142 / 166
天空の塔ダンジョン 8
しおりを挟む
みんなの頑張りで、かなりの食料が集まった。さて、何日保つか…
今日は、ランスが狩ってきてくれたミノタウロスで、牛丼でも作ろうかな。
はいはい、ヤブランのホタテも焼こうね。
「ヌメヌメウナドンは、相変わらず人だらけだったの。シジミーの所にも、冒険者がたくさんいたよ?」
「そっか。みんな最後で躓くみたいだけど、情報は渡したんだから、無理に行く方が悪いよね」
「みんなシジミーを卸してくれれば気軽に買えるのにね」
「じきにそうなるだろう。そうすれば、価格も落ち着く」
シジミーは高級食材だ。それでも、出始めよりは落ち着いてきたみたいだ。
冬の間にシジミーはたくさん集めたから、次の冬までもつといいな…冒険者がたくさんいると、魔法で一気に狩れないからね。
次の日。早朝に目が覚めたので、早速農園に行ってみる。
よし!クルミ箱の中には、クルミがいっぱいだ。
「メタル、殻を割るの手伝って」
いつもの通りに少しはそのまま出荷して、用意しておいたパン生地にクルミを混ぜて焼く。
出来たてのクルミパン。懐かしい味覚だ。
あとは、クルミの和え物も作ろう…でも今日の分はクルミパンでなくなったから、明日以降だね。
いつものテーブルロールが、今日はクルミパンだ。
「初めて見たな…うん。旨い」
「この前の苗木か?」
「そう。多分ね、私達しか食べられない物だよ」
「そうなのか?まあ、何でも一緒だな。主が作る美味しい物は我々しか食べられない」
「カシオブツのパンも、町で見た事ないにゃ?」
「アジタケとマヨネーズのパンね。そういえばお惣菜パンて、見た事ないよね。菓子パンも」
パンはあくまでも主食扱いだからかな?
せめてジャムパンとか、菓子パン類を売ればいいのに。
「さて、そろそろ行くか。冒険者達が集まる前に、階段を見つけたいだろう?」
「そうだね」
まだ冒険者が疎らだったので、ホタテはほぼ無視して、前に進む。向かってくるのだけ、ヤブランが殴って倒している。
「ん…?ちょい待って」
何か感じた気がした。
壁を念入りに調べてみる。やっぱり…薄い溝がある。引き戸だ。
「主、無闇に手を出されては」
「うん…でも罠の感じはしないよ?」
「にゃーも大丈夫だと思うにゃ」
横にがらっと引くと、宝箱がある。開けると、宝箱いっぱいに…海老?この世界では珍しい小型の海老だ。
看破 シロビー 新鮮。ほんのりと甘味がある。
おー。甘海老みたいだ。醤油を垂らして食べたい!
宝箱にずっと入ってたのに、新鮮なのかな?中は時間停止の効果があったりするんだろうか?
中身を出して、宝箱だけ見てみる。
看破 時間停止の付与された宝箱。空間拡張機能はない。
成る程ね…ちゃんと考えられているんだ。食べ物じゃないので、明らかに空間拡張された物とかあったしね。フレイムの槍とかは、きっとそっちの宝箱だろう。
でも、鑑定持ってない人は、食べようと思うのかな?艶々してて、見た目も新鮮そうだったけど、普通怪しむんじゃないかな。
食べ物でいいなら、宝箱に入れたいのいっぱいあるのに。
「やっぱりメイの美味しい物センサーは凄いにゃ」
「一応罠の応用だけど。危険発見とは逆で、利益がある物を見つける発想」
「その発想が凄いな」
うん。発想って言い方ならいいよね!良く聞こえる。
さて、先を急がないと。何の為に朝早く来たんだか分からなくなる。
よし!階段を見つけた。
「ヤブラン…せめて醤油を付ければお刺身として美味しく食べられるのに…てか、まさかもうお腹空いたの?」
「いや。前にも生で…お刺身?として食べたし、このままでも良いかと。あと、足りない訳ではなく…そう、何となく食べてしまったのだ…いけない事か?」
「お行儀は良くないけど、そこにお菓子があれば食べたくなる。その気持ちは分かるから」
つい休みの日とか、手が出ちゃうんだよね。
この程度の魔物だと、ヤブランの敵じゃないし。
32階層は、デスラット。神経毒持ちのネズミだ。ただし、かなり大きい。カピバラ位?あれもネズミだったね。
麻痺薬は、麻酔としても使える。耐性持ちには効かないけど、痛みを和らげたりは出来る。
麻痺の魔法と同じだから、使う事はないけどね。
魔石が出る事もあるんだ。それは嬉しい。
さあ、次はどんな美味しい物が出るのかな?
