11 / 166
町へ
しおりを挟む
フレイムは、とりあえず影の中に入れた。ここなら走っての移動にも、突然の魔物襲撃にも安心だ。
幾度か魔物に遭遇したが、問題なく撃退できた。
森の出口に近づくにつれて、魔物も弱くなっていくみたいだ。
アオナやアジタケ、薬草を採取しながら進むと、ようやく高い塀に囲まれた町が見えてきた。
私は西にある村からお使いに来た子供。魔法が得意なので、どうにか来られた。両親は用事があるので一緒には来られない。
両親がいないとなると、ろくな目に合わないかもしれない。とりあえず今は、買い物ができるだけでいい。
森は南側に広がっているので、西門を目指す。
ここからはランスもシュガーも影の中だ。平地にはゴブリンやホーンラビット等、私でも容易に対処出来る魔物しかいない。
恐らくはレベルが上がったからだろう。あっという間にレベルは18になっていた。
「止まりなさい。お嬢さん、親とはぐれたのかな?」
「ううん、あっちから来たの。お使いなの」
3歳ってこんな感じでいいのかな?
「トマル村から?一人で?魔物には会わなかったのかな?」
「いたけど、魔法でやっつけたの」
「参ったな…」
綺麗な服を着ている。平民ではないのか?
「お兄さんが案内してあげようか?」
「大丈夫」
5歳に満たない子供には、入街税も取れない。
「身分証は…それもないか。けど、本当に一人で大丈夫かな?」
「あの、身分証って?」
「ああ。5歳になると役所等で発行して貰えるんだよ。各種ギルドでも発行して貰えるけど、労働の義務が発生するからね」
身分証か…親がいなくても発行して貰えるのかな?
まあ、あと2年あるし、その時は考えよう。
お金の価値は良く分からないけど、文字は読める。
鉄貨という何の装飾もない四角くて装飾のないこれが、10円位?
銅、銀、金と価値は上がっていくみたいだ。それに伴って偽造出来ないようにか、装飾が増える。でも、銀貨も金貨もメッキだ。
恐らくその辺は金属の価値が違うのだろう。
このやたら装飾の多いお金はもっと価値がありそうだ。出さない方が賢明だろう。素材はミスリルっぽいし。
家具屋は基本的に受注生産らしい。ただ、リサイクル店もあって、そちらに大きなベッドがあった。
これならもふもふに挟まれて眠れる大きさだ。
ベッドは板の上に皮を敷いて眠るのが普通らしい。
子供用のベッドは、柔らかい敷物が敷いてある。きっとネリーが作ってくれたのだろう。
とりあえず綿花は収穫出来る状態になっている。綿入り布団を作ろう。
亜空間の中はいつも適温なので、被る物は必要ないけど、一応薄手の毛布を使っている。まあ、子供用だけど。
シュガーはかけると嫌がるので、そのままだ。
即金で支払って収納庫に入れたら驚ろかれた。私の稼いだお金じゃないから、親に貰った事にした。ある意味合ってるよね。
残念ながら米は売っていない。米も育てられたらいいな。陸稲だったら水田にする必要ないからゲームの中でも育てられるよね?
小麦粉は、ゲーム内とは違って白くない。全粒粉みたいな感じだ。
うん…?白いのもあるのか。全粒粉の方が安いなんて、逆じゃないのかな?
屋台も並んでいる。それぞれ少しずつ買って、味の研究をしよう。なんて、この世界の料理に興味があるだけなんだけど。
んー?このスープ、出汁が入ってないな。コンブーでもカシオブツでもいいから、使えばもっと美味しくなるのにな。残念。
オーク肉の串焼きにベーコン串。ホーンラビットの肉にタレを付けて焼いた物。この辺はお土産に多く買った。ベーコンか…オークもハイオークも収納庫の中に入っているから、作ってみようかな?
燻製箱なら割と簡単に作れそうだし、魚や卵も燻製にしたら美味しいだろうな。
ここは調味料を置いてある。残念ながら醤油はない。味噌もないな。
でもビネガー…酢がある。よし!これでフレッシュチーズが作れる!
