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第139話 緒恋さんの悩み1
しおりを挟む『スペースオペラ』の一階に設置されている飲食スペースに、緒恋さんと対面の関で座っている。
周りには、イラストレーターさんだろうか?数人の女性グループが談笑している。
結論から言うと、俺が一人で悩み始めてから一分もしない内に、緒恋さんが部屋から出て来た。
ボサボサだった髪は最低限整え、シワが目立っていた服も綺麗な物に、目元の隈に関しては薄く化粧で隠されていたその姿で、ようやく目の前の女性が緒恋さんだと、認識出来た気がした。しかし、問題はここから。
戻って来た緒恋さんから、『それで、どのような要件でしたっけ?』と言われたのだが、どう返答したら良いのか困ってしまった為、『何となく心配になって声を掛けた』と言うことにした。実際、フラフラとしながら歩いているのを見て、心配にはなったので間違ってはいないだろう。
そもそも俺としては、何となく善意で声を掛けただけで、ここまで時間を掛けるつもりも無かった。ただ、緒恋さんは何を勘違いしたのか、『それじゃあ、相談に乗って貰っても大丈夫ですか?』と、何故か緒恋さんの相談を受けることになっていた。ちなみに、『断る』なんて言う大罪は俺に出来る筈が無い。
後日、「(フラフラしているのが)心配になって声を掛けた」と「(最近の配信状況が)心配になって声を掛けた」なんて言う、擦れ違いがあったことに気付いた時は、とてもスッキリした。
「それで、相談って言うのは?」
「・・・はい、その~、どうやったら奈落さんみたいに、配信を盛り上げられるのか気になって・・・あっ⁉言えない部分があるなら大丈夫です!」
「いや、言えない部分なんてのは無いんですけど・・・・・え?俺の配信って盛り上がってる方なんですかね?」
「え~と、多分そうだと思いますよ?平均視聴者数が1万5000人で、チャンネル登録者もあと少しで、17万人ですから!それに比べて私は、やっとチャンネル登録者も4万人に到達しましたけど・・・・・・・日に日に視聴者数が落ちていて、昨日は1500人にまで落ちてしまいました。」
そう言えば、企業勢になってからはバタバタと忙しかったせいか、自分のチャンネルの登録者や視聴者数とか確認していなかったな。と言うか、その点に関しては緒恋さんの方が詳しい説があるな。
やばい、このままだと何のアドバイスも出来ないのでは?流石にそれは、マズいだろう。何か、何か無いか―――
「あ~、配信を見ていて感じたんですけど、緒恋さんって多分、配信の『題目』とかって、流行りの物をとにかくたくさん取り入れようとしている感じがするんですが、違いますか?」
「あっ!はい!そうです!一度、嬢ノ内さんにも相談したことがあって、その時に『配信内容に困ったら、何でも良いから流行りの物を取り込んでいけば良いわよ!!』ってアドバイスを貰ったので、参考にしているんですけど、駄目でしたか?」
なるほどなぁ、これなら何とかなりそうだ。
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