3 / 7
婚約者の交換
しおりを挟む
こうしてお付き合いさせて頂く事にはなりましたが、最初の頃こそこちらを伺うように興味深く接して下さいましたが、予想通り、長くは続きそうにありません。
だって私といる時も他のご令嬢の話しをしたり、服装やメイク、果ては付き合い方にまで注文を付けてこられるのです。
「親に勧められるままに真面目な令嬢と婚約したけど、ちょっとは俺の好みに合わせてくれないかな?」
「これでも努力はしているのですが…」
「ほら、そういう所だよ。もっと気軽に接して欲しいかな」
伸ばされた手を、思わず避けてしまいました…だってまだ、婚約を結んで一月も経っていないのですよ?
この前なんて、いきなり泊まりがけの旅行に誘われて…お受け出来る訳ありません。
そんな時です。なんとシーナに婚約の打診が来ました!お相手は、フォルクス伯爵家。…って、確か辺境伯ですわよね?!
どこでシーナの事を知ったのでしょう?
しかも辺境伯夫人なんて…シーナに務まるのかしら?
「まあ!どんな方かしら!それよりも、お姉様より早くに婚約者が決まってしまうなんて、何だか悪いわね!」
うふふと笑いながら私を見ますけど、悪いなんて欠片も思ってないでしょうに。
「フォルクス伯爵家は辺境伯でもあるから、くれぐれも粗相のないようにな。それと、エルミアの事なら心配ない。先に打診されたからな」
「えっ!お姉様も?!…ていうか辺境って…」
シーナが嫌な顔をします。確かに王都からはかなり離れてしまいますから、遊ぶのには不便になってしまいますわね。
「お姉様のお相手はどなたですか?」
「マイス侯爵家のハリス様よ。あちらのご両親には良くして頂いていますが…」
「狡い!ハリス様みたいな美しい方とお姉様が…絶対釣り合いませんわ!交換して!お姉様の方が田舎暮らしには合っていますわ!」
フォルクス伯爵家の土地は、隣国と隣合わせなので、交易も盛んです。決して田舎ではないと思うのですが…領内の山からは魔物も出ますし、そういう意味では都会とは違うと思いますが…
「ねえお父様!お願い!ハリス様と婚約させて!」
「…そういえばクルト様とはどうなったの?」
「は?何そんな古い昔の話してるの?とっくに切れてるわよ。あんな甲斐性なし」
…まあ、クルト様は男爵家三男なので、自由になるお金は少ないと思いますが…
「物ではないのだから、そう簡単に交換等出来ないのだよ」
「お父様の言う通りですわ。シーナを望んで下さる方がいらっしゃるのですから、お受けすべきよ」
「絶対嫌!」
言うなり、部屋を飛び出してしまいました。
「全く…困った娘だ」
「どこでシーナをお知りになったのかしらね?高位令息の出席するパーティーは出席していないのですよね?」
「私も、少し話が噛み合っていないから、不思議に思ったんだが、シーナで間違いはないそうだ。ハリス様とは上手く行ってるのか?」
「ご本人とはちょっと…微妙な所ですわ」
むしろ軽く付き合えるシーナの方が合っているかもしれませんわね。
だって私といる時も他のご令嬢の話しをしたり、服装やメイク、果ては付き合い方にまで注文を付けてこられるのです。
「親に勧められるままに真面目な令嬢と婚約したけど、ちょっとは俺の好みに合わせてくれないかな?」
「これでも努力はしているのですが…」
「ほら、そういう所だよ。もっと気軽に接して欲しいかな」
伸ばされた手を、思わず避けてしまいました…だってまだ、婚約を結んで一月も経っていないのですよ?
この前なんて、いきなり泊まりがけの旅行に誘われて…お受け出来る訳ありません。
そんな時です。なんとシーナに婚約の打診が来ました!お相手は、フォルクス伯爵家。…って、確か辺境伯ですわよね?!
