4 / 14
王宮での仕事
しおりを挟む
「お願いいたします!お茶汲みでも何でも仕事をさせて下さい!そもそもが私が貴族と決まった訳ではないではありませんか!」
ジーク殿下は少し考えて、
「ならさ、俺の仕事手伝ってよ」
「それは…宜しいのでしょうか?」
「遊んだ分の仕事が溜まっている筈だし、ダメなのは渡さない」
「…はぁ」
「でもまずは、医者にちゃんと診て貰ってからだな」
「でも…傷はありませんわ?」
「あるだろ、謎の頭痛」
それを言われると反論出来ないのですが…
診断の結果は、大きな精神的ショックで一時的に記憶障害を起こしているそう。
知識として覚えた事は覚えているそうで、人物に関する知識に欠陥がみえるとの事。いつ思い出すかは分からない。ただ、切っ掛けさえあればすぐにでも思い出すかもしれない。
その日は思い悩んで何も手に付かなかった。
「ゆっくり休養…もマリーにとっては心苦しいんだよな?グレンもいてくれるから、無理ない程度に手伝ってくれ」
「分かりました」
ただ、自分では何も出来ない事から、それなりのご令嬢ではないかと思う。お世話されるのに慣れている…これじゃ駄目だわ。
現在進行形で迷惑しかかけていないのに、ドレスまで用意して頂いて…お返し出来るのかしら?
次の日からは、書類の整理をしたりと出来る範囲でお手伝いさせて頂きました。時折意見を求められる事もありましたが、人物に関する事以外はするすると知識が出てきて、私自身戸惑いました。
それに、優しくされる謂われもないのに…私は単なる居候。分かってはいたのですが。
「まあ!最近お側に侍る令嬢がいると噂で聞きましたが、本当でしたのね…あなた、どこの誰ですの?このわたくしを差し置いて殿下と親しくされるなんて」
「私は…記憶がなくて、すみません」
「何なんですの?どこの家の方?見覚えもありませんわ」
「イザベラ嬢。この方は殿下の客人です。アシュトン王国の方に無礼を働くと、国際問題になりかねません」
「ですが!ジーク殿下と親しくされていると噂が…」
「イザベラ嬢?婚約者でもないのに愛称呼びは不敬ですよ」
「ふ…ふん!少なくともこんな小娘に負けるわたくしではありませんわ!」
イザベラ嬢と取り巻き令嬢達は、去って行った。
「ああ…私、気がつきませんでしたわ。今まで殿下を愛称呼びしてしまって…すぐにお詫びしなければ」
「まあまあ落ち着いて。マリー嬢には怒ってなかったんだし。珍しいよ?殿下が令嬢をお側に置くなんて」
それはそもそも、そういう対象として見られていないだけでは?私の正確な年齢も分かりませんし、迷子の子供を預かっているような感覚なのかも?
ジーク殿下は少し考えて、
「ならさ、俺の仕事手伝ってよ」
「それは…宜しいのでしょうか?」
「遊んだ分の仕事が溜まっている筈だし、ダメなのは渡さない」
「…はぁ」
「でもまずは、医者にちゃんと診て貰ってからだな」
「でも…傷はありませんわ?」
「あるだろ、謎の頭痛」
それを言われると反論出来ないのですが…
診断の結果は、大きな精神的ショックで一時的に記憶障害を起こしているそう。
知識として覚えた事は覚えているそうで、人物に関する知識に欠陥がみえるとの事。いつ思い出すかは分からない。ただ、切っ掛けさえあればすぐにでも思い出すかもしれない。
その日は思い悩んで何も手に付かなかった。
「ゆっくり休養…もマリーにとっては心苦しいんだよな?グレンもいてくれるから、無理ない程度に手伝ってくれ」
「分かりました」
ただ、自分では何も出来ない事から、それなりのご令嬢ではないかと思う。お世話されるのに慣れている…これじゃ駄目だわ。
現在進行形で迷惑しかかけていないのに、ドレスまで用意して頂いて…お返し出来るのかしら?
次の日からは、書類の整理をしたりと出来る範囲でお手伝いさせて頂きました。時折意見を求められる事もありましたが、人物に関する事以外はするすると知識が出てきて、私自身戸惑いました。
それに、優しくされる謂われもないのに…私は単なる居候。分かってはいたのですが。
「まあ!最近お側に侍る令嬢がいると噂で聞きましたが、本当でしたのね…あなた、どこの誰ですの?このわたくしを差し置いて殿下と親しくされるなんて」
「私は…記憶がなくて、すみません」
「何なんですの?どこの家の方?見覚えもありませんわ」
「イザベラ嬢。この方は殿下の客人です。アシュトン王国の方に無礼を働くと、国際問題になりかねません」
「ですが!ジーク殿下と親しくされていると噂が…」
「イザベラ嬢?婚約者でもないのに愛称呼びは不敬ですよ」
「ふ…ふん!少なくともこんな小娘に負けるわたくしではありませんわ!」
イザベラ嬢と取り巻き令嬢達は、去って行った。
「ああ…私、気がつきませんでしたわ。今まで殿下を愛称呼びしてしまって…すぐにお詫びしなければ」
「まあまあ落ち着いて。マリー嬢には怒ってなかったんだし。珍しいよ?殿下が令嬢をお側に置くなんて」
それはそもそも、そういう対象として見られていないだけでは?私の正確な年齢も分かりませんし、迷子の子供を預かっているような感覚なのかも?
42
お気に入りに追加
254
あなたにおすすめの小説

