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お泊まり実習2日目
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夕方にヤブラン、他の冒険者が交替に来たので、午後に増えた獲物も無駄になりそうにない。
でもヤブランが本気で食べたら絶対無くなるので、ご飯食べてきてと事前に言っておいた。
「ヤブラン、来てくれてありがとう」
「?知り合いなの?」
「同じパーティーメンバーなんだよ」
同じ班の子達がヤブランを見てぽうっとなっている。
「凄いのね…あのフレイムって人もそうだけど、彼もすごく強そう」
まず間違いなく最強の冒険者だと思う。
ブラックラクーンはもう一匹見つけられたので、二匹とも汁物にした。
臭みを取る花を使ったのだけど、一度は茹でこぼした。結構癖のある匂いだ。合わせるナス等の野菜は一度素揚げして、油揚げも入れて、大鍋で作った。
お腹がほっこり温まる。みんな満足そうな顔してる。ヤブランが空になった鍋を覗いて切なそうにしてるけど、串焼きもいっぱい食べてたよね?
(足りないの?)
(これでも遠慮して食べていたからな。だが、食べ過ぎも良くないからな)
えっ…遠慮、してたんだ。夜番だから満腹になって眠る訳にはいかないからかな?
テントは去年と同じ、六人で使用している。
私は今日の夜番は無し。ただし、一番入り口に近い所に寝て、いつでも起きられるようにしておく。女の子用のテントはもう一つあるけど、もしもの時は私が対処する事になっている。
スキルは通常、眠っていると使用出来ないけど、並列思考のスキルが並列意思になってからは、眠っていても脳の一部が目覚めている感覚がある。
完全に安全な亜空間の中では勿論切っているけど、今日と明日は警戒しなきゃいけない。
シュガーも人化していなきゃいけない時は精霊に頼んでいるみたいだ。
精霊に甘えてもいいのかと思うけど、シュガーは元から甘えん坊だから、それでもいいかな。そういう所も可愛いし。
少なくとも今夜は大丈夫だろう。ヤブランがいるからね。
翌朝、夜の間に集められた獲物をみんなで手分けして朝食にしていく。夜行性の魔物もいるけど、美味しそうなのはいない。
夜行性の毛色の濃いウサギをソテーして、野菜と一緒にサンドイッチにしていく。
その間に野菜たっぷりのコンソメスープを作る。
「メイ、これはコンゾーメのスープですの?よく手に入りましたわね…」
あれ?珍しい物だった?…農園に簡単に売り出されたから、そんなに珍しい物とは思わなかった。
「でもリアは食べた事あるんだよね?」
「ええ…王都のレストランで。食材のコンゾーメは遠い国から輸入されたと聞きましたわ」
「ヤブランがパーティーに加入した時、持ってたんだ…それなりに量はあったし、折角だから」
うう…気をつけないとだめだね。町で見かける物以外は使わないようにしないと。
そういえば、給食でスープが出ても塩味しかついてなかったね。
朝食は一人の分量が決まっているので、ヤブランには亜空間に戻るまでお預けかな。フレイムとランスの収納庫からなら、私が隙を見てスマホに入って作っておいた食料を出せるし。
今日は魔法の実践授業だ。冬の間にクラスの殆どの子にイメージのコツを属性によって色々教えていたから、水魔法しか使えない子でも、圧縮すればちゃんと攻撃として使える魔法だと教えてある。
レイリー先生は勿論手放しで褒めてくれた。
先生も何回か参加したけど、職員会議があったり、色々と忙しかったから、なかなか参加できなかった。それでも、そこは魔法の先生。生徒達よりも多い魔力量で、繰り返し練習して、色々と習得していた。
途中、魔法使いの冒険者が子供達の使う魔法の威力に驚いて、見学の為に持ち場を離れてしまうというハプニングもあったけど、いつもとは違う環境での授業はとても楽しい。
「見てにゃー!生け捕りにゃ!」
シュガーが罠の形で放った魔法が、ホーンラビットを生け捕りにする。
「いや…生け捕りの意味ないから。倒しなよ…リア!水弾」
小さく、威力が上がった水弾が、ホーンラビットの頭を潰す。
「うっ…」
リアは血が苦手だ。貴族だから魔物を退治して、解体したりする必要はないかもしれないけど、こういう世界だし、少しずつでも慣れた方がいいんじゃないかな…
午後は買い取り部位について。勿論実際に角を取ったり、皮を剥いだりと、生徒にも少しずつやらせる。
リアとか出来ない人もいたり、私みたいにやらなくていいから、魔物の警戒をしたり。
「にゃーも野生にゃ?」
「いいじゃん。姉妹でお揃いだって」
でもシュガーは解体は上手じゃないんだよね。
部位毎に分けて料理するのは私かアロカシアだからね。
「シュガーも習いたいなら、私が教えるよ?」
「んー…にゃーはロースとかももとか分からないにゃ…みんな繋がってるにゃ?」
「でも、部位によって肉質も違うのは分かるよね?」
「モツ煮込みは美味しいにゃ!」
それは料理名。
「シュガーもたまに料理するんだから、色々覚えたら面白いよ?」
「にゃーの料理はカシオブツにゃ!」
好物限定でも、いいか。すごくいい笑顔するもんね。
「夕飯はカシオブツを使ってにゃ?」
「…じゃあ、味噌汁の出汁で使うよ。その後のは食べていいよ」
ビッグコッコとかいないかなー?
でもヤブランが本気で食べたら絶対無くなるので、ご飯食べてきてと事前に言っておいた。
「ヤブラン、来てくれてありがとう」
「?知り合いなの?」
「同じパーティーメンバーなんだよ」
同じ班の子達がヤブランを見てぽうっとなっている。
「凄いのね…あのフレイムって人もそうだけど、彼もすごく強そう」
まず間違いなく最強の冒険者だと思う。
ブラックラクーンはもう一匹見つけられたので、二匹とも汁物にした。
臭みを取る花を使ったのだけど、一度は茹でこぼした。結構癖のある匂いだ。合わせるナス等の野菜は一度素揚げして、油揚げも入れて、大鍋で作った。
お腹がほっこり温まる。みんな満足そうな顔してる。ヤブランが空になった鍋を覗いて切なそうにしてるけど、串焼きもいっぱい食べてたよね?
(足りないの?)
(これでも遠慮して食べていたからな。だが、食べ過ぎも良くないからな)
えっ…遠慮、してたんだ。夜番だから満腹になって眠る訳にはいかないからかな?
テントは去年と同じ、六人で使用している。
私は今日の夜番は無し。ただし、一番入り口に近い所に寝て、いつでも起きられるようにしておく。女の子用のテントはもう一つあるけど、もしもの時は私が対処する事になっている。
スキルは通常、眠っていると使用出来ないけど、並列思考のスキルが並列意思になってからは、眠っていても脳の一部が目覚めている感覚がある。
完全に安全な亜空間の中では勿論切っているけど、今日と明日は警戒しなきゃいけない。
シュガーも人化していなきゃいけない時は精霊に頼んでいるみたいだ。
精霊に甘えてもいいのかと思うけど、シュガーは元から甘えん坊だから、それでもいいかな。そういう所も可愛いし。
少なくとも今夜は大丈夫だろう。ヤブランがいるからね。
翌朝、夜の間に集められた獲物をみんなで手分けして朝食にしていく。夜行性の魔物もいるけど、美味しそうなのはいない。
夜行性の毛色の濃いウサギをソテーして、野菜と一緒にサンドイッチにしていく。
その間に野菜たっぷりのコンソメスープを作る。
「メイ、これはコンゾーメのスープですの?よく手に入りましたわね…」
あれ?珍しい物だった?…農園に簡単に売り出されたから、そんなに珍しい物とは思わなかった。
「でもリアは食べた事あるんだよね?」
「ええ…王都のレストランで。食材のコンゾーメは遠い国から輸入されたと聞きましたわ」
「ヤブランがパーティーに加入した時、持ってたんだ…それなりに量はあったし、折角だから」
うう…気をつけないとだめだね。町で見かける物以外は使わないようにしないと。
そういえば、給食でスープが出ても塩味しかついてなかったね。
朝食は一人の分量が決まっているので、ヤブランには亜空間に戻るまでお預けかな。フレイムとランスの収納庫からなら、私が隙を見てスマホに入って作っておいた食料を出せるし。
今日は魔法の実践授業だ。冬の間にクラスの殆どの子にイメージのコツを属性によって色々教えていたから、水魔法しか使えない子でも、圧縮すればちゃんと攻撃として使える魔法だと教えてある。
レイリー先生は勿論手放しで褒めてくれた。
先生も何回か参加したけど、職員会議があったり、色々と忙しかったから、なかなか参加できなかった。それでも、そこは魔法の先生。生徒達よりも多い魔力量で、繰り返し練習して、色々と習得していた。
途中、魔法使いの冒険者が子供達の使う魔法の威力に驚いて、見学の為に持ち場を離れてしまうというハプニングもあったけど、いつもとは違う環境での授業はとても楽しい。
「見てにゃー!生け捕りにゃ!」
シュガーが罠の形で放った魔法が、ホーンラビットを生け捕りにする。
「いや…生け捕りの意味ないから。倒しなよ…リア!水弾」
小さく、威力が上がった水弾が、ホーンラビットの頭を潰す。
「うっ…」
リアは血が苦手だ。貴族だから魔物を退治して、解体したりする必要はないかもしれないけど、こういう世界だし、少しずつでも慣れた方がいいんじゃないかな…
午後は買い取り部位について。勿論実際に角を取ったり、皮を剥いだりと、生徒にも少しずつやらせる。
リアとか出来ない人もいたり、私みたいにやらなくていいから、魔物の警戒をしたり。
「にゃーも野生にゃ?」
「いいじゃん。姉妹でお揃いだって」
でもシュガーは解体は上手じゃないんだよね。
部位毎に分けて料理するのは私かアロカシアだからね。
「シュガーも習いたいなら、私が教えるよ?」
「んー…にゃーはロースとかももとか分からないにゃ…みんな繋がってるにゃ?」
「でも、部位によって肉質も違うのは分かるよね?」
「モツ煮込みは美味しいにゃ!」
それは料理名。
「シュガーもたまに料理するんだから、色々覚えたら面白いよ?」
「にゃーの料理はカシオブツにゃ!」
好物限定でも、いいか。すごくいい笑顔するもんね。
「夕飯はカシオブツを使ってにゃ?」
「…じゃあ、味噌汁の出汁で使うよ。その後のは食べていいよ」
ビッグコッコとかいないかなー?
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