(完結)妹のお陰?

あかる

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顔合わせ

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    突然の事です。シーナがハリス様を連れて我が家に来ました。丁度サロンでお父様とお茶を頂いている時でしたので、驚きました。
「私、ハリス様と直接話しましたの!そうしたら、ハリス様も私の方がいいって!」

「こらシーナ!婚約は家同士の契約だ。そう簡単に…」
「大丈夫よ!だってハリス様もご両親に話して下さるって!だから、交換でいいわよね!」

「ああ、エルミア。そういう事だから」
    何が、そういう事ですか!…そりゃ、私もハリス様にはシーナの方が合っていると思いましたけど!

「はぁ…もう今日の午後にはフォルクス様方がご挨拶に伺うというのに…」
    お父様、頭を抱えてしまわれました…分かります。長年あの子の尻拭いをしてきた私ですもの。

    不思議とハリス様の事にはショックを受けませんわ。何となくそんな予感があったからでしょうか?ハリス様のお顔は、妹好みですものね。

    お父様は何とかシーナを家に引き留めようとしましたが、ハリス様と一緒に抜け出してしまいました。

「言いにくいが…エルミア。隣に座っていてくれるか?」
「…そうなりますわよね…ですが、シーナの我が儘をいつも聞いてばかりだと、いつかは家名に傷がつきかねません。お兄様も懸念されていましたわ」
「分かっている…今回ばかりは私も覚悟を決めたよ」
    お母様がいらしたら、少しは違ったのかしら?どうしても男親というものは、娘には甘くなりがちと言われてますし。

    そうして午後。フォルクス辺境伯夫妻と、息子のウィル様がいらっしゃいました。部屋でお会いして、驚きましたわ!
    そう。あの時名前も聞かずに別れた方。…まさかウィル様が、妹を婚約者に望まれるなんて。
「シーナ嬢!また会えて嬉しいよ!」
「えっ…?私は、エルミアですわ…妹のシーナは…申し上げ難いのですが…」
    お父様と2人でお詫び申し上げましたが、ウィル様は笑顔のままです。

「どういう事だ?ウィル。シーナ嬢ではなかったのか?」
「はい。どうやら間違えたのは私の方ですが、本当に婚約を結びたかったのは、エルミア嬢でして…」

    ええと、どういう事なのでしょう?

「実は別れた後に、馬車に書いてあった家紋は見えたのですが、貴女のお名前を聞いた方が間違えたのか、シーナ嬢だと言われまして」

    何故か納得してしまいましたわ…パーティーの出席を禁止されている妹が度々抜け出しているのは知っていましたが、その時にきっと、私の名前を名乗ったのでしょう。
    そういえば以前も似たような勘違いをされた記憶がありますわ。

「誤解も解けて、良かったですわ。それに、私を望んで頂き、光栄です」
    ハリス様との事もあり、ウィル様の事はお名前を知らない事もあって、半ば忘れかけていました。

    こうなると、シーナがハリス様と婚約出来れば万々歳ですわ。
    ただ、マイス侯爵家の方々がシーナを認めて下さるか…
    似た者同士の2人ですから、上手くどちらかが妥協するようであれば、それなりに上手く行くと思うのです。
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