上 下
121 / 166

空気飴と、コンブー

しおりを挟む
    空気飴の製作は、錬金術が出来ないとだめだから、フレイムに手伝ってもらった。
    ある程度教えたら、あとはスマホ内で作ってもいいかな。
    あんまり出来るのが速いと、変に思われそうだけど、優秀な弟子もいる事だし、やらなきゃいけない事はそれだけじゃない。

    所謂おやつ系が、ダンジョン攻略している間にごっそり無くなっていた。アロカシアも食べる量が増えているから、そのせいかも?

    アロカシアにとっては串焼きもおやつで、トンカツも、唐揚げもおやつだ。
    成長期の竜の食欲は天井知らずだ。

    私用のおやつも作ろう。最近のお気に入りは、プリンにカラメルではなく、メープルシロップをかけて食べる。
    楽チンで、意外とはまる。
    勿論出荷もしているし、図鑑に載ったのも確認済みだ。

    頑張ってくれているフレイムにも何か作ろう。
    サツマイモを取り出して、ふとランスもサツマイモが大好きだと思い出した。

    芋羊羮は定番だから押さえておきたい。前に試した米粉を使ったサツマイモのケーキも美味しかったな…犬って何故かサツマイモ好きだよね。鳥は虫…いやいや。

    取り敢えず今回は、サツマイモを使ったお菓子作りにしよう。

    私用のはまだショートブレッド系が残っている。
    うん…いつものハチミツ飴も作ったし、戻ろう。

    戻ると、空気飴を作っているフレイムがいた。
「そっか…時間は経ってないんだもんね」
    今更ながら、まだ朝だと気がつく。
「お帰り、メイ。一度見て欲しいの」
    フレイムは、相変わらず丁寧な手つきで空気飴を作り出す。

「もう、一人前の錬金術師を名乗ってもいいと思う」
「ううん。ボクはメイの弟子で充分なの」
    作り出した飴を瓶に詰めて、私が作った物と混ぜる。
「メイが作った方の飴が、美味しそうなの」
「味は一緒だよ。他の人には魔力の味なんて分からないからね」

    五感強化で味覚が強化されても、魔力の味は分からない。

    フレイムと二人でのんびりと空気飴を作って、明日には纏まった量を卸せそうだ。

    新たなダンジョンの噂はあっという間に広がり、みんな空気飴を求めて商業ギルドや、錬金術のお店に詰めかけていた。
    
    みんな張り切ってるな。もう秋だし、冬になったら流石にダンジョンに入れなくなるからかな?

(にゃー達も行くにゃ?)
(今日だけね。みんな5階層位ならすぐに行けちゃうと思うから)

    私達は冬場に何度も行くつもりだ。もう、王都海岸ダンジョンみたいなトラブルは嫌だからね。
    ギルドでは、調査した2階層までの情報しか公開していないが、一応魔物の情報は公開されている。普通、少しずつ強くなっていく魔物が急に強くなったら危険だもんね。

    そう。もう秋なのだ。収穫の秋!殆どは農園で収穫出来るとはいえ、魔物肉を収穫しながら山菜も収穫したい。
「明日は深淵の森散策にしようか」
「ヤブランと一緒にミノタウロスキングを探すにゃ?」

「それもいいけど…コースを変えた方が色々見つかると思うんだよね」
    それに、ヤブランは多分山菜はスルーすると思う。
    秋といえばむかご。栗は農園で育てているからいいとしても、むかごは見つけるしかない。

    そうそう。泥温泉にも行きたいよね!ランスも行きたがってたし…そうすると、全員一緒がいいな。ヤブランがいないと、魔物が寄ってくるし。

    それと、大切なのがコンブーだ。結界を纏っても冬には入りたくない。
    この聖域の湖に入るのも久しぶりだ。
    フレイムは亜空間に残り、空気飴を作ってくれているので、シュガーとランスが一緒に来た。

「シュガーは、亜空間の中で待っててくれて良かったのに」
「泳げなくても、護衛するのにゃ」
    ここが聖域だと、シュガーは忘れているのだろうか?

    寒さに強いランスは、水の冷たさも気にならないみたいだ。私と二人で泳げて楽しいみたい。

    コンブーを食べる魔物がいないし、採りに来るのも私位なので、コンブーは増える一方だ。
    というか、冒険者も来ないのかな…コンブーに水晶石。町に持って行けば売れそうなのに。

    ランスと二人で、春まで持ちそうな位、採取した。

    満足して岸に上がると、シュガーが近寄ってきた。
    ランスがぶるぶるっと体を振って水分を飛ばす。
(にゃっ?!…ランス、酷いにゃ…)

    慌てて空中に逃げるも、結構濡れた。
(済まない…ドライで乾かせばいいと分かってはいるんだが)
    習性は仕方ないよね。

    蔓を這わせてコンブーを干して、二人におやつを渡した。
「鍋にするにゃ?」
「久しぶりにいいね!ミルフィーユ鍋にしようか」
    白菜は確か残っていたはずだし、オーク肉もあった。

「豚肉にゃー!」
    シュガーがあっという間にいなくなってしまった…そして、私がつい豚肉って言ってるから、シュガーも間違えて覚えてしまったようだ…気をつけよう。

    今更だ。ぶた玉はいいよね?料理名だし。

    収納庫からフライングディスクを出して、思い切り投げる…っと。湖の方に投げてしまった。けど、空を駆けてランスが咥えて持ってくる。
「よーし、よし」
    わしゃわしゃと撫でてやると、嬉しそうにしながらも一瞬遠い目をした。

    俺は進化前もサンダーウルフ。そして、今も神話級の…狼だ。主の俺に対する扱いは、話しに聞いた、犬という生き物に対する物にそっくりだ…魔物ではなく、生き物…主は俺に何を求めているのか。…だが、可愛い命令も、この遊びも俺は嬉しく感じる。

    犬にはなれないが、俺を構ってくれるのは嬉しい。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

神による異世界転生〜転生した私の異世界ライフ〜

シュガーコクーン
ファンタジー
 女神のうっかりで死んでしまったOLが一人。そのOLは、女神によって幼女に戻って異世界転生させてもらうことに。  その幼女の新たな名前はリティア。リティアの繰り広げる異世界ファンタジーが今始まる!  「こんな話をいれて欲しい!」そんな要望も是非下さい!出来る限り書きたいと思います。  素人のつたない作品ですが、よければリティアの異世界ライフをお楽しみ下さい╰(*´︶`*)╯ 旧題「神による異世界転生〜転生幼女の異世界ライフ〜」  現在、小説家になろうでこの作品のリメイクを連載しています!そちらも是非覗いてみてください。

滅びる異世界に転生したけど、幼女は楽しく旅をする!

白夢
ファンタジー
 何もしないでいいから、世界の終わりを見届けてほしい。  そう言われて、異世界に転生することになった。  でも、どうせ転生したなら、この異世界が滅びる前に観光しよう。  どうせ滅びる世界なら、思いっきり楽しもう。  だからわたしは旅に出た。  これは一人の幼女と小さな幻獣の、  世界なんて救わないつもりの放浪記。 〜〜〜  ご訪問ありがとうございます。    可愛い女の子が頼れる相棒と美しい世界で旅をする、幸せなファンタジーを目指しました。    ファンタジー小説大賞エントリー作品です。気に入っていただけましたら、ぜひご投票をお願いします。  お気に入り、ご感想、応援などいただければ、とても喜びます。よろしくお願いします! 23/01/08 表紙画像を変更しました

裏の林にダンジョンが出来ました。~異世界からの転生幼女、もふもふペットと共に~

あかる
ファンタジー
私、異世界から転生してきたみたい? とある田舎町にダンジョンが出来、そこに入った美優は、かつて魔法学校で教師をしていた自分を思い出した。 犬と猫、それと鶏のペットと一緒にダンジョンと、世界の謎に挑みます!

失われた力を身に宿す元聖女は、それでも気楽に過ごしたい~いえ、Sランク冒険者とかは結構です!~

紅月シン
ファンタジー
 聖女として異世界に召喚された狭霧聖菜は、聖女としての勤めを果たし終え、満ち足りた中でその生涯を終えようとしていた。  いや嘘だ。  本当は不満でいっぱいだった。  食事と入浴と睡眠を除いた全ての時間で人を癒し続けなくちゃならないとかどんなブラックだと思っていた。  だがそんな不満を漏らすことなく死に至り、そのことを神が不憫にでも思ったのか、聖菜は辺境伯家の末娘セーナとして二度目の人生を送ることになった。  しかし次こそは気楽に生きたいと願ったはずなのに、ある日セーナは前世の記憶と共にその身には聖女としての癒しの力が流れていることを知ってしまう。  そしてその時点で、セーナの人生は決定付けられた。  二度とあんな目はご免だと、気楽に生きるため、家を出て冒険者になることを決意したのだ。  だが彼女は知らなかった。  三百年の時が過ぎた現代では、既に癒しの力というものは失われてしまっていたということを。  知らぬままに力をばら撒く少女は、その願いとは裏腹に、様々な騒動を引き起こし、解決していくことになるのであった。 ※完結しました。 ※小説家になろう様にも投稿しています

転生幼女のチートな悠々自適生活〜伝統魔法を使い続けていたら気づけば賢者になっていた〜

犬社護
ファンタジー
ユミル(4歳)は気がついたら、崖下にある森の中にいた。 馬車が崖下に落下した影響で、前世の記憶を思い出す。周囲には散乱した荷物だけでなく、さっきまで会話していた家族が横たわっており、自分だけ助かっていることにショックを受ける。 大雨の中を泣き叫んでいる時、1体の小さな精霊カーバンクルが現れる。前世もふもふ好きだったユミルは、もふもふ精霊と会話することで悲しみも和らぎ、互いに打ち解けることに成功する。 精霊カーバンクルと仲良くなったことで、彼女は日本古来の伝統に関わる魔法を習得するのだが、チート魔法のせいで色々やらかしていく。まわりの精霊や街に住む平民や貴族達もそれに振り回されるものの、愛くるしく天真爛漫な彼女を見ることで、皆がほっこり心を癒されていく。 人々や精霊に愛されていくユミルは、伝統魔法で仲間たちと悠々自適な生活を目指します。

転生したので好きに生きよう!

ゆっけ
ファンタジー
前世では妹によって全てを奪われ続けていた少女。そんな少女はある日、事故にあい亡くなってしまう。 不思議な場所で目覚める少女は女神と出会う。その女神は全く人の話を聞かないで少女を地上へと送る。 奪われ続けた少女が異世界で周囲から愛される話。…にしようと思います。 ※見切り発車感が凄い。 ※マイペースに更新する予定なのでいつ次話が更新するか作者も不明。

転生受験生の教科書チート生活 ~その知識、学校で習いましたよ?~

hisa
ファンタジー
 受験生の少年が、大学受験前にいきなり異世界に転生してしまった。  自称天使に与えられたチートは、社会に出たら役に立たないことで定評のある、学校の教科書。  戦争で下級貴族に成り上がった脳筋親父の英才教育をくぐり抜けて、少年は知識チートで生きていけるのか?  教科書の力で、目指せ異世界成り上がり!! ※なろうとカクヨムにそれぞれ別のスピンオフがあるのでそちらもよろしく! ※第5章に突入しました。 ※小説家になろう96万PV突破! ※カクヨム68万PV突破! ※令和4年10月2日タイトルを『転生した受験生の異世界成り上がり 〜生まれは脳筋な下級貴族家ですが、教科書の知識だけで成り上がってやります〜』から変更しました

転生幼女は幸せを得る。

泡沫 ウィルベル
ファンタジー
私は死んだはずだった。だけど何故か赤ちゃんに!? 今度こそ、幸せになろうと誓ったはずなのに、求められてたのは魔法の素質がある跡取りの男の子だった。私は4歳で家を出され、森に捨てられた!?幸せなんてきっと無いんだ。そんな私に幸せをくれたのは王太子だった−−

処理中です...