33階層。随分高くまで登ったもんだ。
魔物は、レッドブル。ドロップアイテムを見ると、かなり赤身の多い肉だ。そして、血の気が多い!何をそんなに興奮しているんだか…攻撃的な性格だ。
角で弾き飛ばされると、私なんて軽々と飛ばされる。
…ま、無傷で済むけどね。そして、次からはそうはいかない。
土魔法で足止めをしつつ、オリハルコンの双剣でとどめを刺していく。
「肉がいっぱい嬉しいにゃー!」
「でもシュガー、進化した後、食欲落ちてるよね?」
「もうにゃーは進化しないからかにゃ?最終形態にゃー!」
「そ…そうなんだ」
神様にゃんこはもう進化しないのか。確かにもう充分、強いもんね。
「我は最終形態でも食べる!成長期だからな!」
いや、ヤブランは進化してないじゃん…そして、私が大人になっても成長期は続くじゃん。
まあ、牛肉は嬉しいからたくさん集めるけどさ。
こんなに美味しい階層なのに、冒険者の姿は殆どない。
牛を探しながら倒して、何となく戦っていたら、階段に辿りついてしまった。
「大丈夫。今日はここの階層で肉を集めようね」
「さすが主。分かっている」
パスが繋がっていなかったとしても、こうもあからさまな表情の変化を見れば、考えている事位、丸分かりだよ。
今日は、ランスが狩ってきてくれたミノタウロスで、牛丼でも作ろうかな。
はいはい、ヤブランのホタテも焼こうね。
「ヌメヌメウナドンは、相変わらず人だらけだったの。シジミーの所にも、冒険者がたくさんいたよ?」
「そっか。みんな最後で躓くみたいだけど、情報は渡したんだから、無理に行く方が悪いよね」
「みんなシジミーを卸してくれれば気軽に買えるのにね」
「じきにそうなるだろう。そうすれば、価格も落ち着く」
シジミーは高級食材だ。それでも、出始めよりは落ち着いてきたみたいだ。
冬の間にシジミーはたくさん集めたから、次の冬までもつといいな…冒険者がたくさんいると、魔法で一気に狩れないからね。
次の日。早朝に目が覚めたので、早速農園に行ってみる。
よし!クルミ箱の中には、クルミがいっぱいだ。
「メタル、殻を割るの手伝って」
いつもの通りに少しはそのまま出荷して、用意しておいたパン生地にクルミを混ぜて焼く。
出来たてのクルミパン。懐かしい味覚だ。
あとは、クルミの和え物も作ろう…でも今日の分はクルミパンでなくなったから、明日以降だね。
いつものテーブルロールが、今日はクルミパンだ。
「初めて見たな…うん。旨い」
「この前の苗木か?」
「そう。多分ね、私達しか食べられない物だよ」
「そうなのか?まあ、何でも一緒だな。主が作る美味しい物は我々しか食べられない」
「カシオブツのパンも、町で見た事ないにゃ?」
「アジタケとマヨネーズのパンね。そういえばお惣菜パンて、見た事ないよね。菓子パンも」
パンはあくまでも主食扱いだからかな?
せめてジャムパンとか、菓子パン類を売ればいいのに。
「さて、そろそろ行くか。冒険者達が集まる前に、階段を見つけたいだろう?」
「そうだね」
まだ冒険者が疎らだったので、ホタテはほぼ無視して、前に進む。向かってくるのだけ、ヤブランが殴って倒している。
「ん…?ちょい待って」
何か感じた気がした。
壁を念入りに調べてみる。やっぱり…薄い溝がある。引き戸だ。
「主、無闇に手を出されては」
「うん…でも罠の感じはしないよ?」
「にゃーも大丈夫だと思うにゃ」
横にがらっと引くと、宝箱がある。開けると、宝箱いっぱいに…海老?この世界では珍しい小型の海老だ。
看破 シロビー 新鮮。ほんのりと甘味がある。
おー。甘海老みたいだ。醤油を垂らして食べたい!
宝箱にずっと入ってたのに、新鮮なのかな?中は時間停止の効果があったりするんだろうか?
