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オーク肉と豆
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教会に寄ったついでにリリーの所にも遊びに行った。
「あ…れ?ここにリリーは住んでいるの?」
失礼だけど、物置小屋かと思っていた。
「そうよ?あっちはお預かりしている方達の住んでいる所。メイには言ったよね?私は孤児だって」
「う…うん。でもリリーは光魔法の才能があるから」
「シスターになれたら住む所も変わるけど、まだ私は候補でしかないのよ」
お昼を大分過ぎた頃に届いた食事はあきらかに誰かの食べ残しと分かるもの。
「そんな顔しないで。これでも今日はいい方だもの」
つまりは、行儀見習いや、神の祝福を得る為に修行に来ている人達のお零れ…
それでも、スラムにいた時よりはましなのだろう。
スラムの人達は硬くて調理のしようのないウルフの肉でも喜ばれると聞いた事はある。
「急に来てくれたから、驚かせちゃったよね?でもみんなでギルド依頼をこなしたりして、頑張っているから平気よ?」
正直、町の補助がどうなっているのかとか、詳しい事は分からない…私に出来る事なんて少ないと思う。
だからこれも、ただの偽善で自己満足に過ぎない。
「リリー、私さ、オークの巣を潰したんだ。だからオーク肉がいっぱいあるの…焼き肉しない?みんなで」
「ええっ?!…オークの巣って…相変わらず滅茶苦茶なのね。でも家族に黙ってそんな事したら売る肉も減るし、怒られるよ?」
「それは大丈夫。やってもいいかな?」
「ん…メイが大丈夫なら有難いよ?…本当に平気?」
「私のパーティーメンバーに、この程度の事を怒る人なんていないよ。それに偶然豚肉の集団を見つけただけだし」
「豚肉?」
「あっ…オーク」
「でも、メイもシュガーも嫌な思いしたでしょう?」
別の意味でね!
「乙女のプライドを潰した罪は肉を美味しく頂く事でチャラにするの!」
「…良く、分からないけど、何でも手伝うわ?」
因みに私以外はもう森の方に行ってしまった。雑貨屋の買い物が終わった後で別れたのだ。
大きな鉄板に、切った肉を次々に乗せる。キャベツやもやしも出して、端の方で焼く。
焼けたら焼き肉のタレを絡めて大皿に乗せ、自由に食べられるようにする。
子供達にはまとめてクリーンをかけて、肉を切る手伝いをしてくれてたリリーに、子供達の方をお願いする。
「いっぱいあるから、ゆっくり食べてね」
知らないうちに近所の人まで混ざってたけど、その人達には寄付をお願いした。
オーク肉は味も良く、それなりに高級な肉だそうだ。
そりゃ、ラビットなんかに比べればオークの方が強いけど…一匹あたりの肉の量からすると、労力的にはオークの方が効率がいい。
肉不足のこの時期だからこそ、こんなに喜ばれたのだろう。
まあ、ギルドにはかなりの量を売ったから、すぐに市場に出回るはずだ。
「実際に祝福を得た人はいるの?」
「少ないけど、いたみたい。光魔法が使えるようになった人は結構いるみたいよ?」
いや、それって魔法での治療を何度か見れば思い浮かべるのも簡単になるだけじゃ…?
「メイが言いたい事は大体分かるけど、特に光魔法は神様の恩恵って考えられてるから」
もし私が大魔導師とか、賢者なんて呼ばれるような存在になれば信じてもらえるかもしれないけど、只の子供の言葉には信憑性なんてない。
「今日はありがとう、メイ」
「お礼なら神父さんにも言われたし、今日はたまたま、だよ」
それに、今日使った分の肉なんて、アロカシアやランスなら一食分だろう。
「また学校でね?リリー」
「うん!」
3つ年上のリリーは淡いブルーの長い髪を緩く編んだ美人さんだ。リリーならきっと雌認定されるんだろうな…じゃなくて、8歳の割に大人びているのは、子供達の面倒をみたりとか、色々苦労しているからなのか。
森に戻って、ご飯を食べてきてしまった事を詫びつつ、軽く八つ当たりしてくるシュガーを宥めたりしたけど、誰も責めたりなんてしなかった。
「分からないが、メイは良い事をしたのだろう?」
「そうだけど…継続的に支援は出来ないし、学校が終わったら多分…疎遠になっちゃうと思う」
「良く分からないにゃ。今が楽しければそれでいいにゃ?」
みんな同意見みたいだ。
「卒業してからはもう、あの町に行かない訳でもないのだろう?」
「それは、勿論だよ。深淵の森ダンジョンでは稲刈りも出来るし、森の中では山菜やベリーも採れるし、ミノタウロスもいるし」
…あれ?食べる物ばかり?
「それにここは、みんなのふるさとだからね!」
歌にもあるじゃん?ウサギ美味しい丸焼き、こぶな美味しい甘露煮って…あれ?
夕ご飯の後、小説を読もうと電源を入れて、メールに気がついた。アルミネアだ。
『あんこの事、ネリーに聞いたわ!メイから言い出してくれるなんて、やっぱり優しいのね。どれが適しているか分からないから、とりあえず全部送るわね!よろしく~』
収納庫に、種のセットがあった。青豆、黒豆、暁豆、白豆、柔豆…カヒー豆って、匂いから分かる。コーヒーだ。
「はぁ…余程和菓子が楽しみなんだな…メタル、行こう」
「主、この時間に行くのか?珍しい」
「ああ…うん。ちょっとね」
今日の分の種はもう蒔いてあるけど、米や麦用に空けている畑には今は何も蒔いてない。
「コーヒーは、木かな…でも苗木じゃないから、畑かな?」
とりあえず畑の区画に植えて、様子を見る事にした。米はなるべくダンジョンで収穫するつもりだし、小麦はさすがにそんなには要らない。
コーヒーを植えたのは、一応だ。子供の味覚になってからピーマンが食べられなくなってしまった。コーヒーも子供の頃は飲めなかったけど、カフェオレにするという手もあるし、チョコレートがあればティラミスにする事も出来る。
それにコーヒーは飲めなくてもコーヒーゼリーは好きだった。ちゃんとコーヒーを飲めるようになったのはいつ頃かは覚えてないけど、ピーマンは中学生の頃には食べていた気がする。
とりあえず明日だな。楽しみ!
「あ…れ?ここにリリーは住んでいるの?」
失礼だけど、物置小屋かと思っていた。
「そうよ?あっちはお預かりしている方達の住んでいる所。メイには言ったよね?私は孤児だって」
「う…うん。でもリリーは光魔法の才能があるから」
「シスターになれたら住む所も変わるけど、まだ私は候補でしかないのよ」
お昼を大分過ぎた頃に届いた食事はあきらかに誰かの食べ残しと分かるもの。
「そんな顔しないで。これでも今日はいい方だもの」
つまりは、行儀見習いや、神の祝福を得る為に修行に来ている人達のお零れ…
それでも、スラムにいた時よりはましなのだろう。
スラムの人達は硬くて調理のしようのないウルフの肉でも喜ばれると聞いた事はある。
「急に来てくれたから、驚かせちゃったよね?でもみんなでギルド依頼をこなしたりして、頑張っているから平気よ?」
正直、町の補助がどうなっているのかとか、詳しい事は分からない…私に出来る事なんて少ないと思う。
だからこれも、ただの偽善で自己満足に過ぎない。
「リリー、私さ、オークの巣を潰したんだ。だからオーク肉がいっぱいあるの…焼き肉しない?みんなで」
「ええっ?!…オークの巣って…相変わらず滅茶苦茶なのね。でも家族に黙ってそんな事したら売る肉も減るし、怒られるよ?」
「それは大丈夫。やってもいいかな?」
「ん…メイが大丈夫なら有難いよ?…本当に平気?」
「私のパーティーメンバーに、この程度の事を怒る人なんていないよ。それに偶然豚肉の集団を見つけただけだし」
「豚肉?」
「あっ…オーク」
「でも、メイもシュガーも嫌な思いしたでしょう?」
別の意味でね!
「乙女のプライドを潰した罪は肉を美味しく頂く事でチャラにするの!」
「…良く、分からないけど、何でも手伝うわ?」
因みに私以外はもう森の方に行ってしまった。雑貨屋の買い物が終わった後で別れたのだ。
大きな鉄板に、切った肉を次々に乗せる。キャベツやもやしも出して、端の方で焼く。
焼けたら焼き肉のタレを絡めて大皿に乗せ、自由に食べられるようにする。
子供達にはまとめてクリーンをかけて、肉を切る手伝いをしてくれてたリリーに、子供達の方をお願いする。
「いっぱいあるから、ゆっくり食べてね」
知らないうちに近所の人まで混ざってたけど、その人達には寄付をお願いした。
オーク肉は味も良く、それなりに高級な肉だそうだ。
そりゃ、ラビットなんかに比べればオークの方が強いけど…一匹あたりの肉の量からすると、労力的にはオークの方が効率がいい。
肉不足のこの時期だからこそ、こんなに喜ばれたのだろう。
まあ、ギルドにはかなりの量を売ったから、すぐに市場に出回るはずだ。
「実際に祝福を得た人はいるの?」
「少ないけど、いたみたい。光魔法が使えるようになった人は結構いるみたいよ?」
いや、それって魔法での治療を何度か見れば思い浮かべるのも簡単になるだけじゃ…?
「メイが言いたい事は大体分かるけど、特に光魔法は神様の恩恵って考えられてるから」
もし私が大魔導師とか、賢者なんて呼ばれるような存在になれば信じてもらえるかもしれないけど、只の子供の言葉には信憑性なんてない。
「今日はありがとう、メイ」
「お礼なら神父さんにも言われたし、今日はたまたま、だよ」
それに、今日使った分の肉なんて、アロカシアやランスなら一食分だろう。
「また学校でね?リリー」
「うん!」
3つ年上のリリーは淡いブルーの長い髪を緩く編んだ美人さんだ。リリーならきっと雌認定されるんだろうな…じゃなくて、8歳の割に大人びているのは、子供達の面倒をみたりとか、色々苦労しているからなのか。
森に戻って、ご飯を食べてきてしまった事を詫びつつ、軽く八つ当たりしてくるシュガーを宥めたりしたけど、誰も責めたりなんてしなかった。
「分からないが、メイは良い事をしたのだろう?」
「そうだけど…継続的に支援は出来ないし、学校が終わったら多分…疎遠になっちゃうと思う」
「良く分からないにゃ。今が楽しければそれでいいにゃ?」
みんな同意見みたいだ。
「卒業してからはもう、あの町に行かない訳でもないのだろう?」
「それは、勿論だよ。深淵の森ダンジョンでは稲刈りも出来るし、森の中では山菜やベリーも採れるし、ミノタウロスもいるし」
…あれ?食べる物ばかり?
「それにここは、みんなのふるさとだからね!」
歌にもあるじゃん?ウサギ美味しい丸焼き、こぶな美味しい甘露煮って…あれ?
夕ご飯の後、小説を読もうと電源を入れて、メールに気がついた。アルミネアだ。
『あんこの事、ネリーに聞いたわ!メイから言い出してくれるなんて、やっぱり優しいのね。どれが適しているか分からないから、とりあえず全部送るわね!よろしく~』
収納庫に、種のセットがあった。青豆、黒豆、暁豆、白豆、柔豆…カヒー豆って、匂いから分かる。コーヒーだ。
「はぁ…余程和菓子が楽しみなんだな…メタル、行こう」
「主、この時間に行くのか?珍しい」
「ああ…うん。ちょっとね」
今日の分の種はもう蒔いてあるけど、米や麦用に空けている畑には今は何も蒔いてない。
「コーヒーは、木かな…でも苗木じゃないから、畑かな?」
とりあえず畑の区画に植えて、様子を見る事にした。米はなるべくダンジョンで収穫するつもりだし、小麦はさすがにそんなには要らない。
コーヒーを植えたのは、一応だ。子供の味覚になってからピーマンが食べられなくなってしまった。コーヒーも子供の頃は飲めなかったけど、カフェオレにするという手もあるし、チョコレートがあればティラミスにする事も出来る。
それにコーヒーは飲めなくてもコーヒーゼリーは好きだった。ちゃんとコーヒーを飲めるようになったのはいつ頃かは覚えてないけど、ピーマンは中学生の頃には食べていた気がする。
とりあえず明日だな。楽しみ!
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