(完結)モブ令嬢の婚約破棄

あかる

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    今日から私も、王立学園の学生ですわ。2年間頑張って魔法の力を更に上げて、卒業したらロロイ様の所にお嫁に行くのですわ。

    ロロイ様は一つ年上で、お父様同士が学生時代から仲良しで、私のお父様が魔法師団の長官、ロロイ様のお父様は直属の部下です。

    お父様達は本当に仲良しで、同年代で生まれた私達を婚約者にしました。私が6歳の時ですから、丁度6年前ですわね。
    お互いに幼い頃からの付き合いですから、婚約者というよりは兄妹のようなもの。このまま家族になっていっても、違和感も感じないですね。

    上級生のロロイ様が、校門の所で待っていて下さいました。
    学園には普通科、騎士科、淑女科、魔法科があって、私もロロイ様も魔法科です。
    実践授業は合同でやる事もありますので、ロロイ様と一緒に授業を受ける事もありますわ。今から楽しみです。
    
    麦穂色の髪と、空色の瞳。少し気弱な所はありますが、とても優しい方なのです。
「久しぶりだね、ルミーナ。制服もとても似合っている」
「ありがとうございます」
    対する私は、銀色の髪に、深い海色の瞳。絶世の、とまでは行きませんが、それなりの、ロロイ様の隣に並んでも、遜色ない顔立ちだと思っています。

    並んで石段を登っていると、後ろから誰かが駆け上がってきました。少し避けると、その方は階段で躓き、転びそうになったので、ロロイ様が受け止めましたわ。

「大丈夫?」
「ええ、ありがとう!」
    元気に返事したその方は、ロロイ様と暫し見つめ合いました。
「早速攻略対象に出会うイベントをこなしたわ!やっぱりここは、乙女ゲームの世界なのね!」
    
    早口で呟いた言葉が聞き取れなかったからか、ロロイ様がその方の深紅の瞳をじっと見つめました。
    絡み合う視線に、何故か嫌な予感がしました。
    ふわふわのピンクブロンドの髪、黄色のスカーフですから、2年生ですわね…私と一つしか違わないのに胸も大きくて、少々羨ましいですわ。

    急いでいたのか、早々に走っていかれましたけど、スカートを翻して走るのははしたないですわ。

「今の方、お知り合いですの?」
「いや…見た覚えはないけど、学園にいるんだから、どこかの令嬢だろうね」

    転入生、でしょうか?意味の分からない言葉…もしや外国の方?
「僕達も行こう。入学式が始まるよ」
「ええ」

    
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