巻き込まれ召喚された私は、ペットと共に穏やかに過ごしたい

あかる

文字の大きさ
上 下
4 / 35

エルフの青年

しおりを挟む
 アンさんからスキルの事が伝わったのだろう。絨毯を頂いた。
 有難いけど、いいのかな?快適になったらここから出ないかも知れないよ?

 色々と勉強して、やっぱり国としては私達の存在を隠したいのだと思った。
 魔王が現れた訳でもないし、宝珠が割れてしまった為、二度と召喚は行えないとはいえ、禁呪を使った事には変わりないし、聖女も含めてその存在を他国には隠している訳だから。

 そんな折、エルフの国の使者が来るという話を聞いた。
 いくらこの国が人族至上主義とはいえ、エルフは別だ。長い時を生きて、神様から世界樹の管理を任されている。
 人数は少ないみたいだけど、美しく、魔力を操る事に長けているその存在を、昔、どこかの馬鹿な王様が欲して国が失くなったなんて歴史もある。

 聖女の事は知られるだろう。それに、大人しくしてる二人でもないし。
 美形大好きなゆかり。愛理は筋肉好きな所があるからどうかな?
 既に爵位持ちの騎士の何人かは愛理の犠牲になったらしい…というか、ゆかりは婚約者のいる王子様と、体の関係があるとか。
 授業もまともに受けてくれないと、色々と教えてくれる先生が愚痴っていた。

 いつかは独立するつもりの私とは違って、立派な称号も持っている二人は生涯贅沢して暮らすつもりだろうから、真剣に学ぶ意欲もないんだろう。


 城内が騒がしい。みんなバタバタ。私の側にいるはずのアンさんもグレンさんも、忙しいみたいだし、授業もなさそう。
 なら、図書室にでも行こうか。
 気配隠蔽のスキルが取れたので、使ったけど、私などに目をかける必要もないからか、誰も何も言わない。

 気配隠蔽が効果があるのかどうかも分からないな。
「…やっぱり、剣でも習っておこうかな?」
 水のスキルは温度が変えられる事が分かったので、便利だとは思うけど、それで魔物と戦えるかは微妙。

「隠れてるのに喋るとか、迂闊だね…って、俺もだけど」
「…!!」
 隣に誰か座ってる!物凄くびっくりした!さっきまで、確かに誰もいなかったはず?!

 もしかして、噂のエルフ?超のつく美形で、耳の先が尖っている。それ以外は普通の青年に見えるけど。
「あ…なたは…」
「あれ?知らない?君は本物の聖女だよね?」
「え?いえ…私は只の平民です」
 只の平民がこんな所にいるのも不思議だろうけど、外出さえ出来ていないんだから、何とも言えない。
「フーッ!」
「えっ…マシロ?いつの間に来たの?」
 怒ってるけど、イカ耳になってるよ?相手が大人の人だからかな。
「…従魔?」
「マシロは猫です!私のペットで家族なんです!」
「そうなんだ?で…スキルの本?」

「まあ…色々とスキルを覚えられれば、将来役に立ちますし」
「…ふうん。自分の、あるいは友人の称号やスキルが間違った物だとは思わない?」 
「思いますけど、私の称号は妥当かな?…って、何でそんな事聞くんですか?そもそも私、召喚されたって言ってないですよね?」
 エルフの人には分かるのかな?鑑定とかそういう奴。異世界定番スキルだし、覚えられるなら、私も欲しいな…物を見抜く眼力か…近視は関係ないといいな。

 聖女の御披露目をすると聞いた。同時に私もグレンさんが同行して、マシロはお留守番なら、城下町に出掛けていいと許しが出た。

 どうやら、召喚を隠していた事が問題になったみたいだ。
 マシロも一緒なら、お城から出るチャンスもあったかもだけど、マシロを置いていくなんて考えられないし、今は街を直接見られる事だけでも良しとしておこう。

 グレンさんは、剣は腰に下げているけど、町の人と変わらない装いだ。私も黒髪や眼鏡の人も普通にいるから、目立つって事はなさそうだ。
 古着屋で見つけた冒険者が着るようなマントは、私にはちょっと大きい。
「あの…これから暑くなりますから、不要ですよ?」
「異世界風で格好いいから、いいの!それにお小遣いは貰ってるし」
 柔らかい獣の皮で出来たマントは、古着なのに金貨2枚もする…けど、食料品に比べて衣料品が高めなのは、多分機械がないんだろうな。
 それに、旅には必要だと思うし。

 遮断の一時付与がついているから、雨の時には便利らしい。
 生活魔法で遮断が使えるから、スライムの核や屑魔石があれば私も付与が使える。

 スライムは最弱魔物で、棒で叩くだけでも倒せるみたいだけど、種類によっては毒を持っていたり、酸を飛ばして攻撃してくるのもいるから、注意は必要。
「はあ…レベルを上げる為にも魔物を倒す訓練とかしたいな…」

「冒険者ですか…でも、冒険者の登録は、15歳になってからですよ?」
「え?私…15歳ですけど?」
「えっ…聖女様達と同じ年齢って…冗談じゃなかったんですか?」
 何故そうなる。日本人あるあるで、若く見られる?それとも胸?

 どっちもありそうだけど、ゆかり達と違って化粧もしないから、それもあるのかな。
    
 屋台街。その手前には、食器も売っている。私は幾つか木の食器を買った。ウサギ肉の半身焼きは、私の顔位ある。加工されてこの大きさなら、ホーンラビットって、犬位の大きさなのかな?
 値段は銅貨三枚。勿論買った。

「あの、食事は出ますし、無駄になるのでは?」
「マシロにお土産なの!マシロは結構大食いだし、お肉大好きだから」
 野菜と炒めた物や、ポトフみたいなスープもある。串焼きも、照り焼き風で美味しそうだ。て事は、醤油はあるんだな…あとはお米だよね。普通に炊いて食べるなんてやり方はなくて、雑炊風やパエリア風に調理されて出てきた。まあ、米があるだけ嬉しいよね。小説の主人公達は、みんな苦労してたもんね。
 味噌はどうなんだろう?お城の食事で味噌を使った料理は見た事ないな。
 図書室で調べてみよう。

 砂糖や蜂蜜は一般的ではないみたい。焼き菓子も甘いのはないし、ケーキが出た事もない。フルーツの甘みを利用したお菓子は普通に美味しかったけど、砂糖は高価なのだと思う。

 砂糖をスキル内で買えたら、転売して生活出来るかな?

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

リリゼットの学園生活 〜 聖魔法?我が家では誰でも使えますよ?

あくの
ファンタジー
 15になって領地の修道院から王立ディアーヌ学園、通称『学園』に通うことになったリリゼット。 加護細工の家系のドルバック伯爵家の娘として他家の令嬢達と交流開始するも世間知らずのリリゼットは令嬢との会話についていけない。 また姉と婚約者の破天荒な行動からリリゼットも同じなのかと学園の男子生徒が近寄ってくる。 長女気質のダンテス公爵家の長女リーゼはそんなリリゼットの危うさを危惧しており…。 リリゼットは楽しい学園生活を全うできるのか?!

婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪

naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。 「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」 まっ、いいかっ! 持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる

十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

転生幼女のチートな悠々自適生活〜伝統魔法を使い続けていたら気づけば賢者になっていた〜

犬社護
ファンタジー
ユミル(4歳)は気がついたら、崖下にある森の中にいた。 馬車が崖下に落下した影響で、前世の記憶を思い出す。周囲には散乱した荷物だけでなく、さっきまで会話していた家族が横たわっており、自分だけ助かっていることにショックを受ける。 大雨の中を泣き叫んでいる時、1体の小さな精霊カーバンクルが現れる。前世もふもふ好きだったユミルは、もふもふ精霊と会話することで悲しみも和らぎ、互いに打ち解けることに成功する。 精霊カーバンクルと仲良くなったことで、彼女は日本古来の伝統に関わる魔法を習得するのだが、チート魔法のせいで色々やらかしていく。まわりの精霊や街に住む平民や貴族達もそれに振り回されるものの、愛くるしく天真爛漫な彼女を見ることで、皆がほっこり心を癒されていく。 人々や精霊に愛されていくユミルは、伝統魔法で仲間たちと悠々自適な生活を目指します。

妹が聖女の再来と呼ばれているようです

田尾風香
ファンタジー
ダンジョンのある辺境の地で回復術士として働いていたけど、父に呼び戻されてモンテリーノ学校に入学した。そこには、私の婚約者であるファルター殿下と、腹違いの妹であるピーアがいたんだけど。 「マレン・メクレンブルク! 貴様とは婚約破棄する!」  どうやらファルター殿下は、"低能"と呼ばれている私じゃなく、"聖女の再来"とまで呼ばれるくらいに成績の良い妹と婚約したいらしい。 それは別に構わない。国王陛下の裁定で無事に婚約破棄が成った直後、私に婚約を申し込んできたのは、辺境の地で一緒だったハインリヒ様だった。 戸惑う日々を送る私を余所に、事件が起こる。――学校に、ダンジョンが出現したのだった。 更新は不定期です。

魔法のせいだからって許せるわけがない

ユウユウ
ファンタジー
 私は魅了魔法にかけられ、婚約者を裏切って、婚約破棄を宣言してしまった。同じように魔法にかけられても婚約者を強く愛していた者は魔法に抵抗したらしい。  すべてが明るみになり、魅了がとけた私は婚約者に謝罪してやり直そうと懇願したが、彼女はけして私を許さなかった。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?

シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。 クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。 貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ? 魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。 ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。 私の生活を邪魔をするなら潰すわよ? 1月5日 誤字脱字修正 54話 ★━戦闘シーンや猟奇的発言あり 流血シーンあり。 魔法・魔物あり。 ざぁま薄め。 恋愛要素あり。

処理中です...