(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅

あかる

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登山ダンジョンと、G

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    山の麓に堅牢な町がある。山がダンジョンだと聞いたけど、後ろにある山がダンジョンのようだ。見かけは普通の山だけど、人力で登る事は出来ない。

    見えているのに登れないとはこれ如何に?
    ダンジョンであるがゆえの制限みたいだ。
    麓にある穴に、装備を固めたもふもふ達が入っていく。

    人族な私は入り口で止められたけど、エリー姉様に発行して貰った国民証を見せたら、通してくれた。…私を魔族だと思った?…えええ…魔族の人って、筋肉ムキムキの男の人しか見てないんだけど。

    ここで人族だと言い張ると余計にややこしくなりそうだから、黙って通り過ぎよう。

    1階層は、ビッグコッコだ。前にも狩った事のある、コッコの大型な物。
    サクッと狩って、落ちたモモ肉を拾う。
    むね肉になったり、卵の場合もあるんだ。
    
    …は、いいけど夕飯の話しながら包丁を持って素晴らしい包丁捌きでビッグコッコを狩るもふもふ主婦達。逞しい。

    鶏肉はレッドコークの方が美味しいのは確実だし、卵は農園で手に入るから、階段を探した。

    やっぱり、昇る階段なんだ。妙な所で感心しながら、魔法石に触れて2階層へ。

    シャドーバットか。羽根には隠蔽効果もあるけど、今使っているマントの方が丈夫で優秀だし、みんなのマントもそう。向かって来たのだけ、ヤブランが矢で落としている。予見を覚えていればこその攻撃だね。

    3階層は双尾鳥。前に食べた時は、身が柔らかくて美味しかったから、集めておこう。
    双つに別れている尾羽には慣性制御の力があるのか、動きに慣れるのにちょっと手間取った。
    倒し慣れているのか、もふもふ冒険者達は、迷いなく一撃で倒している。

    でもちょっとドロップアイテムがせこいかな…落とす肉は小さめだ。
    つっつかれると、かなり痛い…しかも鎧の隙間を狙ってくる。
「うわ…血が出たじゃん」
    ほんの数滴垂れたけど、傷は勝手に回復する。

「メイ、大丈夫にゃ?」
「ちょっと油断した。全然平気」
    それにしても、鳥系魔物が多いダンジョンだな。鶏肉は美味しいから好きだけど。

    羽根もドロップアイテムのようだ。羽毛部分で、沢山集めれば、羽毛布団が作れるかも。そこまで集めるのは凄く大変そうだからやらないけどさ。

    4階層は、スケルトンバード。空飛ぶ鶏ガラだ。
    どうやって飛んでいるかは理解に苦しむけど、ドロップアイテムの魔石は嬉しい。骨は…あとで鶏ガラスープでも作ろうかな?

    ヤブランの弓矢は貫通しちゃうので、剣で骨を叩き折っている。
    ランスもだけど、流石にオリハルコンの剣は曲がったりしないだろう。

    さて、ここのダンジョンの5階層はどんな感じかな?
    おお。やっぱり青空なんだね。山の頂上に出てしまったと勘違いしそうになるけど、ここは間違いなくダンジョンだ。

    目の前にある栗の木には、季節関係なく栗がなってる。農園にもあるとはいえ、自然?の物は違うかも?
    一応警戒しつつも木を揺すってみたら、凄い勢いでイガが刺さってきた。咄嗟に結界を張ったから無事だったけど。

    ちょ…自爆?!栗が勿体ない!

    無事というか、ドロップアイテム扱いなのだろう。中身は無事だった。良かった。

    気配を察して上を向くと、赤いハチが襲ってきた。

    レッドビー    キラービーの亜種。ダンジョン固有種

    へえ。ダンジョンだけにいる魔物なんていうのもいるんだ。深淵の森ダンジョンにいるキラービーと同じように、蔓の網で捉えて倒すと、オレンジ色の蜂蜜の小瓶を落とした。

    やった!ここのハチもハチミツを落とすんだね!味はどんな感じかな…えへへ。

    ここのダンジョンは、木々の間にしっかりと蔓が絡まってちゃんと迷路になっている。そして、良く見ると、根元にはハナタケがあったりする。舞茸に似てるかな?香りがいいキノコだ。

    ハーブも見られたけど、大概クリの木の根元に生えているので、収穫は止めておいた。

    人のいない所を見計らって結界で自分達を包みつつ、クリ爆弾を投下する。これが意外と爽快で、癖になりそうだ。
    レッドビーが巻き込まれてくれるのも嬉しいし。

    採掘ポイントがあるのか、もふもふ達が列を作っている。
「ここは、何が採れるのだ?」
「岩塩だ。海水から作り出すよりも安全だし、交易品にもなる」

    私達も並ぶ事にした。中には私の姿を見て驚く人もいたけど、後ろに並ぶルールとして、襲いかかるレッドビーには対処している。

    ローズソルトと呼ばれるそれは高級品で、肉料理に合い、何より美しくて、エリー姉様もお気に入りだとか。

    一応この国も海に接しているけど、海にいる魔物は強く、いつ襲われるか分からない。

    ここもダンジョンだから魔物がいるけど、海の魔物の方が怖いんだろうな。

    並んでも一人拳1つ分しか採れない。枯れてしまう為と、皆に渡るようにする為だ。
    私達は二人分でいいかな。自分達で使う分と、出荷用に。
    結局は人数分採ったけど、お昼過ぎに来ても枯れてないんだから、大丈夫だろう。

    色々と採取していたから遅くなった。階段の場所、聞いておいて良かった。
    6階層の手前で魔法石に触れて、進もうとして足が止まった。

    ぶーん、と、嫌な音がする。虫系魔物だろうけど、何故か鳥肌が立つ。
    ダンジョンの発光石に照らされて、飛んできたそれが壁に止まる…黒光りする羽根。
「いやぁぁ!」

「ど、どうした主!怖がるような魔物ではないぞ!」
「無理無理無理無理!Gだけは絶対に無理!」
「G?ゴッキーの事か?…主?」
    亜空間に入ってしまった私に、ヤブランが声をかける。
「開けないでー!カサカサ音が聞こえる!」

(了解した。ドロップアイテムは羽根か毒の小瓶、水を弾く液体だが)
(要らない!お願いだから全部捨てて!)

「メイはどうしたの?火魔法一回でやっつけられるのに」
「ゴーストでもないにゃ?」
「分からぬが、次の階層への階段を探してから呼べば良かろう」

「本来なら、苦手は克服していく方が良いのだが、この様子では今日は無理だろう」

    結構階段探しに時間がかかってしまい、魔法石を見つけたと呼ばれた時には、夕食の時間をかなり過ぎていた。
    その際、クリーンとピュアを連発したのは仕方ない事だ。
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