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婚約披露と姉
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隣国の王太子殿下の婚約者は、この国の令嬢だという噂もあり、重大発表の場の筈が、色めきたつ令嬢達で何やら違う雰囲気になっています。
そもそも今日は、エストファイム家に関する重大発表の場で、私達はゲストのはずですが…
何の証拠もないお姉様を捕まえる事は出来ません。なので、お祖父様の爵位返上発表の場で騒ぎを起こして頂けると良いのですが。
いえ、期待している訳ではありませんが、隠れてやられるよりはと思ってしまうのです。
先に、ゲストであるジークハルト殿下と、私、マルローネの婚約が発表されました。
広い会場のどこにお姉様がいらっしゃるかは分かりませんが、私に気がつくでしょうか?
壇上からだと、皆様の動きが良く分かります。お姉様です…驚きに目を見開いて、私を良く見ようと思ったのか、人並みを強引に抜けてやってきます。
相変わらずですわね…胸元の大きく開いたドレス。私と違って素晴らしい物をお持ちだからそのような物も似合うのでしょうけど、他の皆様と比べると、はしたなく感じます。
同じ姉妹でどうしてこうも違うのでしょう…
挨拶が終わったので、私達は一旦引きます。
すぐに私達は囲まれてしまいますが、エストファイム侯爵家が爵位返上する話をするのはこれからなので、皆様、まずはお話を聞くべきだと思うのです。
「マリー!…生きていたのね」
「お姉様…ええ。私の婚約は解消になったようなので、今は殿下が私の婚約者ですわ」
少し緊張して、隙は見せないようにお姉様を見ます。
「何がどうなってそうなるのよ!…初めまして、殿下。マルローネの姉のエルシーナです。妹がお世話になったようで、ありがとうございます。ですが、殿下…似た顔なら私の方が良いと思いませんこと?」
腕を取ろうとするお姉様を、グレン様達が阻みます。
「ちょっと…私はあの子の姉よ?家族としてスキンシップを取ろうとするのが悪いというの?」
「生憎と俺は、マルローネから全てを聞いている。近寄るな」
「そんなのでたらめです!事故の時に頭でも打って、幻想を見たのです…私は、ずっと妹の事、心配していたのです」
「お姉様…罪を認めて償って下さい。それがお姉様の為にもなるのです」
「全部嘘よ!私は一足先に家を出て、お祖父様の所に行ったのよ!マリーの事故の事は後で聞いたわ…失意のアレク様と婚約はしたけれど、事件の可能性があったから、アレク様とも婚約解消して…私は傷ついているの。可哀想でしょう…?ジーク様に癒して欲しいのよ」
「君に愛称呼びを許可した覚えはないし、愛する者にした事を考えたら、親しくなどしたくないな」
「嘘よ!全部嘘!マリーはいつも狡くて、お祖父様もマリーばかり可愛いがって、エストファイム家の全てをマリーに渡すつもりなのよ!…そうよ。マリーには領地があるわ。それで充分じゃない?」
お祖父様が壇上に上がり、陛下に臣下の礼を取ります。
「エストファイム家は長らくこの国の発展の為、尽くして来ましたが、この度は一身上の都合により、爵位及び領地を国に返還するお許しを頂きたく存じます」
「うむ。残念ではあるが、我が王家の者はその功績を忘れる事はないだろう。大義であった」
そもそも今日は、エストファイム家に関する重大発表の場で、私達はゲストのはずですが…
何の証拠もないお姉様を捕まえる事は出来ません。なので、お祖父様の爵位返上発表の場で騒ぎを起こして頂けると良いのですが。
いえ、期待している訳ではありませんが、隠れてやられるよりはと思ってしまうのです。
先に、ゲストであるジークハルト殿下と、私、マルローネの婚約が発表されました。
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少し緊張して、隙は見せないようにお姉様を見ます。
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「ちょっと…私はあの子の姉よ?家族としてスキンシップを取ろうとするのが悪いというの?」
「生憎と俺は、マルローネから全てを聞いている。近寄るな」
「そんなのでたらめです!事故の時に頭でも打って、幻想を見たのです…私は、ずっと妹の事、心配していたのです」
「お姉様…罪を認めて償って下さい。それがお姉様の為にもなるのです」
「全部嘘よ!私は一足先に家を出て、お祖父様の所に行ったのよ!マリーの事故の事は後で聞いたわ…失意のアレク様と婚約はしたけれど、事件の可能性があったから、アレク様とも婚約解消して…私は傷ついているの。可哀想でしょう…?ジーク様に癒して欲しいのよ」
「君に愛称呼びを許可した覚えはないし、愛する者にした事を考えたら、親しくなどしたくないな」
「嘘よ!全部嘘!マリーはいつも狡くて、お祖父様もマリーばかり可愛いがって、エストファイム家の全てをマリーに渡すつもりなのよ!…そうよ。マリーには領地があるわ。それで充分じゃない?」
お祖父様が壇上に上がり、陛下に臣下の礼を取ります。
「エストファイム家は長らくこの国の発展の為、尽くして来ましたが、この度は一身上の都合により、爵位及び領地を国に返還するお許しを頂きたく存じます」
「うむ。残念ではあるが、我が王家の者はその功績を忘れる事はないだろう。大義であった」
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