悪役令嬢カテリーナでございます。
くみたろう
恋愛
………………まあ、私、悪役令嬢だわ……
気付いたのはワインを頭からかけられた時だった。
どうやら私、ゲームの中の悪役令嬢に生まれ変わったらしい。
40歳未婚の喪女だった私は今や立派な公爵令嬢。ただ、痩せすぎて骨ばっている体がチャームポイントなだけ。
ぶつかるだけでアタックをかます強靭な骨の持ち主、それが私。
40歳喪女を舐めてくれては困りますよ? 私は没落などしませんからね。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。

【完結】悪役令嬢の反撃の日々
くも
恋愛
「ロゼリア、お茶会の準備はできていますか?」侍女のクラリスが部屋に入ってくる。
「ええ、ありがとう。今日も大勢の方々がいらっしゃるわね。」ロゼリアは微笑みながら答える。その微笑みは氷のように冷たく見えたが、心の中では別の計画を巡らせていた。
お茶会の席で、ロゼリアはいつものように優雅に振る舞い、貴族たちの陰口に耳を傾けた。その時、一人の男性が現れた。彼は王国の第一王子であり、ロゼリアの婚約者でもあるレオンハルトだった。
「ロゼリア、君の美しさは今日も輝いているね。」レオンハルトは優雅に頭を下げる。

誰も残らなかった物語
悠十
恋愛
アリシアはこの国の王太子の婚約者である。
しかし、彼との間には愛は無く、将来この国を共に治める同士であった。
そんなある日、王太子は愛する人を見付けた。
アリシアはそれを支援するために奔走するが、上手くいかず、とうとう冤罪を掛けられた。
「嗚呼、可哀そうに……」
彼女の最後の呟きは、誰に向けてのものだったのか。
その呟きは、誰に聞かれる事も無く、断頭台の露へと消えた。

私を侮辱する婚約者は早急に婚約破棄をしましょう。
しげむろ ゆうき
恋愛
私の婚約者は編入してきた男爵令嬢とあっという間に仲良くなり、私を侮辱しはじめたのだ。
だから、私は両親に相談して婚約を解消しようとしたのだが……。
私に告白してきたはずの先輩が、私の友人とキスをしてました。黙って退散して食事をしていたら、ハイスペックなイケメン彼氏ができちゃったのですが。
石河 翠
恋愛
飲み会の最中に席を立った主人公。化粧室に向かった彼女は、自分に告白してきた先輩と自分の友人がキスをしている現場を目撃する。
自分への告白は、何だったのか。あまりの出来事に衝撃を受けた彼女は、そのまま行きつけの喫茶店に退散する。
そこでやけ食いをする予定が、美味しいものに満足してご機嫌に。ちょっとしてネタとして先ほどのできごとを話したところ、ずっと片想いをしていた相手に押し倒されて……。
好きなひとは高嶺の花だからと諦めつつそばにいたい主人公と、アピールし過ぎているせいで冗談だと思われている愛が重たいヒーローの恋物語。
この作品は、小説家になろう及びエブリスタでも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。


【完結】大好き、と告白するのはこれを最後にします!
高瀬船
恋愛
侯爵家の嫡男、レオン・アルファストと伯爵家のミュラー・ハドソンは建国から続く由緒ある家柄である。
7歳年上のレオンが大好きで、ミュラーは幼い頃から彼にべったり。ことある事に大好き!と伝え、少女へと成長してからも顔を合わせる度に結婚して!ともはや挨拶のように熱烈に求婚していた。
だけど、いつもいつもレオンはありがとう、と言うだけで承諾も拒絶もしない。
成人を控えたある日、ミュラーはこれを最後の告白にしよう、と決心しいつものようにはぐらかされたら大人しく彼を諦めよう、と決めていた。
そして、彼を諦め真剣に結婚相手を探そうと夜会に行った事をレオンに知られたミュラーは初めて彼の重いほどの愛情を知る
【お互い、モブとの絡み発生します、苦手な方はご遠慮下さい】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる