(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅

あかる

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天空の塔ダンジョン 12

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    スマホ農園から戻ったら、みんなもお土産を持って来てくれていた。肉中心で、山菜も少し入っていた。

「みんな、夕ごはんは天ぷらだよ。とり天もあるから安心して」
「山菜にゃ?キノコもあるにゃ」
「不思議なの。どうして春の山菜もあるのか」

「スマホ農園の中にも森があるんだよ。今までは入れなかったけど、入れるようにしたの」
「凄いな、メイは」
    只の、食いしん坊の我が儘だよ。

    というか、大好きな眷属達には美味しい物をお腹いっぱい食べて欲しいじゃん?

「あれ?フレイム。アホ毛が金色になってる?」
「あ…アホって、酷いの。突然何の事?」
「この、ぴょんって跳ねてる毛の事を言うんだよ。今まで全部赤だったじゃん?」
    フレイムに鏡を渡すと、首を傾げながら、頷いている。

「でもこれは、仮の姿だし」
    フレイムが人化を解く。相変わらず派手な配色だ。でも、冠羽が金色になってる。
    今までどうだったかは、正直覚えてないけど。

「冠羽、今まで金色だったっけ?」
(覚えてないの)
    また人化しても、赤い髪に金色のアホ毛…後ろのふわふわ毛は赤だけど。

「染めている者もいるし、特に目立ちはしないだろう」
    赤い髪の人だって結構いるし、ランスの髪色が変わった時も、何も言う人はいなかったし、ヤブランもね。
    逆に金髪の人は多いから、却って目立たない。

「自分で思うより、他の人って自分を注目してないよね」
「にゃー達も、他の冒険者は気にならないにゃ」
    私も、背が伸びてからはギルド内でもあまり注目されないし。


    次の日からは、またダンジョン探索だ。念の為に採掘ポイントを確認したら、燃焼石だった。やっぱり日替わりらしい。

    45階層に行ったけど、エルフ少女はいなかった。また会いたいな…今度は精霊視をオンにして見てみたい。
    妖精族と精霊は仲良しだもんね。

    とりあえず麦の収穫だ。主食は大事だよね。
「それはスマホでも採れるのではないか?」
「一応、スマホ農園では種を買うのにお金がかかるんだよ」
「…主のスキルなのに、金がかかるのか…」
    いや、そういうゲームだし、ゲーム内でのお金だけど。

「でも今は、種とか調味料位にしかお金はかかってないから、楽々だよ」
    設備投資が一番お金がかかるからね。
    普通の家から豪華な家にするっていうのはまだ出来るけど、やる意味はない。だって、寝たらゲームから出ちゃうんだから、どう足掻いてもそこで生活出来る訳ないからね。

    麦をしっかり収穫して、46階層に向かう。
    魔物は、ウォーターベア。ドロップアイテムは、毛皮か魔石だ。
    水を弾く性質があるから、ブーツにするのに重宝する。
    この機会に新調しようかな。へたってきたし、足も大きくなったからね。

「にゃーも新しいブーツ欲しいにゃ。足音を立てずに動くには、ブーツにも気を使うにゃ」
「そうだね。他のみんなも、変えた方がいいよね」
「我は裸足で充分なのだが…履かないと変だからな」

「生息地を調べて普通に毛皮を手に入れた方が早いの」
「確かに」

    皮を集めつつ、階段を探す。おや…人の気配。だけど、向こうも気配察知のスキルを持っているのか、あっという間に気配は消えてしまった。
「私達…避けられてる?」
「エルフ族なら、あり得ると思う。住みかを奪われた一族だ」

「でもさ、空飛ぶ島に住んでるんだよね?なら、危険を冒してダンジョンに来る事はないんじゃないかな?」
「それは…分からんが」

    そういえば、普通の人族の冒険者は暫く見てない気がする。結構美味しい階層が多いのに。

「よし。階段だね」
    47階層。本格的な攻略は時間的に無理だけど、どんなお肉かは確認出来るだろう。

    グリーントータス…じゃなくて、シールドトータスだ!大きさは単純に倍以上あるし、強さも硬さも段違いに違う。
    その名の通り、シールドトータスの甲羅は大楯として優秀。
    売れば結構なお値段になるだろうけど、うちのメンバーでは誰も使わないし、大きさだって私の身長と変わらない位。これを持って帰れるのは、少なくとも空納の魔法を使えないと無理だろう。

    うん…でも、フレイムの水浴びに使えるかな?フレイムも、尾羽根を抜かしたら丁度いい感じの大きさかも?
    でも、幾つもは要らない。あとは肉を集めるだけだ。

「また亀鍋出来るね」
「うむ!たくさん集める!」
    うわー。張り切ってる。でも、鍋にすると野菜もたくさん食べてくれるから嬉しい。

「張り切ってる所悪いけど、そろそろ戻ろう?」
「そうだな!早速鍋を作ろう!」

    …まあ、いいけどね。鍋なら手間はかからないし。
「作ろうって言うなら、作ってくれるんだよね」
「ぐ…分かった。我に任せておけ」

    宣言通り、アロカシアが作ってくれた。野菜もたくさん出しておいたはずなのに、半分以上が亀肉だ。欲望に忠実。

    私はデザートを作ろう。りんごのジュレだ。一つ多く作って、出荷用にする。

    素材の味を活かしたさっぱりとした味。鍋で火照った体がすっきりする。
    私のデザートを見て、みんな一気に食べるスピードが増す。
「急がなくても、人数分あるよ」

    ほっとした様子で、残りの汁にうどんを入れて煮込みだした。本当にみんな、よく食べるな。

    私はもう満足だから、明日に備えてベッドに入った。
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