66 / 166
冬休み
しおりを挟む
本格的に寒くなってきた。そろそろ雪が降るかもしれない。
そんな中行われたのが、クラス分けテストだ。
「別にクラスが変わったからといって待遇に違いはない。ただ、たった一年でも伸びる奴は伸びる。あまり拘る必要はない」
そうだけど、仲良くなった人達と別のクラスになるのは淋しい。
手を抜きたくなる事情はあるにせよ、そんな事で勝ちを譲られても余計に怒りそうだし。
特にシュガーとは絶対に別れたくないし、頑張ろう。
戦闘のテストで、多分隣のクラスの子に話かけられた。
「君がメイだよね?僕、一度噂の野生児と戦ってみたかったんだよね…いい?」
それは構わないけど…その呼び方、隣のクラスにも伝わってたんだ。
あ、結構面白いかも。攻撃が重い。恐らくは身体強化の影響だろうけど、ちゃんと視線も追い付いているし、戦えている。
でも残念。シュガーの身体強化してない攻撃に慣れてる私には通じない。
「あー…残念。でも面白かった。僕はトール。また戦って?」
「そうだね。機会があったら」
2年生になった。ほぼ同じ顔ぶれだけど、テストの時に戦ったトールの姿があった。
級長は私で、副はやっぱりボードだけど、前に戦った時以来、何となく避けられている。
「漸くメイに勝てましたわ」
「リア、そうなの?」
「結果は出ているじゃありませんの。勉学では私が満点で一位でしたわ。メイは二番」
んー?どこか間違ったかな?まあ、別にいいけど。
「メイってば、どうでもいいと思っているわね?」
「うん。これでリアにも戦う技術があれば、級長とかやれたんじゃない?」
「わ…私には不要ですわ。魔法なら少しは自信がありますけど…でもメイには敵いませんわね」
「メイは凄いんだね!頭もいいなんて。僕は入学前は名前位しか書けなくて」
総合的に見てAクラスは優秀な子達が集まるクラスだから、トールは去年頑張ったのだろう。
新入生の入学に伴って、2年生にも新年までの間、約一週間の休みがある。
雪もうっすらと積もったが、中央の本通りは雪がない。熱交換の魔道具はちゃんと機能しているようだ。
その影響か、店を開けている店舗もちらほら見掛けられる。
「シュガー、ちょっと寄っていい?」
「雑貨屋にゃ?」
ちょっとお洒落なリボンや、可愛い小物類を扱っている店だ。
以前に、中途半端に伸びた髪を留める為のクリップを買った事がある。
今はその時よりも伸びたから、髪を結ぶリボンが欲しい。
スマホ内に入っている影響か、髪が伸びるのが早い気がする。身長は…成長期だから分からないかな。
あ、これ可愛い。
掌に収まるサイズのブラシだ。ころんとした見かけがいいね。
「メイもブラッシングするにゃ?」
「髪の毛を梳かすんだよ。シュガーの毛とはまた違うからね」
そのブラシの側に、寝癖直し用の香油もある。
私の髪はコシのないストレートな髪質で、寝癖も付きにくい。これをフレイムの冠羽みたいなふわっと持ち上がった髪に付けたらどうなるんだろう?
