろ。
「それに、あの男が何故、緒恋さんの居る部屋が分かったのか。恐らく、社内に裏切り者が居る筈なんだが、簡単に決めつけて良いのか?」
確率は低いだろうが、偶々社内に侵入しようとしていた時に、窓から緒恋さんの姿が見えて、無理矢理入って来たと言う、イレギュラーな場合もあるけど、会社内に入るなら、3階とか4階の方が楽だよな?もし、下に居る警備員に音やら何やらが気付かれたくないなら、5階ぐらいで入れば良い。やっぱり、情報を流している奴が居るのか?
「あぁーーー、一人で考えてても埒が明かないか。明日、高太郎さんと話し合わないとな。何時ぐらいなら、空いて「ピロンッ」、ん?」
手元のスマホを見れば、高太郎さんからのチャットだった。
内容は、『社内の清掃員二名が、外部に情報を漏らしていることが確認出来た為、こちらで対応しておきました!もし、他にも不審な人物が社内に居た場合、よろしく!』、と書かれていた。
「対応はやっ!」
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
32
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる