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隣国ブランへ
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乗り合い馬車は、丁度ブラン行きの人を探していた。
定期便みたいな物で、ある程度の人数が乗れば出発するみたいで、咄嗟に金貨を払って乗ってしまった。
料金は金貨8枚と高いけど、護衛の冒険者もつくし、仕方ないのだろう。
良く調べもしないで乗ってしまったけど、ブランの首都まで10日もかかるみたいだ。
なるべく遠くに離れたいとは思っていたし、良かったと思おう。
それにしても、マントを買ったのは正解だったな。丸めてクッションの代わりになったし、長く丸めておけば、少しの間なら、私の代わりにもなる。マシロにこっそり会いに行ってもばれなかった。
勿論夜の間だけだし、スキルがバレるのが怖いから、長い時間は無理だったけどね。
街道沿いの町で、買い物をする機会があった。正直助かった。マシロ用のお肉が切れかけていた。
今日は皆、宿に泊まる人が多い。
護衛の冒険者さん達もそうだ。
「レイナちゃん、買い物終わった?」
この旅の間に仲良くなった冒険者の少女で、成人したばかりで、ギルド登録間もないそうだ。
まだ見習い扱いだけど、ゴブリンは、単体でなら倒せるみたいだ。
正直、凄いと思う。
「うん!サヤカちゃんは今日は宿?」
「そうだね。あ、これさっき買ったんだけど、一緒に食べない?」
「肉串?でも…リーダーに見付かったら怒られるから…」
護衛時の決まりとか、色々あるらしい。
「一緒に食べたいなって思ったの」
「それなら…一口だけ」
「リーダーさんには内緒でね!」
クスクス笑いながら、醤油味の肉にかぶりつく。
「コッコの皮がパリパリしてる!」
「ジューシーで美味しいね!…レイナちゃんは魔物が怖くない?」
「まだ大型の魔物とかは戦った事ないけど、家族で冒険者やってるからね」
リーダーのお父さんはとても強そうな人だ。そして、元の世界でアクション俳優なんてしてたらモテそうな人。
この世界は結構美形率高い。レイナちゃんも、暗いピンク色の髪に、健康そうに日焼けした肌が良く似合っている。
「私も、落ち着いたら冒険者になる予定だから、負けないように頑張ろう!」
「サヤカちゃん、ギルド登録は15歳にならないと出来ないんだよ?」
「私はもう、15歳だよ?」
元の世界ではバイト位しか出来ないだろうけど、ここでは成人だもんね。
「またまたー。ギルドではちゃんと調べられるから、虚偽の申告は出来ないんだよ?」
それなら、多少子供っぽく見えても登録は出来るね。
「にゃー」
ドアを開けると、マシロのお出迎え。
「というか、何かマシロ、大きくなってない?長毛種だから?」
多めに買った肉串の、串を外してお皿に移す。
「分かった。ここにはネズミも出ないし、ずっとベッドで寝てるから大きくなったんでしょ」
こっちの世界に来てから、随分大きくなった…柴犬超えてない?野良だから種類は分からないけど、大きくなる種類なのかな。
肉を食べ終えたマシロが私を見上げる。
「お代わり?食べ過ぎも良くないよ?でも、猫カリカリもないから適正量は分からないんだよね」
もう1本追加で出してやり、今日買える物をチェックする。
「レタスか…旅の間は野菜不足になりがちだし、買おう」
宿場町に寄れない時は、硬いパンと干し肉、小腹が空いてもドライフルーツやナッツをちょっと食べる位だ。
私はアイテムボックスがあるし、それもかなり大きく、時間も停止するからそんな侘しい食事をする必要もないけど、何となく他の人に合わせて食べている。
しょっぱいから水も結構欲しくなるけど、水スキルのお陰で困っていない。
水のスキルは役に立った。10人程の人がいたけど、生活魔法の水が使える人がいなかったから。
クリーンを使える人もいなかったので、水は有難がられた。
ただ、水は遠慮なく貰う人達も、クリーンには遠慮がちになる。
同じ生活魔法でも、クリーンの方が魔力を使うし、使える人も少ないからなのか。
レイナちゃんのパーティーには魔法使いのお姉さんがいて、その人に頼んでお互いにかけあうという形で、クリーンをかけてもらった。
うん…確かに違う。プロとの差なのか、爽やか感が違う。
「こういう物は慣れよ。訓練次第で魔法は上手になるものだから」
私は初心者だし、魔法なんてない世界から来たけど、ラノベのお陰でイメージの方はちゃんと出来ていると思う。
毎朝10分位は瞑想と魔力操作をしてるらしい…なら、私も今まで以上に頑張ろう。自分にかける以外は、マシロにかける位だからね。
お金は要らないので、練習にクリーン掛けさせて下さいって言ったら、何やら微笑ましい顔でみんな頷いてくれた。
「魔力切れには注意してね」
魔力が切れると気絶するらしい…魔法を教えてくれた先生によると、私の魔力は多いみたいだけど、数字で見える訳じゃないからね。
気持ち程度で、銅貨を貰った。何故か頭を撫でられたけど、子供じゃないんだけどな。
馬車は国境を越え、目的地に着いた。首都はまだ先だけど、下手に都会に行くつもりはない。
定期便みたいな物で、ある程度の人数が乗れば出発するみたいで、咄嗟に金貨を払って乗ってしまった。
料金は金貨8枚と高いけど、護衛の冒険者もつくし、仕方ないのだろう。
良く調べもしないで乗ってしまったけど、ブランの首都まで10日もかかるみたいだ。
なるべく遠くに離れたいとは思っていたし、良かったと思おう。
それにしても、マントを買ったのは正解だったな。丸めてクッションの代わりになったし、長く丸めておけば、少しの間なら、私の代わりにもなる。マシロにこっそり会いに行ってもばれなかった。
勿論夜の間だけだし、スキルがバレるのが怖いから、長い時間は無理だったけどね。
街道沿いの町で、買い物をする機会があった。正直助かった。マシロ用のお肉が切れかけていた。
今日は皆、宿に泊まる人が多い。
護衛の冒険者さん達もそうだ。
「レイナちゃん、買い物終わった?」
この旅の間に仲良くなった冒険者の少女で、成人したばかりで、ギルド登録間もないそうだ。
まだ見習い扱いだけど、ゴブリンは、単体でなら倒せるみたいだ。
正直、凄いと思う。
「うん!サヤカちゃんは今日は宿?」
「そうだね。あ、これさっき買ったんだけど、一緒に食べない?」
「肉串?でも…リーダーに見付かったら怒られるから…」
護衛時の決まりとか、色々あるらしい。
「一緒に食べたいなって思ったの」
「それなら…一口だけ」
「リーダーさんには内緒でね!」
クスクス笑いながら、醤油味の肉にかぶりつく。
「コッコの皮がパリパリしてる!」
「ジューシーで美味しいね!…レイナちゃんは魔物が怖くない?」
「まだ大型の魔物とかは戦った事ないけど、家族で冒険者やってるからね」
リーダーのお父さんはとても強そうな人だ。そして、元の世界でアクション俳優なんてしてたらモテそうな人。
この世界は結構美形率高い。レイナちゃんも、暗いピンク色の髪に、健康そうに日焼けした肌が良く似合っている。
「私も、落ち着いたら冒険者になる予定だから、負けないように頑張ろう!」
「サヤカちゃん、ギルド登録は15歳にならないと出来ないんだよ?」
「私はもう、15歳だよ?」
元の世界ではバイト位しか出来ないだろうけど、ここでは成人だもんね。
「またまたー。ギルドではちゃんと調べられるから、虚偽の申告は出来ないんだよ?」
それなら、多少子供っぽく見えても登録は出来るね。
「にゃー」
ドアを開けると、マシロのお出迎え。
「というか、何かマシロ、大きくなってない?長毛種だから?」
多めに買った肉串の、串を外してお皿に移す。
「分かった。ここにはネズミも出ないし、ずっとベッドで寝てるから大きくなったんでしょ」
こっちの世界に来てから、随分大きくなった…柴犬超えてない?野良だから種類は分からないけど、大きくなる種類なのかな。
肉を食べ終えたマシロが私を見上げる。
「お代わり?食べ過ぎも良くないよ?でも、猫カリカリもないから適正量は分からないんだよね」
もう1本追加で出してやり、今日買える物をチェックする。
「レタスか…旅の間は野菜不足になりがちだし、買おう」
宿場町に寄れない時は、硬いパンと干し肉、小腹が空いてもドライフルーツやナッツをちょっと食べる位だ。
私はアイテムボックスがあるし、それもかなり大きく、時間も停止するからそんな侘しい食事をする必要もないけど、何となく他の人に合わせて食べている。
しょっぱいから水も結構欲しくなるけど、水スキルのお陰で困っていない。
水のスキルは役に立った。10人程の人がいたけど、生活魔法の水が使える人がいなかったから。
クリーンを使える人もいなかったので、水は有難がられた。
ただ、水は遠慮なく貰う人達も、クリーンには遠慮がちになる。
同じ生活魔法でも、クリーンの方が魔力を使うし、使える人も少ないからなのか。
レイナちゃんのパーティーには魔法使いのお姉さんがいて、その人に頼んでお互いにかけあうという形で、クリーンをかけてもらった。
うん…確かに違う。プロとの差なのか、爽やか感が違う。
「こういう物は慣れよ。訓練次第で魔法は上手になるものだから」
私は初心者だし、魔法なんてない世界から来たけど、ラノベのお陰でイメージの方はちゃんと出来ていると思う。
毎朝10分位は瞑想と魔力操作をしてるらしい…なら、私も今まで以上に頑張ろう。自分にかける以外は、マシロにかける位だからね。
お金は要らないので、練習にクリーン掛けさせて下さいって言ったら、何やら微笑ましい顔でみんな頷いてくれた。
「魔力切れには注意してね」
魔力が切れると気絶するらしい…魔法を教えてくれた先生によると、私の魔力は多いみたいだけど、数字で見える訳じゃないからね。
気持ち程度で、銅貨を貰った。何故か頭を撫でられたけど、子供じゃないんだけどな。
馬車は国境を越え、目的地に着いた。首都はまだ先だけど、下手に都会に行くつもりはない。
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