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出会い
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今日は王立図書館に来ました。私は専門家とまでは行きませんが、錬金術でポーションを作る事が出来るので、色々な素材を知る為にこうして図書館には度々来ているのです。
…あと数センチ…何とか届かないかしら?
必死に手を伸ばすより、大人しく台を借りた方が良さそうです。
「これかな?」
後ろから伸びた手が、私が読みたい本を手に取りました。
「…っ!ありがとうございます」
「いや。私もポーションに有効な薬草を調べに来たからね」
突然現れて本を渡してくれた方は体格も良く、錬金術師には見えませんが。
素朴な印象の方ですが、服の上からでも良く鍛えられた方というのが分かります。
「でしたら、この図鑑に載っているかもしれませんわ。私も幾つか知っていますし」
それからは、ポーションの話題で盛り上がりました。その方は戦う専門なので、錬金術は使いませんが、自領の為に使える素材を調べたいと話していました。
雇いの錬金術師は高齢で、彼の為にも代わりに採取する事もあるとか。
楽しい時間を過ごしましたが、うっかりお名前を伺う事なく別れてしまいました。
その事に気がついたのは、自宅であるアレシス伯爵家の門を抜けてからでした。
お父様に呼ばれ、執務室に行くと、婚約を打診されました。
お相手はマイス侯爵家のハリス様。驚きです。
「本当に私…ですの?」
ハリス様は派手好きで、私のような地味な女を望むとは考えられません。
「ああ…間違いない。私も最初はシーナかと思ったが…とにかく、この事はシーナには秘密だ」
そうですわね。ハリス様はシーナの好みにも合っていますし、知ったら何かしらやらかしてくれるのが目に見えています。
相手は侯爵家です。無礼な事は出来ませんわ。
…あと数センチ…何とか届かないかしら?
必死に手を伸ばすより、大人しく台を借りた方が良さそうです。
「これかな?」
後ろから伸びた手が、私が読みたい本を手に取りました。
「…っ!ありがとうございます」
「いや。私もポーションに有効な薬草を調べに来たからね」
突然現れて本を渡してくれた方は体格も良く、錬金術師には見えませんが。
素朴な印象の方ですが、服の上からでも良く鍛えられた方というのが分かります。
「でしたら、この図鑑に載っているかもしれませんわ。私も幾つか知っていますし」
それからは、ポーションの話題で盛り上がりました。その方は戦う専門なので、錬金術は使いませんが、自領の為に使える素材を調べたいと話していました。
雇いの錬金術師は高齢で、彼の為にも代わりに採取する事もあるとか。
楽しい時間を過ごしましたが、うっかりお名前を伺う事なく別れてしまいました。
その事に気がついたのは、自宅であるアレシス伯爵家の門を抜けてからでした。
お父様に呼ばれ、執務室に行くと、婚約を打診されました。
お相手はマイス侯爵家のハリス様。驚きです。
「本当に私…ですの?」
ハリス様は派手好きで、私のような地味な女を望むとは考えられません。
「ああ…間違いない。私も最初はシーナかと思ったが…とにかく、この事はシーナには秘密だ」
そうですわね。ハリス様はシーナの好みにも合っていますし、知ったら何かしらやらかしてくれるのが目に見えています。
相手は侯爵家です。無礼な事は出来ませんわ。
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