上 下
5 / 11

離別

しおりを挟む
    わたくしの事で意見が別れてからでしょうか。お父様とお母様の仲が最近よろしくありません。

    思ったのですけれど、国外追放なんて、家族に黙って行われる訳はないのですわ。もしかしたら、婚約破棄されたわたくしに用はないと、お母様が同意されたのかもしれませんわね…

    なんて、一度疑ってしまうとどんどん悪い方に考えてしまいます…だめですわね。

    あれから半年、アベル殿下の誕生日パーティーの招待状が届きましたが、参加資格があるのは婚約者のいない者。なので、わたくしは関係ないはずなのですが、お母様が何とかわたくしの機嫌を取って行かせようとするのです。

    勿論、頑として拒否しましたが。
    あんな思い、2度とごめんですもの。

    アージェ様の取り巻きだった方々。まだアール男爵が爵位を頂く前なので、パーティー等で出会っても、至って普通の方々ですわ。勿論アージェ様自身に会う事もありません。

    アベル殿下の時は迎えにだけ来て後は放置だったので、丁寧にエスコートされるのは慣れていませんの。
    だから2度目の人生とはいえ、この手の事には不慣れなのです…他の方々は、こんな風に愛を囁かれたりしてるのでしょうか?
    だとしたら、皆様強靭な神経の持ち主なのですね…わたくしはどうしても顔が火照ってしまい、俯いてしまうのです。

    勿論、言って下さる事はとても嬉しいのですけれど。

    そうしてアベル殿下との交流など全くないまま、時が戻ってから10年の月日が経ちました。

    前回ではなかった事で最も大きな事は、両親が離婚して、お母様が実家の伯爵家に返された事です。
    原因は、お母様の浮気です。わたくしの事でお父様は不信感を抱き調べた所、やはり側妃様と通じあっていた事が分かり、わたくしの事よりも側妃様を優先するお母様に愛想が尽きたようです。

    以来、まともに話し合う事すらなくなり、淋しさから家の従者とそういう関係になったそうです。
    家でそんな事があればお父様が知らずにいる訳はないので、離婚となりました。

    原因の一端はわたくしにもありますが、これで無理にアベル殿下との交流を強制される事はなくなりました。

    一緒の学園に通う事にはなるのですが、なるべく接点を持たないようにしたいと思っています。

    
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

婚約者の断罪

玉響
恋愛
ミリアリア・ビバーナム伯爵令嬢には、最愛の人がいる。婚約者である、バイロン・ゼフィランサス侯爵令息だ。 見目麗しく、令嬢たちからの人気も高いバイロンはとても優しく、ミリアリアは幸せな日々を送っていた。 しかし、バイロンが別の令嬢と密会しているとの噂を耳にする。 親友のセシリア・モナルダ伯爵夫人に相談すると、気の強いセシリアは浮気現場を抑えて、懲らしめようと画策を始めるが………。

【完結】反逆令嬢

なか
恋愛
「お前が婚約者にふさわしいか、身体を確かめてやる」 婚約者であるライアン王子に言われた言葉に呆れて声も出ない レブル子爵家の令嬢 アビゲイル・レブル 権力をふりかざす王子に当然彼女は行為を断った そして告げられる婚約破棄 更には彼女のレブル家もタダでは済まないと脅す王子だったが アビゲイルは嬉々として出ていった ーこれで心おきなく殺せるー からだった 王子は間違えていた 彼女は、レブル家はただの貴族ではなかった 血の滴るナイフを見て笑う そんな彼女が初めて恋する相手とは

死に戻るなら一時間前に

みねバイヤーン
恋愛
「ああ、これが走馬灯なのね」  階段から落ちていく一瞬で、ルルは十七年の人生を思い出した。侯爵家に生まれ、なに不自由なく育ち、幸せな日々だった。素敵な婚約者と出会い、これからが楽しみだった矢先に。 「神様、もし死に戻るなら、一時間前がいいです」  ダメ元で祈ってみる。もし、ルルが主人公特性を持っているなら、死に戻れるかもしれない。  ピカッと光って、一瞬目をつぶって、また目を開くと、目の前には笑顔の婚約者クラウス第三王子。 「クラウス様、聞いてください。私、一時間後に殺されます」 一時間前に死に戻ったルルは、クラウスと共に犯人を追い詰める──。

夫は魅了されてしまったようです

杉本凪咲
恋愛
パーティー会場で唐突に叫ばれた離婚宣言。 どうやら私の夫は、華やかな男爵令嬢に魅了されてしまったらしい。 散々私を侮辱する二人に返したのは、淡々とした言葉。 本当に離婚でよろしいのですね?

初夜に前世を思い出した悪役令嬢は復讐方法を探します。

豆狸
恋愛
「すまない、間違えたんだ」 「はあ?」 初夜の床で新妻の名前を元カノ、しかも新妻の異母妹、しかも新妻と婚約破棄をする原因となった略奪者の名前と間違えた? 脳に蛆でも湧いてんじゃないですかぁ? なろう様でも公開中です。

選ばれたのは美人の親友

杉本凪咲
恋愛
侯爵令息ルドガーの妻となったエルは、良き妻になろうと奮闘していた。しかし突然にルドガーはエルに離婚を宣言し、あろうことかエルの親友であるレベッカと関係を持った。悔しさと怒りで泣き叫ぶエルだが、最後には離婚を決意して縁を切る。程なくして、そんな彼女に新しい縁談が舞い込んできたが、縁を切ったはずのレベッカが現れる。

新しい人生を貴方と

緑谷めい
恋愛
 私は公爵家令嬢ジェンマ・アマート。17歳。  突然、マリウス王太子殿下との婚約が白紙になった。あちらから婚約解消の申し入れをされたのだ。理由は王太子殿下にリリアという想い人ができたこと。  2ヵ月後、父は私に縁談を持って来た。お相手は有能なイケメン財務大臣コルトー侯爵。ただし、私より13歳年上で婚姻歴があり8歳の息子もいるという。 * 主人公は寛容です。王太子殿下に仕返しを考えたりはしません。

誤解されて1年間妻と会うことを禁止された。

しゃーりん
恋愛
3か月前、ようやく愛する人アイリーンと結婚できたジョルジュ。 幸せ真っただ中だったが、ある理由により友人に唆されて高級娼館に行くことになる。 その現場を妻アイリーンに見られていることを知らずに。 実家に帰ったまま戻ってこない妻を迎えに行くと、会わせてもらえない。 やがて、娼館に行ったことがアイリーンにバレていることを知った。 妻の家族には娼館に行った経緯と理由を纏めてこいと言われ、それを見てアイリーンがどう判断するかは1年後に決まると言われた。つまり1年間会えないということ。 絶望しながらも思い出しながら経緯を書き記すと疑問点が浮かぶ。 なんでこんなことになったのかと原因を調べていくうちに自分たち夫婦に対する嫌がらせと離婚させることが目的だったとわかるお話です。

処理中です...