中身を出して、宝箱だけ見てみる。
看破 時間停止の付与された宝箱。空間拡張機能はない。
成る程ね…ちゃんと考えられているんだ。食べ物じゃないので、明らかに空間拡張された物とかあったしね。フレイムの槍とかは、きっとそっちの宝箱だろう。
でも、鑑定持ってない人は、食べようと思うのかな?艶々してて、見た目も新鮮そうだったけど、普通怪しむんじゃないかな。
食べ物でいいなら、宝箱に入れたいのいっぱいあるのに。
「やっぱりメイの美味しい物センサーは凄いにゃ」
「一応罠の応用だけど。危険発見とは逆で、利益がある物を見つける発想」
「その発想が凄いな」
うん。発想って言い方ならいいよね!良く聞こえる。
さて、先を急がないと。何の為に朝早く来たんだか分からなくなる。
よし!階段を見つけた。
「ヤブラン…せめて醤油を付ければお刺身として美味しく食べられるのに…てか、まさかもうお腹空いたの?」
「いや。前にも生で…お刺身?として食べたし、このままでも良いかと。あと、足りない訳ではなく…そう、何となく食べてしまったのだ…いけない事か?」
「お行儀は良くないけど、そこにお菓子があれば食べたくなる。その気持ちは分かるから」
つい休みの日とか、手が出ちゃうんだよね。
この程度の魔物だと、ヤブランの敵じゃないし。
32階層は、デスラット。神経毒持ちのネズミだ。ただし、かなり大きい。カピバラ位?あれもネズミだったね。
麻痺薬は、麻酔としても使える。耐性持ちには効かないけど、痛みを和らげたりは出来る。
麻痺の魔法と同じだから、使う事はないけどね。
魔石が出る事もあるんだ。それは嬉しい。
さあ、次はどんな美味しい物が出るのかな?
33階層。随分高くまで登ったもんだ。
魔物は、レッドブル。ドロップアイテムを見ると、かなり赤身の多い肉だ。そして、血の気が多い!何をそんなに興奮しているんだか…攻撃的な性格だ。
角で弾き飛ばされると、私なんて軽々と飛ばされる。
…ま、無傷で済むけどね。そして、次からはそうはいかない。
土魔法で足止めをしつつ、オリハルコンの双剣でとどめを刺していく。
「肉がいっぱい嬉しいにゃー!」
「でもシュガー、進化した後、食欲落ちてるよね?」
「もうにゃーは進化しないからかにゃ?最終形態にゃー!」
「そ…そうなんだ」
神様にゃんこはもう進化しないのか。確かにもう充分、強いもんね。
「我は最終形態でも食べる!成長期だからな!」
いや、ヤブランは進化してないじゃん…そして、私が大人になっても成長期は続くじゃん。
まあ、牛肉は嬉しいからたくさん集めるけどさ。
こんなに美味しい階層なのに、冒険者の姿は殆どない。
牛を探しながら倒して、何となく戦っていたら、階段に辿りついてしまった。
「大丈夫。今日はここの階層で肉を集めようね」
「さすが主。分かっている」
パスが繋がっていなかったとしても、こうもあからさまな表情の変化を見れば、考えている事位、丸分かりだよ。
75
お気に入りに追加
1,865
あなたにおすすめの小説
滅びる異世界に転生したけど、幼女は楽しく旅をする!
白夢
ファンタジー
何もしないでいいから、世界の終わりを見届けてほしい。
そう言われて、異世界に転生することになった。
でも、どうせ転生したなら、この異世界が滅びる前に観光しよう。
どうせ滅びる世界なら、思いっきり楽しもう。
だからわたしは旅に出た。
これは一人の幼女と小さな幻獣の、
世界なんて救わないつもりの放浪記。
〜〜〜
ご訪問ありがとうございます。
可愛い女の子が頼れる相棒と美しい世界で旅をする、幸せなファンタジーを目指しました。
ファンタジー小説大賞エントリー作品です。気に入っていただけましたら、ぜひご投票をお願いします。
お気に入り、ご感想、応援などいただければ、とても喜びます。よろしくお願いします!
23/01/08 表紙画像を変更しました
神による異世界転生〜転生した私の異世界ライフ〜
シュガーコクーン
ファンタジー
女神のうっかりで死んでしまったOLが一人。そのOLは、女神によって幼女に戻って異世界転生させてもらうことに。
その幼女の新たな名前はリティア。リティアの繰り広げる異世界ファンタジーが今始まる!