どこでシーナの事を知ったのでしょう?
しかも辺境伯夫人なんて…シーナに務まるのかしら?
「まあ!どんな方かしら!それよりも、お姉様より早くに婚約者が決まってしまうなんて、何だか悪いわね!」
うふふと笑いながら私を見ますけど、悪いなんて欠片も思ってないでしょうに。
「フォルクス伯爵家は辺境伯でもあるから、くれぐれも粗相のないようにな。それと、エルミアの事なら心配ない。先に打診されたからな」
「えっ!お姉様も?!…ていうか辺境って…」
シーナが嫌な顔をします。確かに王都からはかなり離れてしまいますから、遊ぶのには不便になってしまいますわね。
「お姉様のお相手はどなたですか?」
「マイス侯爵家のハリス様よ。あちらのご両親には良くして頂いていますが…」
「狡い!ハリス様みたいな美しい方とお姉様が…絶対釣り合いませんわ!交換して!お姉様の方が田舎暮らしには合っていますわ!」
フォルクス伯爵家の土地は、隣国と隣合わせなので、交易も盛んです。決して田舎ではないと思うのですが…領内の山からは魔物も出ますし、そういう意味では都会とは違うと思いますが…
「ねえお父様!お願い!ハリス様と婚約させて!」
「…そういえばクルト様とはどうなったの?」
「は?何そんな古い昔の話してるの?とっくに切れてるわよ。あんな甲斐性なし」
…まあ、クルト様は男爵家三男なので、自由になるお金は少ないと思いますが…
「物ではないのだから、そう簡単に交換等出来ないのだよ」
「お父様の言う通りですわ。シーナを望んで下さる方がいらっしゃるのですから、お受けすべきよ」
「絶対嫌!」
言うなり、部屋を飛び出してしまいました。
「全く…困った娘だ」
「どこでシーナをお知りになったのかしらね?高位令息の出席するパーティーは出席していないのですよね?」
「私も、少し話が噛み合っていないから、不思議に思ったんだが、シーナで間違いはないそうだ。ハリス様とは上手く行ってるのか?」
「ご本人とはちょっと…微妙な所ですわ」
むしろ軽く付き合えるシーナの方が合っているかもしれませんわね。
11
お気に入りに追加
26
あなたにおすすめの小説
魔法が使えなかった令嬢は、婚約破棄によって魔法が使えるようになりました
天宮有
恋愛
魔力のある人は15歳になって魔法学園に入学し、16歳までに魔法が使えるようになるらしい。
伯爵令嬢の私ルーナは魔力を期待されて、侯爵令息ラドンは私を婚約者にする。
私は16歳になっても魔法が使えず、ラドンに婚約破棄言い渡されてしまう。
その後――ラドンの婚約破棄した後の行動による怒りによって、私は魔法が使えるようになっていた。
愚者(バカ)は不要ですから、お好きになさって?
海野真珠
恋愛
「ついにアレは捨てられたか」嘲笑を隠さない言葉は、一体誰が発したのか。
「救いようがないな」救う気もないが、と漏れた本音。
「早く消えればよろしいのですわ」コレでやっと解放されるのですもの。
「女神の承認が下りたか」白銀に輝く光が降り注ぐ。
転生先は推しの婚約者のご令嬢でした
真咲
恋愛
馬に蹴られた私エイミー・シュタットフェルトは前世の記憶を取り戻し、大好きな乙女ゲームの最推し第二王子のリチャード様の婚約者に転生したことに気が付いた。
ライバルキャラではあるけれど悪役令嬢ではない。
ざまぁもないし、行きつく先は円満な婚約解消。
推しが尊い。だからこそ幸せになってほしい。
ヒロインと恋をして幸せになるならその時は身を引く覚悟はできている。
けれども婚約解消のその時までは、推しの隣にいる事をどうか許してほしいのです。
※「小説家になろう」にも掲載中です
冤罪を受けたため、隣国へ亡命します
しろねこ。
恋愛
「お父様が投獄?!」
呼び出されたレナンとミューズは驚きに顔を真っ青にする。
「冤罪よ。でも事は一刻も争うわ。申し訳ないけど、今すぐ荷づくりをして頂戴。すぐにこの国を出るわ」
突如母から言われたのは生活を一変させる言葉だった。
友人、婚約者、国、屋敷、それまでの生活をすべて捨て、令嬢達は手を差し伸べてくれた隣国へと逃げる。
冤罪を晴らすため、奮闘していく。
同名主人公にて様々な話を書いています。
立場やシチュエーションを変えたりしていますが、他作品とリンクする場所も多々あります。
サブキャラについてはスピンオフ的に書いた話もあったりします。
変わった作風かと思いますが、楽しんで頂けたらと思います。
ハピエンが好きなので、最後は必ずそこに繋げます!
