上 下
119 / 166

湖ダンジョンと、巨大カエル

しおりを挟む
    今日も5階層だ。膝上まで結界を纏っているので、ブーツは履けない。裸足で沼地に入るなんて、田植えを思い出すな…

    結界越しだから、あの感覚はないけど、足の指の間からヌルリと泥が出てくる。
    転生前で、しかも大人になってからは田植えも手伝わなかったけど、記憶に残っている。

「この、血を吸う魔物がいなければ気にせずに狩りが出来るのだが…鬱陶しいな」
「足だけ纏うのは、難しい?」
「何もしていない状態なら出来るのだが…動くと解けてしまうな。まあ、俺の血ならば少量だし、問題あるまい」

    私だけ問題ありなんて、納得いかないな…
    私は私。何の変わりもない。

    泥が動いた所にシジミーはいるから、分かりやすい。でも動きが素早いから、そこを網で掬っても、なかなか捕まえられない。そういう時は、予見だよねー。ふっふっふ。私のオルニチン、待っていてね!

「メイ、怖いにゃー」
「そうだな…だからこそちゃんと主を見ていてくれ。腕にヨルが付いている」
「うにゃっ!了解にゃ!」

「ボクは階段を見つけるよ。先に美味しい魔物がいないとメイは動かないから」

    でもその日は、最後に魔法石に触れるまでメイは動かなかった。

    次の日は6階層。魔物はミズカマキリだ。とはいえ、川で見かけるような可愛い物ではなく、かなり大きい。
    迷路状になった溝にいて、突然飛び出してくる。びっくりだ。
  
    オリハルコンの双剣で切り裂くと、面白いようにスパッと切れる。この重い双剣にもかなり慣れた。軽いミスリル製のよりも、今はこの重さが頼もしい。
    空間すら切り裂くこの剣に対抗出来る魔物は、そういないと思える。

    まあ、6階層位の雑魚に強いのはいないかもしれないけど。
    この溝を飛び越えて進めば、階段は見えているけど、ミズカマキリが出てくる。

    それでも、見えているから簡単に進める。
    7階層は…うわっ?!でっかいカエル!
「ふむ…肉が出れば良いが」
    あ、もしかしてこれがグリーフロッグ?…そっか。君の皮は役に立ったよ!
    狭い通路で跳ねて、本当に潰されかねない。メタルを出して守って貰おう。

    ドロップアイテムは、やっぱり肉か皮。肉は要らないけどね!

    眷属達は肉も喜んで集めている。まあ…料理位ならしてもいいかな?食べないけど。

    打撃の攻撃だと滑ってあまり効かない。このガントレットに雷の魔法を付与をしてみるか…

    よし!メタルの攻撃も効くようになった。潰されそうな時はちゃんと守ってくれる。

「肉はこれっぽっちか…非常に残念だ」
「ダンジョンだからな、仕方あるまい」
    食べる気満々だ。

「…ちなみに、どんな味するの?」
「そうだな…ブラックワニーに似てるが、独特の風味もある」
    カエルは鶏肉に似てるっていうし、ワニーもだ。独特の風味は分からないけど、みんなが欲しがるなら…やっぱり味見もしたくない。アマガエルなら捕まえられるけど、食べようなんて考えた事ないし、こんな巨大カエルは…

「皮は集まったし、次に行こうか。ね?」
「好き嫌いが多いと、大きくなれないぞ」
    それならオルニチンに期待するから大丈夫。

    8階層は齧る魚。

    看破    ピラニー    鋭い歯を持つ小型の魚。

    ピラニアはさすが肉食の魚だ。積極的に攻撃してくるけど、私は結界を纏っているし、フレイムとランスは影に入れた。シュガーは空中を進んでいるし、メタルとヤブランには傷一つ付けられない。

    ドロップアイテムは魔石だから、それはありがたく頂いた。

「主、もう夕食の時間ではないか?」
    え?もう?…正直、そんなにお腹は空いてない。というか最近、間食も控えてるのに、あんまり空かないな…

    まずい!最近の成長期が終わった?!今は140センチ近くあると思う。進化前のシュガーより大きいと思う。
    このまま第二次成長期に…なんて考えは甘かった。
    スマホに入ってるせいか、身長も伸びたのに…

「どうした?」
「…ランス、帰ったらもふもふさせて!」

    外野が空腹を訴えるので、簡単に豚バラのポン酢炒めにした。肉は勿論マシマシだ。

    食べ終わったら、まだ食べているランスとシュガーを並べて尻尾でもふもふさせてもらう。

「むう…足りない」
    アロカシアはまだまだ成長期のようだ。というか、幼少期の成長期は30年位あるらしい。
「んー。トンカツならあるよ」

    大皿にたっぷり盛られたトンカツに、みんな目を輝かせる。
「ボクは一枚で充分かな」
「にゃーはお腹一杯になったから、要らないにゃ」

    みんなの食欲は、本来の姿に比例している。馬位大きなランス。アロカシアは成長期なのを考えると、仕方ないのかな。

    アロカシアの食事が終わったので、まとめてクリーンをかけて空いたお皿を収納庫に仕舞う。
    お風呂に入りながら、マスターになったダンジョンの様子を、コアから教えてもらう。

    もふもふ冒険者達が、燃焼石の発掘ポイントを見つけたみたいだ。喜んで貰えてるみたいで、私も嬉しい。

    うーん。宝箱とかも置いた方がいいかな??隠し部屋を作って…でも鎖国してるから、入る人も少なくて、ダンジョンも枯れかけてた。私が生きてるうちはいいけど、先の話…維持出来ないと意味がなくなる。

    交易してる人達はダンジョンに入ったりしないのかな?護衛につく冒険者も。

    その辺はエリー姉様に聞いてみよう。
    ドラゴンが出るダンジョンのクリアは難しそうだけど、クリアしたいな…ダンジョンをクリアすると、出来る事が増えるから、色々と楽しみが多いし。

    まあ、まずは湖ダンジョンのクリアかな。


しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

神による異世界転生〜転生した私の異世界ライフ〜

シュガーコクーン
ファンタジー
 女神のうっかりで死んでしまったOLが一人。そのOLは、女神によって幼女に戻って異世界転生させてもらうことに。  その幼女の新たな名前はリティア。リティアの繰り広げる異世界ファンタジーが今始まる!  「こんな話をいれて欲しい!」そんな要望も是非下さい!出来る限り書きたいと思います。  素人のつたない作品ですが、よければリティアの異世界ライフをお楽しみ下さい╰(*´︶`*)╯ 旧題「神による異世界転生〜転生幼女の異世界ライフ〜」  現在、小説家になろうでこの作品のリメイクを連載しています!そちらも是非覗いてみてください。

滅びる異世界に転生したけど、幼女は楽しく旅をする!

白夢
ファンタジー
 何もしないでいいから、世界の終わりを見届けてほしい。  そう言われて、異世界に転生することになった。  でも、どうせ転生したなら、この異世界が滅びる前に観光しよう。  どうせ滅びる世界なら、思いっきり楽しもう。  だからわたしは旅に出た。  これは一人の幼女と小さな幻獣の、  世界なんて救わないつもりの放浪記。 〜〜〜  ご訪問ありがとうございます。    可愛い女の子が頼れる相棒と美しい世界で旅をする、幸せなファンタジーを目指しました。    ファンタジー小説大賞エントリー作品です。気に入っていただけましたら、ぜひご投票をお願いします。  お気に入り、ご感想、応援などいただければ、とても喜びます。よろしくお願いします! 23/01/08 表紙画像を変更しました

裏の林にダンジョンが出来ました。~異世界からの転生幼女、もふもふペットと共に~

あかる
ファンタジー
私、異世界から転生してきたみたい? とある田舎町にダンジョンが出来、そこに入った美優は、かつて魔法学校で教師をしていた自分を思い出した。 犬と猫、それと鶏のペットと一緒にダンジョンと、世界の謎に挑みます!

神に異世界へ転生させられたので……自由に生きていく

霜月 祈叶 (霜月藍)
ファンタジー
小説漫画アニメではお馴染みの神の失敗で死んだ。 だから異世界で自由に生きていこうと決めた鈴村茉莉。 どう足掻いても異世界のせいかテンプレ発生。ゴブリン、オーク……盗賊。 でも目立ちたくない。目指せフリーダムライフ!

【完結】神様に嫌われた神官でしたが、高位神に愛されました

土広真丘
ファンタジー
神と交信する力を持つ者が生まれる国、ミレニアム帝国。 神官としての力が弱いアマーリエは、両親から疎まれていた。 追い討ちをかけるように神にも拒絶され、両親は妹のみを溺愛し、妹の婚約者には無能と罵倒される日々。 居場所も立場もない中、アマーリエが出会ったのは、紅蓮の炎を操る青年だった。 小説家になろう、カクヨムでも公開していますが、一部内容が異なります。

悪役令息に転生したけど、静かな老後を送りたい!

えながゆうき
ファンタジー
 妹がやっていた乙女ゲームの世界に転生し、自分がゲームの中の悪役令息であり、魔王フラグ持ちであることに気がついたシリウス。しかし、乙女ゲームに興味がなかった事が仇となり、断片的にしかゲームの内容が分からない!わずかな記憶を頼りに魔王フラグをへし折って、静かな老後を送りたい!  剣と魔法のファンタジー世界で、精一杯、悪足搔きさせていただきます!

魔晶石ハンター ~ 転生チート少女の数奇な職業活動の軌跡

サクラ近衛将監
ファンタジー
 女神様のミスで事故死したOLの大滝留美は、地球世界での転生が難しいために、神々の伝手により異世界アスレオールに転生し、シルヴィ・デルトンとして生を受けるが、前世の記憶は11歳の成人の儀まで封印され、その儀式の最中に前世の記憶ととともに職業を神から告げられた。  シルヴィの与えられた職業は魔晶石採掘師と魔晶石加工師の二つだったが、シルヴィはその職業を知らなかった。  シルヴィの将来や如何に?  毎週木曜日午後10時に投稿予定です。

憧れのスローライフを異世界で?

さくらもち
ファンタジー
アラフォー独身女子 雪菜は最近ではネット小説しか楽しみが無い寂しく会社と自宅を往復するだけの生活をしていたが、仕事中に突然目眩がして気がつくと転生したようで幼女だった。 日々成長しつつネット小説テンプレキターと転生先でのんびりスローライフをするための地盤堅めに邁進する。

処理中です...