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深淵の森ダンジョン
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17階層への階段は、意外とあっさり見付けた。
意気揚々と進んで階段を降りた所で水中に落ちた。
しかもヤブランの竜鱗結界の外側では、何かが歯を立てて喰い破ろうとしている。
「メイ!」
「平気…ヤブランのお陰で怪我もないよ。濡れたけど」
通路が水中の底になっている。通路は狭いから、大人なら手足を踏ん張って進めるかもしれないけど、私はどう頑張っても届かない。
というか、魔物は何?
鑑定 キラーシャケ その牙はあらゆる物を噛み砕く。
え…鮭なの?!いや…あり得なくはないけど…怖さ半減というか。
でも、油断はしないよ?
銛で突くと、鮭の切り身が浮かんできた。素早くロングハンド(触手)で掴んで回収する。
危うく切り身を他の鮭に持って行かれる所だった。
鮭ならスマホの中で釣れるけどランダムだし、鮭は美味しい。
「みんな!いっぱい狩るよ!」
「美味しい料理になるにゃ?」
「そうだね…普通に塩焼きしてもいいけど、ちゃんちゃん焼きにしても美味しいよ!」
普通の鮭の進化系だろうか?丸々と太っていて美味しそうだ。たまにイクラが浮かぶけど、それは網でもないと、回収出来ないかな?
おにぎりの具材にもしたいし、丁度冬だから、ちゃんちゃん焼きの季節だよね!
「えへへ…」
目一杯採るぞ!
それにしても、この階層はどうやって越えよう?
「我なら傷つけられる事もないから、他の者は影に入れて、おんぶして行こう」
「いや、俺ならメイを乗せて飛ぶ事も出来る」
はいはい。張り合うのは止めようね?
「鱗を貫けないとはいえ、ガブガブされるのは嫌じゃん?今回はランスに頼もうか」
「む…そうだな。ブーツにも傷が付くだろうし」
空中を駆けるランスの背にのり、時折飛び跳ねる鮭にとどめを刺しながら、進む。
…これ、普通の冒険者には辛い階層じゃないかな?所々に休憩出来るスペースはあるけど、鮭を採りながらは進めない。
むしろ竹馬?…でも、竹位なら砕いてしまいそうだ。
ランスのお陰ですぐに階段も見つかった。
食料階じゃないからあんまり期待してないけど、18階層、魔物は何かな…?
魔法石に触れて、今度は慎重に進む。
巨大な熊の魔物。しかも腕が6本もある。
鑑定 ブラッティー グリズリーその攻撃力と素早さに注意
バックステップ。麻痺効果のある雷魔法を撃ち込んだ。
ランスの大剣が、攻撃を遮る。麻痺はあまり効いてないようだ。
シュガーが支援魔法をかけていく。
フレイムの槍はあっさりと弾かれた。
ヤブランの、風属性の矢が毛皮を切り裂く。
魔力を多めに込めた風の刃を発動させた。
「グギャオ…!」
腕の1本を落とす事に成功した。
フレイムが、元の姿に戻る。そして炎のブレスを吐くのを察して、そこに風魔法を合わせる。
炎と風とで毛皮はボロボロになった筈だけど、硬い毛皮が残った。ドロップアイテムって事なんだろうけど、釈然としない。
「かなりの強さだな。硬い毛皮で、魔法も効きにくい」
「うん…面白くなってきた」
戦闘狂って訳じゃないけど、弱い魔物を蹂躙するのは楽しくないからね。
美味しい魔物は別。喜んで狩るよ!
それにしても、3mはありそうな大きさで、天井すれすれだった。そして腕が6本とか…流石魔物?
大きな体だから、挟み撃ちにならない限りは相手は一匹だ。そうして、何度か戦ううちに慣れてくる。フレイムも人の姿で身体強化すれば槍で突き刺す事も出来るようになった。
私もホーリーソードを伸ばす事で剣技でもどうにか相対して戦えるようになった。
その頃にはみんなお腹ペコペコで、ダンジョンから出た。
冬の澄みきった空気が戦闘で上がった体温を冷やしてくれる。
「星が綺麗だね…」
「星は食べられないにゃ…お腹空いたにゃ…」
「体を冷やしたら風邪を引く。早く中に入った方がいい」
大きなプレートに、芋や野菜、キノコも並べ、鮭の切り身を敷き詰める。味噌とみりんで味を整えたタレをかけて、蓋をして蒸し焼きにしていく。
ホットプレートの魔道具で作ったので、炬燵で楽しめる。
家電の多くはもう、魔道具で再現済だ。
冷蔵庫を始めとして、便利な魔道具はこの世界でももう、売られている。
ただ…やっぱり魔道具は値段が高いので、一般庶民向けではない。
「主は肉より魚の方が好きなのか?」
「うーん…そうかも。私にはスマホがあるから、海産物も割と簡単に手に入るし」
「なら、主が学校に行っている間は王都のダンジョンで魚を手に入れておこう」
「ありがとう!」
ランスもやる気になってるし、この二人なら安心して任せられる。
「海苔も買ってくれると嬉しいな!」
「ボクはギルドのランク上げに専念した方がいいよね?」
「そうだね。今の季節ならランクフリーの食肉採取でも貢献度はしっかり上がっていくと思うし。でも、無理しないでね?どうせ本格的に活動出来るのは学校を卒業してからだし」
しかも森を抜けたらかなり積もった雪の中を歩かなければならない。派手な配色だし、炎鳥以上に目立つから、人目について欲しくない。
「大丈夫だよ、メイ。冬にしか出ない雪兎とかも平原に出るから、そういうのを狩ればいい」
毛皮がもふもふで需要がある雪狐、それに雪兎。保護色で見付けにくいけど、フレイムなら問題ないだろう。
意気揚々と進んで階段を降りた所で水中に落ちた。
しかもヤブランの竜鱗結界の外側では、何かが歯を立てて喰い破ろうとしている。
「メイ!」
「平気…ヤブランのお陰で怪我もないよ。濡れたけど」
通路が水中の底になっている。通路は狭いから、大人なら手足を踏ん張って進めるかもしれないけど、私はどう頑張っても届かない。
というか、魔物は何?