フレッシュチーズもだけど、マヨネーズも作れる。
動物性の油も売ってるけど、植物性の油だけ買った。
ソースはさすがにないか。仕方ない。自作しよう。
この瓶に入った液体は…甘水?何だろう?鑑定ではそのまま甘い水としか出なかったけど、水飴みたいなものかな?しかもそんなに高くないし。
いや、おやつって考えると高いかな?でも、砂糖代わりに使えたら嬉しいな。
普通の砂糖はないみたいだし、少し買ってみよう。
まだ育てられない野菜も買ったし、そろそろ町を出よう。西門から出てまっすぐ進み、途中で人の目の届かない所で亜空間に入り、みんなを影から出した。
(人族の町は初めて見たにゃあんなに大勢人がいるなんて、凄いにゃ)
(え?見えてたの?)
(メイが見てた景色が見えてたにゃ。不思議にゃー?)
良く分からないけど、そういう物なのかな?
フレイムは、ずっと眠っていたみたいだ。起きたらすぐに、餌を要求してくる。ミンチにしたオーク肉は多めに用意してあるので、すぐにあげた。
相変わらず凄い食欲だ。
(この小さな身体のどこに入っていくんだろうね)
(にゃー達もご飯にするにゃ!)
とりあえず、肉串を出してやる。
(ん?あんまり美味しくない?)
(にゃー達はメイの魔力の味がした方が好きなだけにゃ。気にしなくてもちゃんと食べるにゃ)
魔力の味、か。料理をしてると魔力が移るって事?私には全く分からないけど、そういう事なら頑張って料理しよう。
よし!今日道具屋で見つけた物を試してみよう。
(二人共、これでブラッシングしてあげる)
硬めの毛が細かく並んだそれは、人間用というより、動物用かも。
いつもクリーンで綺麗にはしてるけど、これでより一層艶々になるに違いない。
二人共気持ち良さそうだ。触り心地も最高だ。
さて、これからどうしよう?ダンジョンも続きが気になるんだよね。ランスが加わった事で戦力は大幅にアップしたし、カマキリの下はまた美味しい食べ物かもしれない。
季節は実りの秋だ。森を探索すれば何か見つかるかもしれない。
幾度か魔物に遭遇したが、問題なく撃退できた。
森の出口に近づくにつれて、魔物も弱くなっていくみたいだ。
アオナやアジタケ、薬草を採取しながら進むと、ようやく高い塀に囲まれた町が見えてきた。
私は西にある村からお使いに来た子供。魔法が得意なので、どうにか来られた。両親は用事があるので一緒には来られない。
両親がいないとなると、ろくな目に合わないかもしれない。とりあえず今は、買い物ができるだけでいい。
森は南側に広がっているので、西門を目指す。
ここからはランスもシュガーも影の中だ。平地にはゴブリンやホーンラビット等、私でも容易に対処出来る魔物しかいない。
恐らくはレベルが上がったからだろう。あっという間にレベルは18になっていた。
「止まりなさい。お嬢さん、親とはぐれたのかな?」
「ううん、あっちから来たの。お使いなの」
3歳ってこんな感じでいいのかな?
「トマル村から?一人で?魔物には会わなかったのかな?」
「いたけど、魔法でやっつけたの」
「参ったな…」
綺麗な服を着ている。平民ではないのか?
「お兄さんが案内してあげようか?」
「大丈夫」
5歳に満たない子供には、入街税も取れない。
「身分証は…それもないか。けど、本当に一人で大丈夫かな?」
「あの、身分証って?」
「ああ。5歳になると役所等で発行して貰えるんだよ。各種ギルドでも発行して貰えるけど、労働の義務が発生するからね」
身分証か…親がいなくても発行して貰えるのかな?
まあ、あと2年あるし、その時は考えよう。
お金の価値は良く分からないけど、文字は読める。
鉄貨という何の装飾もない四角くて装飾のないこれが、10円位?
