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五歳
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夏休みに入る少し前に、私も五歳になった。
農園はいつでも春の陽気で、季節関係なしに作物が出来るから、今年はイチゴのケーキを焼いた。
今年は本当に色々な事があった。シュガーと学校に入った事もだけど、アロカシアも従魔になってくれた。
その場の流れで従魔にしてしまったけど、分体とはいえ最強種族のドラゴンが私の従魔になってくれたなんて驚きだ。
ヤブランはたまにフラりとギルドに現れては、気紛れのように依頼をこなす。
ランスもたまに一緒に依頼をこなしている。
そして、その強さから他のパーティーに誘われたり、女性からのお誘いもあるみたいだけど、その一切を断っている。
「他のパーティーの助力はともかく、女性からのデートも断るの?」
「我には主がおります。それに他の種族相手にそういう気は他の仲間も起きないでしょう」
「そういうもん?ランスもモテたりしないの?」
「うむ…もふらせて欲しいと言われた事はあるが…」
「うーん。みんな私の従魔ではあるけど、プライベートまでは詮索しないし、拘束したりしないよ?…結婚はちょっとまずいかもだけど」
「我には主が一番なので」
考えてみればヤブランはまだ一歳にも満たない。知識は受け継いでも、心はそうはいかないのかもね。
「じゃあ、シュガーも?」
「にゃーの番はメイがいいのにゃ!にゃーが一番好きなのはメイなのにゃ!」
…番の意味は、分かっていなさそうだな。
「俺にも、同種族の番は不要だ」
同じサンダーウルフの雌にも靡かないって事か。
「まあ、私が言うのも何だけど、一度しかない人生?だし、後悔しないようにね。何かあれば、何でも相談に乗るからさ」
(メイは分かってないのー。そんな事言われたら悲しいのー)
そう…かな。確かに私もみんなの事は凄く大切だ。
だけど、みんなの人権?は尊重したいし、無視して従わせたままは出来ない。
「主…我らにはもう、主のいない生など無意味なのだ」
みんなもそうだ、というように頷いている。
もし本当にそう思ってくれてるなら、私も覚悟を決めなきゃならないのだろう。
みんなの寿命がどれ位かは分からないけど、一生一緒にいて、面倒を見る。
アロカシアには逆にお世話になってる。1を教えれば10を理解する人だから、料理の腕も随分上がった。
経験を知識でカバーしているような物だけど、アロカシアは努力家だ。
シュガーが手伝ってくれるのは相変わらずカシオブツを削る事が多い。半分は無くなる。
でも、ピザやうどん生地を捏ねたりもしてくれる。
猫はふみふみが好きだからな…
クィーンキャットになって、長毛種になったけど、アサシンキャットのまま人化出来ていたら、姿は変わったのだろうか?
尻尾と髪の色は変わっていたかもね。
もし、この先ランスやシュガーが進化する事があって、毛色が変わったら髪の毛の色も変わるのかな?目の色は?
なんて、特徴や姿は万一変わっても、この町に拘らなければいいだけの話だ。
「さてと…そろそろ行かないとね、シュガー」
「うむ…長期の休みも近い事だし、どこか行ってみるというのはどうだ?」
「あ、いいね!海とか行きたいな!」
「海か…まさか海の中にか?」
「だめ?」
「海の中には魔物もいるし…実は我は泳げない」
おお…意外だ。運動神経はいいから、覚えればすぐに泳げそうだけどね。
「ふふっ、なら教えてあげる」
「しかし…普通人族は、海では泳がない。コンブーを採りに湖に潜る者はいるが」
「魔物対策には、身体に結界を沿わせるように纏って、口の中で弱い風魔法を使えば大丈夫だよ?」
そのような魔法の使い方を平然とこなせるのは、主位だというに…自覚がないのも困りものだな。
「いけない!じゃあ、またね!」
シュガーと二人、走って学校へ…セーフ!
「こら、もっと余裕を持って登校するんだぞ」
「はーい」
うん…レベルがあってこそだね。
私って、他の人よりスキルを覚えるの速いのかな?スキルレベルが上がるのも。
こうして先生の話を聞いていると、そんな風に思う。
スキルについては現地の人の方が色々知ってるはずだし、覚えたいと思って訓練すれば、私みたいに覚えられると思うんだけどな…教師が神様だから、そこは違うけど、スタートは一緒…だよね?
