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天空の塔ダンジョン 8

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    みんなの頑張りで、かなりの食料が集まった。さて、何日保つか…
    今日は、ランスが狩ってきてくれたミノタウロスで、牛丼でも作ろうかな。

    はいはい、ヤブランのホタテも焼こうね。

「ヌメヌメウナドンは、相変わらず人だらけだったの。シジミーの所にも、冒険者がたくさんいたよ?」
「そっか。みんな最後で躓くみたいだけど、情報は渡したんだから、無理に行く方が悪いよね」

「みんなシジミーを卸してくれれば気軽に買えるのにね」
「じきにそうなるだろう。そうすれば、価格も落ち着く」
    シジミーは高級食材だ。それでも、出始めよりは落ち着いてきたみたいだ。

    冬の間にシジミーはたくさん集めたから、次の冬までもつといいな…冒険者がたくさんいると、魔法で一気に狩れないからね。

    次の日。早朝に目が覚めたので、早速農園に行ってみる。
    よし!クルミ箱の中には、クルミがいっぱいだ。
「メタル、殻を割るの手伝って」

    いつもの通りに少しはそのまま出荷して、用意しておいたパン生地にクルミを混ぜて焼く。
    出来たてのクルミパン。懐かしい味覚だ。

    あとは、クルミの和え物も作ろう…でも今日の分はクルミパンでなくなったから、明日以降だね。

    いつものテーブルロールが、今日はクルミパンだ。
「初めて見たな…うん。旨い」
「この前の苗木か?」
「そう。多分ね、私達しか食べられない物だよ」
「そうなのか?まあ、何でも一緒だな。主が作る美味しい物は我々しか食べられない」

「カシオブツのパンも、町で見た事ないにゃ?」
「アジタケとマヨネーズのパンね。そういえばお惣菜パンて、見た事ないよね。菓子パンも」

    パンはあくまでも主食扱いだからかな?
    せめてジャムパンとか、菓子パン類を売ればいいのに。

「さて、そろそろ行くか。冒険者達が集まる前に、階段を見つけたいだろう?」
「そうだね」

    まだ冒険者が疎らだったので、ホタテはほぼ無視して、前に進む。向かってくるのだけ、ヤブランが殴って倒している。

「ん…?ちょい待って」
    何か感じた気がした。

    壁を念入りに調べてみる。やっぱり…薄い溝がある。引き戸だ。
「主、無闇に手を出されては」
「うん…でも罠の感じはしないよ?」
「にゃーも大丈夫だと思うにゃ」
    横にがらっと引くと、宝箱がある。開けると、宝箱いっぱいに…海老?この世界では珍しい小型の海老だ。

    看破    シロビー    新鮮。ほんのりと甘味がある。

    おー。甘海老みたいだ。醤油を垂らして食べたい!
    宝箱にずっと入ってたのに、新鮮なのかな?中は時間停止の効果があったりするんだろうか?

    中身を出して、宝箱だけ見てみる。
    看破    時間停止の付与された宝箱。空間拡張機能はない。

    成る程ね…ちゃんと考えられているんだ。食べ物じゃないので、明らかに空間拡張された物とかあったしね。フレイムの槍とかは、きっとそっちの宝箱だろう。

    でも、鑑定持ってない人は、食べようと思うのかな?艶々してて、見た目も新鮮そうだったけど、普通怪しむんじゃないかな。

    食べ物でいいなら、宝箱に入れたいのいっぱいあるのに。

「やっぱりメイの美味しい物センサーは凄いにゃ」
「一応罠の応用だけど。危険発見とは逆で、利益がある物を見つける発想」

「その発想が凄いな」
    うん。発想って言い方ならいいよね!良く聞こえる。

    さて、先を急がないと。何の為に朝早く来たんだか分からなくなる。

    よし!階段を見つけた。
「ヤブラン…せめて醤油を付ければお刺身として美味しく食べられるのに…てか、まさかもうお腹空いたの?」
「いや。前にも生で…お刺身?として食べたし、このままでも良いかと。あと、足りない訳ではなく…そう、何となく食べてしまったのだ…いけない事か?」

「お行儀は良くないけど、そこにお菓子があれば食べたくなる。その気持ちは分かるから」
    つい休みの日とか、手が出ちゃうんだよね。

    この程度の魔物だと、ヤブランの敵じゃないし。

    32階層は、デスラット。神経毒持ちのネズミだ。ただし、かなり大きい。カピバラ位?あれもネズミだったね。
    麻痺薬は、麻酔としても使える。耐性持ちには効かないけど、痛みを和らげたりは出来る。

    麻痺の魔法と同じだから、使う事はないけどね。
    魔石が出る事もあるんだ。それは嬉しい。

    さあ、次はどんな美味しい物が出るのかな?
    33階層。随分高くまで登ったもんだ。
    魔物は、レッドブル。ドロップアイテムを見ると、かなり赤身の多い肉だ。そして、血の気が多い!何をそんなに興奮しているんだか…攻撃的な性格だ。
    
    角で弾き飛ばされると、私なんて軽々と飛ばされる。
     …ま、無傷で済むけどね。そして、次からはそうはいかない。
    土魔法で足止めをしつつ、オリハルコンの双剣でとどめを刺していく。

「肉がいっぱい嬉しいにゃー!」
「でもシュガー、進化した後、食欲落ちてるよね?」
「もうにゃーは進化しないからかにゃ?最終形態にゃー!」
「そ…そうなんだ」

    神様にゃんこはもう進化しないのか。確かにもう充分、強いもんね。
「我は最終形態でも食べる!成長期だからな!」
    いや、ヤブランは進化してないじゃん…そして、私が大人になっても成長期は続くじゃん。

    まあ、牛肉は嬉しいからたくさん集めるけどさ。
    こんなに美味しい階層なのに、冒険者の姿は殆どない。

    牛を探しながら倒して、何となく戦っていたら、階段に辿りついてしまった。
「大丈夫。今日はここの階層で肉を集めようね」
「さすが主。分かっている」

    パスが繋がっていなかったとしても、こうもあからさまな表情の変化を見れば、考えている事位、丸分かりだよ。

    
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