銅、銀、金と価値は上がっていくみたいだ。それに伴って偽造出来ないようにか、装飾が増える。でも、銀貨も金貨もメッキだ。
恐らくその辺は金属の価値が違うのだろう。
このやたら装飾の多いお金はもっと価値がありそうだ。出さない方が賢明だろう。素材はミスリルっぽいし。
家具屋は基本的に受注生産らしい。ただ、リサイクル店もあって、そちらに大きなベッドがあった。
これならもふもふに挟まれて眠れる大きさだ。
ベッドは板の上に皮を敷いて眠るのが普通らしい。
子供用のベッドは、柔らかい敷物が敷いてある。きっとネリーが作ってくれたのだろう。
とりあえず綿花は収穫出来る状態になっている。綿入り布団を作ろう。
亜空間の中はいつも適温なので、被る物は必要ないけど、一応薄手の毛布を使っている。まあ、子供用だけど。
シュガーはかけると嫌がるので、そのままだ。
即金で支払って収納庫に入れたら驚ろかれた。私の稼いだお金じゃないから、親に貰った事にした。ある意味合ってるよね。
残念ながら米は売っていない。米も育てられたらいいな。陸稲だったら水田にする必要ないからゲームの中でも育てられるよね?
小麦粉は、ゲーム内とは違って白くない。全粒粉みたいな感じだ。
うん…?白いのもあるのか。全粒粉の方が安いなんて、逆じゃないのかな?
屋台も並んでいる。それぞれ少しずつ買って、味の研究をしよう。なんて、この世界の料理に興味があるだけなんだけど。
んー?このスープ、出汁が入ってないな。コンブーでもカシオブツでもいいから、使えばもっと美味しくなるのにな。残念。
オーク肉の串焼きにベーコン串。ホーンラビットの肉にタレを付けて焼いた物。この辺はお土産に多く買った。ベーコンか…オークもハイオークも収納庫の中に入っているから、作ってみようかな?
燻製箱なら割と簡単に作れそうだし、魚や卵も燻製にしたら美味しいだろうな。
ここは調味料を置いてある。残念ながら醤油はない。味噌もないな。
でもビネガー…酢がある。よし!これでフレッシュチーズが作れる!
フレッシュチーズもだけど、マヨネーズも作れる。
動物性の油も売ってるけど、植物性の油だけ買った。
ソースはさすがにないか。仕方ない。自作しよう。
この瓶に入った液体は…甘水?何だろう?鑑定ではそのまま甘い水としか出なかったけど、水飴みたいなものかな?しかもそんなに高くないし。
いや、おやつって考えると高いかな?でも、砂糖代わりに使えたら嬉しいな。
普通の砂糖はないみたいだし、少し買ってみよう。
まだ育てられない野菜も買ったし、そろそろ町を出よう。西門から出てまっすぐ進み、途中で人の目の届かない所で亜空間に入り、みんなを影から出した。
(人族の町は初めて見たにゃあんなに大勢人がいるなんて、凄いにゃ)
(え?見えてたの?)
(メイが見てた景色が見えてたにゃ。不思議にゃー?)
良く分からないけど、そういう物なのかな?
フレイムは、ずっと眠っていたみたいだ。起きたらすぐに、餌を要求してくる。ミンチにしたオーク肉は多めに用意してあるので、すぐにあげた。
相変わらず凄い食欲だ。
(この小さな身体のどこに入っていくんだろうね)
(にゃー達もご飯にするにゃ!)
とりあえず、肉串を出してやる。
(ん?あんまり美味しくない?)
(にゃー達はメイの魔力の味がした方が好きなだけにゃ。気にしなくてもちゃんと食べるにゃ)
魔力の味、か。料理をしてると魔力が移るって事?私には全く分からないけど、そういう事なら頑張って料理しよう。
よし!今日道具屋で見つけた物を試してみよう。
(二人共、これでブラッシングしてあげる)
硬めの毛が細かく並んだそれは、人間用というより、動物用かも。
いつもクリーンで綺麗にはしてるけど、これでより一層艶々になるに違いない。
二人共気持ち良さそうだ。触り心地も最高だ。
さて、これからどうしよう?ダンジョンも続きが気になるんだよね。ランスが加わった事で戦力は大幅にアップしたし、カマキリの下はまた美味しい食べ物かもしれない。
季節は実りの秋だ。森を探索すれば何か見つかるかもしれない。
395
お気に入りに追加
2,034
あなたにおすすめの小説
滅びる異世界に転生したけど、幼女は楽しく旅をする!
