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天空の塔ダンジョン 11

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    ぶた玉は、おかずの一品になった。
    その他にも、ランス達が持ってきたワイバーン肉や、ミノタウロス、なんとキングの肉もある。
    噛むと肉汁が溢れて、肉自体はお口の中でホロリと溶けていく、最高の牛肉だ。

「ランスは本当に強くなった。我もうかうかしてられんな」
「へえ。ドラゴン越えちゃう?」
「む…それは難しいな。俺はまだ進化したばかりだし、それを目標にしたい所ではあるが」

「ふっ…我は日々成長している。それを越えたいと思うなら、更なる力を手に入れねばな」
「ふう…力、か」
「いや2人共、今でも充分過剰戦力だと思うよ?」
    単純に戦闘能力で見るなら私が一番弱い。それでもみんな、私を慕ってくれている。


「ふふーん。鱈ターラ」
   思わず謎の歌まで歌っちゃう。人の気配は、先の方に数人位?この前と同じ位だ。
    
「鯛狙いで来てる人いるかもしれないけど、ある程度取ったら先に行こうか」
「そうだな。鯛は人気がないのか」
「うーん。きっとみんな、ご飯を食べないで、パンやうどんばかりだからかも。鯛は骨も多いし」
「我は骨など気にならないが…そういえば、外で食べる時はご飯は無かった気がする」

    言ってしまえば、炊飯器の魔道具も私のオリジナルだし。
    パンを焼く魔道具はあるけど、パン屋さんの窯で焼いた方が、美味しい。

    深淵の森ダンジョンでも19階層だし…もっと浅い階層でもいいよね?

    鱈を集めながら、極たまに出てくる鯛も頂く。
    いつの間にか人の気配はフロアから消えていた。

    よし!次は42階層だ。あれ…フレイム?
「まだ階段登ってないにゃ?」
    鯛でも見つけて戦闘中とか?とりあえず降りてみよう。
「あ、フレイム。どうしたの?上に行くよ」
    フレイムはこてん、と首を傾げる。可愛いけど、とにかく魔法石には触れて貰わないと。
    メイは、フレイムと手を繋いだ。
「あれ…階段があったの?」
「え?…普通にあるよ?」
「そうなの?ボク、分からないうちにメイ達とはぐれたと思ったの」

    いやいや、そんな訳ないじゃん?
    とにかくみんなで上に登った。

「…やっぱり不思議なの。さっきは階段が分からなかったの」
「でも、認識阻害がかかってる様子は無かったよね?」
「ボーッとしていると、置いて行くぞ」
「ヤブラン、置いて行っちゃだめだよ」
    認識阻害は…ないけど、何かの仕掛けがあった気がする。

    改めて、42階層だ。え…ええっ?!いいの?偶数階層なのに、食べ物…しかもうなぎ!
    海岸ダンジョンより、太い気がする。

    看破    スーパーウナドン    ヌメヌメウナドンの上位種。ヌメヌメエキスは、更に保湿効果抜群、熱保持効果も有り

    スーパーって…うーん。どうせなら、スーパーの鰻丼より、老舗の鰻丼の方がいいな…って、そっちのスーパーじゃないよね。

    折角の鰻。しかも冒険者の姿はない。これは大量ゲットの大チャンス!えへへ…

    ヌメヌメエキスは、触れるとほんの少し痺れる。熱い?
    外気遮断の効果かな?痺れは状態異常と呼ばれる程の効果はないし、寒い時に手がかじかまなくなるかもしれない。

    うん…色々実験してみたくなった。それにヌメヌメは放っておくと乾燥してぐにぐにになった。ウナドンの捕獲はみんなに任せて、少しずつドライで水分を抜いてみると、シリコン素材のようになってきた。
「これは、凄い素材なの」
「だよね!あとは水に戻したらどうなるかとか、熱をかけたらどうなるかとか、確認したいよね!」

「メイ、フレイム…ここには誰もいないが、ダンジョンだ」
「ごめん、ランス。前回のヌメヌメエキスには無かった効果だから、気になっちゃって」

    ついにはカチカチのゴム玉みたいになった。僅かに弾む。

    看破    ヌメヌメスーパーの乾燥した塊    強度はあるが、水分を含むと元のエキスに戻る

    すぐに戻る訳じゃないみたいだ。じわじわと…状態保存の魔法をかけると、カチカチ状態が少し長くなる。付与にすれば完璧に長持ちするだろう。熱は…フレイムのブレスでも溶けない。

    フレイムと二人で実験に集中している間も、みんなで確実にウナドンの切り身を集めてくれる。

    水分以外、特に変化はしないみたいだな。器を作る事も考えたけど、その為に付与しておくのもな…でも軽くて丈夫。何かに使えそうだな。

「問題は、固まるまでどうやって象を維持するかなの」
「それね。確かに型を作っても、流れそうだし」

    でも、間違って食べてしまっても問題はなさそう。例えば銃弾。ゴム弾みたいになるけど、狙い所が良ければ動きを封じられるし、体内に残っても大丈夫。

    
「えへへ…」
「メイ、何か思いついたの?」
「後でね」

    今は狩りだ!ウナドンを狩って、鰻丼を作るぞー!

    私が狩りを始めると、フレイムも実験を止めた。
    海岸ダンジョンとは大違いだな。折角のウナギなのに、冒険者がいないなんて。
    私はギルドに売ったりしないよ?海岸ダンジョンは今、人が多すぎて自由に狩り出来ないからね!

    43階層への階段も見つけた。
食べられる魔物だと思いながら進むと、ミノタウロスだー!何でか分からないけど、嬉しい。
    魔法を交えてなら、私もミノタウロスと互角に戦えるようになった。ただ、ドロップするのは一部の牛肉だから、みんな不満そうだ。
「いっぱい食べたければ、あの場所に行けばいいんだよ。そのうち食べ尽くす可能性もあるけど」
「それはない。いくら我がたくさん食べても、尽きはしない。ただ、生息地は変わるかもしれないが」

    それはありそうだね。それにしても、ミノタウロスなんて凄く美味しいし、高く売れそうなのに、冒険者がいないなー?

    階段を登って来た時は、確かに人の気配を感じたけど、移動しちゃったみたい?
    偶々なのか、何か理由があるのか。
「きっと恥ずかしがりやにゃーよ?乙女の秘密にゃ」
「シュガー、それはこういう時に使う言葉じゃないよ…でも、女戦士の人がビキニアーマーで戦っていたら凄いね」

    実際、防具としてあるんだよね。着ている人は見た事ないけど、売ってるのは見た。
    防具としてはどうなんだろう?熱防御の付与は付いていたけど、着るのはかなり勇気がいるよね。アロカシアなら着ても問題なさそうだけど、冒険する時はヤブランになっちゃうからね。

    私は…文字通り、10年早いね。




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