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76話
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うーん.....確かに私の竜騎士の力なんてなくてもお父様もお兄様も剣術の腕は確かですわ。
なので、私が居なくなってもこの辺境の戦闘力は全く下がりません。
それなのに、私にここに残って欲しい、と言うんはやっぱり周りの国に、竜がいるんだ、と牽制する為なんでしょうね。
.....お兄様が国王になった時の利点はこの辺境だけでしか発揮されない、ということも考えると、私とお兄様のどちらが国王にした方が良いか.......嫌でもわかってしまいますわよね。
そう思いながら、心の中で大きくため息をつくと、どうやらお父様もお兄様も私と同じ考えに至ったんでしょう。
私の様子をチラチラと見ながら、何かを言いたそうにしています。
そんな2人の言った通りになるのは少し癪ではありますが......仕方がありませんわ。
ここは私の我儘でどうにかなるような状況ではありませんもの。
そう自分に言い利かせた私は、椅子からスッと立ち上がって期待に満ちた顔をしているお父様とお兄様にこう言いましたわ。
「わかりましたわ。国王になりたくないですが、引き受けます」
私がそう言った瞬間、2人はあからさまに表情をパァっと明るくさせて
「そうか、そうか」
とでも言いたそうに何度も何度も頷いていますが、その姿が今の私には少し腹立たしくも感じますわ。
だって、本当は絶対に嫌だ、といって家から逃げ出したいくらいのことなんですもの。
ですが、お兄様の
「ありがとう」
という微笑みを見ると、やっぱり嫌だ、なんて言葉は言えるわけもなく
「仕方がありませんわ。本当は嫌ですけどね」
と言うのが精一杯でした。
そんな私をニコニコしながら見ていたお兄様とお父様は表情をそのままに
「じゃあ、お父様。後はアリスティアの婚約者と、領民たちにお披露目だけですね」
「うむ、そうだな」
と今後の話をしていますし.......。
正直、この状況で聞きたくありませんわ。
国王になることは引き受けたんですから、後は勝手に決めてくれ、という感じです。
なんて思いながら元々椅子から立ち上がっていた、ということもあって、お父様とお兄様、そして空気のように気配を消しているお母様に
「とりあえず、私の話は終わりでしょうし、部屋に戻りますわ。何かあったら呼んでください」
そう言うと執務室を後にしましたわ。
ー---------
執務室を出た私の後ろをディーヴァンが追いかけてきて
「なんだ?なぜそこまで国王になりたくない?良い話じゃないか」
と言ってきましたが......やっぱりディーヴァンには私の気持ちは理解出来ませんわよね。
だって、竜は国王とか上にいることに喜びを感じる生き物ですもの。
ただ、それをディーヴァンに言っても私の八つ当たりのようなものですからね。
グッと堪えて、静かに
「私は人の上に立てるような立派な人じゃないもの。ただの竜好きの剣術が強い令嬢、ただそれだけなのよ?」
苦笑しながらディーヴァンにそう言いましたわ。
ですが、やっぱり
「だからどうしたんだ?」
とでも言いたそうな顔で首を傾げるだけで、理解は出来ていないみたいですわね。
まぁ......仕方のないことなんでしょうけど、少し複雑な気持ちになりますわ。
なので、私が居なくなってもこの辺境の戦闘力は全く下がりません。
それなのに、私にここに残って欲しい、と言うんはやっぱり周りの国に、竜がいるんだ、と牽制する為なんでしょうね。
.....お兄様が国王になった時の利点はこの辺境だけでしか発揮されない、ということも考えると、私とお兄様のどちらが国王にした方が良いか.......嫌でもわかってしまいますわよね。
そう思いながら、心の中で大きくため息をつくと、どうやらお父様もお兄様も私と同じ考えに至ったんでしょう。
私の様子をチラチラと見ながら、何かを言いたそうにしています。
そんな2人の言った通りになるのは少し癪ではありますが......仕方がありませんわ。
ここは私の我儘でどうにかなるような状況ではありませんもの。
そう自分に言い利かせた私は、椅子からスッと立ち上がって期待に満ちた顔をしているお父様とお兄様にこう言いましたわ。
「わかりましたわ。国王になりたくないですが、引き受けます」
私がそう言った瞬間、2人はあからさまに表情をパァっと明るくさせて
「そうか、そうか」
とでも言いたそうに何度も何度も頷いていますが、その姿が今の私には少し腹立たしくも感じますわ。
だって、本当は絶対に嫌だ、といって家から逃げ出したいくらいのことなんですもの。
ですが、お兄様の
「ありがとう」
という微笑みを見ると、やっぱり嫌だ、なんて言葉は言えるわけもなく
「仕方がありませんわ。本当は嫌ですけどね」
と言うのが精一杯でした。
そんな私をニコニコしながら見ていたお兄様とお父様は表情をそのままに
「じゃあ、お父様。後はアリスティアの婚約者と、領民たちにお披露目だけですね」
「うむ、そうだな」
と今後の話をしていますし.......。
正直、この状況で聞きたくありませんわ。
国王になることは引き受けたんですから、後は勝手に決めてくれ、という感じです。
なんて思いながら元々椅子から立ち上がっていた、ということもあって、お父様とお兄様、そして空気のように気配を消しているお母様に
「とりあえず、私の話は終わりでしょうし、部屋に戻りますわ。何かあったら呼んでください」
そう言うと執務室を後にしましたわ。
ー---------
執務室を出た私の後ろをディーヴァンが追いかけてきて
「なんだ?なぜそこまで国王になりたくない?良い話じゃないか」
と言ってきましたが......やっぱりディーヴァンには私の気持ちは理解出来ませんわよね。
だって、竜は国王とか上にいることに喜びを感じる生き物ですもの。
ただ、それをディーヴァンに言っても私の八つ当たりのようなものですからね。
グッと堪えて、静かに
「私は人の上に立てるような立派な人じゃないもの。ただの竜好きの剣術が強い令嬢、ただそれだけなのよ?」
苦笑しながらディーヴァンにそう言いましたわ。
ですが、やっぱり
「だからどうしたんだ?」
とでも言いたそうな顔で首を傾げるだけで、理解は出来ていないみたいですわね。
まぁ......仕方のないことなんでしょうけど、少し複雑な気持ちになりますわ。
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