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海遊びと思わぬ強敵

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    外は夏本番!暑い日々が続く。

「ふむ…この気温なら、泳いでも良いのではないか?」
「なら、コンブーでも採りに行く?」
「それでも良いのだが…あそこは魚がいないからな」

「えええ…」
    遊びたい訳じゃなくて、目的は食べる方?

    海にも魔物がたくさんいるこの世界では、誰も水遊びなんてしないから、凄く目立つと思う。
「待って…なら、無人島でも探してみるよ」

    検索して、そこにドローンを送り込んで、その場所を把握する。

    遊びに行くのに神力を使うはめになるとは思わなかったけど、そのうち回復するし、いいよね?
「綺麗な島だね…船も見当たらないし、みんな元の姿でもいいよ?」
「うにゃ…どの道にゃーは水が苦手にゃ…島を探険してくるにゃ!」
「ならボクも。海水はちょっと…無理そうなの」

「そっか…2人共ごめんね。何かあったら呼んで?」
   
    私とアロカシアは水着を着て。ランスは元の姿で犬かきしてる。
「アロカシア、蟹がいるかもしれないから、それは食べないで料理に使おう?」

    硬い甲羅に守られてても、アロカシアならあっさり噛み砕きそうだ。
「承知した」

    魔物だけあって、魚は逃げずにむしろ寄ってくる。
    見た事のない魚は看破して、毒のない魚だけを仕留める。

    看破    イエロージュエルクラブ    ブルージュエルクラブの進化系。茹でると甲羅が黄金に輝く。美味

    看破    砂ガザミ    砂に潜り、獲物を狙う。

    看破    シーイール    非常に攻撃的なので、注意

    見た事のない種類がいっぱいだ!最後のシーイールは、アナゴというよりはハモだね。がっつり咬まれたけど、あっという間に回復してしまった。

(主!何故身を守らない?!)
(あー。何か嬉しくて、結界解けてたよ)
    だってさ、農園の海では見られない物ばかりだし…恐らく生態分布が違うのだろう。
(まあいいじゃん?痛いけど回復しちゃうしさ)

    アロカシアには結界も必要ないから余裕だろうけど、魔法の継続には感情が左右されるんだよ。
    偉そうな事考えてるけど、食べる方にしか思考が向いてないのは威張れない。

    てか…あれ?空気飴、無くなってた?…苦しくない…と、とにかく空気飴を舐めよう。

    私…ちょっと変?睡眠時間も短いし、食事抜いても平気だし…

    考えるのやめ!何か怖いから。

    そうしてしばらく狩りを楽しんでいたら、シュガー達から恐怖の感情がながれ込んで来た。
    アロカシアとランスも急いで海から上がり、私はランスに乗ってパスの繋がる方に急ぐ。

    何か凄いのが居る!胴体は竜。そして首が9本生えていて、それぞれに色が違う。

    看破    九頭竜    ドラゴン変異種で、唯一種。昔邪竜と恐れられた種の生まれ変わり。それぞれの頭に固有ブレスがあり、白銀の頭を叩かないと復活する

    アロカシアも竜の姿になり、攻撃を受けているシュガー達から気を逸らす。

「みんな!先に銀色のを狙って!」
    だけど、違う首が邪魔してくる。そして他の首が受けたダメージは、白銀の奴が回復してしまう。

    ちっ…隙がない。全ての頭で思考して、的確に狙ってくる。
    私が一番弱いのが分かるからか、狙い打ちしてくる。結界で防げるけど、常に張っておく訳にはいかない。
    多重思考で幾つも魔法を展開しつつ、素早さを活かして狙う。…復活までには少し時間がかかるようだ。

    黒の頭の破壊光線!…うそ!結界を破壊した!
    あ、足が…私の足が消し飛んだ!…げ。見てしまった…足が生えてくる所を。魔物の再生は見た事あるけど、自分のは…ホラーでしかないな。

    みんな、私の怪我に動揺してるけど、そんな場合じゃない!
「メタル、手伝って!」
    もう一人の近接戦闘のプロを出して、私は相手の戦力を削る事にする。呪いだ。

    目に見えて動きが悪くなる。その隙に、アロカシアのブレスが青い首に当たる。
「くっ…余計な首が邪魔だ!」

    空を翔るランスの爪が、白銀の竜の目玉を抉る。
「よし…なら私は」
    呪いの集中。目玉は再生しない。
    フレイムの業火は鱗に阻まれている。もう…鱗が無ければ消し炭になっていたのに!

    空間が歪み、誰かが落ちて来た。あれは…!
「悪い!ちょい遅れた!」
「ラスカーム?!」
    戦神ラスカーム。しっかりと実体化している。
「俺は元人間だからな…そん時の感覚が残ってるのさ」

    一気に距離を詰めて大剣を振るう!赤と緑の首が一気に落ちた。

    形勢逆転!シュガーもヒラリヒラリと現れては消えて、九頭竜の意識を私に向けさせないようにしてくれてる。

    再度の呪いが当たる前に呪いは消え、頭が生えてくる。
「メイ!もう一度だ!」
    言われなくてもやってる!
    白銀の頭に呪いを当てた!これで、回復を阻害する事が出来るだろう。

    黒い頭が私に視線を向ける。

    ラスカームが来てくれてほっとして、気が緩んだ事は確かにあった…けれどその緩みは致命的な隙となってしまった。

    全てを消し飛ばす破壊光線が私の腹部に当たるのを、ただ、見ているしか出来なかった。

「主ー!」
「「「「メイ!」」」」
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