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モチ、進化
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途中の通過点であるシューラルーの町に着いた。移動報告と、途中集めた素材の売却を済ませ、雑貨屋へ。細々とした消耗品を買い足し、保存食でもあるナッツとドライフルーツが混ざった瓶を手に入れる。
そのまま食べても勿論美味しいけど、これでパンを焼くとまた美味しいんだよね。
イーストが気軽に手に入るし、オーブンがあるからパンを焼くのも簡単だ。
魔道具らしいけど、全く違和感なく使えるのも凄い。
アッシュさんは馬の世話をしている。
リンゴのジャムを作りつつ、ポーションも作成する。ジャムは一時間位煮込むから、片手間に簡単な事は出来る。
ヒーリング草から作り出した低級ポーションだけど…
鑑定 聖女のポーション
中級ポーションを越える性能
解毒効果有り
これ…普通に商業ギルドに卸しても大丈夫だよね?
「商業ギルドは脱退した方が無難かもね」
…ですよねー。
冒険者としても半人前以下なのに、みんなが居てくれなかったら生活出来ないんじゃ?!
「モチー!一緒に強くなろうね!」
モチの身体が、淡く光る。どんどん大きくなって、抱え切れなくなる。
も、もしや進化?!
鑑定 モチ
ビッグスライム(1)
酸攻撃 跳ねる 身体強化 変形
うわ…レベルは1に戻っちゃったけど、強くなった…んだよね?私…モチにも負けちゃうかも。
「この、変形って?」
少し凹んで、試しに座ってみたら、ぷにぷに快適座椅子になった…これは人を駄目にする椅子、だね。
もう動きたくない…
優しくフイットして、肩の辺りがもぞもぞと動く。
「ふわぁ…やっぱりモチは私の癒しだ…」
肩、腰、ふくらはぎと、分かっているかのように絶妙な揉み加減で動く。
「これはまた、面白い進化だな」
「面白い?」
「強くなる事よりも、主の役に立てるように進化したんだろうな」
へえ…加護のお陰でマッサージチェアとは無縁の身体になったけど、お風呂上がりにはモチに癒されたい。
「俺にもやってくれるかな?」
アッシュさんに席を譲ると、身体に合わせてモチも大きさを変える。
「…ああ…これ最高。スライムは役立たずなんて言ってごめんよ。モチ、君は最高だ」
アッシュさんの顔が蕩けてる。美形の顔が崩れてもやっぱり美形だ。
だからって、師匠とどうこうなろうとは全く思わない。
アイドルにガチ恋?…ないわ。
「アッシュさん、寝るんだったらベッドに行って下さい。冷えますよ」
「んー…今が夏だったらな…」
「夏でも、亜空間内の温度は変わらないんですよ?」
「分かってるけど、モチの体温は低いから、気持ちいい」
「まあ…モチが嫌がらないなら、いいですけど」
モチのぷにぷにを撫でていると、もふもふが恋しくなる。
足手まとい確定の私には待つ事しか出来ないけど、せめて無事を祈った。
それから何日かかけて、エルフの里に一番近いサカイの町に着いた。
エルフの里の中にはギルドがないそうで、アッシュさんもギルドに入りたての頃は、ここのギルドでランク上げをしていたそうだ。
「まあ、その他にも、魔物素材を売りに来たりしてたんだ。この前の雪狐とか、ここで売った方がいいよ」
丁度毛皮の依頼が出ていたので、依頼として処理して貰えた。
マシロがいない今、もふもふの手触りを手元におきたいと思ったけど、マシロの方が手触りいいもんね。
この街に着いてから、私も偽装している。そして、ここに来てから合流したクラウドさんという人も、私には人族にしか見えない。
