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第91話 怪しい奴

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 「まず一つ目は、今回死体として発見された奴等は、こんな田舎で何をしていたのか。と言う部分だ。勿論、土木会社の社員が台風に向けての対策を行っていたと言われれば、その線もあり得るのだが、そいつ等が田舎に到着した時刻がおかしい。」

 「時刻?数日前から対策作業をしていた訳じゃないのか?」

 「ああ、近隣住民からの聞き込みによると、土木作業員が到着したのは、台風が直撃した日の夕方頃だったらしい。しかも、大型作業用トラックには二人しか乗っておらず、一直線で実家がある方へ向けて進んで行ったらしい。」

 「台風が直撃するって事前に分かってたんですよね?そんな中、危険な場所に作業員二人だけで向かいます?」

 「そうなんだ!基本的に災害が起きると予想されている日に、大事な作業員を現地に送る会社がある訳無いだろ?今回の場合、災害規模がかなり大きくなると予想されていたのにも関わらずな!」

 「それで、一つ目ってことは他にもあるんでしょ?」

 「ああ、二つ目は実家が倒壊した原因だ!」

 確か、土砂崩れに巻き込まれて倒壊したんだっけ。何かおかしい部分でもあったのか?築年数的には大丈夫だった筈だが。

 「土砂の撤去依頼した会社には、倒壊した実家の撤去もお願いしていてな?ちなみに、撤去作業中に見つかった使えそうな物は取って置いてあるから安心して欲しい。それで、その会社が言うには、家の柱や壁、扉などに不自然な破損が見つかったらしい。特に、家を支える為の柱のほとんどに破損が見つかり、明らかに人為的な物も見つかったんだ!今はこの件について詳しく調査中だ。」

 「人為的ですか。犯人として怪しいのは、土砂の中から出て来た作業員ですよね?そして、その作業員を送って来た会社が一番怪しい。」

 「それが三つ目の話にも繋がるんだが、作業員を送って来た会社も特定出来た!!」

 「・・当てましょうか?舞波田コーポレーションでしょ?あそこは下請け会社が多く、全国の何処にでも作業員を派遣出来る。それに、俺の土地に興味を示している企業の奴等だから、あそこの土地を手に入れる動機がある。親戚の奴等もそいつらと繋がっていたから、俺の実家が倒壊していたことを知っていた。どうです?」

 「その通り!!ただ、確実な証拠が出て来ていないから訴えることが出来ない。それに、舞波田コーポレーションだと決め付けてしまうと、見落としがあるかもしれない。あの大きな企業であれば、人を切り捨てることも簡単だろうから、焦りは禁物だ!!」

 「分かってます。そうだ、刑事裁判は取り消しになりそうなんですよね?」

 「そうだった!!雅紀が逮捕された御蔭で、刑事裁判は取り消しだ!!あの検察官の悔しそうな顔、見せたかったぜ!!と言うか、あの検察官免許剝奪になりそうだしな!」

 「別に見たくは無いですよ。あの検察官が正式な処罰を受けることは望みますがね。」

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