裏の林にダンジョンが出来ました。~異世界からの転生幼女、もふもふペットと共に~

あかる

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海岸ダンジョンと、ストーカー

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    夏はまた、ネズミーランド近くのダンジョンに行く話が出た。勿論大賛成だけど、私や海人君を真似してダンジョンに挑む小学生が増えているようだ。
    冒険者は自己責任。多くの大人は反対してるし、持ち回りでダンジョン内を歩き、子供を見かけたら注意して歩いている。
    ウサギ位迄なら軽い怪我で済むし、敢えて止める必要はないと、私は思っている。
    大人達はそうは思ってないみたいで、私や海人君にもダンジョンを自粛するように言われた。

    なら、言われない為にも裏の林ダンジョン付近にいなければいい。
    海人君に話したら、僕も一緒に、と当然のように言われた。海人君は巫術の練習の為には必要だけど、そうやって付いてくるから、からかわれるのに。

    疚しい事をしている訳ではないのに、ただ一緒にダンジョン攻略してるだけなのに色々言われて、ちょっと悔しい。
「言いたい奴には言わせておけばいい。ついて来られないのに、言うだけなんて、気にする必要もないよね」
「それ、亜空間移動出来ない海人君が言う?」
「それとこれとは話が違う」

    でも、一人でダンジョン攻略も、淋しい。海フィールドが多いこのダンジョンは、特にタマが嫌がるからね。
    ペット達の安全の為にも、ここは連れて来ないと方がいい。
「で?今日はハマアサリ?」
「勿論だよ!大漁を狙うよ!」

    僕はまだ、美優ちゃんみたく器用に魔力を扱えない。だからあんな風に、魔力を糸にする事も出来ないから、普通の網を使う。
    でも、普通の網だと破られてしまう。金網でも買ってくるべきだったかな…
    電撃なら扱えるから、倒してから拾い集めればいいかな。

    魔力網で捕まえるならともかく、空納に直接入れるのはずるいと思うな。
    でも、出来るようになったら僕もやると思うから、何も言えないや。

「さて…これだけ集まれば充分かな」
    もうキロ単位で集めたし、しばらくは大丈夫。次は何を集めようかな?
    魚は一応裏の林ダンジョンでも取れるけど、狙っては取れない。ちゃんと集めるのが目的なら、そこに行かないとね!

    次は貝柱だ。美味しいのはすぐになくなる。
「やっぱり次は9階層だよね」
「フナマスはいいのか?」
「ずっと同じのばかりだとやっぱり飽きるから、時間を決めて挑もうかなと」
    貝柱はメインで集める。人気階層だから、今日もやっぱり人が多い。
「ちゃんと夏休みに入ったら、11階層も抜けないとな」
「タコ集めもやるよ?お刺身が美味しいんだ」
「噛みきるの、大変じゃないか?」
「私、結構大人の歯が生えてるから、割と平気。海人君は、まだ乳歯?」
「こ…個人差なんだから、仕方ないだろっ!」
    そうだよね…私もなかなか身長が伸びないのがコンプレックスだから、そういうのは言わないようにしないと。

(ごめんね、やっぱり人がいっぱいだから、出してあげられない)
(いいわ。仕方ないし。でもくれぐれも気をつけて)
(大丈夫だよ、タマ)

「それにしても、酢ダコがレアドロップなんて、あんまり嬉しくないよね」
「お正月にしか食べられないから、レアでいいんじゃないか?」
    ロシアンタコ焼きで、外れは酢ダコにするのもいいな。

    時に真っ黒になりながら、セーフティエリアまで進む。
「はあ…何とか着いたね」
「美優ちゃんの魔法はめっちゃ見られてたけど」
「そうだね…風魔法で統一しておけば良かった」
「夏休み限定で僕達とパーティー組むなんて、逆に怖い」
「でも、テントを探されたりしないかな?」
「認識阻害の魔法はかけておいたし、多分大丈夫?」

    都会は色々な人がいるから怖いな…

    テントから出て冒険の準備。お湯を沸かしてインスタントの味噌汁だ。それと、おにぎり。
    お母さんが作ってくれた卵焼きを海人君とつまみながら、朝食を終える。
「目標は12階層だな」
「それなら、最短ルートを教えてやるぜ?」
    …!うわ。昨日絡んできた冒険者じゃん…何度も断ったのに、本当にしつこい。

「僕達は、ここの近くに住んでる訳じゃないですから、パーティーを組む意味はありませんよ」
「俺はどうしても、魔法を使いたいんだ…頼むよ。魔法について教えてくれるだけでいいんだ。階段まででいいからさ、頼む。もし習得出来たら、謝礼は払う」

「教えられるもんじゃないんですよね…スキルで手に入れて、あとは打ち出すイメージなので」
「魔力はどうやって感じるんだ?そういうのがあるんだろう?」
「あってもダンジョンでしか魔法は使えないですし」
「それでいいんだって!どんな感じかだけでも」

    うざい。てか、大人が小学生に絡んでたら、変に目立つ。勘弁して欲しい。
    
「冒険者の書の質問コーナーとか、色々参考にしてみては?」
    というか、スキルに関してのコーナーでは、色々と分かった事をまとめたり、予測を書いてる人もいる。

「やっぱり、魔法を使える人から聞いた方が確実だと思うわけ。少し位いいだろ」
「スキルが取れたのは、魔女っ子の杖を持ってダンジョンに入ったから。そうとしか言えない」
「それはもう、試したし」
「それなら分からないです!もう…あんまりつきまとうなら、警察に行きます!」

    ダンジョンにも警察はある。ここは有名なダンジョンだし、いてもおかしくない。
 
    こういう所だからこそ、事件が起きるし、ダンジョンに入っている警察官は、かなり強いらしい。
    さすがに家の裏のダンジョンでは見た事はないけど、自警団の人達がレベル上げしてる姿は見た事がある。

「!この…下手に出ていれば、いい気になりやがって!」
    海人君の胸ぐらを掴まれそうになったので、咄嗟の判断で私は海人君の前に入った。
「女の子の胸、触りましたね?…みなさーん!ここに痴漢がいます!ロリコンの変態です!」

    知らん顔を決め込んでいた人達も、さすがに反応して、私達を囲む。
「私、この人に胸触られたんですよ!」

「子供に手を出すなんて最低!」 
「さっきから絡んでて、何かやらかすと思ってたんだよな」
「写真撮ったからな」
「大丈夫?」

「画像流したから、冒険者生命も終わりだな」
「その前に、社会的に終わる」

    慌てて逃げて行くけど、転移石まで辿りつければいいね?

「美優ちゃん…結構容赦ないね」
「実力行使したら、殺しちやいそうだし。さすがにまずいよね」
「そうだけど…さっきの動きは」
「新宿ダンジョンで、色々学んだからね」
    本場の冒険者の動き、息も乱さずにやってのけた凄い人達。
    
    何とか魔法石に触れられたけど、明日からが少し不安。
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