うん…でも自分でも作れそうだな。香りは邪魔になるから要らないし。
ブラシだけ買って、亜空間に戻った。
「ただいまー。?フレイム、何を作っているの?」
綺麗なガラス細工だ。
「ボク、あの時の花火を再現したくて」
台の上に置いて魔力を流すと、赤や黄色に光って、本物の花火みたいだ。
「凄いよ、フレイム」
「えへへ。凄いのはメイだよ。ボクはただ再現しただけ」
「綺麗にゃー。また花火、見たいにゃ!」
「そうだね…でも花火は夏の風物詩だから、今はちょっとね」
それに今、こんなに寒い中で花火を見てたら風邪引きそうだし。
「メイ、冒険者達は引き上げたようだぞ」
「お帰り、ランス。やっぱり森の中で冬を越す冒険者はいないよね。それなら、明日は17階層に行ける階段を探してみようか」
一度干し肉にすると、旨みが凝縮される。それを知ってからは空納内で干し肉も作っているけど、なかなか上手くいかない。
かといって、亜空間内で作ると、干し肉になる前に誰かのお腹に入っちゃうんだよね。
多分、上手く乾燥しないのだろう。魔法で作るのが一番かな。
ちょっと前まで町の家庭で見られていた風景は、庭に干し肉がぶら下がっていて、私もやりたかったんだけど…まあ、美味しく食べてくれたのなら、いいんだけど。
今年は香辛料も使って、サラミに挑戦してみたい。
スマホ内で買うと高いけど、香辛料はダンジョンで種類が割と豊富に取れるからね。
本当は畑で育てられればいいんだけど、ショウガやニンニク位しか種が出てこないんだよね。
今夜はアロカシアの作った改良番角煮だ。以前より美味しくなっている。
「そういえば、みんなはお酒、飲む?」
「ふむ…興味がない事はないが、態々買ってまではな…」
エールやワインは、そこまで高くはない。ただ、子供の私が買っていいものか判別付かない。
特に年齢制限はないし、子供でも新年や、収穫祭等のお祭りには薄めた物を飲むらしいけど、前世の感覚が抜けないから、飲もうと思わないんだよね。
ランスやフレイムが大きくなったから、最近は少々ベッドが狭い。大きくなったもふもふに不満はないけど、また進化があるとしたらベッドも考えなきゃならないな。
「アロカシア…何かまた大きくなってない?」
(うむ…そうだな。大きくなっていると思う)
「本体が大きくなっても、仮の姿は変わらないの?」
(問題ない。ダンジョンで元の姿で戦うような事があれば、通路など狭いかもしれないが)
ちょっと羨ましい。人は進化しないし、一気に大きくなったりしない。
オーガとの戦いは楽しめるけど、次は食料階かと思うと、どうしても先に進みたい。
明日は頑張ろう!
そんな中行われたのが、クラス分けテストだ。
「別にクラスが変わったからといって待遇に違いはない。ただ、たった一年でも伸びる奴は伸びる。あまり拘る必要はない」
そうだけど、仲良くなった人達と別のクラスになるのは淋しい。
手を抜きたくなる事情はあるにせよ、そんな事で勝ちを譲られても余計に怒りそうだし。
特にシュガーとは絶対に別れたくないし、頑張ろう。
戦闘のテストで、多分隣のクラスの子に話かけられた。
「君がメイだよね?僕、一度噂の野生児と戦ってみたかったんだよね…いい?」
それは構わないけど…その呼び方、隣のクラスにも伝わってたんだ。
あ、結構面白いかも。攻撃が重い。恐らくは身体強化の影響だろうけど、ちゃんと視線も追い付いているし、戦えている。
でも残念。シュガーの身体強化してない攻撃に慣れてる私には通じない。
「あー…残念。でも面白かった。僕はトール。また戦って?」
「そうだね。機会があったら」
2年生になった。ほぼ同じ顔ぶれだけど、テストの時に戦ったトールの姿があった。
級長は私で、副はやっぱりボードだけど、前に戦った時以来、何となく避けられている。
「漸くメイに勝てましたわ」
「リア、そうなの?」
「結果は出ているじゃありませんの。勉学では私が満点で一位でしたわ。メイは二番」
んー?どこか間違ったかな?まあ、別にいいけど。
「メイってば、どうでもいいと思っているわね?」
「うん。これでリアにも戦う技術があれば、級長とかやれたんじゃない?」
「わ…私には不要ですわ。魔法なら少しは自信がありますけど…でもメイには敵いませんわね」
「メイは凄いんだね!頭もいいなんて。僕は入学前は名前位しか書けなくて」
総合的に見てAクラスは優秀な子達が集まるクラスだから、トールは去年頑張ったのだろう。
新入生の入学に伴って、2年生にも新年までの間、約一週間の休みがある。
雪もうっすらと積もったが、中央の本通りは雪がない。熱交換の魔道具はちゃんと機能しているようだ。
その影響か、店を開けている店舗もちらほら見掛けられる。
「シュガー、ちょっと寄っていい?」
「雑貨屋にゃ?」
ちょっとお洒落なリボンや、可愛い小物類を扱っている店だ。
以前に、中途半端に伸びた髪を留める為のクリップを買った事がある。
今はその時よりも伸びたから、髪を結ぶリボンが欲しい。
スマホ内に入っている影響か、髪が伸びるのが早い気がする。身長は…成長期だから分からないかな。
あ、これ可愛い。
掌に収まるサイズのブラシだ。ころんとした見かけがいいね。
「メイもブラッシングするにゃ?」
「髪の毛を梳かすんだよ。シュガーの毛とはまた違うからね」
そのブラシの側に、寝癖直し用の香油もある。
私の髪はコシのないストレートな髪質で、寝癖も付きにくい。これをフレイムの冠羽みたいなふわっと持ち上がった髪に付けたらどうなるんだろう?
うん…でも自分でも作れそうだな。香りは邪魔になるから要らないし。
ブラシだけ買って、亜空間に戻った。
「ただいまー。?フレイム、何を作っているの?」
綺麗なガラス細工だ。
「ボク、あの時の花火を再現したくて」
台の上に置いて魔力を流すと、赤や黄色に光って、本物の花火みたいだ。
「凄いよ、フレイム」
「えへへ。凄いのはメイだよ。ボクはただ再現しただけ」
「綺麗にゃー。また花火、見たいにゃ!」
「そうだね…でも花火は夏の風物詩だから、今はちょっとね」
それに今、こんなに寒い中で花火を見てたら風邪引きそうだし。
「メイ、冒険者達は引き上げたようだぞ」
「お帰り、ランス。やっぱり森の中で冬を越す冒険者はいないよね。それなら、明日は17階層に行ける階段を探してみようか」
一度干し肉にすると、旨みが凝縮される。それを知ってからは空納内で干し肉も作っているけど、なかなか上手くいかない。
かといって、亜空間内で作ると、干し肉になる前に誰かのお腹に入っちゃうんだよね。
多分、上手く乾燥しないのだろう。魔法で作るのが一番かな。
ちょっと前まで町の家庭で見られていた風景は、庭に干し肉がぶら下がっていて、私もやりたかったんだけど…まあ、美味しく食べてくれたのなら、いいんだけど。
今年は香辛料も使って、サラミに挑戦してみたい。
スマホ内で買うと高いけど、香辛料はダンジョンで種類が割と豊富に取れるからね。
本当は畑で育てられればいいんだけど、ショウガやニンニク位しか種が出てこないんだよね。
今夜はアロカシアの作った改良番角煮だ。以前より美味しくなっている。
「そういえば、みんなはお酒、飲む?」
「ふむ…興味がない事はないが、態々買ってまではな…」
エールやワインは、そこまで高くはない。ただ、子供の私が買っていいものか判別付かない。
特に年齢制限はないし、子供でも新年や、収穫祭等のお祭りには薄めた物を飲むらしいけど、前世の感覚が抜けないから、飲もうと思わないんだよね。
ランスやフレイムが大きくなったから、最近は少々ベッドが狭い。大きくなったもふもふに不満はないけど、また進化があるとしたらベッドも考えなきゃならないな。
「アロカシア…何かまた大きくなってない?」
(うむ…そうだな。大きくなっていると思う)
「本体が大きくなっても、仮の姿は変わらないの?」
(問題ない。ダンジョンで元の姿で戦うような事があれば、通路など狭いかもしれないが)
ちょっと羨ましい。人は進化しないし、一気に大きくなったりしない。
オーガとの戦いは楽しめるけど、次は食料階かと思うと、どうしても先に進みたい。
明日は頑張ろう!
227
お気に入りに追加
1,998
あなたにおすすめの小説
滅びる異世界に転生したけど、幼女は楽しく旅をする!
白夢
ファンタジー
何もしないでいいから、世界の終わりを見届けてほしい。
そう言われて、異世界に転生することになった。
でも、どうせ転生したなら、この異世界が滅びる前に観光しよう。
どうせ滅びる世界なら、思いっきり楽しもう。
だからわたしは旅に出た。
これは一人の幼女と小さな幻獣の、
世界なんて救わないつもりの放浪記。
〜〜〜
ご訪問ありがとうございます。
可愛い女の子が頼れる相棒と美しい世界で旅をする、幸せなファンタジーを目指しました。
ファンタジー小説大賞エントリー作品です。気に入っていただけましたら、ぜひご投票をお願いします。
お気に入り、ご感想、応援などいただければ、とても喜びます。よろしくお願いします!
