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84話 フレグリッドside
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心の中で父上に必死に念を送っている俺に、どうやら一番年齢が上の辺境伯は気付いているみたいでしっかりと目が合ったような気がした。
いや.....だが気がした、というだけで俺もすぐに隠れたし気付いてはいないはず。
そう思いながら、再び恐る恐る執務室の中を覗き込むと、頭を抱える父上とそれを見ている辺境伯3人、そしてそんな4人を上から無表情で見ている宰相という光景が広がっていた。
ということは、多分辺境伯にはバレていないな。
そう思って安堵したのも束の間、頭を抱えていた父上が顔を上げたかと思ったら
「わかった.......そなたらの願いを聞き入れよう」
小さな声ではあったが、ハッキリとした口調で辺境伯たちにそう言ったのが聞こえてきた。
その瞬間、なんだかこの場に居てはいけない、と瞬時に判断した俺は、走ってその場を後にしたが.......まさか父上が俺を辺境伯たちに差し出すとは......。
それって、つまり俺よりも辺境伯たちの方が大事だ、ということなのか?
俺は実の息子なのに?
考えれば考えるほど悲しくなる、というか.......。
え?じゃあ、俺はこれから辺境に行って国を守るために、剣を握らなければいけない、ということか?
いつ死ぬのかわからないような辺境で?
そう考えているうちに、急に冷や汗のようなものが背中に伝っていくのがわかった。
所々でアリスティアの名前が出来ていた、ということは奴らもアリスティアの仲間みたいなものだろう。
そんなところに向かうなんて自分から死にに行くのと同じだ。
そう思いながら、ベットの上で伏せる様に寝転がっていた。
ー---
どれくらいの時間が経っただろうか?
自分が辺境伯に行くことになった、と頭では受け入れることが出来たが、やはり感情がついていかない。
はぁ.......どうにかして回避することは出来ないのか......。
なんて思っていると、コンコンというノックの後に
「話は聞いていたんですよね」
という声が部屋の中に響き渡った。
もう顔を見なくても誰が来たのかわかった俺は、ベットに顔を伏せたまま
「なぜ話を聞くように指示を出した」
と宰相に尋ねると
「そりゃあ、殿下にも聞いてもらう権利があると思ったからですよ」
そう言ってきた顔が見えないからわからないが、声だけでも面白がっているのが伝わってくるな。
もしかして.....父上が話を聞くよう指示を出したのではなく、宰相が勝手にメイドに指示を出したんじゃないか?
そう考えると父上の情けない無様な姿なのも納得が出来るし、俺を辺境伯に差し出そうとしたのにも頷ける。
くそっ......こいつ.....宰相は何をしたいんだ。
なんて思いながら、何も言わずに心の中だけで宰相のことを盛大に罵倒をした。
当然だが、心の中でとはいえ、自分が罵倒されているとは思ってもいない宰相をチラッと見ると、ニコニコと普段通り嫌な笑みを浮かべながら俺の様子を窺っていて、何かをするわけでもなく俺の言葉を待っているような、そんな気がしてならなかった。
いや.....だが気がした、というだけで俺もすぐに隠れたし気付いてはいないはず。
そう思いながら、再び恐る恐る執務室の中を覗き込むと、頭を抱える父上とそれを見ている辺境伯3人、そしてそんな4人を上から無表情で見ている宰相という光景が広がっていた。
ということは、多分辺境伯にはバレていないな。
そう思って安堵したのも束の間、頭を抱えていた父上が顔を上げたかと思ったら
「わかった.......そなたらの願いを聞き入れよう」
小さな声ではあったが、ハッキリとした口調で辺境伯たちにそう言ったのが聞こえてきた。
その瞬間、なんだかこの場に居てはいけない、と瞬時に判断した俺は、走ってその場を後にしたが.......まさか父上が俺を辺境伯たちに差し出すとは......。
それって、つまり俺よりも辺境伯たちの方が大事だ、ということなのか?
俺は実の息子なのに?
考えれば考えるほど悲しくなる、というか.......。
え?じゃあ、俺はこれから辺境に行って国を守るために、剣を握らなければいけない、ということか?
いつ死ぬのかわからないような辺境で?
そう考えているうちに、急に冷や汗のようなものが背中に伝っていくのがわかった。
所々でアリスティアの名前が出来ていた、ということは奴らもアリスティアの仲間みたいなものだろう。
そんなところに向かうなんて自分から死にに行くのと同じだ。
そう思いながら、ベットの上で伏せる様に寝転がっていた。
ー---
どれくらいの時間が経っただろうか?
自分が辺境伯に行くことになった、と頭では受け入れることが出来たが、やはり感情がついていかない。
はぁ.......どうにかして回避することは出来ないのか......。
なんて思っていると、コンコンというノックの後に
「話は聞いていたんですよね」
という声が部屋の中に響き渡った。
もう顔を見なくても誰が来たのかわかった俺は、ベットに顔を伏せたまま
「なぜ話を聞くように指示を出した」
と宰相に尋ねると
「そりゃあ、殿下にも聞いてもらう権利があると思ったからですよ」
そう言ってきた顔が見えないからわからないが、声だけでも面白がっているのが伝わってくるな。
もしかして.....父上が話を聞くよう指示を出したのではなく、宰相が勝手にメイドに指示を出したんじゃないか?
そう考えると父上の情けない無様な姿なのも納得が出来るし、俺を辺境伯に差し出そうとしたのにも頷ける。
くそっ......こいつ.....宰相は何をしたいんだ。
なんて思いながら、何も言わずに心の中だけで宰相のことを盛大に罵倒をした。
当然だが、心の中でとはいえ、自分が罵倒されているとは思ってもいない宰相をチラッと見ると、ニコニコと普段通り嫌な笑みを浮かべながら俺の様子を窺っていて、何かをするわけでもなく俺の言葉を待っているような、そんな気がしてならなかった。
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