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温泉

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    久しぶりの泥温泉。泥パックで、顔もすべすべになるかも?
    以前来た時は白猫だったシュガーも今は黒猫。保護色でちゃんと浸かれているか分からない。

「あれ?アロカシア、鱗の一部が金色だよ?…ああ、でもエルドさんが金色の竜だから、アロカシアも大人になったら金色になるの?」

(そうではないが…ふむ。だがあり得る事だな)
「…ふうん?」
(ふふっ。案外己では分からぬものなのだな)

「まあ…確かにその位置だと、自分では見えないね」
    そうか…シルバードラゴンじゃなくなっちゃうのか。だとしても名前は変えられないけど。

「鱗が生え変わって、また大きくなるんだね…」
    初めて会った時は、小さくて可愛いかったのに、今は縦にも横にも倍以上に大きくなってる。それでもまだ、エルドさんよりは小さいけど。

    私は、身長は伸びたけど、まだ子供体型だ。まだ7歳だし、これからだよね?

    寒くなってきたから、余計に温泉が気持ちいい。スマホ農園はいつでも春の陽気だし、お湯もさらっとしてる。また違った魅力があるけど、メタルとしか一緒に入れないのが残念だ。

    みんなにクリーンをかけると、もふもふが超もふもふになった…辛抱堪らん!
    抱きついて、思いっ切りもふもふを堪能する。

(ここはまだ、外なのだが)
    そうでした。深淵の森奥地には危険な魔物がいっぱい。

    みんなが出掛けて、残ったのは私とシュガー。シュガーはお気に入りのもふもふクッションの上でふみふみしながら眠そうにしている。

    私は錬金術。命の花はまた採れるかは分からないけど、ダンジョンだし、多分またいつかは生えると思う。
    慎重に魔力を込めて調合すると、薬がキラリと光った。
「よし!」

    看破    エクスポーション    死亡以外の状態を全て治す。効果100%

    うん。成功した。小瓶に詰めて、収納庫に入れた。
    
    このエクスポーションの凄い所は、病気さえも治してしまう。医者要らずの薬だ。
    こんな凄い薬作っちゃうなんて、私の錬金術の腕前もいつの間にかかなり上がってるね。

    上には上がいるだろうし、オージェには絶対敵わないから、天狗になったりはしない。

    ふと思いついて、魔晶石2つを取り出して、融合させる…出来た!謎の力を使わなくても魔宝石を創り出せるようになった。
    数字として出る訳じゃないけど、精密魔力操作のレベルも上がっているのだろう。

    みんなに持たせる分を創れば、もう魔力切れを心配する必要はなくなる。

    もしかして、温泉効果もあるのかな?あの温泉に入ると、魔力操作が容易になる気がする。
    それはそれで、実力じゃないって事だから悲しくなるけど。

    メタルの魔宝石の予備に魔力を溜めて、聖域に出る。
    一番初めに作ったピザ釜が、まだ無事に残っている。
    久しぶりにピザにしてもいいな。熟成小屋で簡単にチーズが作れるようになったから、かなり便利になった。

    よし!今晩はピザだ!デザートにチーズタルトも作ろう。

    スマホ農園や、亜空間に入ってしまうと回復が遅くなるから、料理も外でする。
    お昼寝中のシュガーに代わって、メタルが料理を手伝ってくれる。
    ピザなので、そんなにやる事はないけど、芋の皮を剥いて貰った。
    
    あれ…結構空近くまで魔力使ったのに、もう魔力回復してる。これは、泥温泉と、聖域のダブル効果なのかな?
    何にせよ、あっというまに怠さが消えた。嬉しい。

「メタル、魔宝石の予備があるから、足りなくなりそうなら早めに言ってね?」
(ありがとうございます)
    嬉しそう。表情はなくても、メタルの為に何かしてあげると、ちゃんと喜ぶんだ。…メタルも大切な仲間。眷属達と同じように愛おしく思える。

(私に…主様の加護が)
    祝福ではなく、加護。
    創造?
    想像ではなく、創造…良かった。妄想じゃなくて。

    どうして祝福じゃなくて、加護になったんだろう?分からないけど、祝福よりは加護の方が効果が大きい。良いことだ。

    アロカシア達も帰ってきた。シュガーも起きたみたいだ。
「ランス?黒銀色の毛並みが…」
(うむ…以前の銀色に戻るのか?)
    と、いうより、青銀色かな。
「アロカシアの鱗も色が変わったしね。そういうのって、良くあることなの?」

「いや、我は努力の結果だ」
    アロカシアの努力…いっぱい食べて、大きくなった?
「主は呑気だな…いや、それで良いのだ。それより、ミノタウロスキングを見つけた」
「えっ?!倒したの?」
「偶然見かけただけだから、そこが生息地とは限らないが」

「そっか…でも、ありがとう。また絶品牛肉が食べられるんだね!」
「厚切りステーキで頼む!」

    血抜きはしてあるみたいだ。爪で抉った傷痕がついている。意外。いつもは人化したままなのに。それだけ強敵だったのか。

「怪我は…大丈夫みたいだね。やっぱり強かった?」
「そうだな。ランスがいて良かった」
「無理しちゃダメだよ?薬と魔宝石は、ちゃんと準備しておいてね」
「おお…流石主だ」
(メイこそ、無理してないか?)
    そうだね…普通なら、何十年も錬金術師やってても、作れない物だ。何せ国宝級だし。
「ここん所、結構色々上手く作れてるんだ。それがみんなの役に立つなら、それが一番だから」




    
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