巻き込まれ召喚された私は、ペットと共に穏やかに過ごしたい

あかる

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春の狩り

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 イワナみたいな焼き魚と、じゃがいもの味噌汁。
 これで納豆もあったら完璧だけど、生憎切らしている。

 レベルが低いから、お店の商品も半分以下の種類しかない。
 でも、ヨーグルトがあったから、フルーツを混ぜて食べた。

 畑メニューに新規メッセージがある。葡萄からワインが精製出来るようになりました…って、お酒は勝手に作っていい物じゃないと思うんだけど?

 異世界だから法律関係ないけど、私自身が飲まないし。
 アッシュさんに作ってあげれば喜ぶかな?
 というか、葡萄の品種は何だろう…えっ!シャインマスカット?!
 うう…ワインにするを選択したから、次の収穫まで食べられないよ…というか、そんな高級葡萄をワインにするなんて!

 というか、確かワインにする専用の葡萄の種類があった気がしたけど…まあいいや。

 雪も融けて暖かくなってきたので、今日は里の人達も狩りに出る。
(狩りならボクも行く!サヤカもマシロも行くよね?)
「私が行くと足手まといにならないかな?」

「ならさ、強化魔法をかけるっていうのはどう?腕力や素早さ、回避力を上げるイメージで、魔法をかける」

 おー。バフか。それなら私も出来るかも?

 ポイントは、しっかりとしたイメージと、魔力を込めすぎない事。チョコなんかには思い切りやっても平気だけど、急激過ぎる能力アップには、却って身体がついていかないとか。

「今回は出来る限り魔力を絞ってね。…この半分でもいい。一時強化なら多少変な効果が付いたとしても、早々に不審がる者もいないし、里のエルフ達ならある程度は皆、事情を分かっているから」

 なら、自重はいらないんだね。初めての支援魔法だから、上手くいくかは分からないけど。

(サヤカ、ボクには気配隠蔽の効果を付けて欲しいな)
 …それならスキルとして持っているし、他より上手くいくかも。

 人にかけるのはまだ怖いので、矢に速度強化や硬化強化をかけていく。

 希望者にはアッシュさんに言われた通りに魔力をなるべく絞って支援魔法をかける。

 怪我人も出るので、回復魔法もかけていく。
「凄いな、打ち身を治して貰っただけなのに、疲れまで消えている。よし!まだまだやれるぞ!」

 …いや、傷が治るように魔法をかけただけだよ?後は知りません。

「長年の古傷の痛みまでもが…ありがとうございます」
 古傷って、ポーションでは治らないのかな?


(サヤカ!見てよ、これ!気配隠蔽の効果で、逃げられなかったよ!)
 チョコがもう帰って来たよ。マジックバッグの中には、立派な鹿が入っている。

(また行ってくるね!)
 嬉しそうに走って行ってしまった。
 チョコは血抜きとか考えないから、私が水スキルを使う。

「アッシュさんもクラウドさんも、折角バフかけたんですから、行ってきていいですよ?私はモチと留守番してますから」
 支援効果を試したいのだろう。そわそわしてるのが丸分かりだ。

「サヤカにも念話があれば安心出来るのに」
「努力はしてますよ。大丈夫ですって。結界の魔法だってあるし、いざとなれば亜空間に入っちゃいますから」

「なら、行ってくるけど、魔物には気をつけて」

 ここは広場になっているから、見通しもいい。一応気をつけているつもりだけど、信用ないのかな。

「ワンワン!」
 リルが、私の前に咥えていたホーンラビットを落とす。
 今のリルから見れば、自分よりも大きな獲物だ。
「力持ちだね。凄い」
(偶々目の前に出てきたからさ。サヤカなら美味しい料理にしてくれると思って)

「任されたよ」
 血抜きして、その血もクリーンで綺麗にする。

 野菜マシマシでけんちん汁風にしてみるか。
 肉大好きなみんなにも、ちゃんと野菜も食べてほしい。雑食性なチョコも、フルーツは喜ぶのに。

 自分の収納庫から取り出した大物を見せびらかすマシロは、超ドや顔。
 ワイルドターキーは、風魔法を扱う大型のダチョウ。
 他に傷痕も見当たらないのに、首の骨だけが折れているみたい。

 どうやって倒したかは気になるけど、マシロは魔法神様の加護も頂いてるからね。
 私もイメージすれば空間収納が使えるだろうけと、今の所アイテムボックスの果てが見えないので、全て入れ放題。

(サヤカ!これ凄いでしょう!)
 得意気なチョコが言うので、首から下げたマジックバッグから出すと…でっかいトカゲ?ワニ?

 鑑定    レッサードラゴン
 ドラゴンの下位種。心臓は劣化エリクサーの材料になる。皮は防具の材料になる。肉は美味

「ドラゴン…」

(そうなの?それなりに強かったけど、大したことなかったな。というか、それ入れてたから他の獲物が入らなかったんだよね)

 ていうか、血抜きしたいんだけど、私の持ってる短剣では傷すらつかない。
「にゃう」
 え?魔力を込めろって?…いや、それでも硬いんだけど。

 モチが寄ってきて、レッサードラゴンを包み込む。
「モチが何とかしてくれるの?ありがとう」

 その状態で、血抜きをしてくれた。

 皆、続々と戻ってきて、大物が採れた人は、獲物のない人に分けたり、加工を頼んだりしている。
 アッシュさん達も戻ってきて、レッサードラゴンを見て引いていた。

「まさかドラゴンがいたなんて…チョコ殿、他にはいなかったですか?」
(ボクの探知には引っ掛かってないし、大丈夫だと思う。はぐれじゃない?)

「なら、大丈夫か…レッサーとはいえ、かなりの値段で売れそうだ」
「何か防具でも作ります?」
「今の所間に合ってるし、敢えていうならサヤカのブーツを作り変えたら?今のも悪い訳じゃないけど、防御力はドラゴンの方が上だし」

「中身が初心者な冒険者なのに、装備がドラゴンて…変じゃないですかね」
「これだけ立派な従魔で周りを固めておいて、何を言ってるのさ。それにレベルだけなら、銀級でもおかしくないよ?中身が伴わないのが嫌なら、訓練にはいくらでも付き合うよ」

 はう…やぶ蛇だったかも。
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