2 / 7
出会い
しおりを挟む
今日は王立図書館に来ました。私は専門家とまでは行きませんが、錬金術でポーションを作る事が出来るので、色々な素材を知る為にこうして図書館には度々来ているのです。
…あと数センチ…何とか届かないかしら?
必死に手を伸ばすより、大人しく台を借りた方が良さそうです。
「これかな?」
後ろから伸びた手が、私が読みたい本を手に取りました。
「…っ!ありがとうございます」
「いや。私もポーションに有効な薬草を調べに来たからね」
突然現れて本を渡してくれた方は体格も良く、錬金術師には見えませんが。
素朴な印象の方ですが、服の上からでも良く鍛えられた方というのが分かります。
「でしたら、この図鑑に載っているかもしれませんわ。私も幾つか知っていますし」
それからは、ポーションの話題で盛り上がりました。その方は戦う専門なので、錬金術は使いませんが、自領の為に使える素材を調べたいと話していました。
雇いの錬金術師は高齢で、彼の為にも代わりに採取する事もあるとか。
楽しい時間を過ごしましたが、うっかりお名前を伺う事なく別れてしまいました。
その事に気がついたのは、自宅であるアレシス伯爵家の門を抜けてからでした。
お父様に呼ばれ、執務室に行くと、婚約を打診されました。
お相手はマイス侯爵家のハリス様。驚きです。
「本当に私…ですの?」
ハリス様は派手好きで、私のような地味な女を望むとは考えられません。
「ああ…間違いない。私も最初はシーナかと思ったが…とにかく、この事はシーナには秘密だ」
そうですわね。ハリス様はシーナの好みにも合っていますし、知ったら何かしらやらかしてくれるのが目に見えています。
相手は侯爵家です。無礼な事は出来ませんわ。
…あと数センチ…何とか届かないかしら?
必死に手を伸ばすより、大人しく台を借りた方が良さそうです。
「これかな?」
後ろから伸びた手が、私が読みたい本を手に取りました。
「…っ!ありがとうございます」
「いや。私もポーションに有効な薬草を調べに来たからね」
突然現れて本を渡してくれた方は体格も良く、錬金術師には見えませんが。
素朴な印象の方ですが、服の上からでも良く鍛えられた方というのが分かります。
「でしたら、この図鑑に載っているかもしれませんわ。私も幾つか知っていますし」
それからは、ポーションの話題で盛り上がりました。その方は戦う専門なので、錬金術は使いませんが、自領の為に使える素材を調べたいと話していました。
雇いの錬金術師は高齢で、彼の為にも代わりに採取する事もあるとか。
楽しい時間を過ごしましたが、うっかりお名前を伺う事なく別れてしまいました。
その事に気がついたのは、自宅であるアレシス伯爵家の門を抜けてからでした。
お父様に呼ばれ、執務室に行くと、婚約を打診されました。
お相手はマイス侯爵家のハリス様。驚きです。
「本当に私…ですの?」
ハリス様は派手好きで、私のような地味な女を望むとは考えられません。
「ああ…間違いない。私も最初はシーナかと思ったが…とにかく、この事はシーナには秘密だ」
そうですわね。ハリス様はシーナの好みにも合っていますし、知ったら何かしらやらかしてくれるのが目に見えています。
相手は侯爵家です。無礼な事は出来ませんわ。
12
お気に入りに追加
30
あなたにおすすめの小説

頭頂部に薔薇の棘が刺さりまして
犬野きらり
恋愛
第二王子のお茶会に参加して、どうにかアピールをしようと、王子の近くの場所を確保しようとして、転倒。
王家の薔薇に突っ込んで転んでしまった。髪の毛に引っ掛かる薔薇の枝に棘。
失態の恥ずかしさと熱と痛みで、私が寝込めば、初めましての小さき者の姿が見えるようになり…
この薔薇を育てた人は!?

貧乏男爵家の末っ子が眠り姫になるまでとその後
空月
恋愛
貧乏男爵家の末っ子・アルティアの婚約者は、何故か公爵家嫡男で非の打ち所のない男・キースである。
魔術学院の二年生に進学して少し経った頃、「君と俺とでは釣り合わないと思わないか」と言われる。
そのときは曖昧な笑みで流したアルティアだったが、その数日後、倒れて眠ったままの状態になってしまう。
すると、キースの態度が豹変して……?

実在しないのかもしれない
真朱
恋愛
実家の小さい商会を仕切っているロゼリエに、お見合いの話が舞い込んだ。相手は大きな商会を営む伯爵家のご嫡男。が、お見合いの席に相手はいなかった。「極度の人見知りのため、直接顔を見せることが難しい」なんて無茶な理由でいつまでも逃げ回る伯爵家。お見合い相手とやら、もしかして実在しない・・・?
※異世界か不明ですが、中世ヨーロッパ風の架空の国のお話です。
※細かく設定しておりませんので、何でもあり・ご都合主義をご容赦ください。
※内輪でドタバタしてるだけの、高い山も深い谷もない平和なお話です。何かすみません。

婚約者に「愛することはない」と言われたその日にたまたま出会った隣国の皇帝から溺愛されることになります。~捨てる王あれば拾う王ありですわ。
松ノ木るな
恋愛
純真無垢な心の侯爵令嬢レヴィーナは、国の次期王であるフィリベールと固い絆で結ばれる未来を夢みていた。しかし王太子はそのような意思を持つ彼女を生意気と見なして疎み、気まぐれに婚約破棄を言い渡す。
伴侶と寄り添う心穏やかな人生を諦めた彼女は悲観し、井戸に身を投げたのだった。
あの世だと思って辿りついた先は、小さな貴族の家の、こじんまりとした食堂。そこには呑めもしないのに酒を舐め、身分社会に恨み節を唱える美しい青年がいた。
どこの家の出の、どの立場とも知らぬふたりが、一目で恋に落ちたなら。
たまたま出会って離れていてもその存在を支えとする、そんなふたりが再会して結ばれる初恋ストーリーです。

大恋愛の後始末
mios
恋愛
シェイラの婚約者マートンの姉、ジュリエットは、恋多き女として有名だった。そして、恥知らずだった。悲願の末に射止めた大公子息ライアンとの婚姻式の当日に庭師と駆け落ちするぐらいには。
彼女は恋愛至上主義で、自由をこよなく愛していた。由緒正しき大公家にはそぐわないことは百も承知だったのに、周りはそのことを理解できていなかった。
マートンとシェイラの婚約は解消となった。大公家に莫大な慰謝料を支払わなければならず、爵位を返上しても支払えるかという程だったからだ。
巻き戻される運命 ~私は王太子妃になり誰かに突き落とされ死んだ、そうしたら何故か三歳の子どもに戻っていた~
アキナヌカ
恋愛
私(わたくし)レティ・アマンド・アルメニアはこの国の第一王子と結婚した、でも彼は私のことを愛さずに仕事だけを押しつけた。そうして私は形だけの王太子妃になり、やがて側室の誰かにバルコニーから突き落とされて死んだ。でも、気がついたら私は三歳の子どもに戻っていた。
お姉様のお下がりはもう結構です。
ぽんぽこ@書籍発売中!!
恋愛
侯爵令嬢であるシャーロットには、双子の姉がいた。
慎ましやかなシャーロットとは違い、姉のアンジェリカは気に入ったモノは手に入れないと気が済まない強欲な性格の持ち主。気に入った男は家に囲い込み、毎日のように遊び呆けていた。
「王子と婚約したし、飼っていた男たちはもう要らないわ。だからシャーロットに譲ってあげる」
ある日シャーロットは、姉が屋敷で囲っていた四人の男たちを預かることになってしまう。
幼い頃から姉のお下がりをばかり受け取っていたシャーロットも、今回ばかりは怒りをあらわにする。
「お姉様、これはあんまりです!」
「これからわたくしは殿下の妻になるのよ? お古相手に構ってなんかいられないわよ」
ただでさえ今の侯爵家は経営難で家計は火の車。当主である父は姉を溺愛していて話を聞かず、シャーロットの味方になってくれる人間はいない。
しかも譲られた男たちの中にはシャーロットが一目惚れした人物もいて……。
「お前には従うが、心まで許すつもりはない」
しかしその人物であるリオンは家族を人質に取られ、侯爵家の一員であるシャーロットに激しい嫌悪感を示す。
だが姉とは正反対に真面目な彼女の生き方を見て、リオンの態度は次第に軟化していき……?
表紙:ノーコピーライトガール様より

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる