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恋の行方
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どうにか、卒業には間に合った。みんな喜んでくれたけど、魔熊の事を話すと若干引いていた。
「でも…Aランクの冒険者でも倒せなかった魔物を倒したのに、Aランクにはなれないの?」
「私一人の力じゃないもん。それに、条件付きAランクなんてちょっと微妙でしょ?」
例えばランスが護衛依頼を受けて、私が付いていったとしても、私はカウントされない。なのに何もしなくていいって事にはならない。そんな依頼をこれから先、ランス達が受けるはずもないけど、断れない時も出てくるかも?
あの後大変だった。そんな強い冒険者をパーティーに勧誘してくる人とか、功績に対して褒美をくれるというので、素直に従ったら王様に会うはめになったりとか。祝賀パーティーを開いてくれるとか。勿論丁重にお断りしたけど、良かったと思う。
貴族って面倒じゃん?リアはいい子だし、これからも友達だけど、野生児と言われる私には似合わない世界だよね。
だって、ドレスなんて着たら動けないじゃん?
まあ、うちの大食い達には少し残念だったかもしれない。
卒業式というか、校長先生の挨拶はあった。卒業資格はギルドカードや、市民証に記録されるようだ。それなりの知識があると証明された。
実際、ギルドの依頼は日雇い派遣と変わりないと思うので、そこまで重要にはなってこないと思うんだけど…
トールと話す為に、…何故か二人になりたいって言われたから、シュガーには先に帰って貰った。
「改まって何?」
「あ…の、僕の事、どう思う?」
「え?ちゃんと友達だと思ってるよ?男子の友達って、トール位しかいないけど」
「あー…うん。やっぱり何も伝わってなかったんだね…僕は、メイの事が好き。友達としてじゃなくて…女の子として」
…え?
「だからどうとかはないよ?…以前は同じ冒険者として、一緒に…って思ってたけど、実力の違いもあるし、メイは、こういう方面には興味ないでしょ?」
だって…私、まだ6歳だよ?!トールだって10歳前じゃん?多分。
二次元にばかり恋してた前世だったから、恋愛に関しては初心者だし、転生してからも…もふもふにばかり夢中になってた気がする…私、進歩がないな。
「ごめん…困ってる?でも、僕の気持ちを押し付けたい訳じゃないんだ。もし気が変わったら…お互いに冒険者として、どこかで会えたら…会えたらいいね!」
「いきなりだったし…でも、トールはしっかり者だし、同年代の子達の中では強いと思うから…。ううん!また会えたらいいね!」
だってさ、トールモテそうじゃん?それに私が誰かと付き合うなんて話になったら…眷属達が拗ねそうだし、どっちか選ばなきゃいけなくなったら、私は眷属を選ぶと思う。
というか、文字通り10年早いよね!
うん…驚いたけど、見かけはアニメキャラみたいに可愛いからね。中身は色気も何もないけど。
亜空間に戻ると、シュガーが身体を刷り寄せてきた。
(トールの話は何だったにゃ?)
「んー?コイの話…」
(にゃっ!コイはお刺身が美味しいにゃ!)
「そうだね…甘煮もいいね」
なんとなく返して、いや、違うからと、自分で突っ込みを入れる。シュガーには難しい話題だったのか。
夕方には狩りに行ってたフレイムとランス。またエルドさんの所に行ってたアロカシアが帰ってくる。
「ダンジョンの前の冒険者達も引き上げたようだ。稲刈りに行くか?」
「そうだね…」
農園でモチゴメの種籾もかなり安く売られるようになったから、急ぐ必要はないけどね。
これはお菓子を要求するアルミネアからの無言の欲求に違いないと思って、きなこや胡麻、ずんだ餡、青豆餡をつけたおはぎを出荷しておいた。
エルダンも仕事しながら食べ易いように、一口サイズのおはぎも作ってみた。
次の20階層はボス部屋だろうし、その下はきっと美味しい魔物に違いないから、サクッと行きたい。
次の日。まずは定番の稲刈り。そうして、リフレッシュをかけてボス部屋へ。
ボスはワーウルフだ。大剣を使って攻撃してくる。
「うむ…こんな物か」
剣を片手で受け止めて、私に視線を送るヤブラン。
これは私にやれという事だろう。よし!