23/01/08 表紙画像を変更しました
神による異世界転生〜転生した私の異世界ライフ〜
シュガーコクーン
ファンタジー
女神のうっかりで死んでしまったOLが一人。そのOLは、女神によって幼女に戻って異世界転生させてもらうことに。
その幼女の新たな名前はリティア。リティアの繰り広げる異世界ファンタジーが今始まる!
「こんな話をいれて欲しい!」そんな要望も是非下さい!出来る限り書きたいと思います。
素人のつたない作品ですが、よければリティアの異世界ライフをお楽しみ下さい╰(*´︶`*)╯
旧題「神による異世界転生〜転生幼女の異世界ライフ〜」
現在、小説家になろうでこの作品のリメイクを連載しています!そちらも是非覗いてみてください。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
転生先ではゆっくりと生きたい
ひつじ
ファンタジー
勉強を頑張っても、仕事を頑張っても誰からも愛されなかったし必要とされなかった藤田明彦。
事故で死んだ明彦が出会ったのは……
転生先では愛されたいし必要とされたい。明彦改めソラはこの広い空を見ながらゆっくりと生きることを決めた
小説家になろうでも連載中です。
なろうの方が話数が多いです。
https://ncode.syosetu.com/n8964gh/
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
【完結】天下無敵の公爵令嬢は、おせっかいが大好きです
ノデミチ
ファンタジー
ある女医が、天寿を全うした。
女神に頼まれ、知識のみ持って転生。公爵令嬢として生を受ける。父は王国元帥、母は元宮廷魔術師。
前世の知識と父譲りの剣技体力、母譲りの魔法魔力。権力もあって、好き勝手生きられるのに、おせっかいが大好き。幼馴染の二人を巻き込んで、突っ走る!
そんな変わった公爵令嬢の物語。
アルファポリスOnly
2019/4/21 完結しました。
沢山のお気に入り、本当に感謝します。
7月より連載中に戻し、拾異伝スタートします。
2021年9月。
ファンタジー小説大賞投票御礼として外伝スタート。主要キャラから見たリスティア達を描いてます。
10月、再び完結に戻します。
御声援御愛読ありがとうございました。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
異世界リナトリオン〜平凡な田舎娘だと思った私、実は転生者でした?!〜
青山喜太
ファンタジー
ある日、母が死んだ
孤独に暮らす少女、エイダは今日も1人分の食器を片付ける、1人で食べる朝食も慣れたものだ。
そしてそれは母が死んでからいつもと変わらない日常だった、ドアがノックされるその時までは。
これは1人の少女が世界を巻き込む巨大な秘密に立ち向かうお話。
小説家になろう様からの転載です!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
義母に毒を盛られて前世の記憶を取り戻し覚醒しました、貴男は義妹と仲良くすればいいわ。
克全
ファンタジー
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
11月9日「カクヨム」恋愛日間ランキング15位
11月11日「カクヨム」恋愛週間ランキング22位
11月11日「カクヨム」恋愛月間ランキング71位
11月4日「小説家になろう」恋愛異世界転生/転移恋愛日間78位
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
異世界に転生した社畜は調合師としてのんびりと生きていく。~ただの生産職だと思っていたら、結構ヤバい職でした~
夢宮
ファンタジー
台風が接近していて避難勧告が出されているにも関わらず出勤させられていた社畜──渡部与一《わたべよいち》。
雨で視界が悪いなか、信号無視をした車との接触事故で命を落としてしまう。
女神に即断即決で異世界転生を決められ、パパっと送り出されてしまうのだが、幸いなことに女神の気遣いによって職業とスキルを手に入れる──生産職の『調合師』という職業とそのスキルを。
異世界に転生してからふたりの少女に助けられ、港町へと向かい、物語は動き始める。
調合師としての立場を知り、それを利用しようとする者に悩まされながらも生きていく。
そんな与一ののんびりしたくてものんびりできない異世界生活が今、始まる。
※2話から登場人物の描写に入りますので、のんびりと読んでいただけたらなと思います。
※サブタイトル追加しました。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?
シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。
クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。
貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ?
魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。
ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。
私の生活を邪魔をするなら潰すわよ?
1月5日 誤字脱字修正 54話
★━戦闘シーンや猟奇的発言あり
流血シーンあり。
魔法・魔物あり。
ざぁま薄め。
恋愛要素あり。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる