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ついに米解禁!

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    外に雪がちらつき始めた。どれ位積もるのかな?あんまり降ると、ダンジョン位しか行けない。
    ダンジョンは亜空間から出てすぐの所だ。最初は少し離してたんだけど、目の前の方が何かと便利だ。

    猪鍋(ぼたん鍋)を食べながら、脱脂したモコモコの毛を毛布に仕立て直す。
    クリーンだとまだ脂が残っている気がしたので、除菌までイメージしたピュアを今は使っている。

    ピュアは除菌なので、ざっと綺麗にするならクリーンの方がいいけど、染み付いた汚れを落とすのにはピュアがいい。歯医者のスリッパみたいな匂いは残るけど、綺麗になってる気がする。

    モコモコの毛といえばシュガーに毛玉ボールを作ってあげた。追いかけまわして遊ぶ姿は魔物じゃなくて、猫そのものだ。

    フレイムの寝ている籠の中もモコモコの毛が詰まっているし、幾つか作ったクッションもそうだ。
    同じくドロップする肉は全部美味しく頂いて、もうない。

    今行ってる階層は3階層メインで、5階層と、たまに1階層にも行ってる。フレイムも3階層までは一緒に行った。
(ランス、お風呂入ろう)

    シュガーはやっぱりお風呂が嫌いだった。毎日クリーンで綺麗にしてるからいいけど。
    フレイムもたまに水浴びするみたいだ。
    私は、収納庫から出来たてのオリーブ石鹸を出す。

(いつものとは違うな)
(特製だよ。農園でオリーブの木を育てられるようになったからね。肌にもいいし、そのもふもふもきっと更に艶々になるよ!)
(それは…主にとってはいい事なのか…)
    本当は液体のが出来れば楽なんだけど、流石にそこまでは検索でも出てこなかった。

    多分、この世界にない物は検索出来ないのだろう。私の作ったソースもケチャップも、勿論マヨネーズだって検索出来なかった。因みにソースとケチャップは中身は適当だけど、それなりに美味しく出来たと思う。
    今はなんちゃってポン酢に挑戦中だ。

    風呂桶は、作った。ここの森は割と太い木が多く生えているので、外枠を切り出して、融合させたのだ。

    そうして亜空間も区切れる事に気がついたので、仕切ってお湯が漏れないようにしてある。
    これの不便な所は、私にしかドアの開け閉めが出来ない所だ。まあ、私の魔法の空間だから、当然といえば当然だ。

    けど、亜空間の入り口だけはその場に固定する事で、出入り自由になった。
    魔物も入れちゃう訳だけど、こっちは結界石で対応した。
    私の従魔が私の魔力で発動してる結界石に弾かれる訳はない。

    ただ欠点は、この空間の亀裂が人に見られた時は防ぎようがないという事。
    冬の今だからこそ、冒険者のいない今だからこそ、こうしてダンジョンの入り口に亜空間の扉を開けていられるのだ。

    次の日。ベーコンエッグとポテトの朝食を食べて、スマホ農園に入った。
    収穫を終え、道具屋を覗くと米の種籾が売っていた。
    やった!遂に米解禁!思った通り陸稲で、今までの種のように普通に畑に蒔ける。

    設備屋に行くと、やはりというか、精米機が売っていた。だけど…圧倒的にお金が足りない。
    先に調理器具を揃えて料理の出荷を早めに行っておくべきだったか。
    それとも銀まで採掘されるようになった事だし、ダンジョンで銀を採掘したらアクセサリーを自動で作れるように、作業台を優先して手に入れるべきだったか。

    それは銅が採れた時点で考えておくべき事だったんだよね…
    いや、今うだうだ考えても仕方ない。
    パンに塗る為に作ったジャムも、おやつ用のプリンもゼリーも飴も、出荷箱に入れる。
    クッキーだけは今日用にとっておこう。

    久しぶりに料理辞典を眺めて、今ある材料と合わせて何か作れる物はないかと色々思案する。

    驚いた事に、道具屋でソースとケチャップが売られるようになっていた。多分これは出荷の影響が大きいのだろう。
    万年金欠のゲーム内では、今の所買う余裕もない。塩でさえ未だに手作りだ。

    今はとにかく採掘だ。明日には米が育つのに、食べられないなんて悲しいもん。

    はぁ…種が高過ぎるよ…
    後から出てくる種でも、実際に価値が低い種は安い。けど実際にゲームで育てられていた種は以前のデータをそのまま使っているのか、高い。
    まあ、普通なら出荷する作物を食べているんだからお金はなくなって当然だ。

    ゲームの中ではレシピに載っている料理なら、材料さえあればオート作成されてしまう。
    例えばパンなら小麦粉を入れれば食パンが出来る。
    簡単でいいとも思うけど、このパンみたいに理不尽な所もある。

    例えばバターロール。バターと小麦粉を入れれば完成だけど、絶対小麦粉は一つ使わないし、バターも多い。

    等価で出るのは刺身位だ。
    ゲームでやっていた時は特に気にならなかったけど、今は凄く気になる。
    マヨネーズやジュースの作成はオートの方が便利だからやっちゃうけど。
    ああ、そういえばオリーブオイルのマヨネーズも作ろうと思ってたんだっけ。

    とにかく今日はお金に変わる物を作って入れないと、明日には折角米が食べられるんだから!

    ん…魔道具はどうなんだろう?錬金術用の薬学台っていうのはまだ買ってないけどある。でもそこではあくまでもポーションを作ったり、オレンジを酸味付けの調味料として加工するだけだ。
    出荷出来なければきっと戻ってくるよね?

    私は、ホッカイロの魔道具を出荷箱に入れた。

    諸々終わらせて亜空間に戻ると、今朝出て行った時のみんなと様子が一緒だ。
    私は1日分位多く働いた気分なのに、なんか納得いかない。せめてその分背が伸びればいいのに。

    改めてリフレッシュをかけて、今日は6階層へ向かうつもりだ。

(フレイムは今日はどうする?)
    影の中にいても連れて行って欲しい時があるので一応確認。
「ピー」
    分かった。お留守番だね。

    ダンジョン6階層。現れた魔物は、蛇だ。しかも細くてやけに長いな。

    鑑定    ロングスネイク    毒、巻き付きに注意

    まんまだ。そうして、こういう小さい魔物相手だと、いつもは不利な背の小ささを活かせる。

    ドロップアイテムは…え?ロープ?

     鑑定    巻き付きのロープ    放った相手に巻き付き、離さない

    おお。罠…というよりは護身用に使えそうだ。
    どこまでの強さの魔物に有効なのかも検証しないとね。
    
    試しに目の前の蛇に使ってやると、自分のドロップアイテムに囚われてもがいていた。

    それでいいのか。蛇よ。

    使用済みになると勝手に消えてしまう。一回限りという訳だ。
    勝手に動くけど生きている訳じゃない。ロープはすんなりと収納庫へ入った。
    面白いし、みんなにも護身用に持たせてあげたいな。

    耐性はあるけど、完全に状態異常にならない訳じゃない。やっぱり個人持ちのマジックバッグは必要だな…うん。頑張ろう。

    階段も見付けたし、少なくなったらまた来るとして、7階層へと進む。

    7階層は、外にいるのよりかは幾分小さめなボア?
    ただし、まるで各場所に鎧を纏っているように、皮膚が硬化している。

    鑑定    アーマードボア    硬質な皮膚は鉄よりも硬い

    じゃあミスリルは?
    動きは普通のボアと一緒。一直線だ。
    小さめとはいえ、自分よりも大きいし、地球にいた猪よりも大きい。それでも対処は出来る。

    ショートワープ。すぐ後ろに現れて、攻撃。やっぱりミスリルの方が優秀だね。それに、オージェの作ってくれた物だからね。

    ランスやシュガーもそれなりに対応できている。シュガーは木魔法で罠をかけてからの攻撃。
    ランスも咆哮や魔法を上手く使っている。

    ドロップアイテムは、塊の猪肉か、アーマードボアの硬質な皮膚。皮鎧の材料になりそうだ。
    倒すと、褒めて欲しそうに持って来るけどここはダンジョンだからね?
    可愛いけどさ。

    ここも度々訪れそうな階層だ。昨日の猪鍋は美味しかったからね。心残りはこんにゃくがなかった事。流石にゲームで蒟蒻芋が出ても加工は出来ないよ?

    大豆も早く解禁して欲しい。



    
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