双剣をクロスさせて、大剣を受け止める。身体強化のお陰で軽々と受け止める。
くっ…奴も身体強化を使うのか。威力が凄い。
素早くても私には予見があるから最少の動きで避けられるし、合わせて剣を振るう事も出来る。
けど、体力半端ないな…それに再生能力もある。致命傷を与えるには、魔法も併用しないと駄目か。
ホーリーソード。眷属達のお陰で今は聖魔法の方が扱いやすい。
よし!倒した。宝箱は…え?何故か苗木だ。
鑑定 メイプルの木 農園に植えよう!
アルミネア…。きっと稲刈りに興じる私を見てやきもきしてたんだろうな…でも私より先に他の冒険者がたどり着いたらどうするつもりだったんだろうね。
職権乱用。メイプルシロップは欲しかったけどね!
「下に降りるのだろう?」
「当然。次の魔物(食べ物)は何かなー?」
「心の声が駄々漏れなの」
21階層は、天井が凄く高い!そうして、広い!
居る魔物がワイバーンだからだね…でも以前に戦った時より流石に低い位置に飛んでいる。
ヤブランの射た雷の矢がワイバーンに刺さる。
ランスも、雷魔法でワイバーンを麻痺させ、落とす。
あとは普通の戦闘と変わりないけど、麻痺しながらも長い尻尾で攻撃してくる。
やっぱり一筋縄じゃいかないよね。
ドロップしたのは、ワイバーンの肉!しかもマンガ肉だ。どこの部位だろう?
またあの美味しい肉が食べられるのは嬉しい!
出現するのは一匹だけなので、待っていると勿体ぶったように出てくる。
ああ…皮膜の時もあるんだね。それは仕方ないか。
でも、出来るだけ集めるよ!かなり大振りな肉とはいえ、一つだとヤブランのお腹の中に余裕で消えちゃうからね。
「でも…Aランクの冒険者でも倒せなかった魔物を倒したのに、Aランクにはなれないの?」
「私一人の力じゃないもん。それに、条件付きAランクなんてちょっと微妙でしょ?」
例えばランスが護衛依頼を受けて、私が付いていったとしても、私はカウントされない。なのに何もしなくていいって事にはならない。そんな依頼をこれから先、ランス達が受けるはずもないけど、断れない時も出てくるかも?
あの後大変だった。そんな強い冒険者をパーティーに勧誘してくる人とか、功績に対して褒美をくれるというので、素直に従ったら王様に会うはめになったりとか。祝賀パーティーを開いてくれるとか。勿論丁重にお断りしたけど、良かったと思う。
貴族って面倒じゃん?リアはいい子だし、これからも友達だけど、野生児と言われる私には似合わない世界だよね。
だって、ドレスなんて着たら動けないじゃん?
まあ、うちの大食い達には少し残念だったかもしれない。
卒業式というか、校長先生の挨拶はあった。卒業資格はギルドカードや、市民証に記録されるようだ。それなりの知識があると証明された。
実際、ギルドの依頼は日雇い派遣と変わりないと思うので、そこまで重要にはなってこないと思うんだけど…
トールと話す為に、…何故か二人になりたいって言われたから、シュガーには先に帰って貰った。
「改まって何?」
「あ…の、僕の事、どう思う?」
「え?ちゃんと友達だと思ってるよ?男子の友達って、トール位しかいないけど」
「あー…うん。やっぱり何も伝わってなかったんだね…僕は、メイの事が好き。友達としてじゃなくて…女の子として」
…え?
「だからどうとかはないよ?…以前は同じ冒険者として、一緒に…って思ってたけど、実力の違いもあるし、メイは、こういう方面には興味ないでしょ?」
だって…私、まだ6歳だよ?!トールだって10歳前じゃん?多分。
二次元にばかり恋してた前世だったから、恋愛に関しては初心者だし、転生してからも…もふもふにばかり夢中になってた気がする…私、進歩がないな。
「ごめん…困ってる?でも、僕の気持ちを押し付けたい訳じゃないんだ。もし気が変わったら…お互いに冒険者として、どこかで会えたら…会えたらいいね!」
「いきなりだったし…でも、トールはしっかり者だし、同年代の子達の中では強いと思うから…。ううん!また会えたらいいね!」
だってさ、トールモテそうじゃん?それに私が誰かと付き合うなんて話になったら…眷属達が拗ねそうだし、どっちか選ばなきゃいけなくなったら、私は眷属を選ぶと思う。
というか、文字通り10年早いよね!
うん…驚いたけど、見かけはアニメキャラみたいに可愛いからね。中身は色気も何もないけど。
亜空間に戻ると、シュガーが身体を刷り寄せてきた。
(トールの話は何だったにゃ?)
「んー?コイの話…」
(にゃっ!コイはお刺身が美味しいにゃ!)
「そうだね…甘煮もいいね」
なんとなく返して、いや、違うからと、自分で突っ込みを入れる。シュガーには難しい話題だったのか。
夕方には狩りに行ってたフレイムとランス。またエルドさんの所に行ってたアロカシアが帰ってくる。
「ダンジョンの前の冒険者達も引き上げたようだ。稲刈りに行くか?」
「そうだね…」
農園でモチゴメの種籾もかなり安く売られるようになったから、急ぐ必要はないけどね。
これはお菓子を要求するアルミネアからの無言の欲求に違いないと思って、きなこや胡麻、ずんだ餡、青豆餡をつけたおはぎを出荷しておいた。
エルダンも仕事しながら食べ易いように、一口サイズのおはぎも作ってみた。
次の20階層はボス部屋だろうし、その下はきっと美味しい魔物に違いないから、サクッと行きたい。
次の日。まずは定番の稲刈り。そうして、リフレッシュをかけてボス部屋へ。
ボスはワーウルフだ。大剣を使って攻撃してくる。
「うむ…こんな物か」
剣を片手で受け止めて、私に視線を送るヤブラン。
これは私にやれという事だろう。よし!
双剣をクロスさせて、大剣を受け止める。身体強化のお陰で軽々と受け止める。
くっ…奴も身体強化を使うのか。威力が凄い。
素早くても私には予見があるから最少の動きで避けられるし、合わせて剣を振るう事も出来る。
けど、体力半端ないな…それに再生能力もある。致命傷を与えるには、魔法も併用しないと駄目か。
ホーリーソード。眷属達のお陰で今は聖魔法の方が扱いやすい。
よし!倒した。宝箱は…え?何故か苗木だ。
鑑定 メイプルの木 農園に植えよう!
アルミネア…。きっと稲刈りに興じる私を見てやきもきしてたんだろうな…でも私より先に他の冒険者がたどり着いたらどうするつもりだったんだろうね。
職権乱用。メイプルシロップは欲しかったけどね!
「下に降りるのだろう?」
「当然。次の魔物(食べ物)は何かなー?」
「心の声が駄々漏れなの」
21階層は、天井が凄く高い!そうして、広い!
居る魔物がワイバーンだからだね…でも以前に戦った時より流石に低い位置に飛んでいる。
ヤブランの射た雷の矢がワイバーンに刺さる。
ランスも、雷魔法でワイバーンを麻痺させ、落とす。
あとは普通の戦闘と変わりないけど、麻痺しながらも長い尻尾で攻撃してくる。
やっぱり一筋縄じゃいかないよね。
ドロップしたのは、ワイバーンの肉!しかもマンガ肉だ。どこの部位だろう?
またあの美味しい肉が食べられるのは嬉しい!
出現するのは一匹だけなので、待っていると勿体ぶったように出てくる。
ああ…皮膜の時もあるんだね。それは仕方ないか。
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