「こんな話をいれて欲しい!」そんな要望も是非下さい!出来る限り書きたいと思います。
素人のつたない作品ですが、よければリティアの異世界ライフをお楽しみ下さい╰(*´︶`*)╯
旧題「神による異世界転生〜転生幼女の異世界ライフ〜」
現在、小説家になろうでこの作品のリメイクを連載しています!そちらも是非覗いてみてください。
婚約破棄されたので森の奥でカフェを開いてスローライフ
あげは
ファンタジー
「私は、ユミエラとの婚約を破棄する!」
学院卒業記念パーティーで、婚約者である王太子アルフリードに突然婚約破棄された、ユミエラ・フォン・アマリリス公爵令嬢。
家族にも愛されていなかったユミエラは、王太子に婚約破棄されたことで利用価値がなくなったとされ家を勘当されてしまう。
しかし、ユミエラに特に気にした様子はなく、むしろ喜んでいた。
これまでの生活に嫌気が差していたユミエラは、元孤児で転生者の侍女ミシェルだけを連れ、その日のうちに家を出て人のいない森の奥に向かい、森の中でカフェを開くらしい。
「さあ、ミシェル! 念願のスローライフよ! 張り切っていきましょう!」
王都を出るとなぜか国を守護している神獣が待ち構えていた。
どうやら国を捨てユミエラについてくるらしい。
こうしてユミエラは、転生者と神獣という何とも不思議なお供を連れ、優雅なスローライフを楽しむのであった。
一方、ユミエラを追放し、神獣にも見捨てられた王国は、愚かな王太子のせいで混乱に陥るのだった――。
なろう・カクヨムにも投稿
転生したので好きに生きよう!
ゆっけ
ファンタジー
前世では妹によって全てを奪われ続けていた少女。そんな少女はある日、事故にあい亡くなってしまう。
不思議な場所で目覚める少女は女神と出会う。その女神は全く人の話を聞かないで少女を地上へと送る。
奪われ続けた少女が異世界で周囲から愛される話。…にしようと思います。
※見切り発車感が凄い。
※マイペースに更新する予定なのでいつ次話が更新するか作者も不明。
召喚されたら聖女が二人!? 私はお呼びじゃないようなので好きに生きます
かずきりり
ファンタジー
旧題:召喚された二人の聖女~私はお呼びじゃないようなので好きに生きます~
【第14回ファンタジー小説大賞エントリー】
奨励賞受賞
●聖女編●
いきなり召喚された上に、ババァ発言。
挙句、偽聖女だと。
確かに女子高生の方が聖女らしいでしょう、そうでしょう。
だったら好きに生きさせてもらいます。
脱社畜!
ハッピースローライフ!
ご都合主義万歳!
ノリで生きて何が悪い!
●勇者編●
え?勇者?
うん?勇者?
そもそも召喚って何か知ってますか?
またやらかしたのかバカ王子ー!
●魔界編●
いきおくれって分かってるわー!
それよりも、クロを探しに魔界へ!
魔界という場所は……とてつもなかった
そしてクロはクロだった。
魔界でも見事になしてみせようスローライフ!
邪魔するなら排除します!
--------------
恋愛はスローペース
物事を組み立てる、という訓練のため三部作長編を予定しております。
転生先は盲目幼女でした ~前世の記憶と魔法を頼りに生き延びます~
丹辺るん
ファンタジー
前世の記憶を持つ私、フィリス。思い出したのは五歳の誕生日の前日。
一応貴族……伯爵家の三女らしい……私は、なんと生まれつき目が見えなかった。
それでも、優しいお姉さんとメイドのおかげで、寂しくはなかった。
ところが、まともに話したこともなく、私を気に掛けることもない父親と兄からは、なぜか厄介者扱い。
ある日、不幸な事故に見せかけて、私は魔物の跋扈する場所で見捨てられてしまう。
もうダメだと思ったとき、私の前に現れたのは……
これは捨てられた盲目の私が、魔法と前世の記憶を頼りに生きる物語。
悪役令息に転生したけど、静かな老後を送りたい!
えながゆうき
ファンタジー
妹がやっていた乙女ゲームの世界に転生し、自分がゲームの中の悪役令息であり、魔王フラグ持ちであることに気がついたシリウス。しかし、乙女ゲームに興味がなかった事が仇となり、断片的にしかゲームの内容が分からない!わずかな記憶を頼りに魔王フラグをへし折って、静かな老後を送りたい!
剣と魔法のファンタジー世界で、精一杯、悪足搔きさせていただきます!
【完結】捨てられた双子のセカンドライフ
mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】
王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。
父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。
やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。
これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。
冒険あり商売あり。
さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。
(話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる