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魔道具

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    魔力を貯めておく事の出来る魔晶石。大きさは野球ボール位。
    作る為には魔石どうしを融合させるんだけど、これがかなり難しい。
    何しろ、失敗すると魔石が砕けてしまうのだ。
    粉になった魔石に使い途がない訳じゃないけど、魔道具作りに必要な分以上に失敗するから、殆ど捨てるしかない。
    
    それでも、どうにか作れたそれは、凄い性能だった。
    フルの充填で、千位の魔力を保存出来る。
    現在の私の魔力を半分以上保存しておける計算になる。

    魔晶石の主な使い道は高レベル魔法使いが杖の先に付けている。自らの魔力を使わずに魔法を使える。勿論かなり高額だから、高ランク冒険者や、宮廷魔導師等の人達しか使えないけど。

    杖がなくても魔法は使える。あった方が魔力も練りやすいし、打ち出すのも楽みたいだけど、違う属性を幾つも使うのには向いてないんだよね。
    それに私は魔法も使うけど、双剣での近接戦闘もやるから、持ち変えるのも面倒だ。
    術式制御の付与を付けた腕輪をしているから、これで充分だ。

    あと魔晶石を使う所といえば、魔術具と呼ばれる道具に使われている。
    例えば王族しか使えない転移の魔術具。神話級の魔術具にも使われているという話。

    そんな大層な魔術具が無くても亜空間移動があればいいと思うんだけど、使える人は滅多にいないようだ。
    空納を使える人はいても、亜空間は全くの別物だ。だから、その先にある亜空間移動もレアな魔法になる。

    私は使える事をばれないようにしないとだめだね。
    間違っても戦争なんかに利用されたくない。

     魔宝石は、その魔晶石を融合させると出来る。
    でも、かなり精密な魔力操作が出来ないとだめだし、魔晶石がやっとの私には当分無理かな。
    せめて眷属達やアロカシアに渡す魔晶石は作ってあげたい。

    魔力は本人の魔力を充填させる必要があるけど、いざという時の魔力タンクとして使える。

    …これがあのワイバーン戦の前に作れていれば、魔力不足で迷惑をかける事もなかったのに…

    今言っても仕方ないけどね。とりあえず一つじゃしょうがないし…あ。
    魔石は呆気なく砕けた。

    気長にやろう!

     
     中央の大通りでは、煉瓦の交換が行われている。
    煉瓦の交換は割れたら行われるので、さして珍しい事じゃないけど、今回のは別だ。
    そう。熱交換の煉瓦に変えているから。
    後ろが黒いのは、魔鉄と、それを保護する樹液で固められているから。

    市松模様のように交換する提案をしたけど、ちょっと飛び飛びになってる。
    まあ、仕方ないかな。コストもかなりかかっているはずだし。でも、これで雪が溶けなくて文句言われても知らない。

    ある程度いい感じに溶けてくれるだけで、雪かきの手間はかなり減るはずだし、お店だって開くかもしれない。

    冬の間に経済が回らないのは町にとっても大損だ。
    勿論、町の人達も苦労するし、いい事はない。
    でもどの家でも冬に備えての備蓄はする。主食となっている魔物肉の流通量が減るからだ。
   
    雪深い中で魔物を狩るのは大変だし、命がけだ。

    森では魔素が高いから雪も残らないし、魔物も活動している。
    けど、森で狩りが出来る冒険者は少ない。浅い所ならともかく、深部は無理だ。

    今年はダンジョンの五階層以降に行けるようになって、冒険者の数も増えた。けど、流石にダンジョンの側で冬を明かす事はないと思う。寒い事に変わりはないからね。

    オーガとの戦いでは色々学んだ。持っている武器もまちまちだし、傷がつくと熱くなる奴もいれば、冷静になるのもいる。
    そういうのを見極めながらなるべく魔法抜きで戦う。まあ、身体強化は使うけどね。

    
    いつものようにポーションを納品したら、今日も鑑定の仕事をして欲しいと言われた。
    …正直面倒。お金は稼げるけど、鑑定を仕事にするつもりなんてないのに。
    鑑定の魔道具とか作れないのかな?付与は…簡易なら、出来るかも?

「何か…今日は特に多くないですか?」
「隣のゼノン国からの依頼で…あの国には鑑定出来る人がいないのですよ」
「…もし、鑑定を付与させた道具があったら需要、ありますよね?商人さんとか」

「まさか、付与魔法も?!」
「だって、魔法は想像力だもん。付与の経験もあるから、簡易鑑定なら」
    今の私の実力だとそんな位しか出来ない。

    亜空間に入って、早速モノクルを作ってみる。側の素材は魔鉄だ。
    水晶ってすごく硬いのに、こうも簡単に加工出来ちゃうんだから、魔法って不思議だ。

    ここに魔石を使って付与を…とりあえずオークのでいいかな?
    容量はまだ残っているけど、そこは気にしない事にする。
    
    試しに使ってみようかな。

    鑑定    麦茶

    …ええと?

    鑑定    麦茶    大麦から作られた香ばしい飲み物

    あれ…もしかして、名前しか分からない?あんまり役に立たないかも…とすると、これから先も鑑定の仕事はするようなのかな…

    いや、もう少しましな付与が付けられればいいんだよね!というか、今まで自分達の装備位でしか真剣に付与もしてこなかった。
    出荷箱に入れる物にも適当に付与した事はあったけど、魔晶石を作るので魔石が必要になってからは、練習も出来てなかった。

    鑑定が出来る人が少ないんだから、こういう道具が今まで無くても仕方ない。
    まあ、一応?持って行ってはみるけどね。

    簡易だけあって、人物の鑑定は出来ない。というか、殆どの物が名前だけ。
    
    でも、商業ギルドに持って行ったら、それでも褒めてくれた。ご機嫌取りじゃなくて、本当に売れるだろうという事。
    売る相手は貴族狙いらしく、モノクルの金属部分は変えるらしい。…こんな玩具みたいな魔道具、売れるのかな…

    まあ、あと一年は確実にここにいるし、その間に付与のレベルも上がったらいいな。
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