小説家になろうさん、カクヨムさんでも投稿中。
はずれの聖女
おこめ
恋愛
この国に二人いる聖女。
一人は見目麗しく誰にでも優しいとされるリーア、もう一人は地味な容姿のせいで影で『はずれ』と呼ばれているシルク。
シルクは一部の人達から蔑まれており、軽く扱われている。
『はずれ』のシルクにも優しく接してくれる騎士団長のアーノルドにシルクは心を奪われており、日常で共に過ごせる時間を満喫していた。
だがある日、アーノルドに想い人がいると知り……
しかもその相手がもう一人の聖女であるリーアだと知りショックを受ける最中、更に心を傷付ける事態に見舞われる。
なんやかんやでさらっとハッピーエンドです。
【完結】クラーク伯爵令嬢は、卒業パーティーで婚約破棄されるらしい
根古川ゆい
恋愛
自分の婚約破棄が噂になるなんて。
幼い頃から大好きな婚約者マシューを信じたいけれど、素直に信じる事もできないリナティエラは、覚悟を決めてパーティー会場に向かいます。
ケダモノ王子との婚約を強制された令嬢の身代わりにされましたが、彼に溺愛されて私は幸せです。
ぽんぽこ@書籍発売中!!
恋愛
「ミーア=キャッツレイ。そなたを我が息子、シルヴィニアス王子の婚約者とする!」
王城で開かれたパーティに参加していたミーアは、国王によって婚約を一方的に決められてしまう。
その婚約者は神獣の血を引く者、シルヴィニアス。
彼は第二王子にもかかわらず、次期国王となる運命にあった。
一夜にして王妃候補となったミーアは、他の令嬢たちから羨望の眼差しを向けられる。
しかし当のミーアは、王太子との婚約を拒んでしまう。なぜならば、彼女にはすでに別の婚約者がいたのだ。
それでも国王はミーアの恋を許さず、婚約を破棄してしまう。
娘を嫁に出したくない侯爵。
幼馴染に想いを寄せる令嬢。
親に捨てられ、救われた少女。
家族の愛に飢えた、呪われた王子。
そして玉座を狙う者たち……。
それぞれの思いや企みが交錯する中で、神獣の力を持つ王子と身代わりの少女は真実の愛を見つけることができるのか――!?
表紙イラスト/イトノコ(@misokooekaki)様より
ある王国の王室の物語
朝山みどり
恋愛
平和が続くある王国の一室で婚約者破棄を宣言された少女がいた。カップを持ったまま下を向いて無言の彼女を国王夫妻、侯爵夫妻、王太子、異母妹がじっと見つめた。
顔をあげた彼女はカップを皿に置くと、レモンパイに手を伸ばすと皿に取った。
それから
「承知しました」とだけ言った。
ゆっくりレモンパイを食べるとお茶のおかわりを注ぐように侍女に合図をした。
それからバウンドケーキに手を伸ばした。
カクヨムで公開したものに手を入れたものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる