上 下
3 / 75

ペット達のスキル

しおりを挟む
    今日は日曜日なので、お父さんが休みだ。
「お父さん!パソコンが見たいの!冒険者の書!」
    昼近くに畑から戻ってきたお父さんに、パソコンを見せてもらう。

    読めない漢字を聞きながら、熱心に気になるページを開いてもらい、読んだけど、漢字が読めない。
    書けないまでも、読めるように勉強しておいた方がいいな。
    
    前世とは使ってる文字が全く違うので、一から勉強のし直しだ。
「…そうなんだよな…ダンジョンが、よりにもよって家に出来たんだよな…立て看板とか、空き地の整備もして、そっちに車を停めてもらうようにしないとな」

「大変?」
「そりゃあな。そういう費用を補助してくれる訳でもないし、まあ…田舎だから駐車場用の土地が余っている所だけは良かったけどな…家としては、ダンジョン目当ての人達に、家の野菜を買ってもらう位しか得がない」

「むかご、美味しいよ?」
「…そういえば美優がダンジョンを見つけたんだっけ。父さんもダンジョンに入って、少しでもレベルを上げておけば仕事も楽になるかな…」

    お父さんは普段、工場で働いている。お母さんも畑が忙しくない時はパートに出てるけど、今の時期は収穫が忙しいからほぼ家にいる。
    
    さすがに前世の記憶がある美優でも、パソコンは扱えない。
    機械といえば魔道具位しかなかったので、パソコンなんてさっぱりだ。スマホだって持っていないし、扱えない。
    子供携帯しかないけど、番号登録された所にしかかけられないし、勿論ネットにも繋がらない。

    スキルについての考察や、実際に確認された効果の所を粗方読んでもらったけど、翔真兄ちゃんに聞いた事とほぼ被る。

    1階層で魔物を倒して手に入れたスキルの他にも、10階層で手に入れる更に強いスキルもあるとか。
    うーん…あれ?ピヨちゃん達も何かスキルを手に入れたのかな?

    鑑定    ピヨちゃん(0)
    レベル    2
    スキル    高速移動

    鑑定    ポチ(1)
    レベル    2
    スキル    咆哮弾

    鑑定    タマ(5)
    レベル    2
    スキル    威圧    気配感知

     …おー。ダンジョン凄い。
    使うかどうかは本人次第だけど。
    というか、タマの威圧は元からな気が…気配感知が新たなスキルだよね。

    そしてピヨちゃん。ちゃんまでが自分の名前だと思っていたんだね…

    うちの子達、意外とチートだわ。

    午後にダンジョンに行くと、翔真兄ちゃんがいた。
「翔真兄ちゃん、レベル上がった?」
「さあ?ずっと1階層だし、どうかな?」
「じゃあ!むかごいっぱい?」

「それは…程々かな。おやつ程度だし、とって置いても捨てるしかなくなりそうだし」

「えー!勿体ない。私、収納魔法使えるから、捨てるなら頂戴」
「な…!美優の魔法は、そんな事も出来るのか?インベントリって奴か?」

「無限じゃないよ。時間は止まるけど」
「うわ…そんな魔法、載ってもいないし、美優だけかもな…誰にも知られちゃだめだぞ。最悪連れ回されて、使い潰される」

「うん。大丈夫だよ」
    ポチが倒してむかごになった物を、タマが集めてくれる。ピヨちゃんは…自分で食べてるね。

「ちゃんと家の人に言ったか?」
「ううん。でも、タマ達がいるから大丈夫だよ」
「あー…まあいいか。一緒に行こう、美優」

    やった!翔真兄ちゃんと一緒にダンジョン探索だ! 
    地面すれすれを走る風の鎌が、スライム達をなぎ倒していく。
    迷路状になっていないから出来る技だ。
「うわ…凄いな」
「うん!むかごいっぱい凄いね!」
「じゃなくて、その魔法が」
    範囲指定された中のむかごが集まり、収納庫の中へ。
「そ…それも魔法?」

