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婚約者の交換
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こうしてお付き合いさせて頂く事にはなりましたが、最初の頃こそこちらを伺うように興味深く接して下さいましたが、予想通り、長くは続きそうにありません。
だって私といる時も他のご令嬢の話しをしたり、服装やメイク、果ては付き合い方にまで注文を付けてこられるのです。
「親に勧められるままに真面目な令嬢と婚約したけど、ちょっとは俺の好みに合わせてくれないかな?」
「これでも努力はしているのですが…」
「ほら、そういう所だよ。もっと気軽に接して欲しいかな」
伸ばされた手を、思わず避けてしまいました…だってまだ、婚約を結んで一月も経っていないのですよ?
この前なんて、いきなり泊まりがけの旅行に誘われて…お受け出来る訳ありません。
そんな時です。なんとシーナに婚約の打診が来ました!お相手は、フォルクス伯爵家。…って、確か辺境伯ですわよね?!
どこでシーナの事を知ったのでしょう?
しかも辺境伯夫人なんて…シーナに務まるのかしら?
「まあ!どんな方かしら!それよりも、お姉様より早くに婚約者が決まってしまうなんて、何だか悪いわね!」
うふふと笑いながら私を見ますけど、悪いなんて欠片も思ってないでしょうに。
「フォルクス伯爵家は辺境伯でもあるから、くれぐれも粗相のないようにな。それと、エルミアの事なら心配ない。先に打診されたからな」
「えっ!お姉様も?!…ていうか辺境って…」
シーナが嫌な顔をします。確かに王都からはかなり離れてしまいますから、遊ぶのには不便になってしまいますわね。
「お姉様のお相手はどなたですか?」
「マイス侯爵家のハリス様よ。あちらのご両親には良くして頂いていますが…」
「狡い!ハリス様みたいな美しい方とお姉様が…絶対釣り合いませんわ!交換して!お姉様の方が田舎暮らしには合っていますわ!」
フォルクス伯爵家の土地は、隣国と隣合わせなので、交易も盛んです。決して田舎ではないと思うのですが…領内の山からは魔物も出ますし、そういう意味では都会とは違うと思いますが…
「ねえお父様!お願い!ハリス様と婚約させて!」
「…そういえばクルト様とはどうなったの?」
「は?何そんな古い昔の話してるの?とっくに切れてるわよ。あんな甲斐性なし」
…まあ、クルト様は男爵家三男なので、自由になるお金は少ないと思いますが…
「物ではないのだから、そう簡単に交換等出来ないのだよ」
「お父様の言う通りですわ。シーナを望んで下さる方がいらっしゃるのですから、お受けすべきよ」
「絶対嫌!」
言うなり、部屋を飛び出してしまいました。
「全く…困った娘だ」
「どこでシーナをお知りになったのかしらね?高位令息の出席するパーティーは出席していないのですよね?」
「私も、少し話が噛み合っていないから、不思議に思ったんだが、シーナで間違いはないそうだ。ハリス様とは上手く行ってるのか?」
「ご本人とはちょっと…微妙な所ですわ」
むしろ軽く付き合えるシーナの方が合っているかもしれませんわね。
だって私といる時も他のご令嬢の話しをしたり、服装やメイク、果ては付き合い方にまで注文を付けてこられるのです。
「親に勧められるままに真面目な令嬢と婚約したけど、ちょっとは俺の好みに合わせてくれないかな?」
「これでも努力はしているのですが…」
「ほら、そういう所だよ。もっと気軽に接して欲しいかな」
伸ばされた手を、思わず避けてしまいました…だってまだ、婚約を結んで一月も経っていないのですよ?
この前なんて、いきなり泊まりがけの旅行に誘われて…お受け出来る訳ありません。
そんな時です。なんとシーナに婚約の打診が来ました!お相手は、フォルクス伯爵家。…って、確か辺境伯ですわよね?!
どこでシーナの事を知ったのでしょう?
しかも辺境伯夫人なんて…シーナに務まるのかしら?
「まあ!どんな方かしら!それよりも、お姉様より早くに婚約者が決まってしまうなんて、何だか悪いわね!」
うふふと笑いながら私を見ますけど、悪いなんて欠片も思ってないでしょうに。
「フォルクス伯爵家は辺境伯でもあるから、くれぐれも粗相のないようにな。それと、エルミアの事なら心配ない。先に打診されたからな」
「えっ!お姉様も?!…ていうか辺境って…」
シーナが嫌な顔をします。確かに王都からはかなり離れてしまいますから、遊ぶのには不便になってしまいますわね。
「お姉様のお相手はどなたですか?」
「マイス侯爵家のハリス様よ。あちらのご両親には良くして頂いていますが…」
「狡い!ハリス様みたいな美しい方とお姉様が…絶対釣り合いませんわ!交換して!お姉様の方が田舎暮らしには合っていますわ!」
フォルクス伯爵家の土地は、隣国と隣合わせなので、交易も盛んです。決して田舎ではないと思うのですが…領内の山からは魔物も出ますし、そういう意味では都会とは違うと思いますが…
「ねえお父様!お願い!ハリス様と婚約させて!」
「…そういえばクルト様とはどうなったの?」
「は?何そんな古い昔の話してるの?とっくに切れてるわよ。あんな甲斐性なし」
…まあ、クルト様は男爵家三男なので、自由になるお金は少ないと思いますが…
「物ではないのだから、そう簡単に交換等出来ないのだよ」
「お父様の言う通りですわ。シーナを望んで下さる方がいらっしゃるのですから、お受けすべきよ」
「絶対嫌!」
言うなり、部屋を飛び出してしまいました。
「全く…困った娘だ」
「どこでシーナをお知りになったのかしらね?高位令息の出席するパーティーは出席していないのですよね?」
「私も、少し話が噛み合っていないから、不思議に思ったんだが、シーナで間違いはないそうだ。ハリス様とは上手く行ってるのか?」
「ご本人とはちょっと…微妙な所ですわ」
むしろ軽く付き合えるシーナの方が合っているかもしれませんわね。
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