「本当にこの雪の中、移動するんですか?」
「苦労するのは最初だけ。大丈夫」
数日前から降り続けている雪のせいで、視界がホワイトアウトしている。
一泊して、宿を出て相変わらずの様子に、思わずため息が出る。
迷わないようにアッシュさんのマントの端を掴んでついていく。
「…えっ?!」
それ程歩かないうちに、景色が一変した。雪がない訳じゃないけど、明らかに少ない。
「もういいよ」
アッシュさんの偽装が解けて、銀色の髪と新緑の瞳が現れる…そういえば、本当はこんな色だった。
私も元の黒髪に戻った。
「えっ…雪、凄く少ない?!木があるから?」
「世界樹…ユグドラシル効果かな?」
「そうなんですか?」
なんか凄い木だっていうのは分かるし、葉とか枝とかが色々な薬の材料として使えるのは分かるけど。
里は、普通に家もあるし、木もたくさんあるから、どれが世界樹なのかは分からない。
「寒いし、家に入ろうか」
「え…アッシュさんの家ですか?」
「一休みしてから王に報告ね」
あわわ…そういえば、アッシュさんは王族なんだよね…ちゃんとした格好…そうだ。アンさんに貰ったワンピースとか。
アッシュさんは畏まる必要はないって言ってくれたけど、単なる普段着よりはいいと思う。
お風呂で綺麗にして、…あ、そういえば、サイズ大丈夫かな?流石に一年近く経つし。
…うん。肌触りのいい生地のワンピース…小さくなったりしてなかった…私の体型が変わってないって事だけど。
エルフの王様、フォルスオア陛下は、見かけアッシュさんより少し年上位?で、おじいさんには見えない。
「ようこそお越し下さいました、聖女様」
「さ…様とか止めて下さい。アッシュさんには凄くお世話になってまして」
「という訳で、サヤカもいるし、今は何も請け負えないけど、いいですよね?」
「その事だが、ドーラ帝国の関与が疑われている」
「まさか?…確かにフェンリル様が守護していた地域にブリテンドの金鉱山も含まれていたので、俺もちょっとは疑いましたけど」
「はっきりとした証拠はないが、ブリテンドの金鉱に向けて出兵する動きがある」
「いや…でも瘴気が発生してるんですよね?…まさか何かで意図的に?」
「フェンリル様が管理される地で、瘴気が異常発生する事自体、あり得んからな…しかしエンペラーバードアルク様が向かわれた事だし、魔物の異常発生自体はすぐに収まるだろう」
「チョコ殿からの連絡はまだ何もないけど、瘴気を消す為には聖女の力が必要…正直、かなり不安だけど」
「ん?リンゴの苗木が必要って事?…あ、スキルの方ですか?」
確かに、クソ雑魚戦力しかない私が行かなきゃならないのは、不安要素しかない。
アッシュさんもそう思っているから、行くと言えない。
「私…正直物凄く不安ですけど、マシロも心配だし、行きます」
そのまま食べても勿論美味しいけど、これでパンを焼くとまた美味しいんだよね。
イーストが気軽に手に入るし、オーブンがあるからパンを焼くのも簡単だ。
魔道具らしいけど、全く違和感なく使えるのも凄い。
アッシュさんは馬の世話をしている。
リンゴのジャムを作りつつ、ポーションも作成する。ジャムは一時間位煮込むから、片手間に簡単な事は出来る。
ヒーリング草から作り出した低級ポーションだけど…
鑑定 聖女のポーション
中級ポーションを越える性能
解毒効果有り
これ…普通に商業ギルドに卸しても大丈夫だよね?
「商業ギルドは脱退した方が無難かもね」
…ですよねー。
冒険者としても半人前以下なのに、みんなが居てくれなかったら生活出来ないんじゃ?!
「モチー!一緒に強くなろうね!」
モチの身体が、淡く光る。どんどん大きくなって、抱え切れなくなる。
も、もしや進化?!
鑑定 モチ
ビッグスライム(1)
酸攻撃 跳ねる 身体強化 変形
うわ…レベルは1に戻っちゃったけど、強くなった…んだよね?私…モチにも負けちゃうかも。
「この、変形って?」
少し凹んで、試しに座ってみたら、ぷにぷに快適座椅子になった…これは人を駄目にする椅子、だね。
もう動きたくない…
優しくフイットして、肩の辺りがもぞもぞと動く。
「ふわぁ…やっぱりモチは私の癒しだ…」
肩、腰、ふくらはぎと、分かっているかのように絶妙な揉み加減で動く。
「これはまた、面白い進化だな」
「面白い?」
「強くなる事よりも、主の役に立てるように進化したんだろうな」
へえ…加護のお陰でマッサージチェアとは無縁の身体になったけど、お風呂上がりにはモチに癒されたい。
「俺にもやってくれるかな?」
アッシュさんに席を譲ると、身体に合わせてモチも大きさを変える。
「…ああ…これ最高。スライムは役立たずなんて言ってごめんよ。モチ、君は最高だ」
アッシュさんの顔が蕩けてる。美形の顔が崩れてもやっぱり美形だ。
だからって、師匠とどうこうなろうとは全く思わない。
アイドルにガチ恋?…ないわ。
「アッシュさん、寝るんだったらベッドに行って下さい。冷えますよ」
「んー…今が夏だったらな…」
「夏でも、亜空間内の温度は変わらないんですよ?」
「分かってるけど、モチの体温は低いから、気持ちいい」
「まあ…モチが嫌がらないなら、いいですけど」
モチのぷにぷにを撫でていると、もふもふが恋しくなる。
足手まとい確定の私には待つ事しか出来ないけど、せめて無事を祈った。
それから何日かかけて、エルフの里に一番近いサカイの町に着いた。
エルフの里の中にはギルドがないそうで、アッシュさんもギルドに入りたての頃は、ここのギルドでランク上げをしていたそうだ。
「まあ、その他にも、魔物素材を売りに来たりしてたんだ。この前の雪狐とか、ここで売った方がいいよ」
丁度毛皮の依頼が出ていたので、依頼として処理して貰えた。
マシロがいない今、もふもふの手触りを手元におきたいと思ったけど、マシロの方が手触りいいもんね。
この街に着いてから、私も偽装している。そして、ここに来てから合流したクラウドさんという人も、私には人族にしか見えない。
「本当にこの雪の中、移動するんですか?」
「苦労するのは最初だけ。大丈夫」
数日前から降り続けている雪のせいで、視界がホワイトアウトしている。
一泊して、宿を出て相変わらずの様子に、思わずため息が出る。
迷わないようにアッシュさんのマントの端を掴んでついていく。
「…えっ?!」
それ程歩かないうちに、景色が一変した。雪がない訳じゃないけど、明らかに少ない。
「もういいよ」
アッシュさんの偽装が解けて、銀色の髪と新緑の瞳が現れる…そういえば、本当はこんな色だった。
私も元の黒髪に戻った。
「えっ…雪、凄く少ない?!木があるから?」
「世界樹…ユグドラシル効果かな?」
「そうなんですか?」
なんか凄い木だっていうのは分かるし、葉とか枝とかが色々な薬の材料として使えるのは分かるけど。
里は、普通に家もあるし、木もたくさんあるから、どれが世界樹なのかは分からない。
「寒いし、家に入ろうか」
「え…アッシュさんの家ですか?」
「一休みしてから王に報告ね」
あわわ…そういえば、アッシュさんは王族なんだよね…ちゃんとした格好…そうだ。アンさんに貰ったワンピースとか。
アッシュさんは畏まる必要はないって言ってくれたけど、単なる普段着よりはいいと思う。
お風呂で綺麗にして、…あ、そういえば、サイズ大丈夫かな?流石に一年近く経つし。
…うん。肌触りのいい生地のワンピース…小さくなったりしてなかった…私の体型が変わってないって事だけど。
エルフの王様、フォルスオア陛下は、見かけアッシュさんより少し年上位?で、おじいさんには見えない。
「ようこそお越し下さいました、聖女様」
「さ…様とか止めて下さい。アッシュさんには凄くお世話になってまして」
「という訳で、サヤカもいるし、今は何も請け負えないけど、いいですよね?」
「その事だが、ドーラ帝国の関与が疑われている」
「まさか?…確かにフェンリル様が守護していた地域にブリテンドの金鉱山も含まれていたので、俺もちょっとは疑いましたけど」
「はっきりとした証拠はないが、ブリテンドの金鉱に向けて出兵する動きがある」
「いや…でも瘴気が発生してるんですよね?…まさか何かで意図的に?」
「フェンリル様が管理される地で、瘴気が異常発生する事自体、あり得んからな…しかしエンペラーバードアルク様が向かわれた事だし、魔物の異常発生自体はすぐに収まるだろう」
「チョコ殿からの連絡はまだ何もないけど、瘴気を消す為には聖女の力が必要…正直、かなり不安だけど」
「ん?リンゴの苗木が必要って事?…あ、スキルの方ですか?」
確かに、クソ雑魚戦力しかない私が行かなきゃならないのは、不安要素しかない。
アッシュさんもそう思っているから、行くと言えない。
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