裏の林にダンジョンが出来ました。~異世界からの転生幼女、もふもふペットと共に~

あかる

文字の大きさ
上 下
41 / 75

海の世界

しおりを挟む
    たくさんのハマアサリは、家族に喜ばれた。
「お母さん、次は二泊位したいな」
「どうして?次の階層に行ければいいんじゃないの?」
「だって、色々嬉しい5階層だよ?遊びたい」
「ダンジョンは遊ぶ所じゃないでしょ?美優にとって余裕でも、海人君もいるのよ?」
「大丈夫だよ。海人君もかなり強くなったんだよ」

    ダンジョンに入りはじめて一年位なのに、ボス部屋も超えているのだ。
    それに、どこのダンジョンでもボスまでの情報しかないとはいえ、難易度的にも問題はなさそうだ。
    冒険者の書にも厄介なのは広さだけなんて書いてある位だ。

「お願い、学校が始まったらあんまりダンジョンに行けないだろうし」
「そうね…分かったわ。その代わり、休憩してる時とかに必ず連絡する事」
「うん」

    よしっ!思わずガッツポーズだ。いつまでも戦いずらいウミネコの所にいる気はないからね。
    それに、5階層はかなり楽しめる。早く行きたい。

    海人君と話しあって、買い物も済ませた。
    4階層には人がやっぱり少ない。魔石も小さな屑扱いだし、ドロップ品は安くしか売れない羽だからだろう。
    とにかく進もう。

    頭上注意だけど、下を見ないと転ぶ。下は天然の岩肌。割とゴツゴツしてて、転ぶとめっちゃ痛い。転びそうになると、タマが後ろから手を添えて服に爪を引っ掻けてくれている。
    
    そうしながらも、ウミネコが迫ってくるとネコパンチする。
    私も魔法の矢を使って射貫く。
「僕もパチンコとか使おうかな」
「弓とは言わないんだね」
「メイン武器は変えたくないからな」
    そういうもん?まあ、私も魔法でしか戦えないと思うし…選択肢が魔法しかないんだよね。
「ここが最初のセーフティエリアだけど、どうする?」
「時間的にこの先でもいいと思う。無理じゃなくて、明日には5階層で少し遊べるようにしたいし」

「明後日もあるけど…そうだな」
    その先の先まで進んで、やっと張った状態のテントを設置した。
    出すだけだ。寝袋も入れたまま。勿論、暖かい物と入れ変えてある。

    お母さんが作ってくれたおかずを出して、千切りタケノコの水煮を卵で閉じた味噌汁を作った。タケノコの食感がいい。
    簡単に作れて美味しい一品だ。もう少しすればフレッシュなタケノコも手に入るけど、水煮の方が手軽でいい。

「美優ちゃんのお母さんは料理上手だね。うちのお母さんはすぐに色々と焦がすから、羨ましい」
「そうなの?」
    美人の意外な弱点だ。

「お母さんもそんなに凝ったのは作らないよ。私もカレー位なら作れるよ」
「へえ…でも、昔も料理は上手かったよね」
「そこそこは。カイは食べる専門だったね」
「一人だった時は屋台があれば生きていけたからな」
「こっちの世界ではお祭りの時位しか屋台ないよね」
「食堂は豊富だけど…いや、食堂って、川島食堂しかないんじゃ?」

「あと、うどんとそばのお店と、一応ラーメン屋もあるじゃん」
    ラーメン屋は潰れそうだけど。
    町内に三件も食べる所があれば充分だよね。

「けど、ハンバーガーのお店もあるといいな」
    それは山を超えて隣の市まで行かないと無理だ。

「そういえば、隣の市に出来たピザ屋さん、30分以内に届くのに、うちの町には届けてくれないって」
「そうなんだ?信号機がないから時間はかからないだろうけど、遠いからじゃ?」
 「確かに距離はあるけどさ…」
 隣の市に通勤してるお父さんが以前はよく買って来てくれたけど、ダンジョンが出来てから頻度が減った。
    ダンジョン産の物を食べて減量に成功したからだろう。

    いい加減ウミネコエリアは飽きてきた。速く進みたい。
(ピヨちゃんに乗ればいいと思うの。2人位なら乗せて進めるの)
「本当?ピヨちゃん、無理はしないで?」
(大丈夫。本当は美優だけ乗せたいけど、それじゃ駄目だよね?)
    おお。ちゃんと考えてくれたんだ。
「海人君、ピヨちゃんに乗って進もう」
「えっ?…いや、ダチョウっていうかチョコ〇だけど…」

「取り敢えず乗ってみようよ。頭上からの攻撃は結界で弾くし」
    余裕がありそうだ。タマとポチは影に入れる。
(他の人に見られないように注意しなさいよ)
    勿論だ。気配を消して進む人でも、魔力感知からは逃れられない。
「疲れたら言ってね」
    でも、階段の所には随分近付いているだろう。4階層には人は感知出来ない。

    ピヨちゃんは、私達の重さなどものともしないでたったか走る。
(美優を乗せて走るのはたのしーの!)
    結構振動が来るし、前後に動く首には掴まれない。
    私一人の時と違って狭いけど、どうにか乗れる。私達が大人だったら2人は乗れないだろう。
    海人君が地図を見ながら行く方向を教える。たまに間違うのは、ピヨちゃんが方向を理解していないせいだ。
    地図が読めるのって凄いな。

    あっという間に階段まで着いた。ペットの皆は影にしまう。

    5階層。知ってはいても驚くな。太陽は燦々と輝き、美しい浅瀬の海は、透明度も高い。
    本当に綺麗な場所だ。海の中には珊瑚やいそぎんちゃくもいて、海藻もあり、本物の海みたいだ。

    ブーツを長靴に変えて、色々と鑑定してみる。
「只の海藻じゃないみたいだよ?薬草に使える物もある」
「やっぱりそういうの、あったか。別のダンジョンでは、ハーブが採れたりする所もあるって聞いたから」
「へえ…とにかく採取だね」

    別の物と組み合わせるとポーションになる物もあったりするから、丁寧に、たくさん採取する。
    魔物もいる。小魚だと思って油断していると、毒を持っていたりする。

    この綺麗な海にいるだけで、充分に楽しい。それだけに人気もある。魔物がいるから泳いだりなんかは出来ないけど、優雅に寛いでいる人もいる。

    私達も採取を第一に、遊び尽くそう。

しおりを挟む
感想 11

あなたにおすすめの小説

異世界転生したのだけれど。〜チート隠して、目指せ! のんびり冒険者 (仮)

ひなた
ファンタジー
…どうやら私、神様のミスで死んだようです。 流行りの異世界転生?と内心(神様にモロバレしてたけど)わくわくしてたら案の定! 剣と魔法のファンタジー世界に転生することに。 せっかくだからと魔力多めにもらったら、多すぎた!? オマケに最後の最後にまたもや神様がミス! 世界で自分しかいない特殊個体の猫獣人に なっちゃって!? 規格外すぎて親に捨てられ早2年経ちました。 ……路上生活、そろそろやめたいと思います。 異世界転生わくわくしてたけど ちょっとだけ神様恨みそう。 脱路上生活!がしたかっただけなのに なんで無双してるんだ私???

こちらの異世界で頑張ります

kotaro
ファンタジー
原 雪は、初出勤で事故にあい死亡する。神様に第二の人生を授かり幼女の姿で 魔の森に降り立つ 其処で獣魔となるフェンリルと出合い後の保護者となる冒険者と出合う。 様々の事が起こり解決していく

異世界転生ファミリー

くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?! 辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。 アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。 アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。 長男のナイトはクールで賢い美少年。 ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。 何の不思議もない家族と思われたが…… 彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。

きっと幸せな異世界生活

スノウ
ファンタジー
   神の手違いで日本人として15年間生きてきた倉本カノン。彼女は暴走トラックに轢かれて生死の境を彷徨い、魂の状態で女神のもとに喚ばれてしまう。女神の説明によれば、カノンは本来異世界レメイアで生まれるはずの魂であり、転生神の手違いで魂が入れ替わってしまっていたのだという。  そして、本来カノンとして日本で生まれるはずだった魂は異世界レメイアで生きており、カノンの事故とほぼ同時刻に真冬の川に転落して流され、仮死状態になっているという。  時を同じくして肉体から魂が離れようとしている2人の少女。2つの魂をあるべき器に戻せるたった一度のチャンスを神は見逃さず、実行に移すべく動き出すのだった。  女神の導きで新生活を送ることになったカノンの未来は…?  毎日12時頃に投稿します。   ─────────────────  いいね、お気に入りをくださった方、どうもありがとうございます。  とても励みになります。

ズボラな私の異世界譚〜あれ?何も始まらない?〜

野鳥
ファンタジー
小町瀬良、享年35歳の枯れ女。日々の生活は会社と自宅の往復で、帰宅途中の不運な事故で死んでしまった。 気が付くと目の前には女神様がいて、私に世界を救えだなんて言い出した。 自慢じゃないけど、私、めちゃくちゃズボラなんで無理です。 そんな主人公が異世界に転生させられ、自由奔放に生きていくお話です。 ※話のストックもない気ままに投稿していきますのでご了承ください。見切り発車もいいとこなので設定は穴だらけです。ご了承ください。 ※シスコンとブラコンタグ増やしました。 短編は何処までが短編か分からないので、長くなりそうなら長編に変更いたします。 ※シスコンタグ変更しました(笑)

婚約破棄された上に国外追放された聖女はチート級冒険者として生きていきます~私を追放した王国が大変なことになっている?へぇ、そうですか~

夏芽空
ファンタジー
無茶な仕事量を押し付けられる日々に、聖女マリアはすっかり嫌気が指していた。 「聖女なんてやってられないわよ!」 勢いで聖女の杖を叩きつけるが、跳ね返ってきた杖の先端がマリアの顎にクリーンヒット。 そのまま意識を失う。 意識を失ったマリアは、暗闇の中で前世の記憶を思い出した。 そのことがきっかけで、マリアは強い相手との戦いを望むようになる。 そしてさらには、チート級の力を手に入れる。 目を覚ましたマリアは、婚約者である第一王子から婚約破棄&国外追放を命じられた。 その言葉に、マリアは大歓喜。 (国外追放されれば、聖女という辛いだけの役目から解放されるわ!) そんな訳で、大はしゃぎで国を出ていくのだった。 外の世界で冒険者という存在を知ったマリアは、『強い相手と戦いたい』という前世の自分の願いを叶えるべく自らも冒険者となり、チート級の力を使って、順調にのし上がっていく。 一方、マリアを追放した王国は、その軽率な行いのせいで異常事態が発生していた……。

最底辺の転生者──2匹の捨て子を育む赤ん坊!?の異世界修行の旅

散歩道 猫ノ子
ファンタジー
捨てられてしまった2匹の神獣と育む異世界育成ファンタジー 2匹のねこのこを育む、ほのぼの育成異世界生活です。 人間の汚さを知る主人公が、動物のように純粋で無垢な女の子2人に振り回されつつ、振り回すそんな物語です。 主人公は最強ですが、基本的に最強しませんのでご了承くださいm(*_ _)m

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

処理中です...