(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅

あかる

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天空の塔ダンジョン 7

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    毒を消すイメージで、アルコールを消す。
「うにゃ…ふわふわが無くなったにゃ?」
「もう、25階層は禁止ね。危険だし」

「そうだな…俺も少し身体が熱くなったし」
    ランスはその程度か…一番弱いのはフレイムかな?それか、液体が口に入ったか。
「皆、修行が足りんな」
    いや、ヤブラン、修行の問題じゃないから。

「頭痛いとか、そういうのは大丈夫?」
「大丈夫なの。まだ戦えるの」
    今日はもう終わりだ。希望どおりの亀鍋だけど、鍋は具材を切って煮込むだけだから、簡単でいい。ただし、大きな土鍋一つじゃ足りないから、同じサイズの物をもう一つ用意して、その他にもシメに使ううどん等を用意する。

    麺に関しては、メタルを留守中に用意しててくれる。充分な重さと力が加わった、とても美味しい麺だ。

「入る度に力使うのはちょっと辛いな…まあ、慣れたけど」
    次の日の朝。神力を使ってスマホに入り、呟く。
    魔力…とまでは行かないけど、力に身体が順応してる気がする。
    相変わらず回復は遅いけど、この程度ならここにいるうちに回復してしまうだろう。

    よし。隙間なく並べたバラ肉とロースが、ちゃんとハムとベーコンになってる。ウインナーも出来てる。

    白身魚は、今日は丸く膨らんだはんぺんになっている。
    それと、小さいビー玉サイズのはんぺんが、纏まっている。
    こっちは味噌汁に入れたりする。味噌汁の具といえば、油揚げも少なくなっていた。

    豆腐はもう切った物が、空納の中で重しを乗せて水分が抜かれている。
    油揚げを作りつつ、前回作ったカリカリに焼いた油揚げと、薄切り玉ねぎのポン酢がけは美味しかったなと思い出す。
    今回は、定番だけどお弁当にもなるいなり寿司を作っておこう。
    
    今日は26階層からだ。
「げ…」
    腐った人が歩いてくる…ゾンビ?グール?どっちでもいい。鑑定もしたくない。
「なんで…腐ってるのに動けるの?絶対死んでるよね!」

「人も、アンデットとして蘇れば体内に魔石が生まれる。その影響ではないか?…そう怖がらずとも、それ程強くはない」
    いや、強いのが怖いんじゃなくて、死んでるのに動いているのが怖いんじゃん!

    目玉が取れてるのとか、内臓がはみ出しているのとか…死んでるから斬っても痛くないだろうし、何故か体力は結構ある。

    私の双剣は魔力を込めて剣を振るうと空間を切り裂くから、確実に一撃で倒していける。
「魔力は大丈夫にゃ?その魔法は、結構魔力を使うにゃ」
    さすが、空間のスペシャリストだね。でも、魔宝石もあるし、魔力は自信あるからね。回復が遅れても、無問題。

「俺達が先頭に立つ。目を背けながら先を行くな」
「そうだ。苦手なら我らを頼ればいい」
「ごめんね…苦手が多くて」

    却って骨だけの方が怖くないな…実体のないゴーストはもっと怖いけど。
    ドロップするのは魔石だ。クリーンをかけつつ、拾う。

    そろそろ本気で泣きたくなってきた頃、やっと階段を見つけた。
「ん?ブレードディア…じゃないな」
    居たのは、フォレストディアだ。ブレードディアの下位種だろう。攻撃力が全然違う。

    それでも油断していい相手じゃないし、蔓の罠を使ってくるから鬱陶しい。
    ドロップアイテムは、やっぱり肉だ。鹿肉のロースト、美味しいよね!ソテーもいいな!

