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結婚と、ノワール

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    そういえば、この世界に来てもう一年経つんだな…
    元の世界で生きていれば私も中2。ちょっとは成長…したのかな?測りようがないな。
    胸元は寂しいまま…いや、これからだし!

    これからノワールがいるかもしれない所に行くんだ!
    村を襲った魔物がいるかは分からないけど、それなりに私も強くなったし、仲間も増えた。特にアイシクルとサンダーはかなり強い。頼りにさせてもらおう。
    始まりの町から南だから、そこから行こう。ついでに様子を見てね。
    頑丈な建物が増えつつある。畑ではじゃがいもや、蕪が育っている。
    それと小麦だね。製粉する為の物も幾つか出来ているし、私の力に頼らずとも自炊できている。
「村長さん、欲しい種や苗木はありますか?」
「ミノリ様、実はもう少し果物の木が欲しいと…ワインにする為のブドウを」

    嗜好品、必要だよね…
「なら、この畑一面に植えますね!」
    私も手慣れた物だ。考えずとも土を柔らかくし、均等になるように苗木を植える。水もまくけど、最初だけでいいかな?どれ位の木でどんな量が出来るか分からないから、また様子を見にこよう。

「あ、コルン!」
    クスさんと歩いている…お邪魔だったかな?
「ミノリ!ちょっと見ないうちに…ええと」
    はい。変わってませんよ。コルンはちょっと大人っぽくなったかな?
「私ね…結婚する事になったの。クスと」
    同じ年齢位かと思っていたコルンは、一つ年上だ。けど…日本人の常識から考えると早すぎるよ…そりゃ、産み育てて行かなければ、人は増えていかない。クスさんは二十歳超えてそうだから、問題はないだろうけど…いや、年齢差!
「ふふ…私の魔法も、狩りの役に立てるようになったのよ。でもしばらくは無理できないけど」
    言いながら、そっとお腹をさする。
「ま…さか!赤ちゃんが?」
「そうなの。だから結婚するのよ」
    それって、出来ちゃった婚?なんというか…変化について行けないな。

「ミノリは結婚したりしないの?」
「いや…相手いないし」
「やっぱり使徒様だから?ううん…ミノリは忙しいものね」

    そうねー…はあ。
「お幸せに。また来るよ」

    村から少し離れて、アイシクルに乗る。

    マップには家が建っているように見えるけど、跡地だったんだね…

    鬱蒼と茂る森には道もなく、アイシクルに乗ると狭く感じたので、降りて歩く事にした。
    狭いだけじゃなくて、魔物の気配も感じるし、降りて正解かも。

    ここ、本当に暗い。恐らく世界樹が生える前からこの状態だよね…っと。
    突然襲いかかってきたタイガーウルフを避けつつ、風の槍を振るう。
    長手の武器は不利かな…虎柄の狼は、食用には向かないので、後で毛皮だけ剥ぎ取ろう。

    うわ…フォレストバイパーか…蛇は要らないけど、食べられるから、どこかの町に持って行こう。

    気が抜けないな…奥に進むにつれて魔物も強くなっている。
    でも、マップからすると、もうすぐだ。

「ガアッ…!」
    うわわっ!赤虎だー!

    こいつ…強い!魔法も跳ね返す!
    そして、空中を足場にして攻撃するなんて、チートな虎だ!羨ましくはない。サンダーも似たようなスキル使ってるし、着地点を狙って私も槍や魔法で対応出来て…いる?
    他の精霊達も護り第一に対応してる。

    また空中から!…その時、虎が不自然に姿勢を崩した。
    よし!そこを狙って集中攻撃だ!

    何とか倒せた…きっつい…あ!岩塩だ。
    岩の層が塩になっている。昔は掘っていたのか、採掘の跡が残っている。

    折角だし、持って行こう。海水から定期的に塩は作っているけど、やっと魔物も倒した事だし…ずっと居たんだね…塩が好き、とか?

    坑道の奥に佇む女性がいた…ううん、精霊だ。人の気配じゃない。
「あなたが、ノワール?」
「…!は、はい…使徒様」
    怯えてるけど、脅してないよ?
「私はミノリ。契約してもらっていい?」
「あの…でも、私など、何のお役にも立てないかと」
「ううん。闇魔法って難しいのが多いし、デバフで使えそう。サポートして貰えると嬉しいな…だめ?」
「だめ…など…」
「ああもう!ミノリがあんたも必要だって言ってるのよ!そうしたら、このバルスの為に、答えははい、だけでしょう?」
「あ…はい。どれだけお役に立てるか分かりませんが、上位精霊なので、闇魔法を極めたら暗黒魔法を授ける事が出来ます…暗黒魔法には、強力な高位魔法が多いので、戦力を上げる事が出来ます」

「ふんっ!怪我も治せて攻撃魔法もある私の方が絶対に役に立てるわよ!」
「ひっ…み、ミカル…そう、ですね。当然です」
「あんたね!そうやって卑屈になる所が余計に頭に来るのよ!」
「はい…ごめんなさい」

「ミカル、喧嘩はだめだよ!…それよりもさっき、魔物と戦っている時…誰のサポートだったんだろう?」
「私達ではありませんわ。そんな事より、そろそろ邪神跡地を抜けて次に行く事を考えねばなりませんわ」

「確かに…あと、この大陸の外、島にも町らしき物が見られるんだよね…船が必要かな」
「そうね…あの魔物のように、空中に足場を作るスキルもあるんじゃないかしら?詳しくは知らないけど」

    とにかく、次は大きな町かな。

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