94 / 166
依頼とアロカシア
しおりを挟む
久しぶりにみんなで食肉採取をする事になった。
「やっとみんなの都合がついたのかな?何にせよ嬉しい」
「卒業までもう間がないからな。トールには悪いが、協力はここまでだ」
「エレン?トールに何の協力していたの?」
むしろ二人で活動している時に魔法の扱い方でコツを教えたりと、協力していたのは私もだ。
「本当に、成果が出せなくて、申し訳ない」
「本当にな」
「何か分からないけど、私も協力するよ?」
「それは、意味がないんだよね」
私では力になれない事なのか…私には全く関係ない事なのかな?
「ねえ、メイには好きな人はいないの?」
「どうしたの?アルマ、唐突に」
「唐突…でもないんだけど」
「メイにはにゃーがいるのにゃ!番はにゃー!」
「はいはい、仲良し姉妹だもんね」
「まあ…今まで全く考えた事なかったかな」
子供でもそういう話題はあるって事かな…私の小学生の頃ってどんな感じだったかな?
「身近な男子とか」
「だから、急に言われても困るよ。それに私、まだ6歳だよ?」
「そっか…しっかりしてるし、大人びた話し方もしたりするけど、メイはクラスで一番の年下だもんね…」
「お姉ちゃんのシュガーより、しっかりしてるよね?」
まあ実際、私の方が年上だし、中身は大人?かもしれない。
その後、何故か落ち込んだトールをみんなが慰めるなんて場面も見られたけど、どうしたのかな?
いい獲物も居なかったけど、蜂蜜入りのホットミルクを飲んで、やっとトールにも笑顔が見られたから、良かった。
あと何回、みんなと依頼を受けられるかな?
あ…雪だ。いよいよ最後の月だ。
ギルドに行っら、何故か私はシュガーと一緒に二階にあるギルドマスターの部屋に呼ばれた。シュガーも一緒に。何で?
「実は、少々早いが、ランクを一つ上げる事にした。でないと受けて欲しい依頼が受けて貰えないからな」
「…は?」
「王都南の山に住み着いた魔熊を倒して欲しい…本来Aランクの仕事だから、限定Bランクとして、護衛依頼以外は受けられるようになったんだ」
「それって、私限定?」
「そうだな。他に例はない…頼む!他に空いてる奴がいなくてな!」
「それは、フレイムも行ってもいいんですか?」
「それは…リーダーの判断になる…ただし、ランクA単体で行った者は魔熊にやられたと思われる」
危険な依頼か。
「にゃー達はもう少し学校にゃ?」
「卒業資格は渡す。王都に近い事もあって、非常に危険なんだ。可及的速やかに頼む」
「分かった。すぐにみんなには伝えるよ」
アロカシアは…まだエルドさんの所か。ヤブランにも伝えないと、拗ねるだろうな。…種族名は不明なのかな?
下に降りると、みんな待っていた。
「ごめんね?…ちょっと厄介な依頼を受けちゃったから、もしかするとみんなと一緒に卒業出来ないかも?」
急げば行って戻れるし、王都の近くにゲートは開いているから、山で時間を取られなければ…でも近くというけれど、どれ程なのか。それに、亜空間移動の事は出来れば知られたくない。
「それは…メイが行かないといけないの?危険なんでしょ?」
「私、リーダーだからね。それに、シュガーも含めて、パーティーメンバー全員強いから」
それに、私が動かないなら、ギルマスからお願いされても動かないだろう。
「メイ…大丈夫、だよね?」
「うん?勿論。うちのメンバーは強いし。それに私も結構強いのはトールも知ってるじゃん?」
流石に6歳の私のいるパーティーに依頼が来るのはあり得ない話しだけど。
「大丈夫にゃ。作戦はいのちだいじに、にゃ」
「戻ったら…連絡貰える?」
「そうだね…アルマのお店か、リリーなら確実にいるよね?」
「勿論。私も会いたいし!」
「分かった。じゃあ、またね!」
亜空間の中には、ランスとフレイムがいた。
「ただいまー!」
ゴロンとお腹を見せて転がるランスのお腹を撫でながら、胸の所のふさふさの毛に顔を埋める。フレイムにも充分もふもふして、アロカシアの姿はやはりないなと思った。
「ずっと帰ってないのかな?」
(一度も姿を見せてないな。俺も気にはなっていたんだが)
パスを通してだと、ずっと元気だという事しか分からない。
ここからなら念話も通じるし、話しかけてみるか。
(アロカシア?用事が出来たからちょっと早く帰って来たんだけど…何か用事があるのかな?)
