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聖女って…
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スライムの中ボス部屋は、レベル差による中身の検証をしたいからと、私に扉を開けさせて貰った。
二十匹。一瞬で終わった。踏み潰すだけでも終わるからね。
(いいけどね。スライムは食べられないし)
文句を言いつつも、次はコッコのフロアだから、チョコも機嫌がいい。
でも、長く待ってたった十五匹なんて、損した気分だ。通常フロアにはそれ以上いるんだから。
生きている鶏に刃物を突き立てるのは、相変わらず嫌な感触だけど、最近慣れつつある。
お肉の為とか、心の中で色々と言い訳しながらだけど、切り身になった肉を残して消えてしまうから、ゲーム的な感覚もある。
じゃあ、外でコッコが出たらどうするんだってなるけど、それこそが慣れになるんだろうな。現にスライムは、モチ以外可愛いと思わないし、某有名スライムみたいに顔がある訳でもない。
中ボスエリアを抜けて3階層へ。これは…カブトムシ?Gじゃないよね。角生えてるし。
硬い甲殻が防具の材料になるみたいだ。下にウサギ等の柔らかい皮を使って、上に甲殻を張る…軽くて、低級冒険者には人気の装備だって。
でも、先日作ったチョコの羽入りの上着の方が防具として優秀らしい。
確かにレア素材だ。一見するとただの服だけどね。
それにしても、カブトムシは倒し辛い。剣が表面で滑るんだよね。
「だから、剣を振り下ろす瞬間にだけ魔力を流すんだよ」
いつも指導されてるけど、それがかなり難しいんだよね。何ていうか、達人の技みたいで。
最初から流しておく方が難しくない。でもそれだと、すぐに魔力切れになるし、無駄だからって、怒られる。
確かに言われた通りにやると、剣も滑らずにサクッと倒せる。
「常にそれが出来るようになれば、短剣でも充分に戦えるようになるからね」
一人前冒険者への道は遠い。
でも、ずっとアッシュさんの世話になる訳にはいかないから、頑張るけどね。
(ここはサヤカの訓練には丁度いいけど、ボク達には物足りないから先に進みたい)
そうだね。食べられないから余計に不満だよね。
「先に進みましょう。魔法でなら倒せるみたいですし」
私の水スキルも、しっかりイメージすればちゃんと倒せるし、甲殻もちゃんと拾っている。
ボス部屋の中身は、チョコがサクッと倒してしまった。
(肉食べたい!肉!)
次が肉とは限らないよね。
4階層は、冒険者が多い。イタチみたいな魔物で、これで冬用のマントを作ると暖かいから、毛皮が人気らしく、買い取り金額も高めらしい。
ドロップするのは毛皮か魔石なので、チョコは不満そうだ。
「まだ鶏肉も残ってるし、オーク肉もまだあるよ?」
それに、もふっとした毛皮は売らずに手元に残したい。
繋げたらもふもふの毛布が作れるかも?いっぱい集めないとだけど。
素早いから、攻撃を当てるのが苦労する…いや、ボス部屋の扉をチョコが開ければたくさんのもふもふが…
たくさんの人が並んでいる。みんな稼ぎに来てるんだもんね。当然だ。
「復活までの時間も長めだし、かなり時間かかりそうだね…スルーする?」
もふもふ欲しい、もふもふ欲しい!
「はあ…夜までに入れればいいね」
私の様子に何かを悟ったのか、ため息と共に呟く。
チョコの羽根と交換に先を譲ると言われたけど、それはお断りした。チョコが嫌がる事はしたくないからね。
お腹が空いたので、作り置いていたおにぎりを食べつつ待つ。
「お…俺達それでもいいから、人数分貰えるなら、このまま帰る」
「おい!流石に食欲に負けるのはどうなんだ?」
「だめだよ、サヤカ」
(そうだね。サヤカの作った物は、気軽にあげちゃだめ)
「え?何で」
土鍋で炊いたごはんを、ただ握っただけだ。中身は鮭だし、普通に美味しいだけ?…
鑑定 聖女の愛情が籠ったおにぎり 疲労回復 素早さアップ
…え?どういう事?
でも、何かヤバい事は分かった。一般人ならともかく、冒険者なら動けば身体の変化には気がつくだろう。
もし下手に話題になったら、呑気にダンジョン攻略なんてしてられないかもしれない。
うーん…ゆかりの称号が消えたから、同じ召喚者の私に移ったとか?
いや、私が聖女とかあり得ないんだけど。
でももっとあり得ないゆかりが聖女だった訳だし、スキルが消えないのなら、いいのかな?生活空間が消えるのは困るしね。
「どうした?」
「うん…後で」
待ちくたびれた頃にやっと順番が来た。
(お腹空いたからさっさと終わらせるね)
チョコが蹴り開け、マシロと二人で飛び込んで、5分もかからず終わった。
しっかり魔法石に触れてから出たから、明日からは4階層はパス出来る。
チョコのお陰で大量のもふもふもゲット出来たし、何というか今日は精神的に疲れた。
「…で?おにぎりを見た後遠い目をしていたのはどうして?」
「疲れたから鑑定結果がおかしかったかもですし…愛情なんて込めてないし」
言いつつ、鑑定結果を伝えた。
「別におかしな所はないと思うけど?」
「称号って移るんですか?」
「いや…元々あの子が聖女じゃなくて、サヤカが聖女でしょ?」
「いや…引きこもりですけど」
見て下さいよ、この立派な亜空間。
きっとこの空間は私がもふもふする為の空間で、チョコもマシロも、モチも庭の池がお気に入りで、ご飯を食べたらさっさと行ってしまった。
「うむ。気に入ってくれてるようで、何よりじゃ」
何しろ、サヤカの世界のゲームを参考にした空間じゃからな。
二十匹。一瞬で終わった。踏み潰すだけでも終わるからね。
(いいけどね。スライムは食べられないし)
文句を言いつつも、次はコッコのフロアだから、チョコも機嫌がいい。
でも、長く待ってたった十五匹なんて、損した気分だ。通常フロアにはそれ以上いるんだから。
生きている鶏に刃物を突き立てるのは、相変わらず嫌な感触だけど、最近慣れつつある。
お肉の為とか、心の中で色々と言い訳しながらだけど、切り身になった肉を残して消えてしまうから、ゲーム的な感覚もある。
じゃあ、外でコッコが出たらどうするんだってなるけど、それこそが慣れになるんだろうな。現にスライムは、モチ以外可愛いと思わないし、某有名スライムみたいに顔がある訳でもない。
中ボスエリアを抜けて3階層へ。これは…カブトムシ?Gじゃないよね。角生えてるし。
硬い甲殻が防具の材料になるみたいだ。下にウサギ等の柔らかい皮を使って、上に甲殻を張る…軽くて、低級冒険者には人気の装備だって。
でも、先日作ったチョコの羽入りの上着の方が防具として優秀らしい。
確かにレア素材だ。一見するとただの服だけどね。
それにしても、カブトムシは倒し辛い。剣が表面で滑るんだよね。
「だから、剣を振り下ろす瞬間にだけ魔力を流すんだよ」
いつも指導されてるけど、それがかなり難しいんだよね。何ていうか、達人の技みたいで。
最初から流しておく方が難しくない。でもそれだと、すぐに魔力切れになるし、無駄だからって、怒られる。
確かに言われた通りにやると、剣も滑らずにサクッと倒せる。
「常にそれが出来るようになれば、短剣でも充分に戦えるようになるからね」
一人前冒険者への道は遠い。
でも、ずっとアッシュさんの世話になる訳にはいかないから、頑張るけどね。
(ここはサヤカの訓練には丁度いいけど、ボク達には物足りないから先に進みたい)
そうだね。食べられないから余計に不満だよね。
「先に進みましょう。魔法でなら倒せるみたいですし」
私の水スキルも、しっかりイメージすればちゃんと倒せるし、甲殻もちゃんと拾っている。
ボス部屋の中身は、チョコがサクッと倒してしまった。
(肉食べたい!肉!)
次が肉とは限らないよね。
4階層は、冒険者が多い。イタチみたいな魔物で、これで冬用のマントを作ると暖かいから、毛皮が人気らしく、買い取り金額も高めらしい。
ドロップするのは毛皮か魔石なので、チョコは不満そうだ。
「まだ鶏肉も残ってるし、オーク肉もまだあるよ?」
それに、もふっとした毛皮は売らずに手元に残したい。
繋げたらもふもふの毛布が作れるかも?いっぱい集めないとだけど。
素早いから、攻撃を当てるのが苦労する…いや、ボス部屋の扉をチョコが開ければたくさんのもふもふが…
たくさんの人が並んでいる。みんな稼ぎに来てるんだもんね。当然だ。
「復活までの時間も長めだし、かなり時間かかりそうだね…スルーする?」
もふもふ欲しい、もふもふ欲しい!
「はあ…夜までに入れればいいね」
私の様子に何かを悟ったのか、ため息と共に呟く。
チョコの羽根と交換に先を譲ると言われたけど、それはお断りした。チョコが嫌がる事はしたくないからね。
お腹が空いたので、作り置いていたおにぎりを食べつつ待つ。
「お…俺達それでもいいから、人数分貰えるなら、このまま帰る」
「おい!流石に食欲に負けるのはどうなんだ?」
「だめだよ、サヤカ」
(そうだね。サヤカの作った物は、気軽にあげちゃだめ)
「え?何で」
土鍋で炊いたごはんを、ただ握っただけだ。中身は鮭だし、普通に美味しいだけ?…
鑑定 聖女の愛情が籠ったおにぎり 疲労回復 素早さアップ
…え?どういう事?
でも、何かヤバい事は分かった。一般人ならともかく、冒険者なら動けば身体の変化には気がつくだろう。
もし下手に話題になったら、呑気にダンジョン攻略なんてしてられないかもしれない。
うーん…ゆかりの称号が消えたから、同じ召喚者の私に移ったとか?
いや、私が聖女とかあり得ないんだけど。
でももっとあり得ないゆかりが聖女だった訳だし、スキルが消えないのなら、いいのかな?生活空間が消えるのは困るしね。
「どうした?」
「うん…後で」
待ちくたびれた頃にやっと順番が来た。
(お腹空いたからさっさと終わらせるね)
チョコが蹴り開け、マシロと二人で飛び込んで、5分もかからず終わった。
しっかり魔法石に触れてから出たから、明日からは4階層はパス出来る。
チョコのお陰で大量のもふもふもゲット出来たし、何というか今日は精神的に疲れた。
「…で?おにぎりを見た後遠い目をしていたのはどうして?」
「疲れたから鑑定結果がおかしかったかもですし…愛情なんて込めてないし」
言いつつ、鑑定結果を伝えた。
「別におかしな所はないと思うけど?」
「称号って移るんですか?」
「いや…元々あの子が聖女じゃなくて、サヤカが聖女でしょ?」
「いや…引きこもりですけど」
見て下さいよ、この立派な亜空間。
きっとこの空間は私がもふもふする為の空間で、チョコもマシロも、モチも庭の池がお気に入りで、ご飯を食べたらさっさと行ってしまった。
「うむ。気に入ってくれてるようで、何よりじゃ」
何しろ、サヤカの世界のゲームを参考にした空間じゃからな。
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