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決戦!

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    見上げる大きさだけど、君がまともに動けないのは知っているのさ。

    まずは、遠距離からのホーリーレイン!外しようがないけど、決定打にも欠ける。
    反撃のブレスを弾く為に、結界を何重にもかける…ふう。紙一重だ。

    よし!次!生命力を奪う呪い!…あれ?

「何やってるのよ!あいつが生命力あるように見える?」

    むしろマイナス?なら何で生きてる?のさ!

    お…向こうからも呪いが…でも状態異常無効の私には効かないよ!
「え…回復効果、無効?!そんなのアリ?」
「ミノリ!撤退して!」
「そうよ!危険だわ!」
「これでダメだったらね…!」
    ブラックホールが、体の一部を抉り取る。
「もう…!いい加減に死んでるんだから、成仏しなさいよ!」
    アンデット浄化の魔法…!抉れた所が、キラキラしてる。
    よし!ブラックホールもう一発!大玉で!

「…よし!」
    文字通り、塵も残さず、だ。
    ちょっと後ろの山とか崖も無くなったけど、許容範囲!

「あはは…やった!」
「まだ終わってないわよ?この辺の浄化。それに町全体もね!」
「うう…もう魔力なくて…手伝って?」
「はぁ…もう。最後が締まらないわね!」

    そんな所がミノリらしいのだけど。
    町に戻り、浄化をかける。町全体にかけられるけど、畑や井戸は、入念に。
    よし…果物の木を植えよう。オリーブもね。
    そして、ドラゴンを倒した事を伝えると、みんな本当に嬉しそうに喜んでいた…苦労した甲斐があったな…そうだ。温泉も作らないとね!

    子供達もワーッと出てくる。外が余程嬉しいのだろう。走り回っている。転んだ子供の傷は、レッドさんが治している。
「凄い進歩ですね…!教えて良かったです!」
「はい…でもまだ、石化は治せなくて」

    治せなかった人達を呼んでもらい、治す。
「これからは毒が発生する事もなくなると思うので、石化する人もいなくなると思います。でも、後から染みだしてきたり、どこかに残っている可能性はないとは言い切れません」

「その時までに使徒様のように、毒を消せるように、魔法を頑張ります!」
「そっか…頑張って下さいね」
    皆さんに温泉の説明をして、清潔を保つ事がいかに重要かも話す。皆さん切実だ。
    今まで毒という理不尽な物に苦しめられてきたから特にね。
    
    それと、レッドさんのように魔法を使えるようになりたいという人が多数。
「向き不向きがあるので一概には言えませんが、なるべく通って教えていこうと思ってます」

    種類別の教本みたいのがあれば…お姉ちゃんのお陰で、薄い本の作り方は分かるし…

    始まりの町に移動して、コルンを探したら…お母さんになっていた。時が経つのは速いな…
「うわ…ちっちゃい!目の色はお父さん似だね。顔の感じはコルンだけど」
「良く言われる…ミノリ、疲れてない?無理してない?」
「コルンの方が疲れてそうだけど」

「この子…アキの為に頑張った結果だから、幸せな疲れだよ。これから温泉入ろうかと思って…ミノリも入る?」
「入るよ!」
    ひと仕事終えた所だし、今日はこのまま寝てもいいかな。
    温泉に浸かりながら、お乳タイムに入ったコルンを見る。

「ね…変な事聞いていい?自分が食料品になるってどんな気分?」
「本当に変な事聞くのね…アキには私が必要だって感じられて、嬉しいよ?」

「嬉しい…か」
    精霊達は、みんな私の魔力を糧にしている。それは当然の事だと理解していた。…まあ、私にとってみんな大切な家族だからね。何かと口煩いミカルもね。
「ミノリは…何かもう、ミノリはそれでいいって気がしてきたよ。恋愛とか、どこかの町で家庭を持つとか…ちょっと今のミノリには考えられないかな…ね、ミノリはこれからもあちこち行ったりすると思うけど、いなくなったりはしないよね?たまに元気な顔、見せてくれるよね?」

    まあ…今日は危うく死にかけたけど、生きてるし…恋愛は、奴のせいで始まる前に終わってたし!…結婚詐欺的な?ううん!恋なんてしてない!ちょっとイケメンに優しくされて、舞い上がっただけ。

「コルン、先に出るね」
    ドライでさっと乾かして、パン1…はちょっと恥ずかしいから、タオルだけ巻いて、部屋に戻る。
「…!き…」
「ん?…よお、お帰り」
「呑気に挨拶するなー!」
    ソファーにゴロリしてたトールに、蹴りを一発入れた後、ゆったりとしたワンピースをさっと着る。
「いてて…いきなり蹴りとか、扱い酷くないか?」
「もう…いっつも予告なしに現れて!来ない時はずーっと来ないくせに!…見えた?」

「何が?…てか、今更じゃん?体作ったの俺だし」
「それでもデリカシーが足りない!てか、どうせ色々成長なんてしてないけどさ」

「いやいや。ドラゴンゾンビが倒されて、驚いたから来たんだけど…ミノリこそ、何かあれば俺、来てたじゃん?危機感なさすぎ」
「う…」
「お…中級ダンジョンもクリアしたんだな?…食の力は偉大だな」

    トールは、空のグラスを私の目の前に置いた。
「何…?トールなら、自分で簡単に作れるでしょ?」
「いいから。あ、ツマミも欲しいな!」

    この人は…ほんっと、何考えてんだか。
    この前のフライの残りを並べて、グラスに魔力を注ぐ…おお。結構作れるようになったな…てか、結局人に作らせて飲むんかい!

「うん…旨い。あと少しだな。…あとさ、直接指導するのは代表者だけにして、個人にはその人に任せてさ、ミノリはもう一歩引いて、全体を見定める位になれれば理想的だな」

「んー…校長先生的な?」
「そうだな…教科書的な物は作らないといけないけど、俺の書いた本みたく、何から何まで書く必要はないぞ?ヒントだけでもいい位だな」

「…薄い本程度でいいのかな?」
「薄い本?…まあ、あとは人は勝手に進化していくもんだし」

「私は、要らなくなるのかな?」
「要らない訳ないだろう?ミノリが死んだらバルスも滅びる。この状態になってもだ。そこの所考えて、行動するように…上級ダンジョンなんて、今更挑んでも、得るものはあまりないと思うぞ?」

「あー…虫とか蛇とか沢山出そうだから…行かないと思う…って、笑わないでよ!誰にでも苦手な物位あるでしょ!」
「いや…ごめん。実はバルスで最強なのに、虫が怖いとかさ!あの台所に現れる奴は、踏めば終わりだろ?」
「生理的に受け付けないの。蛇も、にょろにょろしてる所が嫌い」
「そう…旨かった。また来るよ」

「来る前にメール!一方通行なんだから、それ位気をきかせてよ」
「あー…だって俺、ああいうの持ってないし、電波もないのにどうやってやり取りしろと?」
「へ?…あー。何か神様的な力?まあ、いいや…トールに乙女のデリカシーが理解出来ると思えないし」
「ぶっ…」

「似合わない事言ってる自覚はあるから、そこで笑わないでよ!」
「はいはい。…またな。無理するなよ」
    トールはいつものように、フッと消えた。

    今日はちょっと、神様っぽかったな…




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