白夢
ファンタジー
何もしないでいいから、世界の終わりを見届けてほしい。
そう言われて、異世界に転生することになった。
でも、どうせ転生したなら、この異世界が滅びる前に観光しよう。
どうせ滅びる世界なら、思いっきり楽しもう。
だからわたしは旅に出た。
これは一人の幼女と小さな幻獣の、
世界なんて救わないつもりの放浪記。
〜〜〜
ご訪問ありがとうございます。
可愛い女の子が頼れる相棒と美しい世界で旅をする、幸せなファンタジーを目指しました。
ファンタジー小説大賞エントリー作品です。気に入っていただけましたら、ぜひご投票をお願いします。
お気に入り、ご感想、応援などいただければ、とても喜びます。よろしくお願いします!
23/01/08 表紙画像を変更しました
神による異世界転生〜転生した私の異世界ライフ〜
シュガーコクーン
ファンタジー
女神のうっかりで死んでしまったOLが一人。そのOLは、女神によって幼女に戻って異世界転生させてもらうことに。
その幼女の新たな名前はリティア。リティアの繰り広げる異世界ファンタジーが今始まる!
「こんな話をいれて欲しい!」そんな要望も是非下さい!出来る限り書きたいと思います。
素人のつたない作品ですが、よければリティアの異世界ライフをお楽しみ下さい╰(*´︶`*)╯
旧題「神による異世界転生〜転生幼女の異世界ライフ〜」
現在、小説家になろうでこの作品のリメイクを連載しています!そちらも是非覗いてみてください。

異世界リナトリオン〜平凡な田舎娘だと思った私、実は転生者でした?!〜
青山喜太
ファンタジー
ある日、母が死んだ
孤独に暮らす少女、エイダは今日も1人分の食器を片付ける、1人で食べる朝食も慣れたものだ。
そしてそれは母が死んでからいつもと変わらない日常だった、ドアがノックされるその時までは。
これは1人の少女が世界を巻き込む巨大な秘密に立ち向かうお話。
小説家になろう様からの転載です!

こちらの異世界で頑張ります
kotaro
ファンタジー
原 雪は、初出勤で事故にあい死亡する。神様に第二の人生を授かり幼女の姿で
魔の森に降り立つ 其処で獣魔となるフェンリルと出合い後の保護者となる冒険者と出合う。
様々の事が起こり解決していく

転生先ではゆっくりと生きたい
ひつじ
ファンタジー
勉強を頑張っても、仕事を頑張っても誰からも愛されなかったし必要とされなかった藤田明彦。
事故で死んだ明彦が出会ったのは……
転生先では愛されたいし必要とされたい。明彦改めソラはこの広い空を見ながらゆっくりと生きることを決めた
小説家になろうでも連載中です。
なろうの方が話数が多いです。
https://ncode.syosetu.com/n8964gh/

転生貴族のスローライフ
マツユキ
ファンタジー
現代の日本で、病気により若くして死んでしまった主人公。気づいたら異世界で貴族の三男として転生していた
しかし、生まれた家は力主義を掲げる辺境伯家。自分の力を上手く使えない主人公は、追放されてしまう事に。しかも、追放先は誰も足を踏み入れようとはしない場所だった
これは、転生者である主人公が最凶の地で、国よりも最強の街を起こす物語である
*基本は1日空けて更新したいと思っています。連日更新をする場合もありますので、よろしくお願いします

私は〈元〉小石でございます! ~癒し系ゴーレムと魔物使い~
Ss侍
ファンタジー
"私"はある時目覚めたら身体が小石になっていた。
動けない、何もできない、そもそも身体がない。
自分の運命に嘆きつつ小石として過ごしていたある日、小さな人形のような可愛らしいゴーレムがやってきた。
ひょんなことからそのゴーレムの身体をのっとってしまった"私"。
それが、全ての出会いと冒険の始まりだとは知らずに_____!!
【完結】捨てられた双子のセカンドライフ
mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】
王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。
父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。
やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。
これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。
冒険あり商売あり。
さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。
(話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる