(完結)異世界再生!ポイントゲットで楽々でした

あかる

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北に向けて

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    西の町には魔法を見ていた人が多くいる。それと同じように私もやって見せれば、魔法は特別な物ではなくなる。
    獲物はみんな今まで一括に管理され、分けられる方式だった。それも悪くはないけど、前町長のようになってほしくないし、武器をまともに扱える人も少ない。
    前町長に仕えていた人はもう、私に逆らう気はないようだし、戦う術はそれぞれに教えてもらうようにしよう。
    え?私?戦い方に関しては、素人だもん。スキルは取っても、熟練者には敵わない。魔物を拘束出来る子もいるけど、そこを私が槍でちょいちょいやって倒したのは戦いの経験とはいえない。
    レベルもまだまだ低いしね。

    ポイントで幾つか交換して渡し、剣の扱いを元兵士に見せてもらう。
    私は槍だけどね。でも、槍を扱う人もいたから、ちょっと指導してもらう。
「使徒様は、綺麗に槍は扱えています。私などより余程。あとは実戦ですね」
    その実戦が苦手なんだけど…レベルを上げつつ、やっていくしかないのかな。

    ここから更に西に進むと、大きな町があるみたいだけど、精霊達に止められた。邪神城跡があって、この辺の魔物よりもずっと強いと。

    あとは北の果てにも地図で見た限りはある。
    今は町の間に交流が全くないらしい。
    馬も昔は飼育されていたみたいだけど、今は全然。

    馬がいてもきっと乗れないし、馬車もない。

    北の町に行く為には、山脈を超えなければならないようだ。…はあ…また山か。

「そういえばさ、来てくれた勇者に、みんな会ったの?」
「確かに強いけど、あれはないな」
「そうなのです…戦う力がない私は、水が欲しい時にだけ呼ばれていたのです」

「自分は聖剣で戦うから、魔法での援護や、その他の雑用は命令されて。やな奴」
「私達、みんなあいつが嫌いだったわ。魔力もちっとも美味しくないし」

「ホトス様が亡くなってから勇者が喚ばれたなら、スキルは?」
「トーラス様のご加護があったので、しっかり持っていましたわ。魔法も扱えた筈なのに、精霊は体のいい魔法要員という扱いでしたの」

「何か…大変だったんだね」
「今も大変ですわよ?あなたは弱すぎるから、フォローが」
「ミカル、不敬なのです」
「でも、ミノリは俺達を邪険にしたりしないし、魔法だって努力はしてる」

    微妙なフォローありがとう。でも事実だ。戦闘要員じゃないとはいえ、その辺を闊歩しているのだから、自分で対処出来るようにならないと。

    基本動作的なものは教えてもらったから、それは毎日少しずつでもやっていこう。
    あとは魔法。一撃で魔物を倒せるような魔法を使うには、やっぱり訓練が必要。その辺はミカルがビシビシ指導してくれている。

    とにかく、北だ。行き着くまでどれ位かかるか分からないけど、今までの町も巡りつつ、気長に行こう。


    え…山?これは山脈って奴だよね?これ…登るの?頂上付近は、白いんだけど。

    迂回ルートは…なさそう。魔物が強いエリアに近付く。

    防寒着は、ダンジョンで手に入れたウサギの皮で、コートを作ってもらえるように、お願いしている。
    この距離を移動する迄に、余裕で出来上がるだろう。

「ミノリ、進む前に一度ゆっくりと休んだ方がいいと思うのです。ミノリは毎日休みなく動いていて、疲れている筈なのです」

「ん?リカバリーで疲れは取れるし、毎日しっかりお風呂でマッサージもしてるし…お陰で取説を読む余裕もなく寝ちゃうけどさ」

    問題はそれだけだ。米も手に入るようになったから、大好きなご飯も食べられる。

「そろそろ作り置きのストックを増やそうかな」
    移動しながら食べるには、おにぎりが一番だ。

    コルンに、棒に巻き付けて焼いたパンも貰ったし。
    主食は、コルンの町でも西の町でも山の民の町でも、芋が一番手頃でよく食されている。あとは肉だね。
    確かに大変だけど、私の分位なら、魔法で精米まで出来る。土鍋で炊くのは大変だけど、そのうち魔道具の勉強もして、炊飯器は魔道具で作りたいな。

    この魔道具っていうのがまた複雑で、亜空間の部屋にある手書きの本を読む必要がある。
    あれからトールは来ないし、教わる事も出来ないんだよね…

    便りがないのは元気な証拠。一応神様なんだし、病気なんかはしてないだろう。

    ストレッチでよく体を伸ばしてから、ゆっくりとお風呂に入る。
    そっか…この時間に読めば、寝る前に読める。
    有用なスキルがあれば、調べて取ってもいいし。

    ああ…どうして勉強をしようとすると、こんなに眠くなるのかな?
    文字が、読めるのに頭に入ってこない…あ。スマホを湯船に落とした。拾わないと…
    ゆらゆら揺れる水面が綺麗だな…

    アクアが焦って何かやってる?何…?

    湯が干上がり、ミノリは溺れる前に助けられた。
「ミノリは目が離せないのです。そして、自分の事に無頓着なのです」
    シルフィに体を乾かしてもらい、ドライアに蔓でベッドまで移動してもらう。
    と、唐突にトールが現れた。
「警報鳴ったから来たんだけど…?寝てるな」
    生命に関わる危険を察知した時は、加護の繋がりを利用して、知らせが来るようにしていた。

    手を翳してミノリを見て、大きくため息をつく。
「…真面目かよ。いや、そういうのを選んだのは俺だけどさ…せめて精神の疲れは魔法じゃ治らない事は理解して欲しかったな…」
    ふわりと、暖かい光がミノリを包む。
「精霊達、俺が許すから、もっとミノリに注意してやって。人は脆いものだし…ミノリは色々理解が足りてないみたいだから」
     神妙に頷く精霊達に満足して、トールは先程とは違う力をミノリに入れる。と、フッと消えた。



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