上 下
120 / 166

湖ダンジョンのクリアと…

しおりを挟む
    まだ魔法石は見つけていないので、8階層からだ。
    どうせ未発見のダンジョン。誰も来ないので、ヤブラン以外は人化を解いている。

「みんな…嬉しそうだね」
「スキルで姿を変えるのも、充分に慣れたはずなのに…情けない」
「ヤブランはいいの?」
「我は緊急時以外はこの姿でいると決めている」
    外用の姿って訳だ。ヤブランらしい。

    階段を見つけた。みんなそのままの姿で行くみたい。

「えっ…ボス部屋なの?!」
    広い部屋の片隅は水溜まり。そこから顔を出したかなり大型の鰻?が雷の魔法で攻撃してきた。

    看破    サンダーイール    雷魔法に特化したウナドンの上位種。滑りで物理攻撃を逸らす

    おおお…!このまま倒して、肉はドロップするのかな?して欲しいなっ!
「主…せめて身を守ってくれ」
    呆れ気味に呟くヤブランに、メイはちょっとは反省した。

    結界を張って、まずは風の鎌。ランスも噛みつこうと動くと、それを察してサンダーイールは水中に逃げた。

(雷以外の魔法で攻撃して!)
    水中から出た瞬間に、各々の得意魔法で攻撃する。

「やった!」
    プカリと浮いた鰻の切り身に喜んで回収する。
「メイ、宝箱もあるようだが…」
「ん?…おおー。目に入らなかったよ」

    中身はスキル球。効果は五感強化。
「欲しい人…って、やっぱりみんな私を優先するんだね」
    売ってもいいけど、特にお金には困ってないんだよね…それに今回の依頼を成功させたから、結構な稼ぎになるし。

    石に触れると、五感強化を習得出来た。まあ、役には立ちそうだよね?目は元々いいけど、かすかな音から警戒も出来るし、何より美味しい物をより美味しく感じる事が出来る!

「ふむ…ここが最終階層のようだな。ここでもコアを見つけるのか?」
「あ、そうだった」
    蒲焼きにするか白焼きにするかで悩んでいた事は内緒だ。

    コアの事を思い出した瞬間、地面に引き込まれた。

『ああ…出来ればもっとダンジョンが成長した姿を見て欲しかったのに…まあ、見つかっちゃったなら仕方ないですよね…ブツブツ』

「ええと…何かごめんなさい?」
『いえ。契約して力を得られたら更に発展出来るでしょうし…』

    まあ、このダンジョンの事をギルドに教えるつもりだし、そうすれば賑やかになるだろう。

    コアに触れると大幅に内なる魔力を持っていかれた感覚。
「うわ…加減してよ…」
    慣れたからか、最初の時のように気絶したりしない。

    そういえば、あの後どうやって復活したんだろう?みんなの感じからしてそう時間は経ってなさそうだけど。

    普通の魔力よりは回復が遅いものの、動いても問題ない位には復活した。

    今回得られた力はダンジョン感知。なんとなくダンジョンがある方向と、状態が分かる。

    マスタールームは…狭っ!広さは四畳半位か。
    出来る事は一緒だけど、無理にここでやる必要はないかな…

    取り敢えず栄養補給かな。分けておいた収納庫を大きく開けて、逆さまにすると、毎日実る果物や、古くなった皮のラグ等の要らない物がどっさり出た。

    こんなのでもダンジョンは喜んでいるらしいし、いいかな。

    ボス部屋に転移して、帰る事を伝えた。
「メイ、ギルドに報告はいいの?」
「明日でいいよ…今日は疲れたし、魔力も回復しないと」

    サンダーイールの切り身は、いつもの大網で蒲焼きにした。
「ふあ…匂いだけでご飯食べられそう」
    五感強化のスキルの影響もあるのかな。
    切り身の一部は勿論出荷した。我慢出来なくて、味見したら、すごく柔らかくて、美味しい!
    ヌメヌメウナドンよりも、高級感のある味だ。

「旨いな!深淵の森にある湖に行けば生息しているかもな」
「アロカシア、本当?!行きたい!」
「折を見て行き、ゲートを開いてこよう。ミノタウロスキングも探さなければ!」

    張り切ってるね!嬉しい!

「折角の美味しい鰻、もっと食べるにゃ!」
「ううん。もうお腹一杯…次の成長期が早く来る事を願うよ」

    でも、身長は今、中学生にも届く大きさだ。ネリーと同じ位かも?もし会えたら、比べてみよう。

    ベッドで迎えた予想外の悲劇!いつものように顔をもふもふに埋めようとして…くすぐったくて、無理だった!

「そ…そんな…!まさかの外れスキル?!もふもふが出来ないなんて!」
「それは良かった…ああ、いや。なら、我の傍らで眠ると良い」
「う…それはいいけど、もふもふ出来ないのは嫌っ!」
    あ。でもスキルを切る事も出来るみたいだ。良かった…

    次の日。猛毒ニジマスを提出した。
「これは…こんなのがいたら、普通の小舟などひとたまりもなかったな…唯一種だというなら、これからも怪物魚の心配も要らないし、観光も再開出来る」
    うん。それは良かった。
「しかし、見張りに聞いたが…ずっと湖の上にいたのか?全く姿を見かけないと聞いて、心配していたんだぞ?」

「あ、それは…湖の中央にある島の下がダンジョンになっていて、探検してたから」

「な…何っ?!依頼の完了報告もせずに、新しいダンジョン発見の報告もしなかっただと?!何を考えている!依頼が完了したら速やかに報告!冒険者としての基本だろうが!」

    …怒られた。

「ええと…まだ期日内だし、いいかなって。そ、それにあそこのダンジョンに入るのは大変ですよ?泳ぎが得意で、空気飴がないと」

「空気飴?」
「あ、私が商業ギルドに去年登録した飴で、舐めていると、空気が出てきて苦しくならないんです」

「そんな物が…取り敢えずメイ、申し訳ないがその飴を大量に作って商業ギルドに卸してくれ!…忙しくなるぞ…王にも報告しなければな」
「何で王様?」

「…お前な…新たなダンジョンの発見は、永続的な鉱脈を見つけたより凄い事だぞ?!」

    ああ。その存在が知れたら行きたくなる冒険者も増えるし、王都も賑わう。更に大量のシジミーが店先にも並んで…えへへ。

「と…とにかく、売れるなら、錬金術師も作るだろうし、在庫が落ち着くまで頼む!我々も早急に調査しなければならないし…それと、ダンジョン内部の情報も教えてくれ!」

「それは良いが、別室で頼む。先程から視線が鬱陶しい」

    2階の応接室で、魔物の情報等を教えた。
「まさかクリアまで…それにサンダーイールか。高ランクパーティーとはいえよく倒せたな」

「うん。急に魔物が強くなったよね。あ…でもサンダーイールの切り身は最高に美味しかった!」

「良かったな…はぁ。名誉より食欲か…恐らく王より褒美が与えられるだろう。近く、王宮に呼ばれるだろうから、覚えておいてくれ」

「えー。別にいいよ。そういうの面倒だもん」
「…そういえば魔熊の時もパーティーは辞退していたな。とても名誉な事だぞ?!」

「名誉じゃお腹は膨れないし…でも、パーティーではご馳走が…前回は参加しなかったし…うう、面倒だな…」
「嫌なら参加しなくていいんじゃないか?メイの料理が俺達には一番のご馳走だしな」

「じゃあ、ご褒美だけ貰う。それでいいよね?」

「こら!勝手に決めるな!…とにかく、連絡は取れるようにしておく事!それと、空気飴は頼む!」

「ん。それなら幾つか持ってるからあげるよ」
「譲ってくれるのか?!ああ…いや、ちゃんと価値を聞いて、金は振り込んでおく」

    私達はショートワープで行けるから、収納庫にあった物を全部出した。
「こ…こんなにあるのか?!助かる!早急な調査が出来る」
    何人で調査するか分からないけど、クリアが目的じゃないなら何度か行き帰りしても問題ないだろう。


しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

神による異世界転生〜転生した私の異世界ライフ〜

シュガーコクーン
ファンタジー
 女神のうっかりで死んでしまったOLが一人。そのOLは、女神によって幼女に戻って異世界転生させてもらうことに。  その幼女の新たな名前はリティア。リティアの繰り広げる異世界ファンタジーが今始まる!  「こんな話をいれて欲しい!」そんな要望も是非下さい!出来る限り書きたいと思います。  素人のつたない作品ですが、よければリティアの異世界ライフをお楽しみ下さい╰(*´︶`*)╯ 旧題「神による異世界転生〜転生幼女の異世界ライフ〜」  現在、小説家になろうでこの作品のリメイクを連載しています!そちらも是非覗いてみてください。

土属性を極めて辺境を開拓します~愛する嫁と超速スローライフ~

にゃーにゃ
ファンタジー
「土属性だから追放だ!」理不尽な理由で追放されるも「はいはい。おっけー」主人公は特にパーティーに恨みも、未練もなく、世界が危機的な状況、というわけでもなかったので、ササッと王都を去り、辺境の地にたどり着く。 「助けなきゃ!」そんな感じで、世界樹の少女を襲っていた四天王の一人を瞬殺。 少女にほれられて、即座に結婚する。「ここを開拓してスローライフでもしてみようか」 主人公は土属性パワーで一瞬で辺境を開拓。ついでに魔王を超える存在を土属性で作ったゴーレムの物量で圧殺。 主人公は、世界樹の少女が生成したタネを、育てたり、のんびりしながら辺境で平和にすごす。そんな主人公のもとに、ドワーフ、魚人、雪女、魔王四天王、魔王、といった亜人のなかでも一際キワモノの種族が次から次へと集まり、彼らがもたらす特産品によってドンドン村は発展し豊かに、にぎやかになっていく。

滅びる異世界に転生したけど、幼女は楽しく旅をする!

白夢
ファンタジー
 何もしないでいいから、世界の終わりを見届けてほしい。  そう言われて、異世界に転生することになった。  でも、どうせ転生したなら、この異世界が滅びる前に観光しよう。  どうせ滅びる世界なら、思いっきり楽しもう。  だからわたしは旅に出た。  これは一人の幼女と小さな幻獣の、  世界なんて救わないつもりの放浪記。 〜〜〜  ご訪問ありがとうございます。    可愛い女の子が頼れる相棒と美しい世界で旅をする、幸せなファンタジーを目指しました。    ファンタジー小説大賞エントリー作品です。気に入っていただけましたら、ぜひご投票をお願いします。  お気に入り、ご感想、応援などいただければ、とても喜びます。よろしくお願いします! 23/01/08 表紙画像を変更しました

石しか生成出来ないと追放されましたが、それでOKです!

udonlevel2
ファンタジー
夏祭り中に異世界召喚に巻き込まれた、ただの一般人の桜木ユリ。 皆がそれぞれ素晴らしいスキルを持っている中、桜木の持つスキルは【石を出す程度の力】しかなく、余りにも貧相なそれは皆に笑われて城から金だけ受け取り追い出される。 この国ではもう直ぐ戦争が始まるらしい……。 召喚された3人は戦うスキルを持っていて、桜木だけが【石を出す程度の能力】……。 確かに貧相だけれど――と思っていたが、意外と強いスキルだったようで!? 「こうなったらこの国を抜け出して平和な国で就職よ!」 気合いを入れ直した桜木は、商業ギルド相手に提案し、国を出て違う場所で新生活を送る事になるのだが、辿り着いた国にて、とある家族と出会う事となる――。 ★暫く書き溜めが結構あるので、一日三回更新していきます! 応援よろしくお願いします! ★カクヨム・小説家になろう・アルファポリスで連載中です。 中国でコピーされていたので自衛です。 「天安門事件」

【完結】天下無敵の公爵令嬢は、おせっかいが大好きです

ノデミチ
ファンタジー
ある女医が、天寿を全うした。 女神に頼まれ、知識のみ持って転生。公爵令嬢として生を受ける。父は王国元帥、母は元宮廷魔術師。 前世の知識と父譲りの剣技体力、母譲りの魔法魔力。権力もあって、好き勝手生きられるのに、おせっかいが大好き。幼馴染の二人を巻き込んで、突っ走る! そんな変わった公爵令嬢の物語。 アルファポリスOnly 2019/4/21 完結しました。 沢山のお気に入り、本当に感謝します。 7月より連載中に戻し、拾異伝スタートします。 2021年9月。 ファンタジー小説大賞投票御礼として外伝スタート。主要キャラから見たリスティア達を描いてます。 10月、再び完結に戻します。 御声援御愛読ありがとうございました。

最底辺の転生者──2匹の捨て子を育む赤ん坊!?の異世界修行の旅

散歩道 猫ノ子
ファンタジー
捨てられてしまった2匹の神獣と育む異世界育成ファンタジー 2匹のねこのこを育む、ほのぼの育成異世界生活です。 人間の汚さを知る主人公が、動物のように純粋で無垢な女の子2人に振り回されつつ、振り回すそんな物語です。 主人公は最強ですが、基本的に最強しませんのでご了承くださいm(*_ _)m

転生貴族のスローライフ

マツユキ
ファンタジー
現代の日本で、病気により若くして死んでしまった主人公。気づいたら異世界で貴族の三男として転生していた しかし、生まれた家は力主義を掲げる辺境伯家。自分の力を上手く使えない主人公は、追放されてしまう事に。しかも、追放先は誰も足を踏み入れようとはしない場所だった これは、転生者である主人公が最凶の地で、国よりも最強の街を起こす物語である *基本は1日空けて更新したいと思っています。連日更新をする場合もありますので、よろしくお願いします

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

処理中です...