スキルが進化する話は割と知られた事みたいだ。ただし、長年かけてやっとか…5歳で精密魔力操作に進化したのは、やっぱり速過ぎるかもね。
訓練の時間は多く取れるけど、農園の空き地でやってただけだから、そんなには…器用貧乏になるなと言われた事もあるし。
レベルが高いのは、近くに美味しいダンジョンがあるせいも絶対ある。
ダンジョンといえば15階層で止まっちゃってるけど、下階層はないのかな…これも夏休み中に頑張って見つけたいな。
農園はいつでも春の陽気で、季節関係なしに作物が出来るから、今年はイチゴのケーキを焼いた。
今年は本当に色々な事があった。シュガーと学校に入った事もだけど、アロカシアも従魔になってくれた。
その場の流れで従魔にしてしまったけど、分体とはいえ最強種族のドラゴンが私の従魔になってくれたなんて驚きだ。
ヤブランはたまにフラりとギルドに現れては、気紛れのように依頼をこなす。
ランスもたまに一緒に依頼をこなしている。
そして、その強さから他のパーティーに誘われたり、女性からのお誘いもあるみたいだけど、その一切を断っている。
「他のパーティーの助力はともかく、女性からのデートも断るの?」
「我には主がおります。それに他の種族相手にそういう気は他の仲間も起きないでしょう」
「そういうもん?ランスもモテたりしないの?」
「うむ…もふらせて欲しいと言われた事はあるが…」
「うーん。みんな私の従魔ではあるけど、プライベートまでは詮索しないし、拘束したりしないよ?…結婚はちょっとまずいかもだけど」
「我には主が一番なので」
考えてみればヤブランはまだ一歳にも満たない。知識は受け継いでも、心はそうはいかないのかもね。
「じゃあ、シュガーも?」
「にゃーの番はメイがいいのにゃ!にゃーが一番好きなのはメイなのにゃ!」
…番の意味は、分かっていなさそうだな。
「俺にも、同種族の番は不要だ」
同じサンダーウルフの雌にも靡かないって事か。
「まあ、私が言うのも何だけど、一度しかない人生?だし、後悔しないようにね。何かあれば、何でも相談に乗るからさ」
(メイは分かってないのー。そんな事言われたら悲しいのー)
そう…かな。確かに私もみんなの事は凄く大切だ。
だけど、みんなの人権?は尊重したいし、無視して従わせたままは出来ない。
「主…我らにはもう、主のいない生など無意味なのだ」
みんなもそうだ、というように頷いている。
もし本当にそう思ってくれてるなら、私も覚悟を決めなきゃならないのだろう。
みんなの寿命がどれ位かは分からないけど、一生一緒にいて、面倒を見る。
アロカシアには逆にお世話になってる。1を教えれば10を理解する人だから、料理の腕も随分上がった。
経験を知識でカバーしているような物だけど、アロカシアは努力家だ。
シュガーが手伝ってくれるのは相変わらずカシオブツを削る事が多い。半分は無くなる。
でも、ピザやうどん生地を捏ねたりもしてくれる。
猫はふみふみが好きだからな…
クィーンキャットになって、長毛種になったけど、アサシンキャットのまま人化出来ていたら、姿は変わったのだろうか?
尻尾と髪の色は変わっていたかもね。
もし、この先ランスやシュガーが進化する事があって、毛色が変わったら髪の毛の色も変わるのかな?目の色は?
なんて、特徴や姿は万一変わっても、この町に拘らなければいいだけの話だ。
「さてと…そろそろ行かないとね、シュガー」
「うむ…長期の休みも近い事だし、どこか行ってみるというのはどうだ?」
「あ、いいね!海とか行きたいな!」
「海か…まさか海の中にか?」
「だめ?」
「海の中には魔物もいるし…実は我は泳げない」
おお…意外だ。運動神経はいいから、覚えればすぐに泳げそうだけどね。
「ふふっ、なら教えてあげる」
「しかし…普通人族は、海では泳がない。コンブーを採りに湖に潜る者はいるが」
「魔物対策には、身体に結界を沿わせるように纏って、口の中で弱い風魔法を使えば大丈夫だよ?」
そのような魔法の使い方を平然とこなせるのは、主位だというに…自覚がないのも困りものだな。
「いけない!じゃあ、またね!」
シュガーと二人、走って学校へ…セーフ!
「こら、もっと余裕を持って登校するんだぞ」
「はーい」
うん…レベルがあってこそだね。
私って、他の人よりスキルを覚えるの速いのかな?スキルレベルが上がるのも。
こうして先生の話を聞いていると、そんな風に思う。
スキルについては現地の人の方が色々知ってるはずだし、覚えたいと思って訓練すれば、私みたいに覚えられると思うんだけどな…教師が神様だから、そこは違うけど、スタートは一緒…だよね?
スキルが進化する話は割と知られた事みたいだ。ただし、長年かけてやっとか…5歳で精密魔力操作に進化したのは、やっぱり速過ぎるかもね。
訓練の時間は多く取れるけど、農園の空き地でやってただけだから、そんなには…器用貧乏になるなと言われた事もあるし。
レベルが高いのは、近くに美味しいダンジョンがあるせいも絶対ある。
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