「うん!一気に取れるから便利だよね!」
「………」

「よ…よし!そんなに凄い魔法を持っているなら、次に行くか…魔力、とかは大丈夫なのか?」
「うん、一気に倒したのはちょっと疲れたけど、一匹ずつ倒すよりはまし」

    涌き出る魔物も、タマ達が倒してしまう。
「ダンジョンにペットと入るのは前例がない訳じゃないけど、ペットもスキルを得るものなのか…」

    目の前をピヨちゃんが、高速で駆け抜けていく。
「ピヨちゃん、先に行ったらだめだよ」
「ココー?」

    マイペースなピヨちゃんは、あんまり言う事を聞いてくれない。それは気分屋なタマもだけど、ちゃんと守ってくれる。

    階段の壁に、薄青い石が埋まっている。
    
    鑑定    魔法石    階層転移の為の魔石

    前世のダンジョンでもあった物だ。ダンジョンを見ていると、どうしてもセンティアを思い起こさせる。
    センティアはどうなったのだろう?生徒達は…私の家族は。

    今考えても仕方のない事。今は目の前の魔物に集中しよう。

    目の前にいるのは、タマと同じ位の大きさのネズミ。それでもタマが、ネズミごときに負けるはずがない。
    睨まれて怯んだネズミに飛びかかり、あっさりと倒してしまう。
「さすがタマだね」
    後に残ったのは、鋭い前歯。

「アドベンチャーショップに持って行けば買い取ってくれるかな?」
「どうかな…何かに使えないと、買い取ってくれないからな…牙とか落とす魔物ならともかく…というか、隣の市まで行かないとならないからな…不便だよな」
「仕方ないよ。田舎だもん」

    翔真兄ちゃんも戦って、小さな魔石を落とした。
「魔石なら役場で買い取ってくれるけど、こんなんじゃ小遣い稼ぎにもならないな。けど、慎重に行かないと、命に関わるからな。美優も気をつけるんだぞ」

「うん。分かった」
    前世の事、翔真兄ちゃんに言いたかったけど、どうしても言えなかった。


しおりを挟む
感想 11

あなたにおすすめの小説

異世界転生したのだけれど。〜チート隠して、目指せ! のんびり冒険者 (仮)

ひなた
ファンタジー
…どうやら私、神様のミスで死んだようです。 流行りの異世界転生?と内心(神様にモロバレしてたけど)わくわくしてたら案の定! 剣と魔法のファンタジー世界に転生することに。 せっかくだからと魔力多めにもらったら、多すぎた!? オマケに最後の最後にまたもや神様がミス! 世界で自分しかいない特殊個体の猫獣人に なっちゃって!? 規格外すぎて親に捨てられ早2年経ちました。 ……路上生活、そろそろやめたいと思います。 異世界転生わくわくしてたけど ちょっとだけ神様恨みそう。 脱路上生活!がしたかっただけなのに なんで無双してるんだ私???

狼の子 ~教えてもらった常識はかなり古い!?~

一片
ファンタジー
バイト帰りに何かに引っ張られた俺は、次の瞬間突然山の中に放り出された。 しかも体をピクリとも動かせない様な瀕死の状態でだ。 流石に諦めかけていたのだけど、そんな俺を白い狼が救ってくれた。 その狼は天狼という神獣で、今俺がいるのは今までいた世界とは異なる世界だという。 右も左も分からないどころか、右も左も向けなかった俺は天狼さんに魔法で癒され、ついでに色々な知識を教えてもらう。 この世界の事、生き延び方、戦う術、そして魔法。 数年後、俺は天狼さんの庇護下から離れ新しい世界へと飛び出した。 元の世界に戻ることは無理かもしれない……でも両親に連絡くらいはしておきたい。 根拠は特にないけど、魔法がある世界なんだし……連絡くらいは出来るよね? そんな些細な目標と、天狼さん以外の神獣様へとお使いを頼まれた俺はこの世界を東奔西走することになる。 色々な仲間に出会い、ダンジョンや遺跡を探索したり、何故か謎の組織の陰謀を防いだり……。 ……これは、現代では失われた強大な魔法を使い、小さな目標とお使いの為に大陸をまたにかける小市民の冒険譚!