(…!!あ、主…申し訳ない。明日には戻る)
(切羽詰まった用事でもないけど…アロカシアが大丈夫なら?あ、久しぶりだし、私もエルドさんに挨拶したいな)
(あ…いや。それは…)
様子がおかしい。何か私に隠している?
亜空間移動で、世界樹の麓にゲートを開く。
「…!アロカシア?!何で…どうして!」
広場の片隅に、ボロボロになった銀竜の姿が。
(メイ様…我は頼まれて稽古を付けてやっていたのだ)
(これは…パスの偽装?!何で!)
(その…心配させない為に)
(どうして!パスまで偽装されたら、私は何を信じればいいの…こんな事は、二度とやめて!)
(申し訳ない…)
フレイムに再生を使って貰うと、剥けた鱗も元に戻った。
(頼む…泣かないでくれ。もう二度としない)
(ボクとランスも、結構頑張って訓練してたの。…メイの怪我は、ボク達には堪えたの)
「にゃーも…ショックだったけど、何も出来なかったにゃ」
情けない…こんなに心労をかけていて、分からなかったなんて。
「ごめんね?私…大丈夫だから、本当に気を付けるから」
亜空間移動で元の場所に戻り、改めてアロカシアの事を確認する。スキルが幾つか増えているみたいだ。特訓の成果?
「絶対にもう、無茶は駄目だよ?私も無理はしないから」
「でも、強い魔物を倒す依頼を受けたにゃ?」
そうだった…舌の根も乾かぬうちから。
「実はね、アロカシア。王都の近くの山に、魔熊が住み着いたみたいで、その討伐依頼を受けたんだけど…いい?」
「我に気を使うな。我は主の眷属だ。主が望むなら、最強のもふもふも…いや」
「心配しなくても、もう従魔は要らないってば」
メタルが変化した時、凄く嫉妬してたもんね。…アロカシアのも変化だけど、もふもふにはなれないのかな?
「訓練次第では…だが、そこまでするのは…」
「いいよ。そのままで充分。頼りにしてるよ」
「やっとみんなの都合がついたのかな?何にせよ嬉しい」
「卒業までもう間がないからな。トールには悪いが、協力はここまでだ」
「エレン?トールに何の協力していたの?」
むしろ二人で活動している時に魔法の扱い方でコツを教えたりと、協力していたのは私もだ。
「本当に、成果が出せなくて、申し訳ない」
「本当にな」
「何か分からないけど、私も協力するよ?」
「それは、意味がないんだよね」
私では力になれない事なのか…私には全く関係ない事なのかな?
「ねえ、メイには好きな人はいないの?」
「どうしたの?アルマ、唐突に」
「唐突…でもないんだけど」
「メイにはにゃーがいるのにゃ!番はにゃー!」
「はいはい、仲良し姉妹だもんね」
「まあ…今まで全く考えた事なかったかな」
子供でもそういう話題はあるって事かな…私の小学生の頃ってどんな感じだったかな?
「身近な男子とか」
「だから、急に言われても困るよ。それに私、まだ6歳だよ?」
「そっか…しっかりしてるし、大人びた話し方もしたりするけど、メイはクラスで一番の年下だもんね…」
「お姉ちゃんのシュガーより、しっかりしてるよね?」
まあ実際、私の方が年上だし、中身は大人?かもしれない。
その後、何故か落ち込んだトールをみんなが慰めるなんて場面も見られたけど、どうしたのかな?
いい獲物も居なかったけど、蜂蜜入りのホットミルクを飲んで、やっとトールにも笑顔が見られたから、良かった。
あと何回、みんなと依頼を受けられるかな?
あ…雪だ。いよいよ最後の月だ。
ギルドに行っら、何故か私はシュガーと一緒に二階にあるギルドマスターの部屋に呼ばれた。シュガーも一緒に。何で?
「実は、少々早いが、ランクを一つ上げる事にした。でないと受けて欲しい依頼が受けて貰えないからな」
「…は?」
「王都南の山に住み着いた魔熊を倒して欲しい…本来Aランクの仕事だから、限定Bランクとして、護衛依頼以外は受けられるようになったんだ」
「それって、私限定?」
「そうだな。他に例はない…頼む!他に空いてる奴がいなくてな!」
「それは、フレイムも行ってもいいんですか?」
「それは…リーダーの判断になる…ただし、ランクA単体で行った者は魔熊にやられたと思われる」
危険な依頼か。
「にゃー達はもう少し学校にゃ?」
「卒業資格は渡す。王都に近い事もあって、非常に危険なんだ。可及的速やかに頼む」
「分かった。すぐにみんなには伝えるよ」
アロカシアは…まだエルドさんの所か。ヤブランにも伝えないと、拗ねるだろうな。…種族名は不明なのかな?
