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79話 国王side
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呆然としているメイドにお茶を淹れて来るように指示を出して、儂は早速と言わんばかりに辺境伯たちに
「それで、一体なんの用事があるんだ」
と話を始めた。
すると、俺の言葉に南の辺境伯が
「何の話、じゃと?」
と眉を顰めたのがわかったが......正直なぜ最初から機嫌を悪くしているのか、は全くわからんな。
しかも西のアリスティア嬢の家以外の全てがここに集合する、なんて今までだとありえないことだ。
つまり、相当大事な話だ、というのは想像が出来る。
そう思いながらも、なぜ集まったのか、だけはわからない儂は、少し申し訳なくも思いながら南の辺境伯に
「3人が集まるなんて相当大事な話なんだろう」
と問いかける様にそう言うと、儂の斜め前に座る北の辺境伯が
「何を他人事のように言っているんだ?俺たちがここに来た理由なんて考えたら1つしかないじゃないか」
儂を小馬鹿にするように笑いながらそう言ってきたが......こやつらは儂が国王だというのを忘れているのか?
ここまで儂のことを小馬鹿にしてくるのはこやつらが初めてだぞ?
そう思ってチラッと宰相の方を見たが、どうやら宰相は特に何も思わないらしく普段通り無表情で、儂らの話を聞いている。
ということは、儂の考えすぎ、ということか?
なんて思いながら、北の辺境伯の言葉を聞いて1つだけ思い当たることがあった儂は
「もしかして、フレグリッドとアリスティア嬢の話か」
と目を鋭くさせて聞いてみた。
すると
「まぁ、違うとも言えないけどそうだともいえない、かな」
「でも、王子の発言について、というのは合っていますね」
北と東の辺境伯は顔を合わせて苦笑しているが.......なんだ?
確かに、アリスティア嬢たちにはフレグリッドのバカのせいで多大なる迷惑をかけたとは思っている。
だが、こいつらには2人が婚約破棄をしたからと言って何も影響がないはずなんだが........。
そう思っていると
「この国では辺境は田舎者の貧乏人ならしいのう」
という南の辺境伯の言葉で、今まであった余裕のようなものが一気になくなったような気がした。
それと同時に急に冷や汗のようなものが背中に垂れてきて、とりあえずこの状況をどうにかしなければ、という危機感に襲われた。
儂は南の辺境伯の言葉に対して咄嗟に
「い、いや、決してそのようなことは........」
と言ったが、そうは言ってもあのバカの言った言葉が取り消されるわけではない。
3人の辺境伯たちがどこまで知っているのか、によって今後のことが変わってくるし、出来るだけ内容を知らないでいてくれた方が儂も誤魔化しが出来るんだが.......。
心の中で、辺境伯3人がフレグリッドの言った言葉をすべて把握していないよう願いながら、とにかく誤魔化すことを決めた儂は苦笑していると、そんな儂に南の辺境伯が
「そなたの息子はあの西の辺境伯に対してそのようなことを言ったのじゃろう?しかも、金食い虫だ、とも」
俺の考えを察したのか、そう言うとニヤッと意地の悪い笑みを見せた。
「それで、一体なんの用事があるんだ」
と話を始めた。
すると、俺の言葉に南の辺境伯が
「何の話、じゃと?」
と眉を顰めたのがわかったが......正直なぜ最初から機嫌を悪くしているのか、は全くわからんな。
しかも西のアリスティア嬢の家以外の全てがここに集合する、なんて今までだとありえないことだ。
つまり、相当大事な話だ、というのは想像が出来る。
そう思いながらも、なぜ集まったのか、だけはわからない儂は、少し申し訳なくも思いながら南の辺境伯に
「3人が集まるなんて相当大事な話なんだろう」
と問いかける様にそう言うと、儂の斜め前に座る北の辺境伯が
「何を他人事のように言っているんだ?俺たちがここに来た理由なんて考えたら1つしかないじゃないか」
儂を小馬鹿にするように笑いながらそう言ってきたが......こやつらは儂が国王だというのを忘れているのか?
ここまで儂のことを小馬鹿にしてくるのはこやつらが初めてだぞ?
そう思ってチラッと宰相の方を見たが、どうやら宰相は特に何も思わないらしく普段通り無表情で、儂らの話を聞いている。
ということは、儂の考えすぎ、ということか?
なんて思いながら、北の辺境伯の言葉を聞いて1つだけ思い当たることがあった儂は
「もしかして、フレグリッドとアリスティア嬢の話か」
と目を鋭くさせて聞いてみた。
すると
「まぁ、違うとも言えないけどそうだともいえない、かな」
「でも、王子の発言について、というのは合っていますね」
北と東の辺境伯は顔を合わせて苦笑しているが.......なんだ?
確かに、アリスティア嬢たちにはフレグリッドのバカのせいで多大なる迷惑をかけたとは思っている。
だが、こいつらには2人が婚約破棄をしたからと言って何も影響がないはずなんだが........。
そう思っていると
「この国では辺境は田舎者の貧乏人ならしいのう」
という南の辺境伯の言葉で、今まであった余裕のようなものが一気になくなったような気がした。
それと同時に急に冷や汗のようなものが背中に垂れてきて、とりあえずこの状況をどうにかしなければ、という危機感に襲われた。
儂は南の辺境伯の言葉に対して咄嗟に
「い、いや、決してそのようなことは........」
と言ったが、そうは言ってもあのバカの言った言葉が取り消されるわけではない。
3人の辺境伯たちがどこまで知っているのか、によって今後のことが変わってくるし、出来るだけ内容を知らないでいてくれた方が儂も誤魔化しが出来るんだが.......。
心の中で、辺境伯3人がフレグリッドの言った言葉をすべて把握していないよう願いながら、とにかく誤魔化すことを決めた儂は苦笑していると、そんな儂に南の辺境伯が
「そなたの息子はあの西の辺境伯に対してそのようなことを言ったのじゃろう?しかも、金食い虫だ、とも」
俺の考えを察したのか、そう言うとニヤッと意地の悪い笑みを見せた。
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