鑑定 キラーシャケ その牙はあらゆる物を噛み砕く。
え…鮭なの?!いや…あり得なくはないけど…怖さ半減というか。
でも、油断はしないよ?
銛で突くと、鮭の切り身が浮かんできた。素早くロングハンド(触手)で掴んで回収する。
危うく切り身を他の鮭に持って行かれる所だった。
鮭ならスマホの中で釣れるけどランダムだし、鮭は美味しい。
「みんな!いっぱい狩るよ!」
「美味しい料理になるにゃ?」
「そうだね…普通に塩焼きしてもいいけど、ちゃんちゃん焼きにしても美味しいよ!」
普通の鮭の進化系だろうか?丸々と太っていて美味しそうだ。たまにイクラが浮かぶけど、それは網でもないと、回収出来ないかな?
おにぎりの具材にもしたいし、丁度冬だから、ちゃんちゃん焼きの季節だよね!
「えへへ…」
目一杯採るぞ!
それにしても、この階層はどうやって越えよう?
「我なら傷つけられる事もないから、他の者は影に入れて、おんぶして行こう」
「いや、俺ならメイを乗せて飛ぶ事も出来る」
はいはい。張り合うのは止めようね?
「鱗を貫けないとはいえ、ガブガブされるのは嫌じゃん?今回はランスに頼もうか」
「む…そうだな。ブーツにも傷が付くだろうし」
空中を駆けるランスの背にのり、時折飛び跳ねる鮭にとどめを刺しながら、進む。
…これ、普通の冒険者には辛い階層じゃないかな?所々に休憩出来るスペースはあるけど、鮭を採りながらは進めない。
むしろ竹馬?…でも、竹位なら砕いてしまいそうだ。
ランスのお陰ですぐに階段も見つかった。
食料階じゃないからあんまり期待してないけど、18階層、魔物は何かな…?
魔法石に触れて、今度は慎重に進む。
巨大な熊の魔物。しかも腕が6本もある。
鑑定 ブラッティー グリズリーその攻撃力と素早さに注意
バックステップ。麻痺効果のある雷魔法を撃ち込んだ。
ランスの大剣が、攻撃を遮る。麻痺はあまり効いてないようだ。
シュガーが支援魔法をかけていく。
フレイムの槍はあっさりと弾かれた。
ヤブランの、風属性の矢が毛皮を切り裂く。
魔力を多めに込めた風の刃を発動させた。
「グギャオ…!」
腕の1本を落とす事に成功した。
フレイムが、元の姿に戻る。そして炎のブレスを吐くのを察して、そこに風魔法を合わせる。
炎と風とで毛皮はボロボロになった筈だけど、硬い毛皮が残った。ドロップアイテムって事なんだろうけど、釈然としない。
「かなりの強さだな。硬い毛皮で、魔法も効きにくい」
「うん…面白くなってきた」
戦闘狂って訳じゃないけど、弱い魔物を蹂躙するのは楽しくないからね。
美味しい魔物は別。喜んで狩るよ!
それにしても、3mはありそうな大きさで、天井すれすれだった。そして腕が6本とか…流石魔物?
大きな体だから、挟み撃ちにならない限りは相手は一匹だ。そうして、何度か戦ううちに慣れてくる。フレイムも人の姿で身体強化すれば槍で突き刺す事も出来るようになった。
私もホーリーソードを伸ばす事で剣技でもどうにか相対して戦えるようになった。
その頃にはみんなお腹ペコペコで、ダンジョンから出た。
冬の澄みきった空気が戦闘で上がった体温を冷やしてくれる。
「星が綺麗だね…」
「星は食べられないにゃ…お腹空いたにゃ…」
「体を冷やしたら風邪を引く。早く中に入った方がいい」
大きなプレートに、芋や野菜、キノコも並べ、鮭の切り身を敷き詰める。味噌とみりんで味を整えたタレをかけて、蓋をして蒸し焼きにしていく。
ホットプレートの魔道具で作ったので、炬燵で楽しめる。
家電の多くはもう、魔道具で再現済だ。
冷蔵庫を始めとして、便利な魔道具はこの世界でももう、売られている。
ただ…やっぱり魔道具は値段が高いので、一般庶民向けではない。
「主は肉より魚の方が好きなのか?」
「うーん…そうかも。私にはスマホがあるから、海産物も割と簡単に手に入るし」
「なら、主が学校に行っている間は王都のダンジョンで魚を手に入れておこう」
「ありがとう!」
ランスもやる気になってるし、この二人なら安心して任せられる。
「海苔も買ってくれると嬉しいな!」
「ボクはギルドのランク上げに専念した方がいいよね?」
「そうだね。今の季節ならランクフリーの食肉採取でも貢献度はしっかり上がっていくと思うし。でも、無理しないでね?どうせ本格的に活動出来るのは学校を卒業してからだし」
しかも森を抜けたらかなり積もった雪の中を歩かなければならない。派手な配色だし、炎鳥以上に目立つから、人目について欲しくない。
「大丈夫だよ、メイ。冬にしか出ない雪兎とかも平原に出るから、そういうのを狩ればいい」
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