下に降りると、みんな待っていた。
「ごめんね?…ちょっと厄介な依頼を受けちゃったから、もしかするとみんなと一緒に卒業出来ないかも?」
急げば行って戻れるし、王都の近くにゲートは開いているから、山で時間を取られなければ…でも近くというけれど、どれ程なのか。それに、亜空間移動の事は出来れば知られたくない。
「それは…メイが行かないといけないの?危険なんでしょ?」
「私、リーダーだからね。それに、シュガーも含めて、パーティーメンバー全員強いから」
それに、私が動かないなら、ギルマスからお願いされても動かないだろう。
「メイ…大丈夫、だよね?」
「うん?勿論。うちのメンバーは強いし。それに私も結構強いのはトールも知ってるじゃん?」
流石に6歳の私のいるパーティーに依頼が来るのはあり得ない話しだけど。
「大丈夫にゃ。作戦はいのちだいじに、にゃ」
「戻ったら…連絡貰える?」
「そうだね…アルマのお店か、リリーなら確実にいるよね?」
「勿論。私も会いたいし!」
「分かった。じゃあ、またね!」
亜空間の中には、ランスとフレイムがいた。
「ただいまー!」
ゴロンとお腹を見せて転がるランスのお腹を撫でながら、胸の所のふさふさの毛に顔を埋める。フレイムにも充分もふもふして、アロカシアの姿はやはりないなと思った。
「ずっと帰ってないのかな?」
(一度も姿を見せてないな。俺も気にはなっていたんだが)
パスを通してだと、ずっと元気だという事しか分からない。
ここからなら念話も通じるし、話しかけてみるか。
(アロカシア?用事が出来たからちょっと早く帰って来たんだけど…何か用事があるのかな?)
(…!!あ、主…申し訳ない。明日には戻る)
(切羽詰まった用事でもないけど…アロカシアが大丈夫なら?あ、久しぶりだし、私もエルドさんに挨拶したいな)
(あ…いや。それは…)
様子がおかしい。何か私に隠している?
亜空間移動で、世界樹の麓にゲートを開く。
「…!アロカシア?!何で…どうして!」
広場の片隅に、ボロボロになった銀竜の姿が。
(メイ様…我は頼まれて稽古を付けてやっていたのだ)
(これは…パスの偽装?!何で!)
(その…心配させない為に)
(どうして!パスまで偽装されたら、私は何を信じればいいの…こんな事は、二度とやめて!)
(申し訳ない…)
フレイムに再生を使って貰うと、剥けた鱗も元に戻った。
(頼む…泣かないでくれ。もう二度としない)
(ボクとランスも、結構頑張って訓練してたの。…メイの怪我は、ボク達には堪えたの)
「にゃーも…ショックだったけど、何も出来なかったにゃ」
情けない…こんなに心労をかけていて、分からなかったなんて。
「ごめんね?私…大丈夫だから、本当に気を付けるから」
亜空間移動で元の場所に戻り、改めてアロカシアの事を確認する。スキルが幾つか増えているみたいだ。特訓の成果?
「絶対にもう、無茶は駄目だよ?私も無理はしないから」
「でも、強い魔物を倒す依頼を受けたにゃ?」
そうだった…舌の根も乾かぬうちから。
「実はね、アロカシア。王都の近くの山に、魔熊が住み着いたみたいで、その討伐依頼を受けたんだけど…いい?」
「我に気を使うな。我は主の眷属だ。主が望むなら、最強のもふもふも…いや」
「心配しなくても、もう従魔は要らないってば」
メタルが変化した時、凄く嫉妬してたもんね。…アロカシアのも変化だけど、もふもふにはなれないのかな?
「訓練次第では…だが、そこまでするのは…」
「いいよ。そのままで充分。頼りにしてるよ」
235
お気に入りに追加
2,031
あなたにおすすめの小説
神による異世界転生〜転生した私の異世界ライフ〜
シュガーコクーン
ファンタジー
女神のうっかりで死んでしまったOLが一人。そのOLは、女神によって幼女に戻って異世界転生させてもらうことに。
その幼女の新たな名前はリティア。リティアの繰り広げる異世界ファンタジーが今始まる!
「こんな話をいれて欲しい!」そんな要望も是非下さい!出来る限り書きたいと思います。
素人のつたない作品ですが、よければリティアの異世界ライフをお楽しみ下さい╰(*´︶`*)╯
旧題「神による異世界転生〜転生幼女の異世界ライフ〜」
現在、小説家になろうでこの作品のリメイクを連載しています!そちらも是非覗いてみてください。
滅びる異世界に転生したけど、幼女は楽しく旅をする!
白夢
ファンタジー
何もしないでいいから、世界の終わりを見届けてほしい。
そう言われて、異世界に転生することになった。
でも、どうせ転生したなら、この異世界が滅びる前に観光しよう。
どうせ滅びる世界なら、思いっきり楽しもう。
だからわたしは旅に出た。
これは一人の幼女と小さな幻獣の、
世界なんて救わないつもりの放浪記。
〜〜〜
ご訪問ありがとうございます。
可愛い女の子が頼れる相棒と美しい世界で旅をする、幸せなファンタジーを目指しました。
ファンタジー小説大賞エントリー作品です。気に入っていただけましたら、ぜひご投票をお願いします。
お気に入り、ご感想、応援などいただければ、とても喜びます。よろしくお願いします!
23/01/08 表紙画像を変更しました

【完結】前世の不幸は神様のミスでした?異世界転生、条件通りなうえチート能力で幸せです
yun.
ファンタジー
~タイトル変更しました~
旧タイトルに、もどしました。
日本に生まれ、直後に捨てられた。養護施設に暮らし、中学卒業後働く。
まともな職もなく、日雇いでしのぐ毎日。
劣悪な環境。上司にののしられ、仲のいい友人はいない。
日々の衣食住にも困る。
幸せ?生まれてこのかた一度もない。
ついに、死んだ。現場で鉄パイプの下敷きに・・・
目覚めると、真っ白な世界。
目の前には神々しい人。
地球の神がサボった?だから幸せが1度もなかったと・・・
短編→長編に変更しました。
R4.6.20 完結しました。
長らくお読みいただき、ありがとうございました。

幼女と執事が異世界で
天界
ファンタジー
宝くじを握り締めオレは死んだ。
当選金額は約3億。だがオレが死んだのは神の過失だった!
謝罪と称して3億分の贈り物を貰って転生したら異世界!?
おまけで貰った執事と共に異世界を満喫することを決めるオレ。
オレの人生はまだ始まったばかりだ!

転生先ではゆっくりと生きたい
ひつじ
ファンタジー
勉強を頑張っても、仕事を頑張っても誰からも愛されなかったし必要とされなかった藤田明彦。
事故で死んだ明彦が出会ったのは……
転生先では愛されたいし必要とされたい。明彦改めソラはこの広い空を見ながらゆっくりと生きることを決めた
小説家になろうでも連載中です。
なろうの方が話数が多いです。
https://ncode.syosetu.com/n8964gh/

追放された引きこもり聖女は女神様の加護で快適な旅を満喫中
四馬㋟
ファンタジー
幸福をもたらす聖女として民に崇められ、何不自由のない暮らしを送るアネーシャ。19歳になった年、本物の聖女が現れたという理由で神殿を追い出されてしまう。しかし月の女神の姿を見、声を聞くことができるアネーシャは、正真正銘本物の聖女で――孤児院育ちゆえに頼るあてもなく、途方に暮れるアネーシャに、女神は告げる。『大丈夫大丈夫、あたしがついてるから』「……軽っ」かくして、女二人のぶらり旅……もとい巡礼の旅が始まる。

異世界に転生したので幸せに暮らします、多分
かのこkanoko
ファンタジー
物心ついたら、異世界に転生していた事を思い出した。
前世の分も幸せに暮らします!
平成30年3月26日完結しました。
番外編、書くかもです。
5月9日、番外編追加しました。
小説家になろう様でも公開してます。
エブリスタ様でも公開してます。

美少女に転生して料理して生きてくことになりました。
ゆーぞー
ファンタジー
田中真理子32歳、独身、失業中。
飲めないお酒を飲んでぶったおれた。
気がついたらマリアンヌという12歳の美少女になっていた。
その世界は加護を受けた人間しか料理をすることができない世界だった
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる