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ポチの進化

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    ドロップアイテムの脂の乗ったオーク肉と魔石を拾い集めて家に戻る。

    家族のみんなから心配されたけど、私には魔法もあるし、タマ達の協力もあったから乗り越えられた。

    オーク肉は喜ばれた。オークは他のダンジョンにも出没する魔物で、ダンジョン内で採れる肉に特別な効果があると伝わった。
    オーク肉は真空パックにして通販でも人気の商品だし、欲しい人は多いと思う。

    脂身はしつこくなく、僅かな甘味があってとても美味しい。今回はさっぱりとおろしのタレをかけたけど、どんなタレでも美味しいと思う。
    バラ肉のように、ベーコンに加工してもいいと思う。前世でもそれなりにみんなやってたし。

    今回は多く採れたし、ペット達にも持っていってあげた。ポチの所に行ったら、やたらと甘えてきた。
「どうしたの?ポチ」
    鎖を外してやったら、飛び込んで…私の影にスルリと入った。

    仲間のステータスはいつでも覗ける事が分かったし、見てみよう。
    ポチ    進化中

    うわ…ポチもタマみたいに妖怪になっちゃうの?!ちょっと怖い…でも、今日の戦いでポチは不満そうだった。ボスは勿論の事、オーク戦でも高い体力を削り切れずにいたからだ。

    ピヨちゃんはとことんマイペースだけど、ポチは私の役に立ちたがっていた。今のタマとは圧倒的な戦力差があるし、悔しく思っていたのかもしれない。

    進化なんてしなくてもみんな可愛いペットだけどね。

    そういえば、天啓は、神様からお告げが下るかもしれないスキル。もしかしたら、エストレイラ様のお言葉を?
    うーん。センティアからの転生者には付くものなのか。カイには加護も付いていたし、可能性はあるかも?

    海人君が10階層まで行くのは時間かかりそうだけど、無理しても仕方ないし。
    それにしても…はあ。幼稚園始まる前にポチが進化して良かった。

    もう、こうなったらスキル上げするしかない。
    魔力自動回復…少しでも多く回復するように、ダンジョンの壁を背に、瞑想する。

    天啓のスキルは、どうやって使ったらいいか見当もつかない。
    エストレイラ様からのお言葉待ち?いや…他の神様的な何かかもしれないけどさ。
    大概のスキルは習得すれば大体の扱い方が分かる物だけど…

    うん。別にいい。エストレイラ様の加護でスキルは習得しやすくなっているし、欲しいスキルは自力で何とかする。
    ピヨちゃんは相変わらずスライムを潰してむかごを食べている。

「何やってんだ?」
「ん?…海人君と、お父さん」
「やあ、美優ちゃん。スキル上げかな?」
「そんな所です」
「そういえば、美優ちゃんはここの10階層を抜けたって聞いて」
「ええ…まあ」
「やっぱり魔法で?その…出来ればでいいんだが、私と母さんを連れて…階段まででいいんだが」

「あ、まだ抜けてなかったんですね。透明な床は確認が難しいですもんね」
「それも…見えたりする?」
「多分…魔力感知?」
「いやぁ。そういう魔法使い系のスキルは持っていなくてね。お願い出来ないかな?」
「いいけど父さん、今日は僕に付き合ってくれる約束だろ?もう角ウサギ位なら余裕で倒せるんだから、いい加減次に進みたいんだよ!」
「あー…なら、午後は?今は海人を見てやらないと」
「分かりました」

    ショップの店員が先に進めば挑戦者も増えて来るだろう。
    透明な床は毎日配置が変わる。マッピングは意味がない。あんまり慎重になりすぎると魚にガブガブされちゃうけど、水滴で見やすくなるかも?
    私は飛んで行けたけど、それは反則技だ。

    ぼんやりしていたら、大きくなったポチが出てきた。大人位の大きさで、タマより若干大きい。

    ポチ(2)
    藤林美優の従魔    犬神

    スキル   咆哮弾    探知    回避
    強力    空歩    呪い    暗黒弾
    暗黒爪    噛み砕き    変化    念話

    …うわ。闇の神って所かな。強そう。
(美優!見て!ボク強くなったよ!)
    わふわふ言いながら懐いてくる姿は、大きくなっても可愛いポチだ。
    タマもだけど、進化すると二足歩行出来るようになるんだね…ピヨちゃんは…最初から二足歩行か。

(ポチ!強くなったからって調子に乗るんじゃないよ!)
(はいっ!タマ姉さん!)
    うん…この関係は相変わらずだね。

    そうして午後。私は海人君の両親と一緒に9階層に来ていた。
    お母さんは皮のぴったりとした戦闘スーツが格好いい。というか、色気満載だ。
「よろしくね、美優ちゃん」

「じゃあ、私の後ろをついて来て下さい」
    ポチ達は勿論置いてきた。大きくなった姿を見たらびっくりされちゃうからね。この姿は家族にも内緒だ。

    どうにか階段前まで来た。
「ええと、ボス戦は平気?」
「危険なら結界張って見てますから。お2人の力、見せて下さい」

    危険なら魔法でフォローしようと思っていたけど、そんな心配は無用だった。
     連携して危なげなく倒す2人に、美優はただただ、目を見張って見るばかりだ。

    宝箱の中身はポーションみたいだ。
「本当に強いですね…あ。何かスキル手に入りました?」
「いいえ。どのダンジョンでも共通して初回と11階層に入った時に手に入るものなのよ。冒険者の書にも書いてあるわよ?」

「あ、そうなんですね…」
    そりゃそうか。入るだけで何かスキルが貰えるなら、あちこち旅行して手に入れた方が習得は速いもんね。
「今日はありがとう。海人には一人で2階層より下には行くなって伝えてあるから、その辺にいるかもよ?」

    でもそれって、私がいたら4階層に行くんじゃ?
    強かったカイと海人君は別だから、危険は避けたい。
「お二人は先に進むんですか?」
「そうだね。海人と一緒に遊んでくれてると嬉しいな」
「了解です」
    うん。スキル上げの方に力を入れるなら、余裕ある階層の方がいいし。

    2階層には…いないな。その下だ。3階層。
「海人君、3階層にいていいの?」
「だって、ホーンラビットは、僕達にとっては食料だよ」

    確かに。でも、こんな小さなうちから戦闘していた訳でもない。
「海人君、いのちだいじに、だよ」
「…分かってるよ」
    記憶があるから混同しがちだけど、私達はまだ4歳だ。
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