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78話 国王side
しおりを挟むとりあえず、物資の調達が出来なくなってしまう、ということに関しては今までまともに働いたことのない兵士たちを使うしかないな。
どうせ今まで稽古だ、と口では言っているものの遊んでいただけの兵士も沢山いる。
そいつらを戦場に出すよりだったら戦い慣れている辺境の兵士達に戦わせて、内側の兵士達には物資の調達を.........。
なんて思っていると
「へ、陛下!大変です!」
バンっと大きな音を立てて慌てた様子のメイドが執務室に入ってきた。
別に執務室にメイドが来ることは何も珍しい事ではないが.......ここまで慌てているのは珍しいな。
多分儂が国王になってから初めてなのではないか?
そう思いながら、慌てている様子のメイドに
「そんなに慌ててどうしたんだ?」
首を傾げながらそう尋ねると、息を切らしたメイドが
「そ、それがですね!」
と必死に何か言いたそうにしていた。
だが、ここまで走ってきたからなのか、相当息が切れてしまっていてなかなか言葉が出てこないみたいだな。
まぁ、儂の方は急いでいるわけでもないし、ゆっくりでいいんだが.......何があったのか、くらいは聞いておきたいような気もするな。
なんて思っていると、急に扉の方から
「失礼しますよ、陛下」
という声が聞こえてきた。
普段は聞かない声だ、ということもあって、警戒しながら扉の方を見ると、そこには3人の男が立っていて儂と宰相を交互に見ながらも、どんな反応をするのか、と待っているみたいだった。
そんな男3人を見た儂は、
「お、お前たちは...........」
と言うのが精一杯で、驚きのまり言葉を失ってしまった。
だが、それも仕方がないだろう。
だって、普段は王都まで出て来ることもないはずの辺境伯たちが3人も扉のところで立っていたんだからな。
息を切らしていたメイドは、というと、まさか辺境伯たちがここまで付いてくるとは思ってもいなかったんだろう。
「え?あ、あの.....応接室の方で待っていると........」
キョトンとした顔でそう呟いたが、
「どうせ準備だのなんだので時間がかかるじゃろう?」
と言われて何も言い返すことが出来なくなっていた。
驚きのあまり固まっている儂に、辺境伯たちはいたずらに成功した子供のようにニヤニヤと笑いながら
「まぁ、積もる話もあるからのう.........ここで話すか、儂らと場所を移動するか、どっちがいい?」
執務室で話をする気満々のくせにそう尋ねてきた。
はぁ.....正直、ここには色んな書類もあるし、何よりも椅子が広くない。
辺境伯たちのような筋肉の塊たちに入って来られると相当狭くなってしまうんだが、それはわかっているんだろうか?
だが、儂よりも年上で、しかも国を守ってくれている辺境伯たちに対してヘタな発言は出来ないからな。
そう自分に言い聞かせるように心の中で呟くと
「.......狭くても良いというのならここでも構わん」
と言って、辺境伯たちに椅子を勧めた。
すると
「そうか、なら邪魔させてもらおう」
「あ、一応宰相も待機しておくように」
我が物顔で入ってくる奴らには苛立ちを感じるが、仕方があるまい。
機嫌を損ねて辺境の兵士たちが使えないのだけは避けなければいけないことだからな。
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