異世界最強の賢者~二度目の転移で辺境の開拓始めました~

夢・風魔
ファンタジー
江藤賢志は高校生の時に、四人の友人らと共に異世界へと召喚された。 「魔王を倒して欲しい」というお決まりの展開で、彼のポジションは賢者。8年後には友人らと共に無事に魔王を討伐。 だが魔王が作り出した時空の扉を閉じるため、単身時空の裂け目へと入っていく。 時空の裂け目から脱出した彼は、異世界によく似た別の異世界に転移することに。 そうして二度目の異世界転移の先で、彼は第三の人生を開拓民として過ごす道を選ぶ。 全ての魔法を網羅した彼は、規格外の早さで村を発展させ──やがて……。 *小説家になろう、カクヨムでも投稿しております。

売れない薬はただのゴミ ~伯爵令嬢がつぶれかけのお店を再生します~

薄味メロン
ファンタジー
周囲は、みんな敵。 欠陥品と呼ばれた令嬢が、つぶれかけのお店を立て直す。

(完結)異世界再生!ポイントゲットで楽々でした

あかる
ファンタジー
事故で死んでしまったら、神様に滅びかけた世界の再生を頼まれました。精霊と、神様っぽくない神様と、頑張ります。 何年も前に書いた物の書き直し…というか、設定だけ使って書いているので、以前の物とは別物です。これでファンタジー大賞に応募しようかなと。 ほんのり恋愛風味(かなり後に)です。

老女召喚〜聖女はまさかの80歳?!〜城を追い出されちゃったけど、何か若返ってるし、元気に異世界で生き抜きます!〜

二階堂吉乃
ファンタジー
 瘴気に脅かされる王国があった。それを祓うことが出来るのは異世界人の乙女だけ。王国の幹部は伝説の『聖女召喚』の儀を行う。だが現れたのは1人の老婆だった。「召喚は失敗だ!」聖女を娶るつもりだった王子は激怒した。そこら辺の平民だと思われた老女は金貨1枚を与えられると、城から追い出されてしまう。実はこの老婆こそが召喚された女性だった。  白石きよ子・80歳。寝ていた布団の中から異世界に連れてこられてしまった。始めは「ドッキリじゃないかしら」と疑っていた。頼れる知り合いも家族もいない。持病の関節痛と高血圧の薬もない。しかし生来の逞しさで異世界で生き抜いていく。  後日、召喚が成功していたと分かる。王や重臣たちは慌てて老女の行方を探し始めるが、一向に見つからない。それもそのはず、きよ子はどんどん若返っていた。行方不明の老聖女を探す副団長は、黒髪黒目の不思議な美女と出会うが…。  人の名前が何故か映画スターの名になっちゃう天然系若返り聖女の冒険。全14話。

一緒に異世界転生した飼い猫のもらったチートがやばすぎた。もしかして、メインは猫の方ですか、女神様!?

たまご
ファンタジー
 アラサーの相田つかさは事故により命を落とす。  最期の瞬間に頭に浮かんだのが「猫達のごはん、これからどうしよう……」だったせいか、飼っていた8匹の猫と共に異世界転生をしてしまう。  だが、つかさが目を覚ます前に女神様からとんでもチートを授かった猫達は新しい世界へと自由に飛び出して行ってしまう。  女神様に泣きつかれ、つかさは猫達を回収するために旅に出た。  猫達が、世界を滅ぼしてしまう前に!! 「私はスローライフ希望なんですけど……」  この作品は「小説家になろう」さん、「エブリスタ」さんで完結済みです。  表紙の写真は、モデルになったうちの猫様です。

30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。

ひさまま
ファンタジー
 前世で搾取されまくりだった私。  魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。  とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。  これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。  取り敢えず、明日は退職届けを出そう。  目指せ、快適異世界生活。  ぽちぽち更新します。  作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。  脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。

処理中です...