「さっきまで怖がって泣いていた子供とはまるで違うな」
「そりゃ…てか、子供って何!」
「1人前の戦いをする冒険者なのに、時折子供らしい姿も見せる。そんな姿も微笑ましい」
「苦手はしょうがないじゃん?それに、もう私は大人だよ」

「にゃーも大人にゃ?」
「シュガーは子供だよ。アロカシアと違って、大人の色気?みたいなのはないし」
「メイもないにゃ」
「あるよ…えっと、うっふーん?」

    ………沈黙が痛い。
    うん、ダンジョンでやる事じゃないよね!女の子らしい格好もしてないから、そのせいもある。
    …あるったらある。

    シュガーと2人でふざけていても、鹿肉は順調に集まっていく。
    深淵の森のダンジョンより、少し大きめかな。味はどうか分からないけど、余ったら鹿肉ジャーキーを作ってもいいかな。

      28階層への階段を見つけたけど、狩りに夢中になってるみんなには、声をかけにくいな。
「主、何を躊躇っている?次に行くのだろう?」
「いや、そうだけどさ、やっと肉がまともに採れる階層なのに…どうせ次は食べ物じゃないし」

「そうだが、留まる理由もあるまい。肉なら外の魔物を狩った方が効率良く集まるのだし」
    そうだよね!先が楽しみでもあるし!

    28階層は、でっかい毛虫だ。くるんと丸まって、体当たりで攻撃してくる。そして、ほぼ通路すれすれの大きさなので、気合い入れて倒すしかない。
    当たればそれなりに強い衝撃が入るけど、タイミングさえ見誤らなければ、そう難しい相手ではない。攻撃パターンも単純だし、壁に激突した後は、かなりゆっくりと体の向きを変えて、また転がってくるのだ。

    そんな階層だからか、冒険者の数もそれなりにいる。ドロップアイテムの毛虫の毛は、集めて高級な服へと変わるのだ。
    縦糸に気を使えば、手触りのいい服になるかもしれない?
    私は要らないけどね。

    とりあえず集めているけど、多分どこかのダンジョンに撒く事になるだろうな。

    29階層は、ロックリザードだ。これも転がって攻撃してくるけど、背中が岩だらけだから、他の冒険者からは人気がない。
    魔鉄程度の剣だと、刃の方が負けてしまうから。

    一応、砥石等のお手入れ道具はみんな持っているだろうけど、ダンジョンの中ではやってられないし、剣そのものが曲がったら、どうしようもない。
 
    肉そのものは美味しいから、ヤブランも弓をしまってオリハルコンの剣で戦っている。

    魔法だと割と簡単に倒せるから、ここの階層は本来なら魔法で進むんだろうな。
    シュガーとフレイムの武器は、ダンジョンで出た魔法付与のついた武器だから、この階層には最適だ。

「とりあえずさ、階段だけ見つけよう?それか、ボス倒せばすぐに次の階層だから」
「うむ。そうだな」
    放っておいたら、延々ととかげ肉ばかり集めそうだ。

    30階層のボスは、ブラックハウンドだ。咆哮による威圧は効かないよ。

    丁度五匹いるから、一人一匹だ。素早い動きに、ヤブランは弓が面倒になったようで、蹴りで仕留めている。

    私も麻痺の魔法で動きを鈍らせつつ、剣を振り下ろした。

    全てを倒した後に、宝箱が残った。中身は…
「…え?」

    看破    クルミの苗木    農園に植えよう!流出厳禁!

    それと、手紙だ。亜空間に戻ってからでいいかな?

    ちょっとだけ読むのが怖かったりするけど、今までなかったクルミの苗木を貰ったんだから、少なくとも嫌われてはいないはずだ。

    それに、前回も私に桃をくれたし。見ていなかったらあのタイミングで貰える事はなかった。

「小さい木にゃ?」
「うん。クルミだよ。実ったら、クルミパンを作ってあげるね」

「今回のこれは、普通の宝箱ではないのだな?」
「そうだね。しかも外に出しちゃだめとか…クルミは貴重品?まさか…ね」
    元々この世界にはなかったとか?あり得る…のかな?どのみち、私か眷属達しか食べる事はないと思う。エリー姉様にも内緒だね。…そんな大層な物でもないと思うけどね。
  
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