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天空の塔ダンジョン 5

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    次の日の15階層は、何と昨日と違う野菜が収穫出来た。
    ナスはトゲトゲの葉で攻撃してくるし、玉ねぎは涙の出る液を攻撃の瞬間に飛ばした。

    それも驚きだけど、さやいんげんなんて、空を飛ぶのだ。
    ヒラリヒラリと空を舞い、剣の攻撃をヒラリと避ける。

    蔓の罠を作って、さやいんげんを収穫する。

「ここって、日替わりで色々収穫出来るのかな?」
「そうかもしれないが…スマホで野菜は収穫出来るのだろう?」
    そうなんだけどね?農家魂が疼くのさ!

    他の冒険者は、野菜を確認してから、別の階層に移っている。
    という事は、高く売れる物が収穫出来る時もあるのだろう。
    私は値段に拘っている訳じゃない。ただ、面白いから色々な野菜を収穫しているのだ。

    15階層の情報だけ、あとでギルドで確認しておこう。

    適当な所で切り上げて、階段を登る。

    16階層は、水溜まりみたいだけど、一応スライムらしい。しかも毒水だ。
    そして動く。反応ないから横を通り過ぎようとすると、水が跳ねて、かかる。

    毒は効かない。でも、臭いがちょっと嫌だな。
    鼻が利くランスは顔をしかめて時折地面に剣を突き立てる。
    ドロップアイテムは、毒の小瓶だ…要らない。
    流石にこの階層には下草も生えていない。

    とにかく、こんな嫌な階層はさっさと抜けるに限るのさ。
    私の権限は、こういう時の為にある。階段までの最短ルートを検索して、その通りに行く。

    17階層は、オークだ。でも、ここに来て冒険者の数が多い。この辺の平地にはオークはいないのかな?
    オークの肉はウサギよりやや高く買い取ってくれるけど、ここまで目の色変えて狩るほどじゃないと思う…て事は、レアなオークが出たりするのかな?

    オークの肉はみんな好きだし、気合いが入るのは分かるけど、結局一部しかドロップしないから、深淵の森に戻った時に狩った方が効率的なんじゃないかと思う。

    階段を探して移動しながら狩りをしていたら、目の前に、明らかにオークとは違う、ピンク色の魔物?が現れた。
「まさか…豚?」
    明らかに周囲の冒険者が目の色を変えて狙ってきたので、手早く倒した。

    看破    桃オーク    オークのレア種で、ダンジョン固有種。癖のない上品な味わいで、高く売れる

    うわ…やっぱりレアだったのか。それにしても、私がレア種を手に入れる確率って、異様に多い気がする。どうしてかは分からないけど、勿論美味しく頂くよ?

    睨みを利かせてくれるランスに隠れるようにして、先に進む。
    どの道、収納庫に入れちゃったから、誰かに盗まれる事はないけどね。
    私はお世辞にも強そうに見えないから、トラブルを避ける為にもランス、よろしくね!

    桃オーク、もう一匹欲しいな。子ブタ丸々1頭分あったけど、うちじゃそれでも足りないんだよね…恐ろしき成長期!

    しばらく桃オークを探して狩りを続けていたけど、やっぱりそう簡単には見付からないよね。簡単に見付けられたら、レアの価値もなくなるし。

    18階層は、スケルトン。骨を外すだけだと、何故か勝手に組み立てられて、復活する謎の魔物だ。お化けが苦手な私でも、骨格標本みたいなスケルトンはあんまり怖くないかな。
    それに、魔石がドロップアイテムだ。これは凄く嬉しい。

    付与にも魔道具にも魔石は必須アイテムだし、魔道具図鑑を埋める為にも、魔石はたくさん必要だ。ミスリルの剣のままだったら骨を砕くのには軽かったかもしれないけど、オリハルコンは重さもある。

「メイ、剣が曲がってしまった…直してもらえるか?」
「ランス、オリハルコンの大剣だったら簡単には曲がらないよ?ある物は使っていかないと」

「長く魔鉄の剣を使ってきたからか、変に愛着が湧いてしまった」
    まあ、そういう気持ちは分からなくはない。

    一応は直したけど、ランスはオリハルコンの大剣を出した。
    一応見てたけど、軽々と振っているし、使いずらいという事はなさそうだ。
    
    魔石はどんなに集めても値崩れを起こす事はないし、持ち帰ってもそんなに荷物にならない為、ここに集まる冒険者は多い。

    スケルトンか…懐かしいな。今も地球で活躍してるんだろうか?シュールは。
「メイ、どうしたにゃ?」
    降りてすぐに従魔になってくれたシュガーだけど、見えてなかったシュガーは、シュールの事も覚えてないんだよね。

    魔石を集めつつ、階段を探していく。と、鎧を纏い、剣も手にしたスケルトンが現れた。
    一応レア?でも、食べ物じゃないレアは嬉しくないな…

    強さはそんなに変わらないので、サクッと倒したら、若干質のいい魔石を落とした。

    魔道具を作る人にとっても、質のいい魔石はそれなりに重要だ。だから値段も変わってくる。
    ここの階層は、着実に稼ぎたい人が集まる階層なのだろう。

    それでも、深淵の森の魔物から採れる魔石の方が質もいいので、階段を探しつつ、進む。

    階段を見つけ、次の階層の食べ…じゃなくて、魔物もチェックしたかったけど、みんなの空腹が限界だ。楽しみは明日にとっておこう。

    亜空間に戻って、豚肉を氷らせてから、薄切りにする。
    今日はしゃぶしゃぶだ。肉そのものの味を楽しみたいなら、これだろうと思った。

「アロカシアは鍋の用意をお願いね」
    メタルに手伝って貰いながら野菜も準備して、ミノタウロスの薄切りも用意する。こっちは後からだ。まずは豚肉を楽しみたい。

    手早く用意して、口に入れる。はわぁ…脂が美味しい。この味はオークとはやっぱり別物だね。

    凄い勢いで豚肉が失くなっていく。アロカシアとランスは足りないから、ミノタウロスの肉を出してあげた。
「このように美味しい物が食べられて、主の運の良さには感謝しかないな」

    私だけの運の良さとは限らないけどね。


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