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ランス、進化の先は…

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    進化は喜ばしい事なんだけど、主は大変だ。
「ほう…ランスも強くなるか。しかし主は進化中の従魔を影に入れる事は拒否しないのだな」
「え?それって普通じゃないの?シュガーが進化した時もそうだったよ?元はアサシンキャットだったから」

「我の知識によると、通常は主の魔力が減るから、拒否されるようだな…尤も、そのせいで進化した後に従魔が従わなくなるのかもしれないな」
    そうなのか…進化は大変な事だと思うし、その苦しみを共有出来なかったら、見限られても仕方ないのかも。

「流石は主だ。その清い心が、魔力にも現れ、我等を魅了するのだろう」
    いやいや…流石にそれは。
    ん?心の持ちようで魔力も変化するって事?…検索。そのようだ。
    じゃ美味しい魔力っていうのもその辺が理由かな…

    でも…清い心ね…生前、オタクの世界に入り込んでた事もあった私のどこが?
    しかも妄想とか…全否定出来ない所が悲しい。

    
    もうすぐ、夏休みも終わりだ。深淵のダンジョンは15階層止まりだけど、別に急いでない。
「そうか…我を眷属にして貰うのは、しばらくお預けになりそうだな」

    確かに、眷属化した時に結構な魔力を使った。
    フレイムと同じように、ランスも眷属化に合わせて進化するみたいだし。

    そういえば、夏休みの空いた時には熱交換の魔道具を作るって仕事もあったな…発案者として行けなかったのは申し訳ない。

    夏休みの宿題がないのは凄く嬉しい。
    紙がそれなりに高価って事もあるけど、自由研究って、何やったらいいか分からないよね。結局何か作って終わりなんて、工作と変わらない。
    
    今日は、眠るのもテントだ。亜空間だと、聖域に開いても魔素の恩恵が受けられないから。
    空間拡張の付与をつけてあるから、二人用位のテントも10畳位の広さがある。そこで今日はみんなで雑魚寝だ。
    聖域はとってもいい所。蚊とかの害虫の侵入も防いでくれるから、安眠出来る。

    亜空間は家って感じだけど、テントだとやっぱりキャンプみたいで楽しい。
    みんなで団子になって寝たけど、ランスだけがいないのはちょっと寂しいな。

    次の日、以前に作ったピザ釜に状態保存の付与をつけた釜で、久しぶりにピザを焼いた。
    生地はアロカシアが作ってくれた。私は、照り焼きウサギを作り、切っていく。シュガーもイカを切ってくれた。
    茹でたブロッコリーも散らして、釜へ。
「あれ…もうチーズの在庫が残り少なくなってきた」

「トマル村だよね。ボクが行ってくるよ」
「あ!にゃーも!」
「シュガーは収納庫を覚えてからにしたら?」
「うにゃ…頑張るにゃ!」
    空間把握についてや、時間が止まる事について、なるべく分かり易く説明してやる。

「シュガーは亜空間を知っているんだから、分かりやすいと思うんだけど」
「にゃ…出来たにゃー!」
    ううん、惜しい。
「それは空納。収納庫の下位互換だね…収納庫は時間が止まらないと」

「でも、メイのと繋がったにゃ?」
「私ももやし栽培に空納は使っているからね」
「もやしじゃなくて、カシオブツがいいにゃ…」
「収納庫を覚えれば、熱々のぶた玉をいつでも食べられるよ?」
「にゃー!頑張るにゃ!」

    うん。いつになく頑張ってるね。多分すぐ飽きると思うけど。

「あとは、何乗せたい?」
「照り焼きは、これしか乗せないのか?」
「足りない分は、下足の唐揚げもあるし」
    それに、ランスの進化がいつ終わるか分からないからね。
    アロカシアには、厚切りステーキでも焼いてあげよう。

    いい匂いが漂ってくる頃、フレイムが戻ってきた。
「お使いしてきたよ。たくさん買ったら、ミルクもおまけしてくれたよ」
    折角だから、ホットミルクにしようかな。処理はしてないだろうから、ピュアもかけて。
    よし。蜂蜜ミルクだ。暑い時に熱い物を飲むのもなかなかいいものだ。
「ボクもー!」
「にゃーも!」
「我も頂けるか?」
    そこまでの量はないから、農園で採れたミルクも混ぜる。

    お。ランスの進化が終わったみたいだ。
    出てきたランスは、ロバ位大きくなっていた。そして、黒を基調とした黒銀の毛。凄く格好いい。
    さて、どんな魔物に進化したのかな?

    ランス(6)メイの眷属
    レベル85    マーニ·ハティ

    スキル    暗黒魔法    雷魔法
    氷魔法    風魔法    黄泉返り
    影支配    影移動    影分身
    月光波動    状態異常無効
    魔法耐性    威圧    空歩    縮地
    高速移動    空中移動    空間支配
    探知    忍び足    気配遮断    魔眼
    爪斬撃    噛み砕き    念話    人化

    うわ…何か分からないスキルがいっぱいある。
「と…とりあえず人化してみて?」
    あれ?服着てる?
    髪の色が変わっている。そこは毛色と一緒なんだね。

「空間を支配しているから、収納庫も作れるし、亜空間も可能だ。…それと、メイが俺達が死ぬのを気にしていたから、そうならないスキルを持った物に進化したかった」
「じゃあ…もし私が死んじゃったとしても、ランスは生き返れるの?」

「それは分からない。試してみる事も出来ないし」
    そりゃそうだ。
「月光波動って?」
「ふむ…攻撃にも使えるし、月の力を放つスキルのようだ」
    ふむ…月の波動は浴びると不思議な力を得られると前世でも信じられていたからね。金運アップとか…って、今の所私には必要ないけど。

「ランスも揃った所でご飯にしようか」
    体が大きくなったからだと思うけど…更にたくさん食べるようになったな…頑張ろう。

「我の眷属化も試して欲しい。我はもう進化する事もないし、安心だろう?」
    いや、でも…眷属が増えた事で、心の容量的な所が落ち着かない。これは消耗してるのかな?

「一応試してみるけど、あんまり期待しないでね」
    うわ…あまりにも存在が強くて、捉えきれない…
「…我は落ち着いてからでいい。済まない、主」
「どうして謝るの?」
「いや…本体との縁が切れて弱くなったとはいえ、我はドラゴンだ。そう簡単に行くとは思えぬからな」

    アロカシアは寂しそうに笑って、頭を撫でた。
    私が未熟だからまだ無理って事かな?
「大丈夫だ。主ならいつか我を眷属にしてくれると信じている」

    とりあえずランスが眷属化した事で、私の闇系魔法は作動が容易になった。ランスも最初から空間支配が高レベルで習得できたのは私の影響だろう。
    ダークソード、ダークボール、状態異常を与える系もこれまでより強力なのが扱えるだろう。

    それと、ロングハンドは闇系魔法だったみたいだ。だから触手に進化してしまった魔法も…ううん!更に進化させて、触手じゃなくするんだ!
    魔法のロングハンドだって、見える物じゃないし、黙っていれば他人に分かる物じゃない。

    私のスキルは覗かれない自信あるし。…でも神様達は別か。
     私の固有スキル、何とかならないのかな…
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