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エルフの里で
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謁見の後、世界樹に会いに行く事になった。ユグドラシルは特別な木で、なんと意思があるという。そして、会えるのは資格ある者だけ。
…大丈夫かな?私。鑑定でもスマホの状態確認でも、称号は見られないんだよね。
会うのは明日だけど、服装なんかは何でもいいって。王様に会う時もそう言われたけど、やっぱりそれなりにとは思うよね。
普段着とかもろに冒険者の格好とか…因みにアッシュさんは冒険者の格好で、普段の外出着だ。
とはいえ、外を歩くのにワンピースは適さない。寒いしね。
クラウドさんは護衛をしてくれる人だけど、今はいない。
世界樹に会えるのは、ハイエルフだけらしい。
「ハイエルフというのは、エルフの上位種族だね。人族でもハイヒューマンになる人がいたりする」
「それって進化ですか?モチみたいに?」
「…いや、魔物の進化とはまた違うんだけど…まあいいや。これが世界を支える木、ユグドラシルだ」
でっかい木…根も太く、どこまでも続いているように見える。
あれ…何か落ちてくる。木の実?
受け止めようと右往左往したが、結局顔面キャッチ。…小さいから怪我はしなかったけど、痛い…
「受けるとか避けるとかしなよ」
アッシュさんは呆れ顔だ。
ドッジボールでも真っ先に狙われる私に無茶言わないで欲しい。
「冬に実が生るなんて、珍しいですね」
「その辺の果物とは違うよ…折角だから食べたら?」
ライチ位の大きさで、皮ごと食べられるみたい。
トロリと甘い実は、鑑定出来なかった。でも、甘酸っぱくて、とても美味しい。
「…あ」
色とりどりな光の粒が目の前を舞っている。
私が見えている事に気がついたのか、光は強く光る。
「目が、目があ~!」
思わずそう叫んでしまう程の、光の洪水。
『聖女さま~!』
『美味しい魔力をありがとうなのです!』
『私達、もっとお役に立てるのです!』
「うわわっ?!せ…精霊、なの?」
「こら、興奮しすぎだ。取り敢えず散れ」
存在を認識されて嬉しいのは分かるが、必要以上に光り、うるさくまとわりつかれては流石に可哀想だ。
『精霊を増やしてくれて、ありがとうございます』
わちゃわちゃしていた精霊達が、一瞬静まるが、すぐに嬉しそうに瞬きながら飛び回る。
幻想的な光景…なんだけど、数がとにかく多い上に、喋りまくるから耳を塞ぎたくなる。
ユグドラシル効果かもしれないけど、精霊が見えるようになった。
でも、普段は精霊視のスキルは切っておこう。
葉も何枚か貰えた。レシピは幾つか知ってるけど、私が扱うには腕が足りないだろう。
当分はアイテムボックスの肥やしかな。
有難いけど、私に何かしてる自覚はないんだよね。
アッシュさんの家に戻ると、家族の人数が増えていた。
ご両親とお姉さんだそうだ。
お父さんはエルフにしては珍しくガッシリとした体格をしている。
互いに自己紹介して、ミューティアナお姉さんは、お祖父さんと一緒に魔道具作りの為に別室に行った。
「王様の仕事の他に魔道具の研究もしてるなんて、凄いですね」
「趣味だから。そうだ、サヤカ。米を炊くのに土鍋は不便だって言ってたよね?」
「炊飯器の魔道具とかあればいいなと思ってますけど」
「明日にでもどういう物か詳しく説明するといいよ」
「え…でも、無いって事は、新しく作るんですよね?」
「喜んで研究すると思うよ。むしろ、そういうアイディアは喜ばれる」
「そうね?今は増やさないとならない魔道具もないし…ティアナ」
丁度出てきたお姉さんに、お母さんが声をかける。
見かけ年齢的にあまり変わらないから、お母さんと姉妹のようだ。
アッシュさんが軽く話すと、話に食いついてきた。
結局夜遅くまで語る事になって、逆に謝られてしまった。
そんなに疲れている訳じゃないけど、モチに癒されたい。
早速腰かけてお願いすると、細かく振動して、それがまた気持ちいい。モチのスキルに、超音波振動が増えていた。
攻撃にも使える物らしく、褒めて欲しいと思ってるみたいなので、しっかり撫でて褒めた。
マッサージの時と攻撃の時。しっかりスキルを使い分けてみせた。
「凄い…岩を作ったのに、粉々に砕けてるよ。こんな風に進化したら、冒険者登録は必要かな?」
「無いね。それに、目印になる首輪やバンダナも付けられないだろ?」
「…確かに」
「グラトニースライムとか、そういう高ランクのスライムにならない限り、必要ないよ」
それはつまり、冒険者のルールでも守ってやれないって事だ。モチは私が守ればいいし、本当に危ない時は、影の中に入れる事が出来る。
赤花の雫から精製した砂糖も妖精さんが作ってくれるようになったし、野菜の種類もかなり増えた。小麦も、黒、白、全粒粉と分けて貰える。
サンドイッチの為の食パンは、白か全粒粉。ダンジョンで手に入れたバターはまだたくさんある。
手軽に食べられるサンドイッチは、切らさないように多めに作る。
バケット類はどこの町でも大概売っているので、すり下ろしたニンニクを混ぜてガーリックトーストにしてそのままアイテムボックスへ。
本当に便利だ。ラップで巻いておかなくても、サンドイッチが崩れる事もないし、パンが乾燥する事もない。
肉料理は二人が行ってしまってから減る事が殆どないので、在庫はそのままだ。
部屋も用意して貰えたけど、野菜の栽培等、亜空間でしか出来ない。
それに、薬の調合等は中でやった方がいい。
アッシュさんも、やる事があるからと、亜空間内の部屋にいる。
朝食は一緒に食べる約束をしたので、おかずの一品でも作って持っていこう。
…大丈夫かな?私。鑑定でもスマホの状態確認でも、称号は見られないんだよね。
会うのは明日だけど、服装なんかは何でもいいって。王様に会う時もそう言われたけど、やっぱりそれなりにとは思うよね。
普段着とかもろに冒険者の格好とか…因みにアッシュさんは冒険者の格好で、普段の外出着だ。
とはいえ、外を歩くのにワンピースは適さない。寒いしね。
クラウドさんは護衛をしてくれる人だけど、今はいない。
世界樹に会えるのは、ハイエルフだけらしい。
「ハイエルフというのは、エルフの上位種族だね。人族でもハイヒューマンになる人がいたりする」
「それって進化ですか?モチみたいに?」
「…いや、魔物の進化とはまた違うんだけど…まあいいや。これが世界を支える木、ユグドラシルだ」
でっかい木…根も太く、どこまでも続いているように見える。
あれ…何か落ちてくる。木の実?
受け止めようと右往左往したが、結局顔面キャッチ。…小さいから怪我はしなかったけど、痛い…
「受けるとか避けるとかしなよ」
アッシュさんは呆れ顔だ。
ドッジボールでも真っ先に狙われる私に無茶言わないで欲しい。
「冬に実が生るなんて、珍しいですね」
「その辺の果物とは違うよ…折角だから食べたら?」
ライチ位の大きさで、皮ごと食べられるみたい。
トロリと甘い実は、鑑定出来なかった。でも、甘酸っぱくて、とても美味しい。
「…あ」
色とりどりな光の粒が目の前を舞っている。
私が見えている事に気がついたのか、光は強く光る。
「目が、目があ~!」
思わずそう叫んでしまう程の、光の洪水。
『聖女さま~!』
『美味しい魔力をありがとうなのです!』
『私達、もっとお役に立てるのです!』
「うわわっ?!せ…精霊、なの?」
「こら、興奮しすぎだ。取り敢えず散れ」
存在を認識されて嬉しいのは分かるが、必要以上に光り、うるさくまとわりつかれては流石に可哀想だ。
『精霊を増やしてくれて、ありがとうございます』
わちゃわちゃしていた精霊達が、一瞬静まるが、すぐに嬉しそうに瞬きながら飛び回る。
幻想的な光景…なんだけど、数がとにかく多い上に、喋りまくるから耳を塞ぎたくなる。
ユグドラシル効果かもしれないけど、精霊が見えるようになった。
でも、普段は精霊視のスキルは切っておこう。
葉も何枚か貰えた。レシピは幾つか知ってるけど、私が扱うには腕が足りないだろう。
当分はアイテムボックスの肥やしかな。
有難いけど、私に何かしてる自覚はないんだよね。
アッシュさんの家に戻ると、家族の人数が増えていた。
ご両親とお姉さんだそうだ。
お父さんはエルフにしては珍しくガッシリとした体格をしている。
互いに自己紹介して、ミューティアナお姉さんは、お祖父さんと一緒に魔道具作りの為に別室に行った。
「王様の仕事の他に魔道具の研究もしてるなんて、凄いですね」
「趣味だから。そうだ、サヤカ。米を炊くのに土鍋は不便だって言ってたよね?」
「炊飯器の魔道具とかあればいいなと思ってますけど」
「明日にでもどういう物か詳しく説明するといいよ」
「え…でも、無いって事は、新しく作るんですよね?」
「喜んで研究すると思うよ。むしろ、そういうアイディアは喜ばれる」
「そうね?今は増やさないとならない魔道具もないし…ティアナ」
丁度出てきたお姉さんに、お母さんが声をかける。
見かけ年齢的にあまり変わらないから、お母さんと姉妹のようだ。
アッシュさんが軽く話すと、話に食いついてきた。
結局夜遅くまで語る事になって、逆に謝られてしまった。
そんなに疲れている訳じゃないけど、モチに癒されたい。
早速腰かけてお願いすると、細かく振動して、それがまた気持ちいい。モチのスキルに、超音波振動が増えていた。
攻撃にも使える物らしく、褒めて欲しいと思ってるみたいなので、しっかり撫でて褒めた。
マッサージの時と攻撃の時。しっかりスキルを使い分けてみせた。
「凄い…岩を作ったのに、粉々に砕けてるよ。こんな風に進化したら、冒険者登録は必要かな?」
「無いね。それに、目印になる首輪やバンダナも付けられないだろ?」
「…確かに」
「グラトニースライムとか、そういう高ランクのスライムにならない限り、必要ないよ」
それはつまり、冒険者のルールでも守ってやれないって事だ。モチは私が守ればいいし、本当に危ない時は、影の中に入れる事が出来る。
赤花の雫から精製した砂糖も妖精さんが作ってくれるようになったし、野菜の種類もかなり増えた。小麦も、黒、白、全粒粉と分けて貰える。
サンドイッチの為の食パンは、白か全粒粉。ダンジョンで手に入れたバターはまだたくさんある。
手軽に食べられるサンドイッチは、切らさないように多めに作る。
バケット類はどこの町でも大概売っているので、すり下ろしたニンニクを混ぜてガーリックトーストにしてそのままアイテムボックスへ。
本当に便利だ。ラップで巻いておかなくても、サンドイッチが崩れる事もないし、パンが乾燥する事もない。
肉料理は二人が行ってしまってから減る事が殆どないので、在庫はそのままだ。
部屋も用意して貰えたけど、野菜の栽培等、亜空間でしか出来ない。
それに、薬の調合等は中でやった方がいい。
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